Green W.

遅くなったけれど類、お誕生日おめでとう!(しかしいまだに話は総つく。しかも季節は12月・・・)

1.背徳の恋のお題【類×つくし】

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1-20. The Last Show 【Final】

「俺も干渉されるのはごめんだったから、ちょうどよかった。

 それで二人でこっそり契約を結んだんだ。

 突っ張っていたものの彼女の会社はぎりぎりのところにあったし。

 俺は彼女と幼馴染の関係を認めて、彼女のお兄さんが会社を立て直すまでバックアップする。

 その代わり花沢はIT技術の提供をしてもらう。もちろん彼女も俺の生活に干渉しない。

 お互いケッコンしろって周りからせっつかれてたから、カムフラージュにもなったしね。」


 こうして二人の文字通り「形の上の結婚」が始まったらしい。


「牧野に再会して、俺も必死にがんばって花沢のIT部門を軌道に乗せた。

 彼女の家もどうにか立ち直ったし、彼女の幼馴染もこの夏からMITの研究員に採用されて、二人で

アメリカで暮らすことになってるんだよ。

 俺はこれでやっと晴れて牧野と一緒になれると思ったのに。

 肝心のあんたがまた逃げようとしてるって司から電話で知らされて、信じられなかった。

 あわてて離婚届の準備して、ここ来る前に役所に出して・・・。

 ほんと、心臓止まるかと思った。」

 花沢類はやっぱりちょっと怒っているようにぎゅっとあたしを抱きしめる腕に力を入れた。

「そんなこと言われても・・・!だいたい、説明もしてもらってなにのに、そんなややこしい事情、

わかるわけないじゃない!あたし、ほんとに大変なことしたと思って、自己嫌悪に

陥ってたんだから・・・」

「ごめん。一応、いろいろ事情があってあんまり話せることじゃなかったから・・・。

 でも、俺、いつも形だけだからって言ってたよね?

 俺にしてみたら、牧野が俺のことをぜんぜん信用してなかったんだってことのほうがショックだよ。

 しかも、司とぴったりくっついて、ほっぺた触られてるし。

 ・・・司に会って、やっぱりあいつのほうがいいと思った・・・?」

 最初は怒ってるのかと思った花沢類。でも、最後の一言を言うとき、彼の瞳で揺れている

不安げな光をあたしは見逃さなかった。

 なんだってこの人は、こんなにワガママで強引なくせに、ときおり儚げな脆さを見せるんだろう。

 誰もがうらやむ家柄と才能と美貌の持ち主なのに。

 そんな彼を突き放せる女性がいたら、会ってみたい。

 少なくともあたしには絶対に無理だ。


「いまさら道明寺の元にもどるくらいだったら、そもそも全部なげうって花沢類のところから

黙って消えようなんて考えないわよ。」

それでも花沢類は少し下をむいたまま、傷ついた様子であたしに問いかける。

「俺のこと、好き?」

なんて恥ずかしいことを聞くんだろうと思ったけど、花沢類の悄然としたさまをみるとなんだか

自分が極悪人のような気がしてきて、思わずどもりながらも答えてしまった。

「う・・・す、好きに決まってるじゃないっ」

その瞬間。

ニコ〜っと満面の笑みを浮かべる花沢類。

こ・・・この男!絶対わざとだ!


 あまりのことに絶句しているあたしをよそに、花沢類はソファーに座ったあたしから離れて、

じゅうたんの上に片膝をついて座った。

そして左手をそっとにぎって言った言葉は。

「ねえ牧野。俺と結婚して。」

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 こうしてあたしの不倫劇(?)は終わった。

 それは10年にもわたるあたしの逃亡生活にやっと決着がついた瞬間でもある。

 
ちなみに花沢類のプロポーズは保留中。
 
 それが彼にはかなりの不満みたいだけど、いくらなんでもあまりにも急すぎる展開に一般人の

あたしはついていけない。

 ミズキさんは無事、幼馴染とアメリカに渡り一緒に暮らしてるらしい。

 花沢類いわく、彼は今、奥様に浮気されて逃げられたかわいそうな男ということになっているので、

周りも腫れ物を触るようなかんじなんだそうだ。

「だから、今なら俺が牧野と結婚するって言っても、誰も反対しないよ。

まあそもそも、そんなことがなくったって誰にも文句を言わせないようにちゃんと地盤は固めていたけど。」

 今日もまぶしい花沢類の笑顔。

 最近、気のせいか花沢類のお尻から黒い尻尾が出てる気がする。

 あたしのカレシ様ながら、ぜったいに敵には回したくないタイプだわ・・・・。

 それでもにっこり微笑む彼の顔をみるとすべてがどうでもよくなってしまうのも事実で。
 
 「花沢つくし」 になる日はそう遠くないのかも・・・。



 FIN

1-19. The Last Show 【2】

 たった二人っきりでだだっぴろいスイートルームに取り残されてしまった。

 なんとなく毒気を抜かれてしまったけれど、あたしたちの間に問題があることには変わりない。

 そんなことを神妙に考えていたら、突然、花沢類がとんでもないことを言い出した。

「俺、離婚したから。」

「・・・げっ!?」

 あまりに突拍子もなかったので、思わず妙な声を出してしまったじゃない!

・・・離婚・・?

 だって、奥様のお腹の中には・・・。

「そっそんな無責任なこと、許されるわけないでしょ!奥様のお腹に赤ちゃんいるの知らないの!?」

「知ってる。でも、俺の子じゃないから。」

「はぁ!?」

 こんどこそ、完璧に頭の中が真っ白になる。

 灰になったように呆然としたあたしの肩を支えてソファーに座らせた後、花沢類はしっかりとあたしを

抱きしめながら、もつれきって一般人には理解不能な彼の結婚話について説明してくれたのだった・・・。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 花沢類の奥さん、ミヅキさんは昔ながらの名家出身というわけではなく、数年前からお父さんの代で

IT技術を急成長を遂げたお家のお嬢様だった。

 ゆくゆくは彼女の5つ年上のお兄さんが跡を継ぐことになっているらしい。

 ミヅキさんは小さい頃から兄弟のように育った幼馴染みのことが大好きで、彼が経済的に

独立したら結婚するつもりでいたそう。

 その幼馴染みはごくごく普通の家の男性だったのだけど、とても優秀で優しい人だったから、

お父さんもそれを認めていたみたい。

 ところが、そのお父さんが急に倒れて会社が危機に見舞われてしまう。

 お兄さんもいろいろがんばったみたいだけれど、いかんせん経験不足で一時はほんとうに大変だったらしい。

 そこで花沢家との縁談が持ちあがったというわけ。

 ミヅキさんは花沢家にとって、数あるお見合い相手のひとつにすぎなかったみたいだけど、

ちょうどIT分野の強化を考えていた花沢物産にとって何かと都合がよかった。

 なにより、ぜったいに結婚しようとしなかった花沢類本人がミヅキさんに会った後、

快く結婚を了解したことが最大の決め手になったみたい。

 なぜ彼がミヅキさんと結婚を決めたか聞いたあたしは、思わず耳を疑った。

 花沢類が嫌々顔を出したお見合いの席上で、ミヅキさんはきっぱり『私には心に決めた人が

いるので、あなたと結婚できません。』と言い切ったらしい。

 それがお互いの結婚の決め手にだったのだというから、お金持ちってわかんない・・・。

1-18. The Last Show 【1】

SPの人がドアを開けると、そこに現れたのは花沢類だった。

なんで・・・だって、今頃まだブラジルにいるはずじゃ・・・。

びっくりしたあたしは、道明寺の手がまだあたしの顔を包んでいることすら忘れていた。

なんだかひどく怖い顔をした花沢類がずんずんこっちに向かってきて、ぐいっとあたしの腕を

つかんでソファーから立ち上がらせる。

「牧野、何してるのさ!二度と離れないでって言ったよね!?」

こ・・・この人は!

何を言ってるのだろう!?

自分には奥さんと子供がいるくせに!

「ほっといてよ!花沢類の卑怯者!もうあたしに関わらないで!」

「俺の話も聞かずに逃げようとするなんて、牧野の悪い癖だよ!」

 あたしも怒っているけど、なぜか珍しくあたし以上に怒っている花沢類。

 どう考えても理不尽なんじゃ・・・そう思ってまさにキレかけたその瞬間。

「取り込み中悪いけどな。」

 と、えらく冷静な声が割って入った。

 声の主は道明寺。

「俺は突然の牧野の失踪をとめるために、アメリカから今朝わざわざ帰ってきて、

このままとんぼ帰りでまたNYにもどらなきゃいけねーんだわ。」

「ありがとう、司。ほんとは俺が帰れればよかったんだけど、どうがんばってもこれが精一杯だったから。

道明寺財閥の自家用ジェットまで借りちゃったし。」

「じぇ・・・ジェット機借りたって・・・・!?」

 はぁ・・・!?という巨大クエッションマークに気づいたのか、花沢類がえらく怖い顔であたしに言った。

「しかたないでしょ!?司からあんたが、また逃げ出そうとしてるからって聞いて、

あわてて仕事を終わらせて日本に一刻も早く帰ろうと思ったけど、ちょうどいい便がなかったんだから。」

 そ・・・そういう問題なの・・・!?

 というよりも、もう何がなんだか・・・。

「あきらめろ、牧野。類がここまで無茶するのはおまえのことだけだ。ちゃんと話し合え。

でもまあ、俺もお前に会えてよかったぜ。」

 そういいながら、道明寺はぽんっとあたしの頭に軽く手をのせて、SPの人たちを引き

連れて出て行った。

 ちょっと〜、こんな状態で取り残されてどうしろというの!?

 あたしが荷物のように抱えられて連れ込まれたのは空港の向かいにある、ホテルの一室だった。

 当然のごとく最高級ランクの部屋。

「ちょっとどういうつもり!?何するのよ道明寺!!」

 ソファーの上に下ろされるなり叫んだあたしに、道明寺が肩をコキコキいわせながら、

妙に迫力のある声で言い返す。

「どういうつもりってのは、こっちのセリフだろーが。おまえ、性懲りもなくまた逃げるつもりだったな。」

 図星をさされて、思わずぐっと詰まってしまう。

 さっきまで花沢類のことで深く落ち込んでいたけれど、あまりのめちゃくちゃな展開に理性が

壊れちゃったみたいだ。

「あ・・あんたに何がわかるのよ!だいたい、あんたこそ突然現れて!あたしのこと忘れちゃってたん

じゃないの!?もうわけがわかんない!!」

「まあ水でも飲んで落ち着け。牧野。」

 妙に大人な態度の道明寺になんとなく自分が恥ずかしくなって、おとなしく差し出された水を飲む。

 改めて目の前の道明寺をみると、高校生の頃のぎらぎらした獣じみた光は消えていて、静かな力強さを

もつ大人の男になっていた。

 なんかすごくカッコ良くなってる・・・。

 あたしはこんな場面にもかかわらず、道明寺に見入ってしまった。

 そんなあたしに気づいていたのか、彼は口元にうっすらと柔らかな笑みをうかべ、あたしの横に座った。

「まあ、こんな風に逃げ癖ついちまったのも、半分以上俺のせいだしな。悪かったと思ってる、牧野。」

 突然そんな風に言われても、逆にとまどってしまう。

「・・・あれは仕方ないよ。あんたが悪いわけじゃないし、誰にもどうにもできなかったことだと思う。

それに、道明寺が記憶をなくしてなくても、多かれ少なかれあのままじゃ上手くいかなかったと思うの。」

 そう、それは9年たったからこそわかる真実。

 あの頃のあたしたちは、好きだという情熱だけでそれを実らせるだけの知恵も力も何も持っていなかった。

 たしかに情熱はとても大切なものだけど、やっぱりそれだけでは駄目なのだと社会に出てみて初めて

わかることもある。

「・・・いつからあたしのことを思い出していたの?」

いろいろ聞きたいことはあったけれど、やっぱり一番気になるのはそこだった。

「なんだろうな、アメリカに帰ってからしばらくしてフラッシュバックみたいに時折画像が甦って、

徐々にその回数が頻繁になっていった。完全に思い出したのはお前が日本を出てから2年後あたりだ。

 それからお前のことを調べたけど、ババアが類たちでさえ行方を捜せないようにカムフラージュして

いたから、見つけるのに時間がかかって。

結局、お前のところにいったのは、3年たったぐらいだったと思う。」

 道明寺、あたしに会いに来てたの・・・!?

 横に座る道明寺はほろ苦い笑みを浮かべていた。

「お前を何としてでも連れて帰るつもりだったけどな・・・・。遠目で見たお前はほんとに一生懸命で、

なんか必死で生きてるって感じで。俺なんかが邪魔して引っ掻き回しちゃいけない感じがした。

それに・・・男、いただろ?」

 確かにそのとき、あたしはめちゃくちゃ好きというわけではなかったけれど、支えになってくれた

優しい男性と付き合い始めた頃だったと思う。

「まあショックはショックだったけどな・・・。でも俺もニューヨークで働いてみて、

気持ちだけじゃどうにもならないことがあるってこともわかってきた頃だったし、何よりお前が

必死で築いてきた場所をぶっ壊して自分の都合を押し付けることはできないと思った。」

 道明寺の瞳はどこか寂しげな光を浮かべて、遠くを見ているようだった。

 それから彼はこっそりあたしのことを遠くで見守っていてくれたらしい。

「・・・じゃあ、もしかして。京都のホテルの話もあんたが・・!?」

「誤解するなよ。俺はあのホテルでいいコンシェルジェを探してるっていう噂を聞いたから、

お前の話が耳に入るようにしただけだ。別に俺が推薦したとか、そういうことじゃない。

もっと自分に自信を持て、牧野。」

 少しイラっとしたように強い眼であたしを見据える道明寺。

 そんなこと言われても、自信なんて持てない。

 花沢類に裏切られたと思うだけで、立っているのもやっとの気がする。

 裏切られたもなにも、最初からわかりきっていたはずのことなのに。

「だいたい、お前、俺がお前の勤めてたホテルにコネがあったからぎりぎりで脱出阻止できたものの、

次はどこに行くつもりだったんだよ。いい加減に逃亡癖は治せ。」

 ひょっとして、道明寺はあたしと花沢類のことを知ってる・・・!?

 青ざめたあたしの顔を見て、道明寺はあたしの両頬に手を当てて自分のほうに向かせ、まっすぐ

瞳の奥を覗き込んでくる。

「牧野。逃げるなよ。何があっても、どんな結果になっても、ちゃんと向き合え。」

 道明寺・・・。

 そのとき、けたたましく部屋のブザーが鳴る。

 道明寺がニヤリと笑って、「意外と早かったな」とつぶやいた。

 フランクフルト行きの飛行機はあと3時間で飛び立つ。

 あたしは今日、ぎりぎりまでホテルで働き、お世話になった人にだけ挨拶して、ひっそりと

仕事を辞めた。

 自分でもまさかこんなに早く日本を離れることになるとは思わなかった・・・。

 スーツケースを手に、飛行機のチェックインカウンターに向かう。

 ポケットにはパスポートと片道チケットと・・・バラのペンダント。

 最後の最後まで床に置きっぱなしにしていたそれだけど、どうしてもそのまま残していくことが

できなかった。

 それが唯一、あたしの持つ花沢類との思い出の品だったから。



 荷物検査を受けるため、スーツケースをエックス線の機械に乗せようとした瞬間、

「牧野!」という男らしい声とともに、腕をぐいっとつかまれる。

あまりにもびっくりして、声も出ないまま振り向くと・・・なぜか目の前に道明寺がいた。


「ど・・・どうみょうじ・・・?」

 一気に混乱が押し寄せる。

 そのまま固まっているあたしたちはあまりにも怪しくて、空港のスタッフの人が不審そうに

あたしたちを見ている。

 すると道明寺がどこで身に着けたのか、文句のつけようのない紳士的な様子で言い放った。

「すいません。こいつ、うちの身内で家出娘なんです。いい年して、お恥ずかしいんですが。」

「ち・・・ちょっと、何が家出娘よ!あたしのことはほっといて!」

 あとで思えばあたしのその様子こそまさに家出娘そのままに見えたことだろう。

「ほんとにどうしようもない金持ちのわがまま娘で。うちにつれて帰りますので。」

 思わずじたばたするあたしを、軽々抱え上げ、道明寺はすたすたと歩き出した。

 あたしのスーツケースを持ったSPの皆さんを引き連れて。

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