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このアルバムのジャケットは1970年頃にステレオ芸術やステレオという月刊誌に掲載されていたのを記憶している。
それは当時オーディオとクラシック音楽しか興味がなかったので,これがどんな音楽かまでは関心がなかったけれども,チック・コリアのカモメ(リターン・トゥー・フォー・エバー)の清々しい印象とともに,かなりインパクトのあるデザインだったという印象があった。
まあ,暗雲の立ちこめる中に女性の顔が浮かんでいるジャケットは,一度目にすれば忘れることができないという感じである。
それが三十数年を経た今,これと向き合って聴いているなんていうことは,想像もできないことだ。
期せずして,カモメとマイルスのビッチェズ・ブリューとこれが1969年の録音となっているが,まるで来るべき70年代の新しいジャズの先駆けといっていいアルバムだ。
ジョン・コルトレーンが67年,アルバート・アイラーが70年に没しているが,この時期を境として新しいジャズが台頭してきたというのは偶然というべきか,ベトナム戦争が73年の和平協定を経て75年に終結したが,このような時代背景とも無関係ではないのだろう。
時代が変われば人々の意識や環境など全てのものが変わる。音楽だけ変わらないでいられるということはあり得るのだろうか。
日本でも戦後,人々に生きる勇気や希望を与えるかのように力道山や美空ひばり,升田幸三,若乃花,長嶋茂雄など各界に英雄的人物が続々と現れたのは,偶然といえるだろうか。やはり時代が生んだとしか思えない。
今日のような物質的に豊かで,恵まれた時代には,人々の求めるものが異なり,嘗てのような英雄的存在は必要とされないので,そのような人物は現れないのだと思う。
それでは今日はどういう時代か,時代とは何か,というとてつもなく解の見えにくい設問は興味のあるところですが,このブログの趣旨ではないので,差し控えたいと思う。
さて,アルバム名の1曲目は超新星ということだが,この新しいジャズに相応しい曲目が最初に来ているではないか。
それとこのアルバムは宇宙がテーマともなっているようだ。3曲目以外はショーターの曲で,5曲目のCapricornはやぎ座となっている,また,2曲目は静謐な宇宙の雰囲気を予感させる,6曲目はコルトレーンの惑星空間(67年録音)にあるテーマが一瞬出てくることなどがその理由だが。
この1曲目はショーターのソプラノ・サックスを中心に各楽器が入り乱れて過激な演奏をしていますが,まるで混沌とした中から新星が誕生する様を表現したかのようです。
これは従来的なジャズのスタイルの延長上にある演奏という感じですが,音楽としては新しいし,2曲目以降も新しいスタイル,新しい音楽で,各楽器によるポリフォニックな演奏となっています。
私としては1曲目が気に入りましたが,このポリフォニックな展開をした演奏はとても面白いものです。
因みに3曲目で歌っている女声はジャケットの女性のようですが,歌い終わるところでブワァと感情がでているのが印象的です。
宇宙がテーマとはいってもこの女性の存在は何なんでしょうね。
曲目
1.Super Nova
2.Swee−Pea
3.Dindi
4.Water Babies
5.Capricorn
6.More Than Human
メンバー
Wayne Shorter(ss)
John Mclaughlin(g,classical guiter:3)
Sonny Sharrock(g)
Walter Booker(classical guiter:3)
Miroslav Vitous(b)
Jack Dejonette(ds,african thumb piano)
Chick Corea(ds,vib)
Airto Moreira(per)
Maria Booker(vo:3)
録音 1969年8月29日,9月2日 Blue Note盤
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