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アメリカの歴史教科書を検討するその(3)
 
Lies には、第二次世界大戦の章はないので、比較はできない。そこで、Review Liberty を比較してみる。確かに、Review は、アメリカ人の常識的な知識を記載している。しかし、第二次大戦を賛美する言葉もない。それに対して、Liberty では、より突っ込んだ解説が行われているが、かなり大きな問題を含んである。ひとつは、著者の米国の動きに対する見解である。著者は、一方では、連合軍の民間人殺戮、原爆の使用、日系人の収容に対して米国的な正義の観念から批判的な見解を示しているが、他方では、この戦争は『良い戦争{Good War}』であったとしていることである。このことは、著者が戦争は全体としては正義の戦争であったが、ある細部においては、過失を犯したと考えていることを示していると思われる。
 
では、この戦争の米国にとっての大義名分はなんであったろうか。この章は「四つの自由のための戦い:第二次世界大戦〈Fighting for the Four Freedoms: World War II〉」と名づけられ、この戦争は、ルーズベルト大統領がモットーとする四つの自由を推進し、それに反対する独裁的国家を制裁したとしている。四つの自由とは、言論の自由、宗教の自由、不足からの自由(freedom from want)、そして危惧からの自由(freedom from fear)である。この解釈はあまりにも観念的で、現実的ではない。このように行政制度の相違で、戦争を開始するのであれば、米国は絶え間なく戦争をしていなければならない。アメリカは、第二次世界戦争中にもその後にも、多くの独裁者を擁する国々を支援してきた。中華民国の蒋介石からして独裁者であった。ソ連のスターリンも同じであった。イランのシャーもそうであるし、韓国でも独裁政権が長く続いた。民主主義とか言論の自由とかは、サダム・フセインなどの独裁者を軍事力によって、倒す時の口実にはなるが、冷戦の時代には、アメリカは多くの独裁者を擁護してきたのである。独裁国家には戦いを挑まなくてはならないとするこの著者の解釈は、あまりにも単純な歴史の解釈で、もっと大学生が納得できるような解釈が必要である。ちなみに、この書物の第二次世界大戦の章には、戦争に関するソ連とかコミンテルンの動きがまったく記載されていない。また米国が中国を支援した理由も明らかにされていない。この点に関して、大幅な改善が望まれる。
 
次に、Journey の第二次世界大戦の章を見てみよう。まず、この章は第一次世界大戦の後始末としてのベルサイユ条約が東ヨーロッパに零細な国をかなり作り、そのために不安定になり、またドイツ人は国が戦争で負けたのではなくて、騙されたとの印象を持つことになったとし、日本とイタリアはその条約で正当な地位を与えられなくて、不満であったと述べている。そして、その後の経済的な不況が右翼的な領土欲を持った独裁政治を醸造することになったとしている。そして、日本は第一次大戦後の扱いで正当な待遇を受けなかったので、それらの決定をするに当たって主要な役割を果たした米、英、仏などをアジアから追放し、日本が指令を出し、アジアの人がそれに従う形での「大東亜共栄圏」を作るべきだとし、中国の一部に満州国をつくり、1937年には中国に侵攻したとしている。その頃、米国の国民の多くは中立を維持し、他の大陸の戦争には参加しないことを望んでいたが、ルーズベルト大統領は国民を説得して、米国が戦争に参加する準備を進めた。1940年には、国家防衛諮問委員会(National Defense Advisory Commission)などを設立し、陸軍の勢力を二百万人に増強する、軍用機を1万9千機製造すること、海軍の艦船を150艘増やすことなどを議会に承諾させた。また1940年には、米国は、大西洋艦隊と太平洋艦隊と別個に設定して、太平洋における海軍力を強化した。1941年の初頭には、ルーズベルト大統領の提言を呑んで、議会は武器貸与法〈Lend-Lease Act〉を承認したことなどが述べられている。そして、直接の戦争の原因としては、日本の武力による侵略を防御するために米国が日本への鋼鉄、鉄鉱石、アルミなどの輸出を制限し、日本の1941年7月の仏領インドシナ占領後に、米国内の日本の資産を凍結し、石油製品の輸出を差し止めた。これらの米国の行為に対して、日本の支配者は、日本にはまだ石油の備蓄があるにも拘わらず、米国に対して戦争をすることを決めたと書いてある。
 
まったく理不尽な教科書である。米国民が参戦に反対であったこと、ルーズベルトが国民に軍備の必要性を説き、軍備強化を進めたことなどは、まともな記述である。しかし、「日本が支配する大東亜共栄圏を作るから、欧米はそこから出て行け」と日本が主張したとか、「米国は、日本が仏領インドシナを占領したから日本に必要な原材料の絶対的禁輸を行う」などは、事実の記載としても誤謬が多いし、因果関係の説明としても間違いである。大東亜共栄圏という言葉が日本政府によって最初に使われたのは1940年であり、すでに満州国は設立されていて、日中戦争が始まって3年経過していたし、ルーズベルトの戦争準備がたけなわであった時期である。すでに緊張状態が作られていた時期であり、戦争の原因であるとするのは適切でない。1943年の大東亜会議での宣言にあるように、大東亜共栄圏内の国々は、相互に独立を尊重し、民族の伝統を尊重し、人種差別を撤廃し、協力して経済の発展と政治的安定を図る共同体として構想されていたのである。アジア諸国を植民地化した罪悪を隠蔽するために、日本が欧米諸国を追放することを侵略として非難しているのである。日本が戦っていたのは中国の国民党の軍隊であって、米英仏などにアジアから撤退することを要望や強制したことは無い。石油の日本への輸出を禁止したので、日本は他の供給源を求めたのである。インドシナの件に関しては、日本軍の進出はVichy仏政府の許可を得た上での進出で、占領ではない。そして、この動きは、米英の蒋介石政権に対する軍事的な援助物資・機材の搬入を阻止するためのもので、自衛を目的としていた軍事行動であった。さらに、日本軍の仏印進駐が、米国が国威をかけてもそれに抵抗しなければならなかった理由が示されていない。すなわち、ある国が、米国に好まない行動を取れば、いつでも、どの国に対しても、このような強硬な措置を取るかといえば、答えは、NO である。従って、教科書は、どうして、この場合、米国はそのような極めて強硬な措置を取ったかの説明が必要である。然るに、この教科書は、その説明をしていない。Liberty の場合と同様に、太平洋戦争勃発の説明が極めて貧弱である。
 
この教科書は、アメリカの戦時体制において国民が一致団結して戦勝のために協力したことを誇らしく書いている。白人(祖先の出身国にかかわらず)も黒人も、男も女も、武器の生産に励み、科学を進歩させ、徴兵制度に協力し、消費を節約し、勝利のために努力したとしている(pp.788-793)。(この記述は、日本の場合にも適合するのであるが、日本の教科書には、明記されていないであろう)西海岸の日系アメリカ人や日本人、約11万人が収容所に入れられたことは、書いてあるが、その行為に対する反省的な記述は、単に一行、「政府は広い意味での倫理的義務を感じて1988年に当時生存していた6万人に対して補償金を与えた」と書いてあるだけである。
 
結論として
この検討は直接にはアメリカ原住民と第二次世界大戦の項目に限られているが、上記にアメリカの歴史教科書を検討してみた。全体として、それらは、アメリカ人に誇りを与え、国家の使命に貢献し、そのために積極的に協力することを促進することを目指しているものと考えられる。しかしながら、その目的は、限られた人々に対してしか有効でないと思われる。白人に対してはおそらく有効であろう。主に、白人の観点から書かれているからである。しかし、その他の民族はそれほど感激しないであろう。ここには詳述しなかったが、アフリカ系アメリカ人には、今までの歴史書はまったく欠陥品とされていたであろうし、最近のものは、かなり改善されているが、それでもアフリカ系アメリカ人の扱いを不備とするであろう。中南米系のアメリカ人にとっても同じ思いであろう。アメリカが欧州に対して中立を保ってきたときにも、米州内の小国に対しては、U.S.A.は積極的にその内政に介入し、しばしば、軍隊を派遣して、彼らの国家の方針に関与してきたのであるから。日系米人の場合には、連邦政府の謝罪は明示してあるが、ルーズベルトの行政命令に対する批判が十分でないとするかもしれない。しかも、これらのマイノリティーたちが近くマジョリティーになるにつけ、不満の程度は激化するであろう。勿論、原住民にとっては、極めて不愉快な教科書である。
 
しかし、ある程度自分の歴史の欠陥を隠しつつ、国家の理念と目的を明確に述べ、国民に誇りと勇気を与えることは、歴史教育の役割としては、理解できることである。その意味では、ReviewLiberty Journey も及第点を与えられてしかるべきである。ただし、Liesで述べられているような明確な欠陥を補正してゆくことが長期的には求められよう。
 
上に見たように、すべての教科書において、第二次世界大戦のうち、太平洋戦争の勃発の原因の記述が貧弱である。そして、Liberty Journey では、かなり異なるのである。この事実は、アメリカ歴史学者の苦悩を示しているのかもしれない。
 
以上

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公民権運動・こうみんけんうんどう・American Civil Rights Movement・
とは

「アメリカ黒人の」公民権「獲得」運動

「 」内を隠蔽していますね。

2011/10/6(木) 午後 5:13 tatsuya11147

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たつやさん

確かにそうです。あまり誇らしくないことは、隠したがりますね。

目良

2011/10/7(金) 午前 11:54 [ Kintaro ]


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