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ウクライナ国立歌劇場管弦楽団の第九コンサートの続きです。指揮者のミコラ・ジャジューラという人は、それほど有名ではありませんが、ウクライナ出身、50代後半でこのオーケストラだけでなく、ウクライナ国立フィルハーモニーの首席指揮者もしているそうです。ですから、音楽の国、ウクライナでは、第一人者といえるでしょう。少々地味で個性的ではありませんが、学者のような感じで、安定した指揮ぶりなので、好感が持てました。
最近、NHK FMで、指揮者のトスカニーニの特集をしていました。その中で、指揮者という職業には2種類あるという話がありました。ひとつは、「指揮者というのは、作曲家の考えを伝える人に過ぎないので、楽譜に書いてあることを忠実に再現し、作曲者の意図を聴衆に確実に伝えなければならない」という考えです。一方、指揮者自身の個性を前面に出すタイプもあります。それはつまり、「指揮者というのは、演奏を通して聴衆に訴える芸術家である。したがって、楽譜をベースにはするが、最大限演奏者の個性を引き出して、聴衆に感動を与えなければならない」という考えです。これは演奏家でも同じでしょう。どちらがいいか、しろうとの私にはわかりませんが、モーツァルトやベートーヴェンなどの大作曲家を音楽の最大の功労者として考えている私の個人的な感想としては、やはり演奏家は、作曲者の意図を忠実に再現する仲介人でなければならないと思います。バッハやモーツァルトの曲などで、よくアドリブで色々な装飾音をつけて演奏する人がいますが(バッハやモーツァルト自身がそのような演奏をしましたが)、それが聴衆の感性と合っていればいいのですが、全くあっていないと、かえって耳障りです。
ちょっと脱線しましたが、今回のコンサートの指揮者であるミコラ・ジャジューラという人は、あまり自己顕示欲がなく、ベートーヴェンの意図を忠実に伝える仲介者という意感じで、わたしは好感を持てました。
ところで、このウクライナ国立歌劇場管弦楽団は、今回創立150周年ということで、オペラ公演なども含めてしばらく日本に滞在するそうです。宣伝ではありませんが、ウクライナの優れた芸術水準を知る上でも、ぜひ聴きに行ってもらいたいと思います。
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