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その6)
城内では第三の門が破られキジ軍が広間になだれ込んできた。
甲冑を身につけた山賊達もその頃には50人位が広間に終結し応戦した。
しかし、キジ軍は彼らに切り込み次から次へと切り倒して進んでいった。
荷台に伏せていた法如と中間達も武器をとり山賊達を倒していく。
キジ軍総大将として現れたユージンをみて法如は感極まった。
総大将は村の道場で修業をしていたユージンではない。
生まれ変わった別人のような彼の姿があった。
仲間たちもあっけにとられ圧倒された。
四天王の剣を自由に振り回せるのはもはや別人としか言いようがない。。
「龍門の滝を昇るシェンロンの姿か。。」法如はつぶやいた。
山賊達は総崩れになっていった。。
殺されまいとして裏門から多くの者が逃げていく。
その残党を門の外で待ち受けるキジ軍が容赦なく討ち倒していった。
山賊の首領は屈強の手下を従え、総大将であるユージンめがけて
飛び掛ってきた。
その彼らを見事な剣裁きと力でなぎ倒すと、彼は目にもとまらぬ速さで
首領の首を一刀のもとに跳ね上げた。
瞬間、首は天井まで吹っ飛んで鈍い音を立て床に落ちた。
首領の目はまだ何が起きたか解せず己の胴体をみていた。
生き残っていた山賊兵士は、それを見て皆武器を投げ捨て、その場に座り込んだ。
彼らにもう戦意は消えうせていた。
戦いはほんの1時間余りで終った。
ユージンと仲間達は抱き合ってお互いの無事と大勝利を喜んだ。
親友のトムが、「おまえいつの間に剣が使えるようになったのだ」
と笑いながら聞くと、
「気がつけば抜いていたのだ」とユージンが応えた。
そこへ、風悟空が一人の僧侶を連れてきた。
クマラジバである。
それを悟るとユージンはクマラジバの前に膝まづいて言った。
「ご無事で何よりでございます。明智の息子ユージンでございます。」
「なんと私の恩師のご子息であるか」と言うと、
彼はユージンの肩に両手をかけ彼の顔をまじまじと見入った。
「恩師の面影と同じだ。」
そう言うとクマラジバは大粒の涙をながした。
「お懐かしい。。。」
そう言って深深と頭を垂れた。
場外に出た。
大勝利である。
大将を囲んで円陣ができた。そのまわりに仲間が囲んだ。
台地のすぐ下に待機していた村人達も加わった。
「ウォー」という歓喜と勝利の雄たけびが響きわたった。
仲間の取り囲む中へ、村人と母が駆け寄ってきた。
「母上!」
その姿をみた、大将は馬からおりて彼女を抱きしめた。
「ご無事でよかった」
「なんと。。お前が大将か」
信じられない出来事を彼女は理解できないでいた。
驚きの母は息子をみた。
顔は涙と泥でグシャグシャになっていた。
「父上の剣をお前は使えるのか」
笑顔になったユージンが、
「そうです。母上、気がつけば数日前から使えるようになっていた」
顔立ちも身体も、彼女が最後にみた息子とは思えぬくらい
逞しくなっている。
その様は亡き夫を彷彿とさせる風貌だ。
言い尽くせぬ歓びと感謝の思いが母の心に広がった。
「弟と妹は無事です。キジの国に元気でおりまする」
彼がそういうと、
母は何度もうなずいた。
「さあ家に帰りましょう」息子が母の肩を抱きしめて言った。
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