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すべてが終わって気を失ったつくしが目覚めた時、総二郎はすでに衣服を整え、まるで昨夜のことなど
何もなかったかのように平然としてベッドに腰掛けていた。
一糸まとわぬ姿の自分の姿に気づいたつくしが慌ててシーツをかきあげて起き上がろうとしたのを、
総二郎がその上にかぶさるようにして見下ろす。
「残りの玉は、あと二つ。」
告げられた言葉につくしは硬直する。
総二郎は表情一つ変えることなく、彼女の首筋を撫で上げた。
「5日後の夜、ここにまた来い。」
それだけ言うと、用は終わったとばかりにつくしをそこに残して出て行った。
「西門さん・・・!」
一人残されたつくしは、しばらくそのまま茫然としていた。
やがて朝の光がレースのカーテン越しにさしこんでくる。
のろのろとベッドから滑り降りたつくしは、ローブをはおってバスルームにむかった。
リビングを通り抜ける時、濡れたままだったはずの服がいつの間にかクリーニングされてテーブルの上に
置かれているのが目に入った。
その上で自分がさんざん演じた痴態を思い出し、つくしは振り切るようにシャワールームに駆け込んだ。
けれども熱すぎるほどの湯を浴びても、目を閉じると耳元でささやかれたかすれた声がよみがえり、
奥底に残る甘いけだるさを消し去ることはできない。
つくしはシャワーの水流に体を打たれながらバスルームの壁に頭をおしつけて、自分の中に残る
総二郎の痕跡を洗い流そうとした・・・。
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おそるおそるつくしがチェックアウトするためにフロントに向かうと、支払いはおろか、無一文の
つくしのためにタクシーすら手配されてあった。
しかし彼女にとっては、物事がそつなくこなされていればいるほど、これが遊びなのだということを
彼から思い知らされているような気がしてならなかった。
そこまで考えて、つくしは自嘲する。
百にひとつもあり得ないことだけれど・・・もしもこれが遊びでなかったとしたらどうだというのか。
「・・・どうにもならないじゃない。」
ぽつりとつぶやいて、つくしは涙をこらえた
後ろめたさを感じながら朝の通勤客に逆行し帰宅すると、自宅の留守電には何度も類のメッセージが
残されていた。
家に帰ったら連絡してほしいと珍しく焦った様子で吹き込まれていたいくつもの伝言のあと、
最後の一つはただ『鞄、預かってるから』と短い用件で切られていた。
それはおそらく、総二郎が類につくしを見つけたと連絡したと言っていた時間で・・・。
つくしは改めて自分のしたことにおののく。
自分のしたことは単なる浮気ではすまされない。
よりにもよって相手は恋人の幼馴染だ。
いや、そんなことよりも・・・。
つくしは、部屋の中で膝を抱えてうずくまった。
その日の昼前、妙に疲れた顔をした類がつくしの家に現れた。
黙って目の前に差し出された鞄を受取るとき、彼女は彼の目を見ることができなかった。
類は責めることも問いただすこともせず、しばらくそのまま入口で立っていた。
その重さが針のむしろに座らされているようで、むしろ罵ってくれたほうがましだとつくしには思えた。
「・・・年末あたり、司が帰ってくるって。」
告げられた言葉に驚いてつくしが顔をあげると、類は一瞬、痛ましそうなに彼女を見て、
そのまま背を向けた。
「道明寺が・・・帰ってくる・・・。」
考えてみれば当たり前のことなのに、彼女の頭からは今の今まですっかりそのことがぬけ落ちていたのだった。
つくしはそのままそこに立ちつくす。
頭の中が真っ白になっていた。
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○・りん***** さま
いつもありがとうございますv
このお話の総ちゃん、かなり屈折しているので、何を考えているんだこの男〜!って感じですよね。
ラストまでにはそのへんのところをはっきりしたいと思ってます(汗)。
○lem********* さま
そうなのです。
いくらなんでも司を放りっぱなしにはできないので・・・。
しかし帰国はまだもう少し先になる予定です。
(けっして司が描きにくいからというわけではなく・・・)
じゃみ
2010/3/14(日) 午後 10:38 [ jam*_g*e*n99* ]