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5月下旬、今年も二人の若者、沖縄からアルバイトに来ている伊藤さんと中富良野から来ている今年でアルバイト3年目の名和さんと共に、我が故郷である「増毛」へりんごの花を観に行った。
しかし心なしか少し花に元気がない。
「あれ?今年はどうしたのだろう?」っと思っていると「数日前の季節はずれの低温で花がやられた」と、同級生の仙北さんはしきりにボヤいていた。
自然を相手に仕事をする人の嘆きは痛い程分かる。
話は変わって、アルバイトの子たちを連れて増毛に向かったのは今回で3回目。
増毛は港町で、新鮮な魚介類の豊富な街でもある。
そんな我が故郷に自慢出来るお寿司屋さんはないものかと…、まだそれに出会っていないのが少し寂しい思いがしていた。
そんな事を思っていた矢先、妹の同級生が増毛で寿司屋を始めたとの話しを聞いた。
その同級生は数年前、札幌で寿司職人をしていて、その後厚田(増毛より少し南側にある日本海沿いの街)の浜に、古いニシンの番屋を改装して料理屋をしていたのだという。
そこは「一日何組限定で予約した人しか入れないお店」との事。
そんなフレーズを聞いただけで「一度行ってみたい!」と思ってしまうものだが、なかなか行けずじまいでいた。
その彼が新たに増毛に寿司屋を出した、と言う話しを思いだし、何とか場所を探し当て今回行ってみる事にした。
着いてみると、そこの建物もやはり古い家を改装したような趣のある造りであった。
お店の名前は「すが宗」。
地味な看板に何か引きつけられるものを感じながら引き戸を開けて中に入ってみる。
お店のご主人らしき人にここを訪ねる事になった顛末を伝えてみると、その方がまさに妹の同級生だった。
色々と話しをしてみると、幼い頃は私の家とは少し離れた筋向かいに住んでいたらしく、当時お菓子屋さんをしていた「ぬのや」さんの息子さんとのこと。
懐かしいあの頃の風景が心をよぎる。
早速「生ちらし」を注文。
これが…本当に美味しい!
お寿司というのはどんなにネタが新鮮であってもシャリが良くなければ台無しだが、ここはネタもシャリもピッカピカ!
私が探していた「我が故郷増毛の誇れる寿司屋はまさにここだ!」と。
それから、今私は富良野でジャムを造っていること、富良野では栽培が難しい果樹類は増毛から持ってきている事などの話しをして、その場は別れた。
それから間もなくしたある日、今度は奥さんとご一緒に当ふらのジャム園まではるばる訪ねて来てくれたのである。
その時はほんの少しの間の立ち話だったが、「ジャム売店とアンパンマンショップをゆっくり見せてもらったがとても良いお店ですね」と、言ってくれて帰られた。
そしてその翌々日、なんとご主人より一夜干しのハタハタが届けられた。
このハタハタは今では幻の魚と呼ばれており、富良野ではめったに食べられない。
小さい頃はよく食べていたのに、今ではすっかり珍魚となってしまった。
どうしてこんなにまでしてくれるのかと不思議に思いつつ、早速お礼の電話を入れてみた。
すると、すが宗さんのご主人曰く
「ジャム売店もアンパンマンショップもすばらしかった。行ってみて良かった。自分もこれから夢があってとても参考になりました」と。
そう言ってもらえると私もついつい話しがはずんでしまって、
「ふらのジャム園がここまで来るのに一番大切にしてきた事はまずお客さんに喜んでもらうこという事で、それを第一として指導して下さる長老的な方が私達をとことん仕込んでくれたんだ」との事を話し、電話線を通して話しが大いに盛り上がった。
うす塩仕立ての幻の魚「ハタハタ」の美味しさも格別であったが、夢を持って前向きに生きている人との出会いの喜びはそれ以上であった。
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