晩鶯余録

日々、この一年を最後と思い、大切に平凡に生きたい。

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 劇団俳優座 『樫の木坂四姉妹』 作、堀江安夫  演出、袋 正
 平成26年4月2日(水) 18時30分開演 21時14分終演 (1幕1時間半、15分休憩,、2幕1時間)
 山形市民会館大ホール
 
 
 長崎の原子爆弾被爆者姉妹3人の戦後を描いた重い作品。時代は戦後55年というから13〜4年ほど前の設定。姉妹は70歳代になる。3人の役者が入魂の演技を見せた。役者の力を強く感じるものだった。これぞ芝居か。
 
 緞帳開いていて、舞台前面に黒い紗の中割幕が引いてある。樫の木の巨木が白描で描いてある。この幕の前で演じる部分もある。
 セットは古い日本家屋。間口3間、奥行き3間くらいの部屋(居間)。中央1間の壁。その前にアップライトのピアノ。其の左右が半間ずつ開いていてそこから出入りする。尺高の部屋には手前の庭から直接出入りもできる。壁の上から屋根になり、2間強の高さに棟瓦がある。部屋の上下に廂が1間ずつあるが、上手の方は台所になっていて奥に流し台が見える。そこから勝手口になり、上手の庭(物干し)に出る。台所の前は奥行き2間くらい。
 昭和20年の場面では上手の廂部分が板で閉じられ、その手前が流し台のある台所となる。廂の屋根に上がって演技する部分もある。上手の壁の前に置いてある箪笥が、戦中の場面では古い茶箪笥に換わり、上に真空管式ラジオが載る。現代では古い茶箪笥が上手横壁の前に置かれる。下手横壁(1間)は窓。戦中ではガラスに飛散防止の紙が貼ってある。座敷には戦中には座卓、現代にはテーブルと椅子。下手にソファ。
 背景は黒幕で、その前に屋根を越える高さの巨木の幹が見える。セットの上・下奥には黒い背の高い遠見がある(がほとんど目立たない)。
 
 坂の上の家に住む老姉妹。それを取材するカメラマン。
 
 戦中の一家7人の仲睦まじい様子が描かれる。父母に長男と姉妹4人。下の妹は双子。このうちの1人が被爆直後に亡くなっている。長女しを(若井なおみ)はしっかり者で、兄の後輩と相慕う仲。次女ひかる(小澤英恵)は愛国火の玉少女で東条の信奉者。3女まり(斉藤奈々江)は音楽の才がある。4女ゆめ(森根三和)はぼーっとした感じ。高等女学校生徒である。
 
 一転して現代の3姉妹。次女ひかる(岩崎加根子)と4女(川口敦子)がいがみあい、互いに相手の過去の仕打ちを言いつのり、罵る。長女(中村たつ)は間に入って諫めるが、いかんともしがたい。
 
 京都帝大生から海軍に志願した兄が特攻で亡くなり、残された家族も母と3女が原爆で亡くなり、2女は進駐軍の兵士と一緒に渡米する。父と長女と4女が家を守っていたが父は白血病で亡くなり、長女も乳がんで手術。比較的軽傷であった4女が家事を行ってきた。
 離婚してアメリカから帰国した2女は、横浜などで雇われママになり、体調を崩して長崎の家に戻ったのはずっと後だった。それ以後は実家に居候している。
 原子爆弾によって失われた幸せな家族生活。その後の過酷な運命に姉妹は翻弄される。
 
 後遺症に苦しんでいた長女は復員してきた婚約者と別れる。被爆直後、瀕死の双子の姉を見殺しにせざるを得なかった負い目に苦しむ4女。2女がアメリカで出産した女の子は重度の脳性小児麻痺で千日しか生きられなかった。その後周囲の冷たい目に耐えられずに帰国したが、家族を棄てた身では実家に戻りがたかった。
 
 この姉妹3人(中村たつ、岩崎加根子、川口敦子)の、互いに絡み合う相手への不信とすれ違う思いやり。そして和解。この心情が台詞によって表現されるのだが、実に素晴らしい演技だった。ひさびさに堪能した。 

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