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ショートショートファンの皆様こんばんわ。
「ママと子供」
トラックは交差点で信号待ちをする。
横断歩道手前にママと3歳くらいの男の子。
ママはしゃがんで赤信号を指差して、子供に何か話している。
「赤は渡っちゃダメなのよ、青になったら渡ってもいいの、分かった?」
聞こえなくても何を言っているのか聞こえて来るようだった。
その後ろ横で初老の女性がそれを見て微笑んでいる。
しかしだ。
男の子は青は進めを理解しているようだけど、青は競争のスタートだと思っているらしい。
青に変わると同時に、ママの手をグイグイ引っ張ってスタートダッシュ!
笑っちゃう運転手に、ゆっくり動き出すトラックと、ゆっくり歩き出す初老の女性。
元気だから良しだね。
「犬と老婆」
トラックは交差点で信号待ちをする。
腰の曲がった老婆が歩道をゆっくり歩いている。
その20メートルくらい先に、街中なのにリード無しの犬。少し太っていて、肉がだぶついている中型犬。
歩道の左右をクンクン匂いを嗅ぎながら犬は進むが、それでも老婆が歩く速さより、犬の方がかなり速い。
すると、犬は後ろを振り返り、飼い主であろう老婆を待つ。5メートルくらいまで近づくと、犬は歩き出し、また20メートルくらい差がつく。
また犬は振り返り老婆を待つ。
それが2回繰り返されたところで、信号が変わり、運転手は小さく笑って、トラックは発進する。
10回くらいか、15回くらいか繰り返すと、家に着くのかな。
「落ちた帽子」
トラックは交差点で信号待ちをする。
交通量の多い環七の大きな交差点。
杖をついた女性が、携帯電話で通話しながら横断歩道を渡っていた。
フワっと風が吹いて、女性の帽子が足元に落ちた。
杖をついて横断歩道を渡る通話中の白髪の女性、落ちた自分の帽子を自分の足で踏んづけてしまったが、落ちた帽子に気が付く事なく歩いている。
そこに緑色の作業着を来た50代くらいの男性が。見えていたはずの角度だけど、その作業着の男性、見て見ぬふりなのか、かかわりたくないのか、白髪の女性と何事もなくすれ違った。
おい!男!なんで教えてやらねーんだよ!と運転手は思いつつ、ここからクラクションを鳴らしても気がついてくれそうに無い距離で、あーーーあいつ、なんて冷たい男なんだあいつはーーーまったくもーーー、なんて思いながら、トラックは発進。
数秒後、右ミラーで横断歩道の方向を見ると・・・・、
あれ!?
ミラーには、遠くて小さくなってしまってはいるが、女性の隣に確かに緑色の服の男性が写っているではないですか!!!
緑色の作業着の男性、戻ってきた。教えてあげなきゃと思い返して戻ってきた。
はーーー、良かった。
ホッとした運転手は前を見てハンドルを握りなおし、トラックは環七を走り続けた。
「チャラいビックスクーター」
トラックは国道を走っていた。大きな橋を渡った。下り坂に差し掛かる。
左前の歩道にたくさんの買い物をした自転車の女性。
60代くらいだろうか、橋の上り坂を自転車で上がってくる女性。
しかし、途中で登れなくなってしまい、ストップしてしまった。ブレーキをかけてはいるようだけど、ヨタヨタと自転車ごと後ろにバックしてしまい、そのまま真後ろへ引っくり返ってしまったではないですか!
「あああーーーーーー!!!」思わず声がでた運転手。
買い物袋から歩道へ転がる品物、女性も肘や腰を地面に打ち付けたに違いない。
転んだ自転車とすれ違うトラック。と同時に、トラックの左に1台のビックスクーター。
カスタムされたど派手なビックスクーター。ステレオからズンドコズンドコ爆音で音楽がうなり、マフラーからはこれまた爆音の排気音。
キラキラメッキの光り物が輝き、ローダウンされた車高に、ガニ股で座る運転手、後ろに茶髪の女性。小さな半キャップから髪がなびいている。
転んでしまった女性を、トラックと同時に見ていたと思えた。
左のミラーを見ると、チャラいビックスクーターは急ブレーキ!転んだ女性を助ける為の急停車だという事はすぐに想像できた。
女性が転んだタイミングと、チャラいビックスクーターが急ブレーキをかけたタイミングからして、チャラいバイクの男性が女性を助けるためにブレーキをかけたと思えた。
それが嬉しかったトラック運転手。
後ろへ転んでしまった女性が怪我をしてしまったとしても、あの2人がいれば大丈夫だろうと思うと、なんか安心した。
安心した運転手を乗せて、トラックは国道をどこまでも走り続けた。
おわり
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聞こえてしまう皆様こんばんわ。
1話
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちください」
岡山県内の中国自動車道のパーキングエリアにて。
14時ころだったか、昼食を食べようと食堂へ入った。食堂は空いていて自分の他に客は2人だけだった。券売機で定食の食券を買い、席で待っていた。
すると、パーキングにマイクロバスが入ってきて、ジャージ姿の学生達がバスから降りてきた。20人くらいだろうか、券売機に行列ができた。あれより先に入っておいて良かったと思った。
1分、2分・・・券売機に行列の学生達、誰もメニューが決まらない。自分の定食が出来て、番号で呼ばれた。
学生達は、1人、また1人と食券を買う。食券を厨房のカウンターへ出す学生。すると、厨房の女性の声で、
「番号でお呼びしますので食券をもったままお席でお待ちください」
この食堂の券売機は、最近増えてきた自動オーダーなのだ。食券を買うと、厨房へ自動で注文が入るので、食券は出さずに、席で待っていれば番号で呼ばれるシステムだ。もちろんその事は券売機に大きく表示してあった。定食を食べながら、また聞こえてくる女性の声。
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちください」 2人目だった。
10秒後、食券をカウンターに出す学生。
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちください」 3人目。
また数秒後、食券をカウンターに・・・
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちくださいね〜」 4人目。
また数秒後、食券をカウンターに・・・
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちください」 5人目。
女性の声は大きく、食堂全体に聞こえている。それを聞いていない学生も学生だが、自動オーダーだと分かった学生も数人いたのに、それを他の生徒に教えようとしないのもなんだかな〜〜〜、と思っていると、
「番号でお呼びしますので食券を持ったままお席でお待ちください」
マジかよ、うそだろ?バカかこいつら?まだ分からんのか。引率の先生はどいつなのかと探したけど分からなかった。さらに数秒後、
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちください」 さらに、
「番号でお呼びしますので食券を持ったままお席でお待ちください」
券売機の前でまだ決められずにいる最後尾の学生数人。何回も何回も聞こえているはずなのだけど、食券を買って、カウンターに出しに行った。
「番号でお呼びしますのでお席でお待ちください」
ほぼ半数の学生が言われ続けた「番号で・・・・・」
見た感じでは大学生のようだった。呆れかえるとはこの事かと思ってしまった。聞こえてないのでなく、聞いてないのだ。券売機の表示は見えているはずなのだけど、読んでいない。飯の事だけで頭いっぱい。
日本の将来を心配したジェミさんなのであった。
2話
「ご注文お決まりでしょうか」
仕事帰り、地元の牛丼チェーン店で牛丼を食べていた。その店舗にはドライブスルーもあり、持ち帰りできるようにもなっていた。
70歳くらいだろうか、女性が1人入ってきた。席には座らなかったので持ち帰りの客のようだった。
それと同時にドライブスルーの車も来ていたようで、店員はドライブスルーの注文を受けようと、厨房内のマイクで、
「ご注文お決まりでしょうか?」
と注文を車の客に聞いた。すると、店内のレジ前にいる女性が、
「えーーーーーっとーーーー、牛丼の並2つとーーーーー・・・」
店員は、車の客に「少々お待ちください」店内の女性にも「少々お待ちください」と。そして車の客に店内のマイクで、
「ご注文お決まりでしょうか?」
すると、店内のレジ前にいる女性がまたもやでかい声で、
「えーーーっと、牛丼2つとーーーー」
店員は困り顔で、車の客に「少々お待ちください」店内の女性にも「少々お待ちください」そして車の客の注文をまた聞く。
「ご注文お決まりでしょうか?」
店内のレジ前の女性はまだ理解出来ていないようで、不思議そうな顔して小さめに「牛丼の並2つ・・・」とか言っていたが、店員はシカト。ウケル!!!まるでリアルアンジャッシュコントを見ているようで、ジェミさん牛丼食べながら笑いをこらえる。
車の客と店員の注文の会話は続き、レジ前の女性は店員がマイクで外と話していると理解したようで、しばらくして店員がレジに来て、
「ご注文どうぞ」
ほっとする女性。なぜか関係ない俺も、牛丼食いながらほっとしてしまったリアルアンジャッシュコントなのであった(笑)
3話
「ふ〜〜〜ふふ〜〜ふ〜〜〜ん」
温泉が大好きで、日帰り温泉によく行く。温泉に入りながら、気持ちよさそうに鼻歌を歌っているおじさんがたまにいる。演歌だったり民謡みたいなのだったり。知っている歌を鼻で歌っている人も多い。
先日入った温泉で、すぐ横に入ってきたおじいさんが小さな声で鼻歌を歌いだした。
「ふ〜〜〜ふふ〜〜ふ〜〜〜ん」
気分良さそうだし、小さい声だったので、近かったけど不快には感じなかった。何を歌っているのかと思って、鼻歌をよく聞いてみた。
「ふ〜〜ふ〜〜ん ふ〜〜〜〜ふふふ〜〜〜ん」
ちゃんとした歌なら、同じフレーズがあるはずだから、有名な歌なら聞き取れると思って聞いていたんだけど・・・・、
「ふふふ〜〜〜ん ふふ〜〜〜んふふ〜〜〜〜ん」
おかしいな〜?同じ部分がなかなかやってこない。3分以上は歌っていただろうか。おじいさんの鼻歌は、初めから最後まで全部バラバラ、なんかの歌とかでなく、即席のその時だけ鼻歌だったのだ。
途中の部分で、あれかな?あっ!今のはあの歌か?なんて記憶をフル回転させていた俺の努力は・・・、
温泉と共に排水口へ流れていったのでありました。
終わり
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「呪いの痛み」
イケメンの純一は32歳。会社員。 付き合って5年になる2つ下の彼女と、3年前からアパートで暮らしている。 ここ数ヶ月、彼女との喧嘩が絶えない。 彼女からの結婚話しが原因だった。 結婚したくない訳ではないが、純一の稼ぎでは食べていけない。 それを何度も話したが、彼女はなんとかなると言うばかりだった。 私の事を愛して無いのね、子供は欲しくないのね、と彼女は泣いた。 純一はいつも冷静だったが、彼女はささいな事でキレるようになっていた。 先日はテーブルをひっくり返し、皿は割れて、床に料理が散乱するありさまだった。 そして昨晩、とうとう彼女は包丁を持ち出し暴言を叫んでいる。 包丁を取り上げようとしたその時、純一の左手に包丁が刺さった。 床に落ちる純一の血を見て彼女は我に返り泣いていた…。 それから彼女は落ち着いている。以前の優しい女性に戻っていた。 近い将来必ず結婚しようと約束した。 治ってはいたが、純一の左手には傷が残ってた。 普段は痛みは無かったが、ある時だけ、左手に痛みを感じた。 彼女が料理をする時だ。 そぉ、彼女が包丁を持った時だけ純一の左手に激痛が走る。 またある時、彼女が掃除をする時だ。 左手から流れた血の場所を掃除する時、純一の左手に激痛が走った。 ある日突然彼女は話し始めた。 「ばれているのよ…」 純一は固まった。 「知らない女から連絡が来たの、純一と別れて欲しいって」 純一は二股をかけていたのだ。 もう1人の女性とも結婚の約束をしていた。 純一の左手には傷があるが、実は右手にも傷があった。 「いててて…」 もう1人の女性が自分のマンションで料理を初めていた。 「あいたたたた…」 さらに、純一の背中にも深い傷跡があった。 さらに別の女性が掃除を始めたようだった。 三股男イケメン純一32歳。 背中の傷は心臓にダメージを与えていた。 「く、苦しい…」 彼女は冷静に救急車を呼び、ぎゅっと包丁を握りしめ、静かに料理を始めた。 「あぁー…いててて…おぉー…助けて…」 純一は入院。 したが…、美人の看護婦さんに声をかけている。 こりない男純一32歳。 呪われている事に気付いてすらいなかった…。 |
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「深夜の猫」
信治の仕事は建築業界。 その日は朝からの仕事が徹夜仕事になってしまった。 夜中の2時。 効率が悪くなかなか仕事は進まない。 グッタリ疲れても腹は減る。 休憩時間にコンビニに行った。 クロワッサンとチーズ蒸しパンと、500のお茶を買う。 コンビニから50メートルほどの場所。 ベンチの上に一匹の薄茶色の猫。 信治が歩きながらクロワッサンを食べていても、その猫は信治を見ずに毛繕いをしている。 猫の前で立ち止まると、二度見のような、チラ見のような、さすがに信治を見上げ、と同時に、 「ニャ〜〜」 と鳴いた。 「チーズパン、食う?」 絶妙な間を置いて、 「ニャ〜〜」 信治はチーズ蒸しパンを少しちぎり与えた。 しかし猫は匂いを嗅いではいるがなかなか食べない。 匂いを嗅いで信治をチラ見。 また匂いを嗅いで信治をチラ見。 「ぷぅっ!」信治はウケタ。 「食べないの?」 しばらく見てると、猫はゆっくりゆっくりパンを食べ始めた。 猫がパンを食べ終わる前に信治はその場から離れた。 50メートルくらい離れたとこから振り返ってベンチの方向を見ると、まだチマチマ食べている。 匂いが微妙だったのだろうか。 腹が減ってなかったのか。 でも信治はなんとなく癒された。なぜか少しだけ疲れがとれた。 そんな、平日深夜2時過ぎの出来事…。 |
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「ピーマン君とトマトちゃん」
ジェミの庭にて。 5月、ピーマン君はトマトちゃんの事が好きでした。 6月、トマトちゃんはまだ緑色。 ピーマン君は告ります! 「トマトちゃん、ずっと前から好きでした。付き合って下さい!」 7月、トマトちゃんの返事。 「ピーマン君、私も前から好きでした…」 トマトちゃんは照れて赤くなってます。 ピーマン君のテンションは最高潮! 「わ!ほんと!ありがとう!!!」 緑色だったピーマン君はテンション上がりすぎで赤ピーマンになってしまいました。 8月、部屋から庭へ出てきたジェミさん。 「あー腹減った、お!トマト熟した」 「あり?赤ピーマンなんか植えたっけ?」 「まいいや、おいしそー、ポキッ!」 ピーマン君は包丁でザクザク… トマトちゃんはその場でパクパク… ピーマン君「トーマートーちゃ〜ん…」 トマトちゃん「ピーマーンく〜ん…」 ジェミさん 「んめーんめー、マジうめ〜、チョー新鮮!」 ピーマン君とトマトちゃんは、ジェミさんの胃袋の中で再会し、見事永遠のゴールインをしたのであった。 めでたしめでたし! |






