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黄文雄・呉善花・石平
『帰化日本人』 李白社、2008、278頁
著者紹介:
黄文雄(こう・ぶんゆう)1938年、台湾、高雄県に生まる。1964年来日。拓殖大学客員教授。「日中戦争は侵略ではなかった」など、著書多数。
呉善花(お ・そんふぁ)1956年、韓国斉州島に生まれる。拓殖大学教授。「攘夷の韓国、開国の日本」など著書多数。
石 平(せき・へい)1962年、中国四川省成都に生まれる。北京大学哲学部卒業。神戸大学文化学博士。「中国人だから見える日中の宿命」など、著書多数。
概要:
この本は、それぞれ台湾、韓国、中国から来日して、帰化した3人が鼎談をして作られた図書である。話題は、章名によれば、マスコミ、教育、道徳、食事、風習、夢 に亘り、それぞれについて、以前の祖国における状況の紹介と日本との比較、日本の現状とその問題点と望ましい方向などについて語られている。全体を流れる雰囲気は、彼らがすべて日本に帰化したことから推測できるように、日本の文化や社会は長所が多く、それらの長所は長く保存されるべきである。ただ、日本においても改善されるべきものがあるが、全体として、日本社会は、世界のモデルとして、世界の多くの国に学ばれる必要があるという主張が、明白には、述べられていないが、読み取られる。
第一章 マスコミ
台湾では、マスコミとは、人を騙すものと一般に考えられている。また以前は、国民党の政府を代弁するものとも考えられていた。1949年以降に国民党政府によって行われた言論弾圧は激烈であった。そこで、マスコミは、政府を礼賛するようになった。今では、言論の自由があるが、マスコミへの不信感は強い。
韓国では、対外的な問題では、挙国一致になる。反対意見を言うと、売国奴として非難される。
中国では、マスコミは共産党の宣伝の道具である。党の公式見解を発表する場である。メディアは、価値観を作るものである。たとえば、中国のメディアは、世界の人々はみんな苦しい生活をしている、日本人は食うや食わずの生活をしている。日本では軍国主義がすでに復活している、日本民族はいかに再び中国を侵略しようかと狙っているというような虚像を作り上げる。
台湾では、一般に人は、マスコミの政治報道を信じないが、台湾のマスメディアの80パーセントは中国資本である。それで、中国よりの報道をしている。
中国の「人民日報」は、嘘の報道が多い。大体10年経つと、嘘がばれる。
日本のマスコミは、自虐的で、反日を歓迎している。まだ、敗戦後遺症から脱却していない。特に、「朝日新聞」は、中国に関しては意図的に中国に潜在している諸問題を避けて、中国の良い面をクローズアップして、大きく報道する。NHKも同様。
黄の注目発言(p。50)
「中国には日本のマスメディアに対する、管理、監督、現場指揮の機構や人員が有ります。日本のマスメディアに対しては、二十四時間体制で、専門家がそれぞれのマスメディアを監督しているんです。気に食わない番組が出たら、直ぐに乗り込んで行って、こいう報道をしてはいけないと現場で指導し、公開謝罪をさせるか、裏の方でこういうことはしないと約束させると言うことをやっています。」
そのために、メディアは自己規制をしている。
韓国における言論の制約:日本統治時代を評価する言論は、親日的なものを書くと社会的に抹殺される。
中国では、ジャーナリストを金で買える。「人民日報」の3分の一は、お金を取って乗せる記事である。
第二章 教育
韓国では、反共教育と共に反日教育を受けた。日本帝国主義は、わが民族に対していかに酷いことをしたかを徹底的に頭に叩き込まれた。
中国では、毎朝、授業が始まる前に、全員規律して、毛沢東の肖像画に三回礼をします。「毛沢東語録」を覚えさせられた。当時の中国は、貧しかったので、配給制があった。米、野菜、肉、醤油などである。それを、我々は、毛沢東の温情でいただけるのであるから、感謝しなさいと教えられた。
台湾では、日本に併合した時には、教育の普及率は0.06パーセントであったが、終戦時には、70パーセントであった。
中国では、毛沢東が目指したのは、愚民政策でした。彼は、近代的な知識に対する不信感が強かった。したがって、文字すら読めない無知な農民が一番偉いと考えた。
韓国における漢字の使用禁止は、言語の貧弱化を招いている。
台湾では、中国の歴史を教えて、台湾の歴史を教えない。
韓国では、強固な民族主義を背景とする歴史教育をしているので、国連人種差別撤廃委員会から「人種差別につながる危険性がある」として注意された。小学校の教科書には、民族文化の優秀性を強調するために他民族をけなす記述が多い。特に、日本は文化的に劣等だと一貫して記述されている。中国を宗主国としていたことは記述されていない。モンゴルの支配下に置かれたことも教えていない。日本統治時代の歴史は捏造と改竄によって、日本は暴力的に支配・収奪する悪政の限りを尽くしたとされている。しかし、最近「韓国近現代史」が発行され、それは珍しくも客観的に記述されている。
中国と韓国が滅茶苦茶な歴史観で日本をたたく時代がちょっと変わってきた。
日本の戦後教育への苦言:伝統文化、伝統的な価値観を否定するような教育はやめるべきである。国家否定の教育もやめるべきだ。恩師を尊敬する感情は大事である。旧制高校のエリート教育の再生も検討すべきである。日本人は日本という立場に立って世界を見る必要がある。
平和幻想を教えるのではなくて、現実に平和を生み出すには、何をすべきかを教えるべきである。今のままでは、無力な国民、国際社会の困難に実際的な対応ができない民族になる。
第三章 道徳
道徳教育については、いろいろと問題点がある。道徳教育をするよりも、伝統文化を教えるべき。中国と韓国では、儒教道徳を重視した。日本は違う。日本は、神道の根底にある清らかな心を土台とした伝統文化を教えて行くのが良い。
第四章 食事 (省略)
第五章 風習
「魏志倭人伝」にすでに日本人は非常に静かである、そして盗まないと記述されている。中国や朝鮮半島では泥棒や強盗が多かった。
台湾の美風は、一所懸命にやることです。
韓国の美風は、『孝』を尽くすこと。そして、国民は、国家に尽くすこと。
中国は家族中心の社会で、親戚がお互いにたすけます。共産主義以降の中国では、祖先崇拝は完全に破壊されました。今の中国では、社会をまとめるのは、権力とお金しかない。中国の人々は、心のよりどころが無くなった。
韓国では、自由競争社会の流れの中で、伝統生活の簡素化・合理化が進んできた。伝統行事は金がかかるので、そちらを抑え、個人の消費へと進んでいる。葬式の時に、一周忌の法要も同時に済ませ、喪の期間が3年から1年に短縮された。このような動きの中で、人々が心のよりどころを失ってきている。そして、家族が崩壊し、凶悪犯罪が増え、自殺が増加し、精神病が増えてきている。
絶対的な神の無い東洋では、このような社会の変化にどう対応するかが、深刻な問題である。
しかし、日本の場合には、まだ伝統文化が生きている。地域社会が残っている。どこへ行っても必ずお寺や神社がある。お祭りがある。さらに、日本には天皇がある。
日本の文化や風習の中で、残しておきたいものは、冠婚葬祭、祭り、墓参り、花見、禊払い、靖国神社、除夜と初詣、茶道、華道、神棚、仏壇、神道、禅仏教。
第六章 夢
今の日本には Youth Be Ambitious がない。
天下国家の夢が無い。まだ、敗戦後遺症を患っている。自立した国民国家としての体をなさない状態にまで落ち込んでいる。(石)日本を取り巻く国際状況から言えば、特に中国の覇権主義の膨張をみれば、このままでは、やっていけません。このままやっていたら、日本は後30年で確実に滅びると考えます。必要なことは、国家の利益に基本的に立脚した外交を積極的に展開することです。
(呉)日本の役割は、国内的にも国際的にも、精神的な豊かさを作り出していくこと、精神を豊かにしてくれる夢を生み出していくことです。東洋の文化の伝統は、精神的な豊かさ、精神の自由を探求していくところに有ります。そういう東洋の文化的な伝統は、日本の中に最もよく生き残っていて、しかも、独自に発達してきた。日本は今、東洋の精神的な豊かさの伝統を、物質的な豊かさの上に生かしていく、時代に入っていると思う。
読後感:
近隣三国からの帰化人の発言には、大いに同意する部分がある。彼らの日本の理解程度は、しっかりしたもので、それぞれの元の国の理解も信頼できると思う。さらに、日本への危機感も共有できるものである。
この著書を読んで特に記憶に残るのは、「敗戦後遺症」と「日本文化」という言葉です。この新しい日本人三人が、共通に、今の日本人は「敗戦後遺症」に罹っていると診断しています。それなのに、日本に生まれ育ってきた人たちは、自分の症状が分からない状態にあります。南カリフォルニアに住んでいる我々も、日本の人たちはこの症状にかかっていると思っています。まさに、日本の常識は、世界の非常識です。いかにすれば、日本人を正気に戻すことができるでしょうか。
「尖閣諸島が中国に奪取されそうである」ことくらいでは、足りないようです。
次に、「日本文化」について。日本文化の優れた面は、東日本大震災の時にも世界中に報道されました。生死の境界にありながら、周囲の人を気遣い、狂気のように食料を争って奪取しないことなどです。お祭りも天皇制も結構ですが、こうした人々の行動に中に、日本文化の優れた面があると思います。しかし、この優れた「日本文化」が「敗戦後遺症」と化合してしまうと、なんとも出口の無い病に取り付かれてしまうことになるのかもしれません。現在の状況は、この従順な「日本文化」をわきまえた人々が、「敗戦後遺症」に罹り、従順であり、謙譲の美徳があり、他人(他国)を慮るために、自分に救いがなくなっている状況です。
残念ながら、この優れた「日本文化」は、「敗戦後遺症」を永らえさせているのです。
別の意味で注目すべきことは、黄氏が第一章で述べている、中国の日本のメディアに対する直接の干渉である。彼はかなりの自信を持って、直接の干渉があっていることを知っていると述べている。独立国として日本政府は、このような事実を確認して、そのような干渉が事実であれば、断固として中国に抗議をすると共に、関係者を処罰すべきである。そのための法整備が不十分であれば、法を新たに整備してでも、対処すべきである。それが、日本の自主独立のための第一歩である。
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私も同感です。3人の帰化人の方々に感謝します。日本は戦後、右は傀儡と左は内政干渉によって分断本来の日本人の姿を見失っています。日本人同士でちまちま非難し合うよりも、世界史的にかつ政治的に本当の姿を見極めて本来の日本を取り戻すよう一般人が目覚めるときがやっときたのだと考えています。先に学び進んだ人から多くの誤った方向に洗脳されてきた日本人に伝え変えていく必要があると思います。
2013/3/10(日) 午前 3:10 [ はなこ ]