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大江戸生活事情(石川英輔)という本を持っている。
内容はタイトルそのままで、江戸時代の江戸の暮らしがどういうものだったのかが書かれている。
この本でちょっと興味深いのは「ところが進歩主義の人たちは○○であると否定してくる」とか「ながらく進歩主義の人たちによって○○だと説明されてきた」など、進歩主義な人たちに対する著者のボヤきが頻繁に出てくることである。
おそらく著者が江戸時代のことを調べて発表しはじめた頃(いろいろ推測して八十年代)は、
日本の歴史を語る場が特定のイデオロギーの影響下にあったので、著者の江戸時代の資料(結構残っている)をもとにした真面目な研究結果は、時代を支配する「雰囲気」にのまれて、まともに取り合ってもらえてなかったのだ。
当時の「江戸時代の認識」といえば幕府の圧政で民衆は苦しみ、米はほとんど年貢に持っていかれ、一揆が頻発していたというものだった。
革命以前の封建主義の江戸時代というのは、進歩主義者にとっては「悪い時代」でなければならなかったので、そういうイメージが日本人全体に植え付けられていた。
なので、著者はそういう時代に「江戸時代ってなかなかユートピア」というような事を言っていたので、迫害を受けつづけていたのだと思われる。
そのボヤきが全編にわたって、ちょこちょこと入っている。
幸い、九十年代半ばからそういう空気が薄まり、資料をもとにした真面目な研究結果が正しく評価される時代になって、江戸時代というのはかなり見直されて、何年か前にはちょっとした江戸ブームもあった。
これは健全で正常なことだと思います。
今後はずっと、こうあってほしい。
でも次に政権を握るであろう人たちの顔ぶれや支持母体をみていると非常に不安にならざるをえません。
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私はむしろ江戸時代ユートピアブームに乗っていた口だったのですが、専門家の先生の「江戸はね」の一言で目が覚めました。
2009/8/20(木) 午後 5:28 [ mth ]