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その2)
四天王の剣が抜かれた。
その剣をユージンは真っ直ぐ天に向けて突き上げた。
その先からでた閃光はゴーという音を立てながら、
周りの雲を押し上げて行く。
上昇する雲は輝きを増し、下方からやがてゆっくりと回転をはじめ
昇っていく。
その閃光は山岳地帯を行く法如たちの目にも止まっていた。
「キジ国の方角だ」
法如はすぐにそう思った。
その閃光に沿って雲が上昇していく。。。
彼女が叫んだ。
「見よ!龍門の滝のシェンロンが昇っていく。。。」
一行は歩を止め一斉に西方の空を見た。
「おお、あれは何だ」
「おおー」
驚きの歓声があがった。
風悟空が叫んだ。
「法如様、あれはもしかすると。。。」
「そうだ。その通りだ。キジの国だ。」
「えっ、するとあれは」
「そうだ。わかるか!剣が抜かれたのだ!」
「ユージンがついにあの剣を使う時が来た」
「その時、まさに龍門の滝のごとし。。」
「仏典にはシェンロンと呼ばれた龍だけが龍門の滝を昇って
仏陀のもとに行けるとある。」
「仏陀の予言のとおりだ。」
法如がつぶやきながら、感無量の思いでその空を見た。
やがて閃光は消え、天空に大きな龍の形をした雲が広がった。
「まちがいなく、彼はキジの国から援軍を連れてくる」
法如はそう確信した。
いよいよ彼らの一行も天山の麓近くに差し掛かっていた。
あと2日で、満月の夜迎える。
それは山賊の要塞に花嫁を嫁がせる日。
その花嫁に村で一番美しい娘が犠牲になった。
。。。そうなる筈であった。
ところが、その娘の代わりに法如が変装して花嫁姿でいる。
法如は剣の達人、戦えば大男もかなわない。
しかし、普段の法如は優しく美しい才女、
花嫁姿の彼女はまったく別人の若い娘であった。
ピーターの村で法如が花嫁姿になって見せた時、
誰もが息をのんだ。
それほど彼女の変貌ぶりに驚いた。
最初、村人達も法如が娘の代わりになると聞き
誰も信じようとしなかった。
そんなことをすればすぐに山賊にバレてしまい
結局は後で村全体が彼らに仕返しを受ける。。。
そう主張した村会議の年寄り達は猛烈に反対した。
それに一行は法如を入れてたったの6人。
トム、ピーター、風悟空、海悟空、鉄蔵と法如。
「うまく要塞に入っても何ができるというのだ」
村長がそう言った。
「そうだ。そうだ。」
「お前たちが何かしようものなら、殺されるだけだ」
その他の年寄り達も同じように応えた。
どうみても凶暴な山賊達を相手にできる訳がない。。。
皆がそう思っていた。
しかし、本当に美しい花嫁を献上できるのなら、
それはそれでいいかもしれない。。
ということで、実際に法如に花嫁の衣装を着させてみることになった。
そして、現れた法如の花嫁。。。
村の年寄り達は
「これなら山賊も疑うまい」と息を飲んだ。
「確かに村一番の花嫁に間違いない。」
トムたちもそう思った。
どちらにしても村は救われる。そうであれば彼らのいうように
花嫁と一緒に献上する酒と肴を村中から集めよう。。
村会議はそう決めて、彼らに荷車に詰めぬ程の祝いの品を
積ませた。
トムの白馬「流星」には美しい衣が架けられ、一行はどうみても
花嫁を送り届ける使者の姿になった。
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