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深夜に

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夏のあとさきもなく滝が落ちる。

滝の水流が私の口元までほとほととおとないて

落ちる。

冷めるものは冷めるだろう。

私の行く手を遮るのは過去ではない。

地虫のような羽を持つ落ちてゆくもの。

音もなく姿もなく落ちてゆくもの。

私の体を冷たい手が抱く。

この手に導かれて

抗いもせず私は姿見の中に姿を隠す。

裏側に果てしもなく流れる落ちる水。

喉元を下る水。

深夜の水道の栓を幽かに締めて

寝床に沈む。

降誕祭の不思議

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ひゅうひゅうとうなる電線に

歳月の涙をひっかけ

贈り物(プレゼント)を待っている貧しき子供ら。

聖誕祭(クリスマス)の晩はひときわ北風がつめたかった。

だが見よ

子供らの頭上にほしぼしはこんなにも輝く。

その中の一つの光

ひときわ目にもしるい星

にわかに北を指す動かぬ星からの光が

大いなる黄金の雨ふるごとく

物みなすべては包まれた。

ようやく目を開いた子供らは

あまたの贈り物(プレゼント)が

そこここにあふれているのを見るだろう。

庭に 道に 屋根の上に雪の上に。

ああこんなにも。

この想い深い不思議はなにか。

たれも理解出来ない。

子供らしか知らない

降誕祭(クリスマス)の晩の不可思議だ。

なめくじ

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なめくじの聞こえない歌声が家の下から聞こえる
なめくじの湿った心がぬるぬるの木屑から立ちのぼる
なめくじがゆっくりと顔をめぐらして食い物を探している
大食いなのだ この楽観論者は

金属質の足跡を残しまるで
歌うことが楽しくて仕方がないように
軟体動物の微笑ましいわき腹をくねらせている
今日も聞こえるよ 排泄物だらけの路地裏の歌姫の歌が

なめくじの銀の道に従い
なめくじに従って喜びの歌を心に呟き
土砂降りの中を行進しよう

なめくじについて行こう この道は見つけやすいから
そして塩を浴びるんだ みるみる縮む安いストライプ
ああ溶ける溶けるとその顔は笑っている

かわうそ

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かわうそは水をくぐる

水は瑠璃色に光り、水音は鈴だ

そう言うかわうそは嘘つきなのだ

かわうその棲家は荒れて、臭気すらただよう



かわうそは魚を獲る

餌はあふれるばかり手当たり次第だ

嘘つきかわうそは得意げだが

魚はほとんどいないし、たまに捕れるものも嫌な味だ



かわうそは虫も鳥もいないことが気にかかる

空の色がみょうに赤いのも気にかかる

嘘をつく相手が減ったことが一番気にかかる



かわうそは水をくぐった

かわうそは魚を獲った

いつもと変わらないと、自分に嘘をついた

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小さい蓑でも欲しそうな猿がいる

バスで山道をたどって行くと

樹木の陰にちらりと見えた

芭蕉なら喜びそうな猿だ



猿は群れから離れたのだ

猿は群れを憎んだのだ

群れには暗黙の了解があるから

暗黙の了解に従わせるから



ボスはその猿を激しく咬んだ

猿は痛みの中で仲間の猿の苦笑いを見た

落ちていた石をつかんでボスの脳天を打った



血まみれでボスは倒れたが

ボスと仲間への憎悪は消えなかった

そんな一匹の猿が時雨の中で動かずにいた

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