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桜子から聞いたスキャンダラスな話の内容もさることながら、総二郎が後継者争いのただ中にいる
という事実のほうがつくしにはショックだった。
彼女の知る西門総二郎という男は、そうしたことをうかがわせないほどいつも淡々としているように見えた。
自分は何も彼のことを知らない。
「って、そんなの当たり前。そもそも知る必要なんてある!?」
あえて声に出して言ってみて、それでも総二郎のことが気になってしまう自分がこれからどこに
行こうとしているのか、いまさらながら不安になる。
つくしは机の上の小皿に載せた3つの玉の光を祈るように見つめた。
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そんな12月初めのある日、つくしの携帯に滋から電話がかかってきた。
『つくし、久しぶり!元気にしてる!?』
電話越しでも伝わってくる滋の屈託のない明るい声に彼女の顔に笑顔が浮かぶ。
「滋さん、元気そうだね。」
『ふふん。今日はサプライズなお知らせだよ。つくしの誕生日、12月だよね。同じく12月生まれの
ニッシーとあわせて誕生日パーティーをするからね!』
ファンファーレの口真似までするテンションの高い滋の言葉につくしはおもいっきり動揺する。
今のこの状況で、ましてや西門家の事情を聴いた直後に平静な顔をして総二郎に会えるかどうか
自信がなかった。
「あ、えっと、でも西門さん、忙しそうだし・・・。」
『そーなんだよね。だからとりあえず先にニッシーに都合を聞いたら今度の土曜の昼間ならいけるって。
つくし、その日あいてるよね?』
滋の指定してきた日時を聞いてつくしはほっとした。
土曜日は終日、道明寺家のレッスンが入っている。
その旨を伝えると、彼女は得意げに言った。
『それなら大丈夫!滋ちゃんがちゃんと司に了解をもらって、レッスンを中止にしてもらったから。』
「道明寺に・・・?」
『あ、別にこっそり連絡をとったりしてるわけじゃないよ!ほら、パーティーに司も来れないかなと
思って聞いてみたんだ。でも仕事の都合でしばらく帰国できないみたいでさ・・・。』
「ううん、道明寺、忙しいもん。しかたないって。」
申し訳なさそうな滋をフォローしながらも、つくしは彼が来れないと聞いてどこかほっとしていることを
自覚していた。
そんな自分に嫌悪を感じる。
『じゃあ今週の土曜日、お昼にね!あきら君のところでする予定だけど、類君に迎えにいってもらうから。
ニッシーのプレゼントは用意しなくていいからね。』
そんな風にたたみこむように言われて、結局つくしは勢いに押されるように承諾してしまったのだった。
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パーティーの当日、つくしは迷った挙句、いつか桜子に勧められて買ったモスグリーンのワンピースを
選んだ。
派手ではないけれど、ラインが綺麗で彼女も気にいっていた。
迎えにきた類が玄関先で彼女を見て「よく似合ってる。」とにっこり笑って言ったのを聞いて、
なんとはなしにほっとした。
その時初めて、つくしは自分が緊張していたことに気づいたのだった。
美作邸に着くと、すでに到着していたメンバーがフライング気味にワインを飲み、雑談に花を咲かせていた。
「やっとつくし来た!」
「おそいぞ、お前ら。」
待ちかねたといわんばかりの滋に引きずられるように、つくしは美作夫人の心づくしのケーキが
美しく飾られたテーブルの前に連れて行かれる。
その隣にはすでに総二郎が立たされていて、何食わぬ顔で「いつまで待たせてるんだよ。」と憎まれ口
をたたいてきた。
そのしれっとした様子を憎たらしく思いながらも、他のメンバーに怪しまれないように、
遅刻してないからと言い返すのがつくしには精いっぱいだった。
「じゃあローソクに火をつけるから、二人で吹き消して!」
「えっ!?」
戸惑うつくしに気づく様子もなくさっさとケーキにろうそくをさし、手際良く火をつけていく滋。
「そんなガキくさいこと、面倒くせーよ。」
「なに言ってんの。バースデーといったらこれでしょ!?早くしないと美作ママが作ってくれたおいしい
ケーキに蝋が垂れちゃうよ。つくしもほら急いで!」
滋に強引に促され、つくしは総二郎とともに火のついたろうそくの前に顔をかがめた。
うんざりとしたような彼の顔に接近して、ドキリとする。
その瞳に映る炎に魅入られそうになって、つくしは慌てて視線をろうそくに戻した。
「じゃあいっせーのーで!」
いやいやながらの総二郎と一緒につくしが炎を吹き消すと同時に、シャンパンの栓が抜かれ、
「Happy Birthday!」という声が景気よく響く。
火が消えた瞬間、つくしは一瞬、総二郎と視線があった気がした。
後はなし崩しのいつものドンチャン騒ぎで、滋を適度にからかいながらあきらと総二郎がばかばかしい
掛け合いをし、桜子のシニカルな突っ込みが入り、類はソファーで昼寝中・・・といういつもの光景が
繰り広げられる。
そんな様子をつくしはどこか遠巻きに見ながら、ついつい視線は総二郎を追ってしまっていた。
彼のちゃらけた様子をみていると、まさかドロドロのお家騒動の真っ只中にいるとは思えない。
もっと言うなら、彼が彼女に対して強いている『ゲーム』のことなんて誰も信じないだろう。
彼の行動は複雑怪奇で、自分のような単純な人間には到底推し量れないと、つくしはため息をついた。
そんなことを思いながら総二郎を見ていたら、途中で彼がすっと席を外したのが目に入った。
無意識のうちにそのまま彼の行動を見守っていると、携帯に電話がかかってきたようで、軽い調子で
総二郎が話しているのがわかった。
なんとなくその様子から相手が女性のような気がして、とたんにつくしの心は落ち着かなくなる。
短い会話を終えると、彼は何事もなかったかのように再び輪の中に戻った。
やがてアルコールの影響もあって、なんとなく全体がぐだぐだになってきた頃、総二郎が軽くあきらに
耳打ちしたのをつくしは見た。
あきらはあきれたように苦笑し、肩をすくめて総二郎のグラスを受け取る。
嫌な予感がして、つくしがこっそりとその様子をうかがっていると、総二郎は悪びれる様子もなく
あきらの背中を軽くたたき、そっとパーティー会場から姿を消してしまった。
その間、彼は一度もつくしに視線をやることはなく。
それがいっそう彼女の心を傷つけていた。
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じゃみさま、明けましておめでとうございます







毎回、コメント返信がありスゴ〜ク嬉しいです
今回の初更新、と〜っても面白いですぅ
やっとつくしと総ちゃんが動きだしてくれそうな予感?!が漂ってきてます
あと映画花男ファイナルをX'masイヴに見てから無性に類つくが読みたくてしょうがありません
な・の・で…じゃみさま、次回のノーテンキver類つくを楽しみにしておりますね
それでは、また訪問させて頂きま〜す
失礼致しますm(__)m
2010/1/6(水) 午後 10:23 [ ヨッシ〜 ]
○ヨッシーさま
こちらこそいつもコメントありがとうございますv
次は短めで類がでばってますが、その次こそは総ちゃん発動。
ファイナルの類、なんだかやっぱりせつない役どころでしたよね・・・。(そしてさらに韓国版の類ときたら・・・泣)
でもおかげさまで、2次でいろいろ妄想できますv
じゃみ
2010/1/9(土) 午後 11:00 [ jam*_g*e*n99* ]