Green W.

遅くなったけれど類、お誕生日おめでとう!(しかしいまだに話は総つく。しかも季節は12月・・・)

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10−17.浸食【4】

 反応の薄いつくしに今は何を言っても無駄と悟ったのか、類は彼女のそばを離れた。
 
 彼が自分のことをどう思っているのか考えると、つくしは暗い気分にならざるを得ない。
 
 ふっとため息をひとつつき、部屋の隅に置いてあったカバンに手をのばした。
 
 それから化粧ポーチを取り出そうとして、携帯のランプの点滅に気付く。
 
 不在着信を示すグリーンの光。

 機械的な動作でディスプレイを確認し、そこに表示された文字に驚いた。 

 10分ほど前の、総二郎からの着信。
 
 どうせ女の人に会いに行っているのだとばかり思っていた人間からの連絡に動揺する。
 
 別れ話のダシにされた苦い出来事が一瞬脳裏をよぎったが、けっきょく携帯を握りしめてこっそり

部屋を抜け出してしまった。



 目立たない廊下の隅でリダイヤルするつくし。

 息を殺して呼び出し音を数え・・・やっと総二郎が電話に出た。

『遅いよ、お前。』

「勝手なこと言わないでよ。途中で出て行って好き放題してるのはそっちじゃない!」

 苛立って言い返すつくしの言葉を聞いて喉の奥で笑う総二郎。

 その笑い声はとてつもなく耳に居心地いいのに、なぜか不安をあおる。

『出てこいよ。』

「冗談でしょ。前みたいに変なことに巻き込まれるのはごめんだから。それにみんながお祝いして

くれてるのに、そんなことできない。」

『ちなみに俺もあきらの家の中。』

 えっと驚いて、つくしが言葉を失っていると、とんでもないことを総二郎が言い出した。

『廊下の突き当たりに中庭に通じるドアがあるだろ?そこから出て噴水まで行けよ。』

 彼の言うとおり、すぐそばに中庭に通じるポーチに出るガラス張りのドアがあった。

「人の家を勝手にうろうろしていいと・・・」

『来い。』

 命令口調でたたみかけられ、つくしはどういうわけか逆らえずそのままドアのノブに手をかけてしまった。



「噴水まで来たけど・・・」

 彼女はあたりを見回すが総二郎の姿は見えない。

 するとさらに電話で指示が出た。

『噴水の左にある道。そこを入れよ。』
 
 それっきり通話は切られる。

 つくしはのろのろと携帯をポケットにしまい、立ち止まった。

 左手には確かに野バラが高い塀を作る小道があった。

 ここを抜けると、総二郎が待っているのだろうか?

 自分がそこに行きたいのか、行きたくないのかはっきりとわからないまま、それでも彼女は今は花も

咲いていない道に足を踏み入れた。



 野バラの小道は思ったほど長くなく。

 間もなくひっそりと木立に囲まれた坪庭のようなところに行きついた。
 
 まるで人目を避けて恋人たちが密会するために作られたようなその場所。

 そこに置かれたベンチに総二郎が座っていた。

 彼女の姿を認めて、総二郎がけだるげに立ち上がった。

 後ずさりしそうになったつくしを彼は押しとどめる。

「逃げるなよ。言いたいことがあるんだろ?・・・パーティーの間中、人のことをあんな目で見てたら、

何かありますって周りに宣伝しているようなもんだぜ。」

「べ、別に見てなんて!ただ、せっかくみんな西門さんのために集まってるのに、途中で抜け出すなんて

ひどいんじゃないかと思っただけで・・・」

「なんで?俺が抜け出したことなんて、誰も気にしてないと思うけど?・・・つくしちゃん以外は。」

 そういいながらゆっくりと総二郎が近づいてくるのに、つくしは全く動けずにいた。

 そんな彼女を面白そうに眺めながら、総二郎はさらりと彼女の髪をひと房手に取る。

 まるでその手触りを楽しむかのように、サラサラと手の間からつくしの髪を流し落としていく。

 彼のするがままにし、つくしはじっと体を硬くしていた。

「そんなに俺のことが気になる?」

「・・・そんなわけないでしょ!?」

 髪をいいようにもてあそばれ、自分に向けられた視線を感じながら彼女は目をあわせられずにいた。

「嘘つけよ。類がいることも忘れるぐらい人のことを見てただろ?」

 声音がふっと冷たくなったような気がして、つくしはそむけていた視線を彼に向けた。
 
 総二郎は笑みを浮かべて彼女を見ていた。

 けれどもその様子はいつかの嵐の日の彼に酷似していて、つくしは息をのむ。

 思わず逃げそうになったつくしを、総二郎は髪をもてあそんでいた手ですばやくつかみ、ぐいっと

自分に近づけた。

「大方、うちの家のゴタゴタのことでも聞いたんだろ?」

 図星をつかれて、彼女の顔が赤く染まった。

「お前、わかりやす過ぎる。おまけに同情か?まったく・・・ありがたくて涙が出るな。」

 今まで聞いたことがないほど冷たい声音に、つくしはビクッと体を震わせた。

「それでお優しい牧野はかわいそうな俺をなぐさめてくださるってわけか。」

「何言って・・・!?」

 つくしが反論する間もなく、総二郎が彼女の頤をつかみ乱暴に唇を奪った。

 今まで戯れにつくしにしかけたそれとは根本的に違う、力づくで凌辱するような口づけ。

 恐怖を覚えて必死に抵抗しようとしたにも関わらず、器用にポイントをおさえて拘束されているらしく、

総二郎はびくともしない。

 思うさま貪られ彼女の呼吸すら苦しくなったころ、総二郎の唇が頬を滑りきつく首筋に吸いついた。

 鈍い痛みを感じたつくしは喘ぐように「・・・やめて。」と漏らす。

 次の瞬間、彼女の体は突き放された。

 よろめいて、その場に膝をついたつくしに向けて、銀の玉が投げられる。

「中途半端にフラフラうろつくんじゃねーよ。とっととそれを持って消えろ。」

 つくしはその時、自分にむけられた総二郎の視線の中に、初めて怒りの色を見てとった。

 彼から受けた乱暴なふるまい以上にそのことにショックを受けて、彼女がその場にへたり込んでいると、

総二郎のほうが無言のまま立ち去る。

 その後ろ姿を目で追いながら、つくしは今頃になって自分が震えていることに気づいた。

 それでいて、彼女は自分が総二郎を傷つけたのだと思わずにはいられなかった。

閉じる コメント(3)

更新お疲れ様です!ずっとどきどきしながら拝見しておりますよー。
苦悩しているというか、壊れかけな総二郎って、超絶に色気ありますね。
陽気な彼も、適当な彼も、へたれな彼も好きですが、新たな一面に開眼してしまいました。
このお話がどんな展開になるのか分かりませんが、妄想全開で楽しみにしてます!

2010/1/21(木) 午前 10:57 [ sa_**xx ]

じゃみ様、こんばんは
今回のお話しでは、総ちゃんがつくしをバラのお庭で襲う?!なんてステキ過ぎです
あきらの家の離れにつくしを連れ込む?のかと思いましたけど、外れちゃいました
でも…寸止めな感じですけどポーカーフェイス崩した荒々しい総ちゃんも良いですね
総ちゃんはこの先つくしとどうなるのか…?ホントに楽しみです
じゃみ様〜総ちゃんが今回ブラックなのでこの先R度が高めなのかもと期待してもいいですか…?←(頭の中が暴走気味なのでこの質問は無視しても構いません
それでは…またお話し楽しみにしてますねm(__)m
失礼致します。

2010/1/22(金) 午前 0:43 [ ヨッシ〜 ]

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○sa_ba×× さま
いつもお越しいただいて、ありがとうございますv
壊れかけの総ちゃん、大丈夫ですか?
(きれいなお姉さんは、好きですか の節まわしで(笑))
総ちゃんの性格、崩壊させすぎてないかドキドキしてますがそろそろ終盤も近づいてきたので、もうひと頑張りします!

○ヨッシーさま
パッションあふれるコメントありがとうございます(笑)。
実はあきら君ちの離れで・・・というのが最初の案だったのですが、さすがに人様の家に不法侵入はいかがなものかと。
(かといって庭なら不埒なまねをしていいのかと言われると・・・)
そして大人のR。
なかなか高いハードルです(笑)。

じゃみ

2010/1/28(木) 午後 9:08 [ jam*_g*e*n99* ]


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