歳時記

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五月

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五月





風のバラ

とはわたしの愛した詩人

の五月

をうたう冒頭のことばだ

しかし

肉厚の花びらをかさね

内部へ密度を増す花は

きみに似合っていない

むしろもろい花弁に

あざやかな色彩で

緑に埋もれることをしりぞける

つつじのむれ

思い出すだろう きみ

はなの咲く

都会の中にひろがる公園

風のつつじ

と歌いたい詩人としてのわたし

しかし歌えない

五月をすべて失ったから

四月

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四月





きみは知っていたはずだ

いつまでも続く四月の午後

ぐっすりと眠り込んだきみの額に

ぼくの夢は文字をつづった



きみは知っていたはずだ

森はとうとつに緑の下着をまとって

ふりむくと花はひらいて

どうして春はぼくを不意打ちする?

きみは知っていたはずだ

いじわるもいたずらもあまく霞んで

空は遠近をうしなってしまったのに

きみは本当に知っていたはずだ

ぼくが知らなかったことと

こどものような春の悪意を

三月

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三月





東京の山中に梅花をさがす

そのための前夜祭がおこなわれた



きみは友だちと肴を集めた

ぼくはウィスキーと葡萄酒を用意したが

梅酒のないことを悲しんだ

宴たけなわ

酒と肴の上に

三月の雨がふりそそいだ

花の眠りをさますこの雨をぼくたちは祝福し

詩を吐きながら

サカズキを飛ばした

果ては春雨のくせにぼくたちよりも勢いづいて

深夜の街を酔いどれた



翌朝 東京の山中に梅はかたくななまでに蕾のまま

春をよぶ雨のなごりが靴をよごす

疲れたきみとぼくは岩の上にすわりこむ

きみのはしゃぐ声で気がついた

枯れた林の根元は

福寿草の満開だった

黄色いはなびらは山の斜面を埋めつくし

きみとぼくの足もとを埋めつくしていた

十二月・一月

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十二月・一月




北風にはこばれてくる

除夜の鐘の音

をはじめて聞いたおどろき

きみをせかせて

午前零時十分

外へ出たのだ

深夜の新年を祝うため

遠い振動

からだをつつむ時間

おわりとはじまりの相反する時を

梵鐘は交合させるのか

冷気があたたまる

梵鐘はゆらりと近づく

寺はどこにあるのか

地図をさがしたが

ただ小さなみずうみがあるだけ 

そうだ

凍った湖水に

沈める寺院



朝がくると

まいとしのように

ただに明るく

数時間まえに聞いた鐘の音は

過去になっている

十二月

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(1月から12月まで、一篇づつ十二編書いたものの一篇です。唐突に終わる感じですが、取り合えず、書いたときのままアップします。

ところで、Eメールやこういうブログなどでの文体、未だにどう書いたらいいのか分からない。
悩んでいる方いませんか。ですます調がいいのか、堅苦しくなりすぎないか、なれなれし過ぎないか、しゃべり口調はどの程度にするのか・・・。

なんか慣れないのは、僕がたんに歳を取っているからでしょうか。  
私信と仕事用も違うんですよ。たまに混乱します。

こういう時代の文章読本なんか、どーでしょう?

やっぱりいらないかナ。)



十二月




はじまろうとする

あらゆる終りに贈る

季節たちの語りは終わった

わたしたちは手をはなし

時間のものがたりではなく

空間のものがたりをつくる

これからわたしはここ以外をめざし

ここ以外の土地についてかたりたい

あなたもまた

ここ以外の土地について報告するだろう

思えば、冬至の闇こそ

永くなろうとする朝のはじまり

わたしたちの出発にふさわしいではないか

四季それぞれの風は

じゅうぶんに

わたしたちの血とあらゆる分泌物をかわかしたのだ

ここでおわることばたちは

地誌の

序文となるように

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