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音楽を聴く
ワタクシの音楽体験に基づき,主として音楽を聴くということを中心として,思いつくままに述べてみたいと思います。
音楽を聴くといっても,音楽の演奏行為がなければ,それを聴くことができないのは,いうまでもありませんが,もしこの世に音楽というものがなかったら,私たちの社会はどういう社会となっていただろうか,と思うのですが,それを想像することは,簡単ではないように思います。
確かに,この世に音楽がなくても,人は生きていけるのでしょう。食べ物などの衣食住や空気などの自然環境があればですが,このため,人間にとって音楽は,生きていく上でのプライオリティは,比較的高いものとはいえないのだろうと思います。
しかし,今日,老若男女,誰しもが何らかの音楽を聴き,生活に取り入れている現実があります。
こういう事態となっているのは,歴史的にみれば,ごく最近で,とりわけ戦後を通じて,大量生産時代を迎えたことが,そのときの過去からして,一番の広がりとなったように思います。
それは現在まで継承され,ありとあらゆる音楽が巷に溢れ,何でもアリという様相を呈しております。
したがって,音楽は今日,人々の生活に欠かせないものとなっているわけですが,このような状況は,時代を遡れば遡るほど,考えられなかったものと思います。
歴史的には,音楽はそれぞれの国や地域において人びとのいるところ全てに生まれたものと思いますが,最初は人の声を中心に発生したわけでしょう。
これが社会の発展とともに,人の声のみならず,楽器や記譜というものが新たに出てくるようになったわけですが,人の声や楽器による演奏から生まれた音楽を記録する楽譜というものも音楽の発展に大きく寄与したものと思われます。
とりわけ,近年の西洋地域において,音楽の大きな発展があったことは,歴史的にみて,誰しもそれを否定することはできないものと思います。
そういう西洋音楽のルーツといわれているグレゴリア聖歌は,単旋律というごくシンプルな音楽であったといわれております。
これが時代の推移とともに,その単旋律に尾ひれ(装飾音)を付けたりして,次第に複雑化していったようです。
歴史的には,中世〜ルネッサンス〜バロック〜古典というように,音楽のスタイルの変遷があり,今日に至ってるわけですが,ワタクシたちが学校で習った音楽は,バロック期に調性が確立されたといわれる調性音楽,即ち,ハ長調とかハ短調とかいう音楽であるわけです。
従って,そういう音楽に馴致された耳にとって,ルネッサンス以前及び無調の音楽には,感覚的な違和感,及びそれから生じる嫌悪感があると思われる。
ということは,古典音楽〜ロマン派までの流れにある音楽が一番親しみやすいといえるので,もしも,クラシック音楽でも聴いてみようという向きには,参考にしていただけたらと思う。
また,この時期の音楽の音感を根底とした音楽が,今日,大多数が受け入れているポピュラー音楽だと思う。
とはいえ,一般大衆の誰もがベートーヴェンやメンデルスゾーンといった作曲家の音楽に親しめるかといえば,そうではない現実がある。
同じ音感であるのに,どうしてそういう乖離があるのか,様々な要因があると思われるが,一つには,音楽の複雑さというものがあると思う。
これは音楽に転調とかいうものもあるが,基本的には多くの声部(多声)と複数の旋律の並走(対位法)が伴うからだ。
この構成は,基本的に第二次大戦までの西洋音楽の文脈にある音楽と何ら変わりないと思う。
従って,こういう音楽を聴くには,複眼的な耳が要求される。要するに,聴き手は,音のコーディネーター的対応が必要となってくるわけだが,これは何回も聴き,こういう音楽に慣れることが大切となる。
こうして全ての音が捉えられて聴けるようになると,ポピュラー音楽を聴くのとは全くちがった圧倒的な音楽の感銘度,精神的なエクスタシーのようなものが得られるというわけです。
まあ,比較的聴きやすい古典派とロマン派の音楽を経て,次第に聴き手にとって困難な音楽となっていく傾向がある西洋音楽ですので,それを飛び越えて,後期ロマン派の複雑さを極めたような音楽を最初に聴いては,挫折するかもしれません。
さて,一般的なそのような音感が多くの人にある以上,そういう音感に直ちに対応できないモダン・ジャズ(以後,「ジャズ」と表現)も,別な意味で人気があるとはいえ,マイナーな音楽となってしまっていることは,クラシックと同様,いたしかたないところです。
もう少し平たくいうと,これまで自分が聴いてきた音楽の文脈と異なる音楽だと違和感を抱き,拒否する傾向がでてくるということだと思います。
例えばジャズでは,歌(声)がないとか,奇妙な音のソロ演奏があるとかが,その要因になっているものと思われます。
ジャズも最初は,ソロとバッキングというように,比較的単純な演奏形態に始まり,各奏者が自由で対等に演奏を繰り広げるというインタープレイというスタイルに発展し,おまけにフリー・ジャズなどという聴き手にとっては,聴くに困難な演奏も生じてきたように思います。
それでも,多くのジャズにドラムスがあるので,ロックを聴いてこられた向きにとって,一番違和感のないところで,ジャズを身近に感じられるということがあるのではないかと,推察するのですが,ここにジャズがクラシックよりも人気がある要因の一つだと思うのだけれども,どんなもんでしょうか。
一般にクラシックの場合は,作曲家が交響曲第1番というように作品を書き上げ,それを演奏家が作品を土台にして,自分の感性により演奏するというスタイルをとっていますが,ジャズの場合は,元々作品に相当するものがないので,個々のミュージシャンによる演奏自体が注目される。
このため,ドラムスがカッコイイとかベースがカッコイイというような評価もあるわけです。
クラシックの場合は,ソロ演奏は別として,オケを伴う曲のような場合は,指揮ぶりだとか,オケ全体の音などが関心になり,一般的には,オケの個々の奏者の演奏にカッコよさを求めて聴かれる向きは,少ないと思います。
勿論,オケの個々の奏者の出来具合は,どうでもいいということをいおうとしているわけではありません。
こうしてみると,ジャズとクラシックというのは,同じ音楽でありながら,ずいぶん違うなぁと思います。
とはいえ,ジャズを聴く場合も,各奏者間の連携とか,インスパイアされるものなど,あるわけですから,全体を把握して聴かないことには,楽しみ方の一つの側面を失うことになります。
ジャズは元々作品を演奏する音楽ではないので,クラシックのように,何調とかいうものはありません。
あるとすれば,個々の奏者がある調性でやってたり,無調でやってたりというようなことだと思います。
従って,ジャズは各奏者間の緊張関係により成立している音楽であるともいえます。
勿論,ジャズにはアンサンブルのような演奏もありますが,それはジャズという音楽がもっている本質的なものではないと思います。
ところで,こういう楽器間にある緊張関係の演奏であるジャズに耳慣れた向きは,クラシックの調性音楽よりも,どちらかというと,無調十二音音楽のような各音の緊張関係で成立している音楽と親和性?があるのではないかと思っています。
というのも,ジャズを聴くようになってから,無調の音楽にさほど違和感を抱かなくなったからです。
十二音音楽というと,えらく難しい音楽のように思われると思いますが,ひとたびそういう音楽に慣れてしまえば,そう思っていたことが不思議なくらいになってしまいます。
音楽とは,そういうものではないでしょうか。ジャズもそう,要は慣れることしかありません。慣れるには,慣れるまで聴くしかありません。それができなければ,ジャズやクラシックを楽しむことができません,分かりきったことですが。
まあ,闇雲に聴けばいいというものでもないと思いますが,集中力と根気がいるということではないかと思います。
しかし,聴くということは,たとえそれが分からなくても,聴いたことによる記憶というのが蓄積されますので,全く無駄となることはありません。
それがないと,聴くたびに記憶がリセットされてしまい,それこそ一発勝負となって,ファンの数が心もとなくなってしまうでしょう。
また,この手の音楽が厄介なのは,物質的に捉えられないため,全てを記憶するのが困難であるということもあります。
だから,そこに新たな発見というようなことにもなるわけで,音楽の深さを感じるとともに,アキがこない要因だともいえるわけです。
この点,クラシックの場合は,ある作品を様々な演奏家が演奏することにより,その作品に色々な光が投げかけられ,演奏の違いとともに,作品の深さとかを感じ味わうということがあります。
ジャズの場合は,マイルスやコルトレーンの演奏記録であるレコードやCDなどが作品に相当し,それを各人の再生装置で十人十色の音で聴くという,いわば聴き手が演奏者のような役割を担っているともいえるわけです。
だから,ジャズの場合は,どういう音で聴くか,ということが聴き手の耳の次に重要となってきます。
勿論,クラシックだって,再生音楽であれば,そのてんは同じことだと思いますが,ジャズでは,レコード盤のオリジナルへのこだわりといったものが,それと関係しているのかもしれません。
以上,推敲もせずに思いつくままに書いてみましたが,ブログを十年以上もやってると,同じことをまたいってら,なんてことにもなりかねません。そこが心配でもあり,「ジャズは終わった」じゃありませんが,何も新しいものが出てこないというのが,今のトレンド?と同じかなぁと,自虐史観に陥っております(笑)
まあ,ちょっと,読み直してみましたが,内容はザックリとした話しばかりで,もっと書かなきゃイカンということに気がつきましたが,これをやってるとキリがありませんので,この辺で,お開きとさせていただきます。
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