ジビエ料理&ハンティングのシェフブログ

ジビエ料理専門店「アレコ・レーノ」のシェフブログ。

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日本の狩猟・・・1

だれにでも最初と言うものがあります。
 
 
初めてのデート、初めてのキス。
ロマンチックでいいですね。
 
 
 
今でこそ珍しくもなんともありませんが、フランス料理のフルコースなんてものを初めて目の前にしたときの日本人の多くは、きっとドキドキと胸打つ感覚を覚えたに違いありません。
 
 
しかしそれは美味なるものを目の前にしたときのグルメの感じるそれとは違い、ずらりと並んだカトラリー(銀食器)をどう使いこなせば良いのかと言う不安から来るものだったことでしょう。
 
たかがナイフやフォークを使いこなすことにかくもドキドキすると言うことは、日本人は人前では恥をかきたくないとする意識がものすごく強いのかも知れません。もしかするとそれを回避するための潜在的な回路がDNAに組み込まれているのかも・・。
 
 
 
海外旅行に於いても日本人はじつに控えめで、言葉が通じないことなど当たり前の外国なのに、何とか相手の言葉に合わせようとしますね。
 
でも結局は出来もしない外国語を前にあたふたオロオロ。反面欧米人の多くは見事なまでに自国の言葉をもって相手国の人に問いかけたりします。
 
 
 
 
私もそれにならってまずは日本語で質問をすることが多いです。
 
おばちゃんこれいくら?
 
 
当然外国のおばちゃんに日本語なんて分かるはずありません。何せ日本語なんてのは世界の中の少数民族に匹敵するほど狭い範囲の言語ですから。
 
日本語どころか日本と言う国そのものを知らない可能性のほうが大でしょうね。
 
現実問題として彼らは日本車に乗っていたって、日本と言う国のことはまったく知らなかったりします。
 
 
 
 
当然のごとく彼らも堂々と自国の言葉をもって返答してくるわけです。
 
 『□▲×※○▼$・・!
 
きっと 『どこの国のおやじだい?  これがいくらかって聞いてんのかい?』 てな調子なのでしょうね。
 
 
が不思議なもので、そんなコトを二三回も繰り返せばいかに言葉など通じなくてもそこそこの買い物は出来てしまうのだから愉快ですね。
 
 
 
恥をかきたくないとする日本人の気質は充分に理解出来ますが、フルコースのカトラリーを使うテーブルマナーが分からないからと言って店側の人間がそれを低くみたりすることはまったくありません。どうしても使いこなせないと判断した場合にはお箸を要求するのも立派な姿勢ですね。
 
今ではそんな人は居ないかも知れませんが、もし使い方が分からない時は堂々と聞けば良いだけの話です。
見栄を張るのも結構なことですが、はっきり言ってそのことのほうがカッコ悪いし、何より疲れちゃいますね。
 
生まれたばかりの時からフルコースで育ったのなら別ですが、エカテリーナだってナポレオンだってそんなバカなコトはありません。何事も最初は分からなくて当然なのですから(笑)。
 
 
 
 
 
先日医療に従事する友人から大物猟がやってみたいので同行してほしいとのオファーが・・。
 
彼はライフル銃を持つ年数には満たないのでスラッグを使います。
 
 
 
が実戦での大物猟はいまだ体験したことがなく、今までは鳥猟が専門。すなわちスラッグ弾の相手はすべて紙の的。今までどれほどの弾丸が射撃場のバックストップに吸い込まれたことか・・(笑)。
 
 
 
しかしいきなり大物猟と言ってもいざレクチャーするとなると、そう簡単に獲物を見られる環境など多くはありません。昼夜も場所も問わずに大物を見られる場所と言えば動物園か北海道の鹿くらいでしょうかね。
 
 
釣りも狩猟もそうですが、獲物を見られないくらいつまらないものはないですね。
やってて飽きちゃいます。
 
 
慣れた者には釣り堀で釣りをするような感覚なのでつまらないのですが、獲物がうじゃうじゃ居る環境と言うのは初心者に何かを伝えるには非常に都合がいいですね。
 
 
そこで時間を割いて北海道へと飛ぶことに。
 
 
 
相変わらず鹿は野良犬のようにそこら中に居ます。
 
いとも簡単に鹿を倒せる環境に友人は目をぱちくり。しかしこんなことも何回か繰り返せば当たり前になっちゃって、狩猟としての奥深さの上では感動はしだいに色あせてゆくことでしょう。
 
イメージ 1
 
彼が持参してきた止血鉗子を使い、どこを切断すると腹腔内に血液が流れ出ないかと言うことを教えます。止血鉗子を使用して内臓をきれいに摘出するには少なくとも鉗子は8本以上必要ですね。
 
でも慣れたハンターはそんな手間ヒマのかかることは絶対にしません。しなくとも素早くきれいに内臓を取り出すことが出来るからです。
 
 
 
私のように営業用に仕留めると言うのなら別ですが、一般的にはそんなに気を遣う作業ポイントではありませんしね。かえってパンパンに膨らんだ膀胱に鉗子を使ったほうが肉質を最良に維持するには効果的かも知れません(笑)。
 
 
 
彼にとっては初めての経験ですが、しかし北海道と本州の大物猟では猟場の環境がまるで違います。このことに慣れてしまっては本州以南での単独大物猟には役に立ちません。立つとすれば獲れた獲物の扱いについてくらいでしょうかね。
 
それほどに北海道の大物猟と本州以南の大物猟では違いがあります(一部の自治体には北海道の環境と極めて似ている地域もありますが・・)。
 
 
 
さて獲ったはいいですが後が大変ですね。一軒の普通の家で、これだけの量のお肉をどうするのでしょう?
どんなことをやったって保管するスペースなんかありませんしね。
 
そのために冷凍庫を一台買い足す?
 
それにしたって美味しい状態を保つにはそれなりの金額の冷凍庫を用意しないと意味がありません。マイナス20度程度の一般家庭用冷凍庫ではちょっとばかり役不足ですね。
 
 
いやそれ以前に平均的な家庭に於いて、次のシーズンまでに鹿一頭分の肉など食べ切れるものなのでしょうか?
 
 
中にはシーズン中に二頭も三頭も獲物を倒す腕の良い人もおりますが、いったいどうやって消費しているのでしょうね?
 
 
 
食べないで捨てたり無駄にするくらいなら、最初から撃たないほうがいいですね。
 
でも撃たないと鹿はどんどん増えて悪さばかりしちゃいます。
 
 
かと言って殺せば殺したで、きちんと後始末をしなければなりませんからこれまた大変な重労働です。
 
そんな重労働の割には 「お父さん、もう獲って来ないでね」 なんて言われちゃうってんですから割に合わないですね。
 
 
 
しかも残骸や死体を山に放置したままにすると法律では逮捕されちゃうってんですから困ったものです。
 
なにせ現代ハンターは食べる目的よりも撃ちたいと言うのが本音ですから、きれいごと言ってないで撃つだけ撃ってそのままでいいなら、鹿はもっと減らせるかも知れませんね。でもそんなことは社会が許しませんね。
 
 
猪やクマは獲ってもそこそこ美味しいですから獲っても一石二鳥と言う感じがします。でも鹿は獲り過ぎると多くのハンターはもてあましているようですね。それほど日本人の口には合わないと言うことなのか、はたまた獲ったはいいけど調理の技術がないだけの話なのか・・。
 
 
手前味噌ですが私の作る鹿肉料理は美味しいと言われるんですけどね。プロだから当たり前っちゃ当たり前ですね。
 
 
 
でも獲物の姿を見るとハンターの人情としては、必要不必要にかかわらず撃ちたいんですよね。
分からないでもないですね。でもはっきり言ってそんな射殺はムダ殺しです。
 
 
がムダ殺しでも増えすぎちゃった地域に於いてはそんな射殺が有益なことでもあるわけです。
 
有益なんだからハンターはムダでもどんどん撃ち殺せばいいのですが、倫理的にどうかと言うとそれはまた別の次元で問題ありでしょうね。
 
 
 
しかし倫理的な問題はあるけど実際問題としては捕獲してくれると行政や農家としては助かるわけで・・。
 
がハンターとしてはそれならせめて残滓を山の中に置いても問題ないとか、ハンター敵視の一般通報などは止めてほしいと思う部分もあるわけです。とは言え現実はそのあたりのバランスがまことに悪いと言いますか・・。まったくもって困ったものです。
 
 
 
かくして北海道の鹿は増えに増え、今や札幌の人口に次ぐ第二の道民となっているってんですから北海道第二の都市、旭川市民も真っ青ですね(笑)。
 
 
岩手や栃木や長野など、他の府県でも同様な増加傾向は見られますが、果たして駆除と称して動物だけを殺し続ければ良いのか?と言うと、いささか身勝手すぎて疑問も残ります。
 
 
有害鳥獣駆除なる間引き行政の実質的な効果にも大いに疑問がありますしね。また単に感情的な気分だけで愛護論を唱える社会風潮にもモヤっとしたものを感じます。
 
 
 
 
みんながみんな納得する手立てなんてないことは、北朝鮮の問題を見ても分かる通り。
 
ならばどこかで妥協点を模索しなければならないのですが、国民生活に直接的に関与しない野生生物の問題は、国民そのものがさほどの関心も持ちません。
 
 
 
関心を持つ大きな出来事に発展すれば急速に良い方向に向かうと思われますが、何せ関心が無いのですから政治家も役人も大して力を入れないわけです。
 
 
彼らは国民が注目する事案に関してはじつに見ごとなパフォーマンスをして見せてくれますが、それ以外は本当に大した動きをしない動物らしいですからね。
 
 
 
この崩れたバランスをどうするのかはハンターでもなんでもありません。ハンターのほとんど全部は単に趣味の者なのですから・・。
 
 
が問題はいろいろな部分に絡み過ぎて、簡単に答えを見つけられるような質のものではありませんね。
 
 
 
 
 
次回は有害鳥獣駆除なるそのあたりのジレンマについて触れてみましょうかね。
 
 

閉じる コメント(20)

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今年も猪用の檻に鹿が入りました。
頭を下げて入ってくるのですよね。
大きなオスだったそうです。
そうです、、と言うのは、現物を見ずして、、、他の方に差し上げました。
鹿は、処理に困り、要らない存在です。
その檻はまだそのまま放置で、、、セットできていない。
まだ鹿が残っているそうですが、、、困った物です。
檻の周りには鹿の足跡ばかりになってしまったし。
猪は獲れすぎで、そちらの処理でギブアップです。

2010/11/27(土) 午前 10:05 SUN菜

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捕獲した獲物の処理も上手に出来る輩とそうでない輩。

そのナイフ捌きを見れば銃の扱い(腕の良し悪し)の上手い下手もわかってしまう。
そんなふうに思えてなりませんね。

2010/11/27(土) 午後 2:16 群馬のマタギ

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ボクはまだ初心者の域を脱していませんが、目の色を変えて平常心置き去りでゲームを撃つことに夢中になれたのも2年目まででした。最初から食べることが目的なので、いまだに定数など獲ったこともありません。人一倍面倒臭がり屋のため、特に水鳥の羽毟りを思い浮かべただけでその後の狩猟意欲が激減してしまいます。かといって、撃つだけ撃ってそのままというのもシェフが指摘している通りのことですし、山深い猟場と違って郊外型猟場ですからなお更できませんよね。

確かに、ここが山奥だったとしても、後始末など今のハンターに課せられている条件や規制を考えると、有害鳥獣駆除であってもやる気にはなりません。お役人達は、こういう実態を少しは考えたことあるんでしょうか。ないんですよね、これが現実なんだから。

2010/11/27(土) 午後 6:18 [ おじさん ]

ここ大分でも鹿の爆発的増加で生態系がやばい状態になっています。でも猟師は猪ばかり狙います。猪の方が美味しいから・・・。ハンターも身勝手ならば、有害鳥獣駆除をハンターにのみ任せてしまおうという一般人も身勝手です。結局は行政が鹿の首に賞金を懸けて退治してもらっているのが現状です。
鹿肉の有効利用を考えつつある大分県。撃った獲物を丸ごと買ってもらえるならばもっとハンターも頑張るかもしれませんね。

2010/11/27(土) 午後 11:02 セラヴィ

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こちらでも、ここ5〜6年の間に鹿が爆発的に増えてしまいました。
美味しいんですけどねぇ。

有害鳥獣駆除に関しては、もう少し農業・林業に従事する方の意見を広く開示してほしいですね。

2010/11/28(日) 午前 0:40 [ じゃん ]

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SUN菜さん、日々のご苦労はブログで充分に伝わってきます。

2010/11/28(日) 午前 9:40 あれこしぇふ

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マタギさん、そうなると私はかなり腕の悪い猟師かも(^Θ^)

2010/11/28(日) 午前 9:41 あれこしぇふ

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おじさん、免許での遊びは初心者もベテランも関係ありませんよ。法的には対等ですから自論をどんどん構築しましょう。

2010/11/28(日) 午前 9:43 あれこしぇふ

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seraviさん、次回はそのあたりにスポットを当てた記事になりそうです(笑)

2010/11/28(日) 午前 9:44 あれこしぇふ

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じゃんさんは野生児だから美味しく感じるんですよ。美味しいのは絶対的に猪です(笑)。

2010/11/28(日) 午前 9:45 あれこしぇふ

クマ問題の記事をアップしたら、この記事が、YahooBlogの似た記事検索で表示されました。
記帳な経験談を、写真つきで有難うございます。
また、是非、載せてくださいね。

2010/11/28(日) 午後 4:17 みぃにゃん

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日本では色々な問題が起きているのですね。こちらではやはり猟に国自体が日本より力を入れているようで、国が変な事などやらかしたら間違いなく猟師のストライキが始まるでしょう(笑)ちなみにこちらの猟の権限は市長さんがきっちり仕事しているようです。

2010/11/29(月) 午前 6:34 masyashi034

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眠り猫のみいにゃんさん、クマの個体管理については都市部と現地での温度差が極めて大きく、共存してゆくには双方がクマの危険性や食性などについてもっともっと勉強しなければなりませんね。

2010/11/29(月) 午前 7:22 あれこしぇふ

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Masyashiシェフ、フランス人が日本の狩猟行政を知ったらいろいろな意味できっと呆れてしまうと思います。

2010/11/29(月) 午前 7:26 あれこしぇふ

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腕のよいハンターですね。ネックショットかヘッドショットでないときれいに内臓が取り出せませんね。
猟場で、止血鉗子を使って内臓を取出している所に出くわしたら引いてしまいそうです(笑)。

一週間も野生獣の肉料理が続いたら「もう獲ってくるな」と切実に言われます。( ̄▽ ̄;)

2010/11/29(月) 午後 7:41 [ やじお ]

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やじおさん、鉗子はほとんどシャレの世界のお話ですよね(笑)。

2010/11/30(火) 午後 4:14 あれこしぇふ

お返事有難うございます。
あたしも、殺処分絶対反対と言うか、ゼロ主義は取りません。

あたしは、クマに付いては、まだまだ、勉強しなければなりませんね。
あたしには専門外なのですが・・・母校では主流の水産なので・・・そこから、参考事例を無理やり引用します。
☆太平洋マグロの、厳しい漁獲制限が、変則的手段を取らずに、業界と、公共の、話し合いの中で決めることが出来たのが、まずはうれしくて。
☆大西洋のマグロ漁獲規制が、利害駆け引きの中で、ただ妥協だけの数字に成ったことを、悲しいと思う。
マグロが、捕鯨禁猟の様な極論へ行かなかった事が、とてもうれしいのです。

熊も、ニホンオオカミの二の舞を踏まないように注意しながら、何とかしたいです。

トキや、コウノトリどころか、鹿より難しいかも知れませんけどねm(__)m

2010/12/4(土) 午前 6:48 みぃにゃん

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眠り猫のみいにゃんさん、私は基本的に趣味の狩猟によるクマの捕獲には疑問を持っています。それほどに棲息頭数が少ないからです。しかし一方でクマによる人身被害が出ていることも大きな問題ですね。

であるならばクマが人里に出なくて済むような根本的対策が求められます。しかしそれには森林管理と言う極めて経費のかかる難しい問題が・・。この問題については後々ブログで書いてみたいと思います。

2010/12/5(日) 午前 8:24 あれこしぇふ

恐れ入ります。
たしかに、善意だけに頼っては、不十分でしょう。
続きの記事にも期待いたします。
m(__)m

2010/12/12(日) 午前 3:50 みぃにゃん

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みぃにゃんさん、この記事はシリーズ5でもう完結しているんですよ(^^)v。

2010/12/12(日) 午前 8:08 あれこしぇふ

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