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遅くなったけれど類、お誕生日おめでとう!(しかしいまだに話は総つく。しかも季節は12月・・・)

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☆あとがき☆

 うちのブログでの類の扱いがあんまりでは・・・てなことで、はじめたこのお話。

 テーマは大きな事件もなく淡々とした日常で、類を幸せに・・・だったのですが、

いやぁ、準備不足&忙しさもあって、実はなかなか手こずりました(汗)。

 最初は、コメディ路線で・・・とおもってたのですが、どうもそうなりきれず、

中途半端なテンションでちょっと後悔。


 でも、あったかい南の島でストレス解消したい〜という願望をこめて選んだ

舞台設定の中で、書きながらいろいろ想像できて、個人的には楽しかったです。

 次回作についてはまだ白紙状態・・・
 
 今回の反省もこめて、ある程度きっちり書き上げてからアップしたいので、

しばしお休みいたします。


 お付き合いいただき、ありがとうございました。

 じゃみ
 

 正直、俺は牧野とのことは心のどこかであきらめていたんだ。

 あの日までは。


 旅行に出かける前の俺たちの関係はとてもあいまいなもので。

 牧野が俺に対して、ある種の好意を抱いているのは感じていたけど、それが俺の

求めるものか確信が持てなくて、そのうえ、まだ彼女の中に司の影が息づいている

ような気がして、俺は身動きがとれない状態でいた。

 もちろんそれは、下手に動いて、牧野と俺のあの居心地のいい関係が失われてしまう

ことを恐れた俺の言い訳でもあるわけだけど。


 でも俺のおせっかいな親友はそれを許してくれなかった。

 あきららしくない強引なやり方で『牧野を預かってるから、飛行場に来い』って、

どっかの三文芝居みたいなセリフで呼び出されて、どこかに連行されることになって。

 それでもまだ、気楽に外国でのんびりするのもいいかな・・・ぐらいの気楽な

気持ちでいた俺。

 でも、散々大騒ぎした挙句、30分後には熟睡していた世にも平和そうな牧野の寝顔や、

バリの緑の中で気持ちよさそうに思いっきり深呼吸をしている彼女を見ているうちに、

やっぱり、俺には彼女以上に好きになれる女なんて現れっこないって、そう思った。

 牧野を他のどんな男にも渡したくないっていう強い気持ち。

 それは、幼なじみたちに『三年寝太郎』なんて揶揄され続けた俺が、生まれて初めて

自分の意思で他人の人生に入り込んでいこうと決めた瞬間でもあったんだ。



 牧野に詐欺師なみの論法で無理やりに『恋人』として過ごすことを了解させて。

 場の力もあったんだと思うけど、自分の中のそれまで押さえつけていた本能を少しだけ

解放して、ことあるごとに彼女に触れて。

 少しずつ彼女との距離をつめていく。

 それはとても刺激的で、幸せで、甘い苦しみを俺にもたらした。

 毎夜俺のとなりで眠る牧野。

 その健やかな寝息と、やわらかいからだを真近に感じて、正直、眠ることなんて

できっこなく。

 窓の隙間から漏れる月明かりで照らされる彼女の顔を眺めながら、戯れに唇に

触れたりして、気を紛らわせたりしていた。



 だから。

 その反動で昼間、むさぼるように眠っていた俺の態度を誤解した牧野が、部屋の隅に

置かれていた置物に話しかけているのを聞いたとき、俺の理性は完全に吹っ飛んだ。

 どんな言い逃れも黙殺して、衝動のままに彼女を抱いて。

 それでも彼女を放すことができずに、牧野が気を失うまで何度も何度も愛して。

 二人でおかしいほどに乱れて。

 そうする中で、もう絶対に彼女と離れないと心に誓った。



 それ以来、俺は牧野に関して遠慮するって事をやめた。

 あきらに時々白い目でみられようと、総二郎に呆れ顔でため息つかれようと、関係ない。

 だって、俺と牧野が幸せなら、それで十分だから。


 牧野が時々、俺に向かって言う。

「もう、類ったら本当にわがままなんだから。」

 きっと心の中では、もっとキツイ形容詞が飛び交っているんだろうって思わせる

顔をして。

 たしかにその言動には牧野を独り占めしたいっていう子供じみた欲求も混じってない

とは言わないけど。

 でも、こうでもしなきゃいろいろ考えすぎちゃう牧野がまた変な方向に思考を持って

いきかねないから。

 彼女が嫌がらない程度の無茶を言って、牧野の中を俺でいっぱいにする。

 その間に彼女と一生ともに歩んでいけるように少しずつ地盤固めをしていることは・・・



まだ内緒。


                 ☆おわり☆

「類〜、だから、また今度ね。これからバイトなんだって!」

 もしもし。

 そんな大声で名前を呼ぶから、全員お前ら見てるぞ。

 「ふーん。牧野はこんなに必死な俺のお願いより、バイトのほうが大事なんだ。

もしかしたら、あんたがバイトに行っている間に、横断歩道をわたってる俺が

信号無視した車に轢かれてしんじゃうかもしれないのに。」

 おいおい、なんだよ、それ。

 大体、お前、車通学じゃん。

「またそんなこと言う・・・。生活かかってるし、アルバイトとはいえいい加減なこと

できないよ。」

 そう思うなら、さっさと立ち去れ、牧野。

 おまえら、注目の的だぞ。

「だから、俺が送り迎えしてあげるっていってるじゃん。」

「い・や・だ。そんなことしたら、目立ってしょうがないもん。バイト先、居ずらく

なっちゃうよ。」



 いい加減、二人の会話を聞いてるのが馬鹿らしくなった俺は、そのままその場を離れた。

 総二郎の言うところの、『マーキング』はこんな風にわりと頻繁にキャンパス内で

繰り広げられている。

 牧野のほうはそのもたらす影響に気づいちゃいないようだが、果たして類のほうは

どうなのか・・・。

 お互い名前を呼び合って、こんな会話を繰り返しているから、ウチの大学で二人が

付き合っているのを知らない奴はきっといない。

 俺たちはもうすぐ卒業するし、類は自分がいなくなった後、牧野にちょっかい出す

奴の芽を摘んどきたいんだろう。

 俺にしてみれば、そんなに神経質にならなくても、そうそう牧野に興味を持つ男が

現れるとも思えないんだが。

 でも、そこは意外性の女、牧野つくし。

 司以外にも、むかし代議士の息子とかに気に入られてたもんな・・・。

 一般ウケはしないけど、ある種の自信過剰な男には気に入られる要素があるのかも

しれない。

 まあ、でも。

 もちろんこうなってうれしくないわけじゃない。

 なんたって、きっかけを作ったのは俺だし?
 



  牧野と類が俺の企画したバリ島旅行から帰ってきたあの日、大丈夫とは思って

いたけど、一応、空港まで出迎えに行った。

 俺だって馬鹿じゃないから、絶対に二人が収まるところに収まるだろうと確信を

もったからこそ決行した計画だったけど、万が一・・・っていう心配もあったわけで。

 なんといっても類は、静を一筋に追っかけた後、牧野以外の女には興味をまったく

示さなかった変人。

 それに対する牧野は、筋金入りの鈍感女。

 プライドにかけて、出歯亀みたいなマネはしたくなかったから、坂本には緊急時以外

連絡する必要はないと伝えていた。

 だから現地の二人の様子を知るすべもなく、1週間後もあいかわらず二人が

幼稚園児なみのお友達だったらどうしよう・・・と一抹の不安を持っていたわけで。

 だけど、タラップに降り立った二人を見たときに、そんなことは杞憂だったと

即座に判明する。

 昔、なにかの雑誌で霊能力者を名乗る奴が、肉体関係のある男女の体はピンクのリボン

みたいな光で結ばれてるからすぐわかる・・・なんてコラムに書いてあるのを読んで、

苦笑した覚えがあったけど。

 目の前に立つ二人は、俺にそういう能力があったら、間違いなく超特大の蛍光ピンク

リボンが見えたに違いないだろうっていうぐらいの雰囲気だった。

 照れ隠しなのかほんとに怒ってるのか、牧野には「美作さん、ありえないよ!」と

俺の顔を見るなりどなられたけど、

「でもおかげで類とナカヨクなれたんだろ?」

ってニヤニヤしながら言ってやると、顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。

 いや、お前ってほんとにわかりやすくて、面白いよ、牧野。




 いつの間にか類のことを『花沢類』と呼ばなくなった牧野。

 どうせ類が強制的に名前を呼ばせるようにしたんだろうけど。

 肝心の類がいつまでたっても牧野のことを名前で呼ばないのがちょっと不思議で、

ある日、あまり深い意味もなく聞いてみた。

 それに対する類の答えは。

「だって、『牧野』って呼べるのは、今だけだしね?」

 そんな風に意味ありげに笑った類。

 お前って、俺の想像以上にいろいろ考えて画策してそうだよな・・・・。

 それを見るのが怖いような、楽しみなような・・・俺はいま、そんな複雑な胸中で、

二人を見守っている。

美作さんの計画した、誘拐以外のなにものでもないバリ島滞在をきっかけにはじまった

「恋人」関係は、今現在も続行中。

 あたしの彼の呼び方も、いつの間にか『花沢類』から『類』に変わっている。


 そんな付き合いの中で、あたしはひそかに彼に「暴君」というあだ名をつけている。

 だってねぇ、ほんとに強引なの。

 それも力づくでどうこう・・・っていうんじゃなくて、泣き落としとか、妙に艶っぽい

表情であたしをどぎまぎさせるとか、すねてみせるとか、無垢な笑顔でお願いするとか、

聞こえないふりするとか・・・。

 かつて『あたしの一部』と言っていただけあって、その飴とムチの使い分けと

タイミングは絶妙で、彼に逆らえたためしがない。

 知り合ったばっかりの頃は、ほんとに周囲に無関心でふわふわと別世界を生きている

人だと思っていたのに。

 類ってこんなに策略家だった・・・? ってあっけにとられるくらい。

 おかげで何度バイトに遅刻しそうになったり、大学の授業を休みそうになった

ことか・・・。




 いつか桜子にそんな風に愚痴ったら、

 『そうですか?私にはじゃれあってる風にしか見えませんけどね。バカップルそのもの

じゃないですか』

 と嫌そうな顔をされてしまった。

 まあ、たしかに。

 そうやって類に困らされたりするのって、ちょっとうれしかったりする。

 それに、さすがにあたしのことをよく知ってるだけあって、本当に嫌なことをされた

ことはないし。

 そんな意味のことを言ったら、冷たい視線とともに

 『ごちそうさまです』

 と桜子は言いおいて、すたすたとどこかに立ち去っていってしまったっけ・・・。



 そんなあたしたちだけど。

 やっぱり、ときどき脳裏によぎるのは、どうしようもないあたしと類の立場の

違いと、道明寺との無残に終わった恋の記憶。

 常にどこかでこの関係が終わると・・・そんな覚悟があたしの意識の奥底にあることは

否定できない。

 そんなあたしの考えなんて、類はもちろん気づいているようで。



 一度だけ、こわくなるくらいに真剣に、

 『ぜったいに手放すつもりはないから。だから、牧野もあきらめないで』

 と、まっすぐに目を見つめられて言われた。


 その言葉を無邪気に信じるには、あたしは大人になりすぎていて。

 でも、いろんなことが揺らぎそうになるとき、その言葉とあの南国での夢の日々を

思い返して、折れそうになる気持ちを立て直している。



 ねえ、類。

 あたしはあの国で、あなたの情熱に触れて、あたしがどんなにあなたのことが好きか、

はじめて気づいたんだよ。

 願わくば、また遠い未来に。

 あの凶暴なまでの緑に包まれた世界を。
 
 二人で訪れたいと。


 それが密やかなあたしの望みなの。

7-14. 7th Day

 「・・の・・・まきの、起きないの・・・?」

 体の上に温かくて心地よい重みを感じながら、あたしは聞きなれた優しい声で眠りから

呼び戻された。

 「う・・・ん。いま、なん・・・!ぎゃっ!!」

 目の前にある花沢類のドアップに一瞬にして目が覚める。

 当の本人は、腕で支えるようにしてあたしの体を囲いこむように覆いかぶさっていた

けど、あたしのリアクションに枕の横をたたきながら爆笑してる。


 「やっぱり牧野、サイコー。あんたといると飽きないね。」

 人の上に乗っかるようにして笑いこけてる花沢類は、すっかりシャツを着ていて

あたしだけが昨日のままの裸で、もう、ただ赤面して黙るしかなかった。

 「そろそろ起きたほうがいいよ。8時にロビーっていってたでしょ?」

 涙をうかべながら笑う花沢類に言われて、はっとわれに返る。

 確か今日は帰国の日・・・!

 「何時!?」

 「七時ちょっとすぎ。」

 「ええっ!ど・・・どうするの!?」

 今からシャワーを浴びて、帰り支度をしないといけないのに、1時間もないなんて!

 しかも、美作さんがマニアックなまでにリゾートライフを満喫するための服や

グッズをそろえてくれたおかげで、荷物は大量にある。

 まさか眠ってる間に、花沢類が荷物まとめてくれたとか・・・?

 自分でもありえないと思いつつ、恐る恐る聞いてみる。

 「・・・ひょっとして、パッキング、してくれてる・・・?」

 すると花沢類が世にも不思議なことを聞かれたとばかりに、首を横に振った。

 ああ・・・。

 わかってはいたけど、その反応はどうなのよ。

 「どーするの、あの大量の荷物・・・!」


 「そんなこと気にしてたんだ。牧野、ほんとに貧乏性だね。」

 そういいながらまた笑い始めた花沢類。

 目の前の男はまったく役に立たないと判断し、寝起きの頭で必死にタイムスケージュールを

組み立てる。
 
 どう考えても、時間が足りない。

 しかもよくわかんないリラクゼーショングッズやら、ビーチパラソルやら、いろいろ

持ち込まれていて、それらをどうやって持って帰っていいのかもすら見当がつかない。

 だから金持ちのやることなんて嫌なのよ・・・!

 半ばパニックにおちいりつつ、とりあえずベットから飛び出そうとしたあたしを

やんわりと花沢類が押しとどめる。

 「せっかく旅行の最後の日なのに。あいかわらず色気ないよね牧野。」

 花沢類は不満そうな顔をしてるけど。

 荷物をつめて、身支度して・・・なんて考えてると、そんな悠長なことをしてる

暇なんてないわよ。

 「だって荷物が・・・!」

 「あれは後から運んでもらうから大丈夫。それよりも。」

 そういうなり、花沢類があたしの両頬を包むようにして、彼の方を向かせた。

 必然的にビー玉の瞳を直視することになり、そのあまりに澄んだ光に固まってしまう。

 「日本に帰ってからも、恋人同士だよね?」

 「・・・はい・・?」

 とっさに話の展開に頭がついていかなくて、間抜けな返事をしてしまう。

 だけど。

 花沢類の満面の笑み。

 「よかった。大切にするよ、牧野。」

 そうしてぎゅっと抱きしめられたけど。

 「ち・・・ちょっと待って!誰も了解なんてしてないわよ!」

 「だめだよ、牧野。さっき『はい』って言ったじゃん。ま、ここにいる間、あんなに

仲良かったんだから、当然だけどね。」

 「それとこれとは・・・!」

 花沢類の腕から逃れようとばたばたあがいていると、ふたたび彼に顔を覗き込まれた。

 「それとも、あれは嘘?」

 哀しそうな表情をされて、一瞬くちごもってしまう。

 「もしも牧野が付き合わないって言うんなら・・・うんっていうまで、ここでの

滞在日数延ばすからね。」

 「はいぃ・・・!?」

 打って変わってわがまま坊ちゃん丸出しの、まるで暴君みたいな言いざまにあっけに

とられる。

 「牧野が俺の彼女になるって言うまで、1ヶ月でも半年でもここに居座るから。」

 「そんな無茶な!だいたい、あたし、学校にも行かなきゃ行けないし、

バイトだって・・・!」

 必死に抵抗を試みるも、花沢類はあさっての方向をみて聞く耳持つ様子はない。

 ああ・・・なんだって、お金持ちって・・・・。

 最後には根負けして、あたしは「花沢類の彼女にしてください。」となぜかお願い

していたのだった・・・・

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