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荻窪の渚寿司。今はもうない。 青梅街道と環状八号線が交差する四面道交差点を北にちょっと行ったところにある寿司屋。 ここのお寿司は半端じゃなく美味しかった。 わたくしことオヤジに、煮穴子の美味しさを教えてくれたのも、青柳の美味しさを教えてくれたのもこのお寿司屋だ。 *** 初めてこのお店を訪ねたのは、丁度、今から15年ほど前。 オヤジは三軒茶屋に帰る友人とタクシーに同乗していたが、忘年会で少し小腹が空いたオヤジはここで下車。財布を見るとまだ1万円弱はある。軽くは食べれるだろうと街道沿いのお寿司屋さんへ。 お店は結構混んでいる。カウンターに6〜7席、2人座りの座敷テーブルが2つのこじんまりしたお店。 ちょうどカウンターの真ん中が空いているので、そこに坐る。 坐ってお手拭で手を拭いてショーケースのネタを眺めていると、 「ホイヨーッ」 といっていきなり握りが出てくる。 『まだ何も頼んでないよ…』と思いつつ、握りを見ると実に旨そう…。思わず口に入れる。 「旨い。とろける。」 それからは、ず〜っとおまかせ。 熱燗を頼んで、一通りお任せを食べて、気持ち良くなったところで、お愛想。 ここでようやくお金が足りないのに気が付いた。カードも使えない。 向こうもきょとんとしているし、こっちもきょとん…としている。 最初は自転車を借りてお金を取りにいこうかと思ったが、何となくお店の方がいやがる。仕方がないので、電話をして彼女にお金を届けて貰う。 そんなごたごたが一番最初の出会い。 それからはお財布に余裕があると、荻窪の渚寿司に食べに行った。 *** 梅雨時の一押しはやはり 「羽田沖の煮穴子」。これを網で焼いて出してくれる。 お皿に乗せる頃合いには、もう身はほくほくのぼろぼろ…。 ツメを塗ってくれて口に入れると、ほんの数秒。 穴子の程よい上品な脂とコクのあるツメの味が口の中で合わさるか合わさらないか…というほんの僅かの間に身が口の中で溶ける! それより遡ることかなり前のこと、銀座の江戸銀で 「何か珍しいものを…」 と言ったら、それが親方の勘にちょっと触ったのか、むすっとして 「お刺身で食べてみますか?」 と言われたことがある。 穴子の刺身など食べたこともないので、そこでは戴いたが、それはそれで珍味ではあるものの、「穴子はやはり煮穴子にかぎる…」 と知らしめてくれたのがこの荻窪の渚寿司だった☆ 青柳の美味しさを教えてくれたのもこのお店。 青柳は、普通の魚屋などでも普通に売っている、言わば、サラリーマンのお父さん御用達ともいえる貝だ。 当然、寿司屋で喰らうのは普通の魚屋のものとはネタが違うのだが、ここの渚寿司の親方は、良いネタ以外は仕入れてこない。 親方の方から待っていたとばかり 「今日これがお薦めだよっ」 と言って出してくるときの青柳は、もう絶品。^^ 身は大きく10cmとまではいかないが、7〜8cmくらいはある。 そして、食べてみると身に歯応えがあるだけでなく実に甘い。 親方曰く 「最近はこういう大きい青柳を取る漁師もどんどん減ってるらしいよ。」 とのこと。 そのときに、貝割れ事件の話などもした記憶があるので、オヤジが青柳をこの店で食べたのは、まだそんな昔の話ではない。 後は冬場の鯖や瀬戸内の鯵。 このお店では、お寿司について、本当の味について、本当にいろいろと教わった。 *** 荻窪の渚寿司についていろいろな思い出のある方からのコメントをお待ちしております…。
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こんな行きつけのお店があるなんてさすが料理を目指す方ですね。
おいしいだけお代もお高そうですね。
この間、帝国ホテルのバイキングに行きましたが
ここだけの話、期待はずれでした。
2007/8/26(日) 午後 9:17
happy さん、訪問ありがとうございます ^^
値段はそれなりに取られましたが、銀座の下手な店で取られるよりはずっとリッチな内容でしたよ ^^
サラリーマン生活を続けていて、気が付くと、心に残る出会いは食に纏わるものばかり…というのも目指すきっかけのひとつになってるかも知れません。
以前は仕事でも、皆さんもうちょっとこころに余裕があったように思いますし、義侠心もあったように思いますが、最近は世知辛いっす ^^;
ホテル系などは最近は原価率25%なんて噂もちらほらしてますので、おかしなものは使わないでしょうけど、それなりに素材の質は落としているのではないでしょうか…。
2007/8/26(日) 午後 9:42
渚寿司、懐かしい〜💓
今から30年余り前、新米社会人だった時にびくびくしながら入って、握りを一人前とお酒を頼んだのを思い出します。
持ち家で夫婦だけでやっていたせいか、20代前半の若造でも安心して通える店でした。
青森出身の大将と、寺山修司の競馬エッセイの話から競馬場に行く仲になったのもいい思い出です。
2018/10/8(月) 午後 6:37 [ あっし〜 ]