jh3givのブログ

アルコール依存症でお困りの方へ
アルコール依存症からの回復と、相互支援グループ(自助グループ)について


 
■はじめに

アルコール依存症の治療の三本柱
・相互支援グループ(自助グループ=セルフヘルプグループ=SHG)
*字数の関係で、以下 「SHG」とだけ書きます。
・専門外来
・抗酒剤や飲酒欲求抑制剤

抗酒剤は、あくまでも補助的なもの「転ばぬ先の杖」 
飲酒欲求抑制剤なども同じ。飲酒欲求抑制剤については、このノートの最後の方をお読み下さい。

ここでは、治療の中心であるSHGについて説明します。

なお、SHGへ出席する事に躊躇されておられる方や素朴な疑問をお持ちの方を対象にまとめました。
 

 
■SHG誕生の物語

●それは、たった二人から始まった
アルコール依存症のSHG 「AA」(Alcoholics Anonymos)が誕生したのは1935年6月10日

<AAの誕生物語>
アメリカのフォール街で力を発揮していた証券アナリスト ビル・ウイルソン は、大恐慌の中で全てを失いまいました。
残ったのは、飲酒でボロボロになった ビル自身と、その妻だけ。
もっともビルの酒害は学生時代から兆候があり、表面化したのが大恐慌の嵐の真っ只中だっただけの事です。

ビルはその後、度重なる入退院、そしてラッキーな出会いを経て酒を切る事ができました。

そんなビルが酒を断って半年位の頃、仕事の都合で田舎町(アクロン)へ行きました。
仕事は上手くいかず、たった一人、週末をその田舎町で過ごさなければならなくなり、ビルはここで強烈な飲酒欲求に襲われました。

その時に彼を救ったのが友人であり主治医でもあった医師のヒント
「君の体験を他のアルコホリックに返したらどうかね」
でした。

彼は、その危機に陥る前にも、所属していた教会で実践を始めていたのですが、「飲むか飲まないか」「生きるか死ぬか」の切羽詰まった瞬間にそれが生かされました。

彼はホテルの電話帳から教会を探し、同じようにアルコールで苦しんでいる人を教えて欲しいと頼み、10軒の連絡先を教えて貰いました。

すがる様な想いで電話をかけましたが、9軒目までは相手にされず、最後の一軒でダメなら飲むと心に決めて電話をかけた相手が、AAのもう一人の創始者、Drボブの知人でした。

*詳しくは下記を

「Alcoholics Anonymos」 
AAが出版している本です。

「現在のエスプリ」 アルコホリックスの物語
 “どん底からの回生への軌跡”  至文堂

ビルは仲間であるボブに体験を語る事によって危機を回避する事ができ、ボブも、ビルの訪問を受けて断酒生活に入る事ができたのです。

ボブが酒を断った日が 1935年6月10日と言われ、それがAAの誕生日です。
詳しくは「ドクター・ボブと、素敵な仲間たち」を参考に。

その後、色々なグループの危機はあったものの、AAは全世界に広がり、着実に回復者が生まれています。
またSHGでの回復者の誕生は、専門医療の誕生の重要なきっかけでもあります。
 
でも、全ての始まりは、たった二人の出会いだった!

*AAの歴史などを詳しく知りたい方にお勧めの本です。
「アルコホーリクス・アノニマス 成年に達する」
「ドクター・ボブと素敵な仲間たち」
どちらも、AAから直接購入を。



<断酒会の誕生物語>
後に断酒会の創始者となる松村春繁氏は、色々な人との出会いもあって飲酒しない期間が続きました。
それでも度々、飲酒欲求に衝き動かされそうになっていました。

そんなある日、主治医の下司先生からAAについての講演会に来ないか、と招待があり、期待に胸を弾ませて出席しました。
しかし話は禁酒同盟の沿革ばかりで「まだAAに触れる気配がない」とトイレに立ちました。
用を足した松村氏は、「禁酒同盟の話は堅過ぎて、面白くない。AAの話も出ないかも知れない」と帰ろうとした時、そこで待っていたのが、講演会に来ていたもう一人の酒害者の妻でした。その出会いがあったからこそ、松村氏はもう一度、講演会の会場に戻りました。
ちょうど講演はAAの話になり、会場の中で、まだ離脱症状で震える仲間がいました。

松村氏は「たった今 この場で、断酒グループの結成準備委員を決めてはどうでしょうか」の発言があり、それが「高知断酒新生会」の発足への足掛かりでした。

また、東京でも東京断酒新生会が発足しており、その後 津々浦々に断酒会が誕生し、今日に至りました。
・この、トイレの前での出会い、そしてまだ震える身体で講演会を聞きに来ていた一人の仲間との出会いが、断酒会の始まりです。

★これは小説「松村春繁」からで、幾分かはフィクションもあるかも知れません。
しかし、著者は断酒会員でもある小林哲夫氏。
ノンフィクションに近い小説でしょう。

松村春繁〜断酒会初代会長〜
*ASKから購入を。



■SHGはなぜ効くのか?

アルコール依存症という病気は、回復者が生まれて初めて認識されるに至りました。
それまでにも奇跡的に酒を断った人もありますが、あくまで奇跡的です。
自助グループで回復者が生まれ、それに医療が連携した事がアルコール依存症の専門医療です。

それまでにも色々な治療を医療者は試みましたが決定打はなく、心理療法の大家 ユング でさえ、貴重な示唆は与えましたが、アルコール依存症者を飲まないようにする事は出来ませんでした。


★何かSHGの効果を作り出しているか?・・・

①最も飲む事が多い時間帯に、飲まない仲間の中に入る事
最も飲んでいる事の多い時間帯(夜19時頃〜)に、飲まない仲間に会う事。
生活習慣は千差万別。生活や身体面での制約も人によってはあり、現在では、朝や昼間の断酒会やAAミーティングも増えています。

②先行く仲間との出会いの場
回復の為には、飲酒のコントロール障害を認め、自分を超える「力」に、回復へと向かわせる「力」があると信じ、その力に身を任せる事が重要で、その「希望」を与えるものが、先行く仲間との出会いです。

③仲間にしか分かり得ない共感に基づく雰囲気の中に於いて、初めて「否認」の心の鎧を脱ぐ事が出来る
AAで言われる「フェローシップ」

④仲間の中でこそ、回復に必要な自尊心を回復する事が出来る
「何で俺だけが・・・」という「自己憐憫」では回復できません。
等身大の自愛に基づく自尊心を取り戻す事が回復に必要なのです。

⑤SHGで行っている事は「自分の体験を語る」「仲間の体験を聞く」事
「言いっぱなし」「聞きっぱなし」こそが、“語りの精神療法”にも通じるものです。

「語るは最高の治療」 ・・・松村語録より・・・

★SHGは、慰め合いなどと思われがちですが、全く違います。

⑥仲間を助ける事は、自分を助ける事
自助グループは、誕生の時から、仲間に手をさしのべる事から始まっています。仲間を助ける事は、自ら助かる事なのです。
自助グループと聞くと、「自助努力」と連想しがちですが、相互に援助しあう共同体なのです。
☆ですから、自助グループというより、「相互援助(支援)グループ」という方が、意味的には正しい。

*医療だけの力では、アルコール依存症者を回復させる事はできません。
専門医療とSHGとの連携が大事なのです。

 

■AAと断酒会について

●スタイルの違い
AAも断酒会も目的は同じ。
断酒会はAAを日本的にアレンジしたグループで、やっている事も同じ(言いっぱなし 聞きっぱなし)です。

しかし、スタイルやグループのあり方に関しては、かなり違います。

断酒会は登録会員制で、入会金や会費もあり、役員を中心に組織的に活動され、実名を名乗る事が原則です。
さらに、飲酒しての入場はお断りです。
もっとも、支部の配慮にもより、他のメンバーへの影響を考えた上で、そのまま出席を認める場合もあります。
断酒会でも、「止めたいけれど止められない」という仲間の苦しさは、痛いほど分かっています。

それに対しAAは、匿名である事、組織を持たない事をグループの重要な約束事にしています(12の伝統)
酒を止めたいという願望のある人なら誰でも出席でき、会費などもありません。
しかし、グループを運営する為には、それなりのお金は必要です。
外部からの寄付を貰わないで、仲間の献金だけで成り立っているグループですから、ミーティング中に献金袋を回し、自分で出来る範囲の小銭を入れます。
さらに、もし飲酒していても、ミーティングに支障がなく、ご本人も「酒を止めたい」と思っておられるなら、出席は拒みません。

なお、グループ名である“Alcoholics Anonymos” にあるように、匿名である事を大事にしています。
これは禁酒法が残るアメリカで生まれたという事だけでなく、「一人のアルコール依存症者として出席する」という意味もあります。
多くは、仲間内にだけに通じるニックネームを使うのですが、実名で出席される方もあります。

上記の事から、AAが「軽い」「いい加減」、断酒会は「堅い」などと思われがちですが、実はAAも「ド真剣」 、断酒会も外見上の堅さと反対に、暖かい雰囲気に包まれています。

断酒会でも、まだ入会するかどうか思案中の人に、体験的に断酒例会に出席をしてもらっている場合もあります。これが「一般参加」 です。

私はスタイルの違いだけであると考えております。その気になった時に目の前にあったグループが良いのです。
そしてシックリ いく方に続けて出席を。

ただし、スタイルの違いからくる、強み、弱みは当然あり、その強みを最大限に利用する事が、最も賢明な道です。



●断酒会の強みと弱み
断酒会の強みは、家族の体験談が聞ける事です。
断酒会は「夫婦で出席」とよく言われ、仲間の家族の体験談は、特に心にしみるものです。

また、あくまでも体験談を語る事にあります。この体験談を日々、語り続けていく事が「語りの精神療法」にも通じます。
嫌でも体験談を言わないといけない、という事も、体験談を語る訓練ともなります。

さらに仲間同士での誘い合いが多い事です。
「今度、○○支部行くけれど、一緒に行こうな!」

入会間もない仲間や、少し後ろ向きになりかけている仲間には、先行く仲間は配慮して声をかけます。

でも、これらの強みは、そのまま弱みになる事もあります。
嫌でも体験談を語らなければいけない訳ですから、AAよりは敷居は高くなります。
また家族会員を「準会員」と呼んだり、断酒の協力者という昔のスタイルから抜けきっていない断酒会や支部も無いわけではありません。
この点では、やはり家族の為のグループであるアラノンなどには及ばないの部分です。
 
しかし、この断酒会のアットホームな雰囲気、家族も含めて体験談を分かち合えるという強みに比べれば、弱み以上に意義があります。
また、多くの断酒会で、家族会員も、家族としての体験談を語る努力を続けておられます。

さらに、回復の為には主体的な行動が重要で、仲間の誘いで辛うじて例会出席している状態では、あまり治療効果は期待できません。
 
新しく入会してきた仲間の主体性をどう引き出すかは、先行く仲間の回復度や回復イメージに左右されやすいという事が、弱みであるとも言えます。



●AAの強みと弱み
AAの最大の強みは敷居の低さです。
・匿名性
・献金はあっても、入会金も会費もない
・話したくなければ「パス」も可能

これら一見「緩い」関係は、見た目だけです。深い部分で仲間同士のつながりがあり、これが「フェローシップ」です。
また自分の回復の拠点としての「ホームグループ」を持ったり、回復を見守る「先行く仲間」(スポンサー)とのつながりは、非常に深いものがあります。

家族の体験談を聞く機会が少ない事は断酒会に及ばない部分ですが、AAのメンバーのご家族はアラノンへ、という事もあります。
次に、AAは話ししたくなければ「パス」が出来ます。嫌でも体験談を語る断酒会と比べ、逃げも可能とも言えます。

さらに、グループを離れようとした場合にも、断酒会ほど引き戻してはくれません。個人主義なのです。

しかし「パス」出来る事も、仲間内で「言った者勝ち」 とも言われる通り、参加するうち、自然に話ができる(話をしたくなる)のです。

ミーティングに行くかどうか、回復するか否かは、その本人の責任です。
それがAAの個人主義のメリットを有効に引き出すポイントです。

最後に、AAの最大の強みは、回復の為の具体的な提案である「12ステップ」です。
この提案に沿って、回復と成長を歩んでいくというのは、断酒会の「体験談」だけ、先行く仲間の背中を見るだけではない部分です。
さらに、ステップの凄さは、その全体の構成にもあります。
回復の為の1、2、3ステップが出来ていないなら、それ以後のステップをしても無理です。

もっとも、断酒会の方の回復も、重要な人との関係を調べていきますから、結果的にはステップとは少し違いますが、独特の回復のスタイルがあります。言わば「内観的」なアプローチに親和性があります。


<ツーステップダンス>
基礎の1、2、3ステップをこなさないうちに、埋め合わせをしようとしたり、自分の生き方の変革を抜きにして体験を仲間に伝えようとしても、手抜き工事の基礎に家を建てるようなものです。
これが「ツーステップ ダンス」です。

AAの経験の蓄積は凄いですね!

もっとも、断酒会で活躍されている方も、ステップをご存じである事も多く、断酒会の「指針と規範」 は、ステップの最も重要な部分を、断酒会語に翻訳されたようなものです。

さらにAAについて付け加えると、ミーティングでやたら「神」や「ハイヤーパワー」「霊的」などの言葉が出てくる為、宗教的なものでは?・・・ という誤解も多いものです。
しかし、これはキリスト教が当たり前であるアメリカ文化の中で生まれた為、言葉にもそれが残っているだけです。

AAで言うところの「神」とは、単に「自分を超える力」の事です。

進行中のアルコール依存症者の自我は肥大し、あたかも世界は自分を中心に回っている的な幻想に陥ります。

この幻想を取り除く為には 「等身大の自我」 を取り戻す必要があり、その前提が「自分を超える力」を認める事なのです。
 
 

★ポイント
自分を超える力を認める謙虚ささえあればAAの力は使えます。
いわゆる宗教などで言う「神」概念は不要(無関係)です。

「霊的」という言葉も、疎外されない生きる姿を描いた生き方の方向性です。
ステップ4〜9は、その為の具体的な提案なのです。

☆AAに関して、多くの方が持つ(であろう)疑問は、この辺りではないでしょうか?



●回復者の姿の類似性
私は前の病院で始めてアルコール依存症の専門病棟を体験しました。その時は、「断酒会は堅い」「AAが良さそう」などと考えていました。
今の病院で専門病棟に移る前、女性のアルコール依存症者への治療プログラムを立ち上げるために、マックとの連携を始めました。
この時、断酒会での回復者とAAでの回復者との違いは、全くないと気づきました。

使う言葉、スタイルが違うだけなのです。

この類似性は、もう一度専門病棟に移ってから、より深い確信になりました。

SHGはどちらでも、その時(気がついた時)に、目の前にあったグループを大事に!
この出会いが重要です。



■SHGの効果

●阪神 淡路大震災での回復率から
<SHGの出席者は、ここ一番の踏ん張りが効く>
1995年の阪神 淡路大震災の時、仮設住宅でのアルコール依存症者の孤独死が盛んに報道されました。
その時、多くの断酒会員やAAのメンバーが孤独死したかのように思われがちです。

しかし、AAや断酒会に規則的に通っておられる方の回復率は、他の時期と変わりません。
*兵庫県立の精神科病院の医師からの

大震災の時であっても、SHGへ出席を続けているアルコール依存症者は、ここ一番の強さがあります。

なお、阪神淡路大震災では、多くのSHGメンバーが被災地に赴き、ミーティングや例会の開催のお手伝いをしました。
多くの方は、被災地で苦しむ仲間の所に、自分の出来る事だけをしに行ったのですが、舞い上がり ちやほや された自助グループメンバーは飲酒の道を歩みました。
あくまでも仲間と自分自身の例会、ミーティングを大事にされた方だけが、被災地の仲間からパワーを貰い、回復の糧とできたのです。

★「等身大」の自分を忘れた時が、再飲酒の道への入り口!




●自分の意志で酒を飲まない事との違い

・SHGに通わずに酒を飲まないだけでは、飲んでいた時の心の癖が抜けず、回復しない事も多いものです。
なぜなら、自助グループは「精神療法」でもあるからです。

・意志力に頼る、という生き方の一つの底付きが、アルコール依存症など「依存症」です。
これを克服するために、さらに意志力に頼るというのは、回復とは真逆な行動です。言い換えると、火事を大量の油で消そうとしているのと同じなのです。

・回復は 酒に対する無力 の承認から!
意志力に頼るという事自体、回復のスタートラインに立っていないのです。

・意志力で飲まないでいるのは、常に飲酒欲求との闘いを続ける事を意味します。
さらに、常に心の隙や暇な時間を作らないなどという事は不可能です。
 

★ポイント
SHGで断酒を継続し回復に向かう事は不可能ではありません。
しかし意志力で、しかも一人だけで酒を飲まないでいることは、非常に苦しく、困難で危険な事なのです。
何故なら Addiction だからです。




■SHGについて、多くの方が疑問に思われる事について

●何故、医療者がいないにも関わらず、治療的なのか?
・・・自助グループには、専門家も治療者もいません。
それなのになぜ治療的?・・・

・他の人の生き方は、変えられません。
断酒とは、飲酒をしない生き方を自ら選択し、実践し続ける事です。
医療者であっても、人の人生を変える事は不可能です。
アルコール依存症者(酒害者)自身が、仲間とともに回復の道を歩む事が重要なのです。

・断酒例会やAAのミーティングで誤った情報が流れ、断酒期間の浅い方に害になるのでは? という心配される方も多いでしょう。
しかし、誤った情報は自助グループ以外の方が多く、自助グループで誤った情報だけしかない、などという事は、まずありません。
誤った情報なのか否か、自分の為に取り入れるか否かは、その出席した人の責任です。
1年も素面で断酒会やAAミーティングに通っていると、必ず、何が誤った情報であるかが分かるのです。
★まずは飲まずにグループに通う事です。

・体験談は「語りの精神療法」です。
酒害に苦しんだ過去を語っている自助グループメンバーは、すでに、苦しんでいる過去の「その人」ではありません。
自分の過去を物語として、如何に編集して語るか、それは
“narrative therapy” 
にも通じるものがあります。

人は、自分の物語を紡ぎながら、今現在を生きているのだと言われています。

・専門医療とSHGは、二人三脚。
アルコール依存症は、医学的なアプローチの必要な「病気」です。
また、グループの何を自分に取り入れ、何をその場に置いていくかを選別する基準も必要です。
そういう意味で、断酒の軌道が正しいか否かを、医療の立場からもチェックしていく事も重要です。
回復への道には、様々な壁もあります。そこにも専門外来の存在意義があります。


●なぜ「言いっぱなし」「聞きっぱなし」が効果的なのか?
・多くの人は、どうして体験談を語るだけ、聞くだけで治療になるのか、疑問を持たれると思います。
それまで必死になって酒と闘ってこられた方なら、尚更です。
しかし、自助グループで行っている努力だけは、それまでしていないのです。

・回復への出発点は無力を認める事
普通の見方からすると、酒と闘う力を強める事が断酒に向かう力と思われがちです。
しかし依存症は“Addiction” と呼ばれ、問題となっている事に意識を集中すればするほど、ますます囚われます。
自分の意思力だけに頼っている限り“Addiction” の悪循環から逃れられません。

酒とは闘わず、無力を認めて自助グループへ出席をするという事は、“Addiction” の悪循環から逃れる秘訣なのです。

・さらに体験談は、先に説明したように、語りの精神療法にも通じます。

 
 
■アルコール依存症の新薬について

<レグテクト>
2013年05月27日に、従来の抗酒剤とは異なる機序で、飲酒欲求そのものを緩和する薬「レグテクト」(アカンプロセート製剤)が発売されました。
ただし、これだけでアルコール依存症を治療する事はできません。あくまでも補助的な治療であるとお考え下さい。

アルコール依存症の飲酒欲求そのものを弱くするため、「普通に飲めるようになる?」との期待があったり、断酒会やAAに出席する必要がないなど、誤った期待を抱かせる危険もありました。
あくまでも完全に離脱期を終え、断酒する気になった人にしか効果ありません。

また、SHGなどに出席を続けない限り、例え飲んでいなくても回復していない事も多くあります。
心の中で酒との闘いを続け、身近な人も、“飲んでいない酔っぱらい”と接していく事を意味し、苦しさは続く事になります。

飲酒欲求抑制剤は、治験によっても効果が認められていますが、従来の治療が不要になった訳ではないという事がポイントです。

また、ナルトレキソンという薬も、時に話題になっています。

<ナルトレキソン>
ナルトレキソンは、飲酒による“報酬効果”をブロックし、飲酒に伴う高揚感などを失わせる事を狙った薬です。
要は、飲酒しても快感が得られない、飲酒による高揚感などがなくなれば、飲酒をしない(続けない)だろう、という考え方が根底にあります。
しかし、病気が進行すればするほど、高揚感や快感などは、飲酒しても中々得られなくなっていきます。
で、どうなるかというと、さらにアルコールの報酬効果を追い求めてしまうのです。
これは、ギャンブル依存症の人の場合、負けが続いているからこそ、さらにハマり込むのと同じです。
したがって、これもアルコール依存症の治療の決定打にはない得ません。
 


■自助グループなどに関する情報

●アルコール依存症からの回復の為の相互支援グループ(自助グループ)
・AA(Alcoholics Anonymous) http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/
・断酒会 窓口は全断連 http://www.dansyu-renmei.or.jp/


●リハビリ施設である「マック」
・マック(アルコール依存症のリハビリセンター)
・みのわMAC(アルコール依存症のリハビリセンター) http://homepage2.nifty.com/minowa-mac/mac1.html


●家族グループ
・アラノン(Al−Anon)家族グループ http://www.al-anon.or.jp/
・家族の回復ステップ12 http://frstep12.info/


●AAをルーツに持つ、その他のグループ

☆アラノンや断酒会以外にも、AAをルーツに持つグループは多くあります。
その一部が下記です。

・ACoA(アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリックス)

・ACA(Adult Children Anonymous)

・ACODA(Adult Children of Dysfunctional Families Anonymous)
[子供の時期を機能不全家族で過ごした成人の集まり]

・ギャンブル依存から回復するためのグループ
GA(ギャンブラーズアノニマス)  http://www.gajapan.jp/

・Emotions Anonymous
〜 感情の問題からの回復のための12ステップグループ 〜

 


元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より



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依存症における回復とは?


●はじめに

アルコール依存症は「治癒しない」病気です。その為、「不治の病」などと表現される場合もあります。

また、「死に至る、進行性で致死的な病気」ですから、いったんアルコール依存症となったなら、酒で死ななければいけないのでしょうか?・・・・

いいえ、アルコール依存症となった以上、再び普通に飲酒できる身体には戻りません。
しかし、一切 飲酒しない生き方に転換する事、言い換えると「断酒を継続」すれば、健康的に生活する事も不可能ではありません。

実際に多くの方が、自助グループ(相互支援グループ)に出席し回復を続けています。

そういう意味でアルコール依存症は、「治癒しないけれど、回復は不可能ではない」とも言われています。

以下、依存症における「回復」の意味を説明いたします。
その際、主にアルコール依存症を例に上げますが、他の依存症であっても、それは応用可能です。




●依存症では「治癒」と言わず「回復」と言う理由

アルコール依存症など「依存症」では、「回復」という概念がよく使われます。まず、その理由から説明します。



◆理由1

「依存症」には「治癒」がないから

多くの依存症では、問題となっている行動をしばらく止めていても、再び始めると(アルコール依存症なら再飲酒)、最も悪かった状態に逆戻りしてしまう事が殆どですから、「治癒」はしません。
ただし、普通に飲酒できているような錯覚に陥る期間が見られる場合もあります。でも、これは一時的なものです。
 
これはアルコール依存症などの薬物依存症だけでなく、ギャンブル依存症などにも言える特徴です。

アルコール依存症の場合なら断酒を継続する中で(その他の薬物依存症でも、その薬物の使用を止め続ける事で)、心身ともに健康を回復する事も不可能ではありません。
またギャンブルを止め続ける事でギャンブル依存症からの回復も不可能ではありません。


*ただし、ギャンブル依存症や買い物依存症などは、経済的な問題が出現するものの、身体的な問題が起こらない事もあり、中々「底着き」しにくい(本当に止めようと中々思えない)依存症です。


☆「底着き体験」は下記を
知恵ノート終了にて、このブログの「底着き体験」を参照のこと。

以上にように、「依存症」では「治癒」という言葉は使いませんし、使えません。
しかし「回復」はあり得るのです。




◆理由2

依存症とは、治癒ではなく「回復」を目指す病気です。
また「回復」とは、依存症を克服するため、健康な生きる方向を選択し、自ら行う事なのです。


アルコール、薬物依存症では、それらを止め続けると(断酒や、その薬物を使用しない事)によって、心身の回復の前提条件が作られます。

しかし、少量であっても飲酒(薬物の使用)している限り回復は不可能です。
何故なら、アルコールや薬物依存症で言うところの薬物が「依存性薬物」だからです。
その薬物やアルコールに対して、心身の囚われが出来ているため、アルコール依存症では「次の一杯」が無性に欲しくなってくるからです。これは他の薬物でも同じです。

さらに、再び、飲酒やその薬物を使用し始めてしまうと、心の在り方が回復とは違った方向に変化します。
したがって、離脱症状などが現れない場合であっても、心の囚われが再燃します。


それに対してギャンブル依存症など、人の行為に関する依存症(過程嗜癖)の場合には、身体には大きな影響がないにも関わらず(厳密に言うと、ドーパミンが過剰に放出されていますが・・・)、心の囚われによって、いったん始めてしまうと、その行為が止められない状態に陥ります。

このように、「過程嗜癖」も、しばらくしていないなら、そう激しい渇望は起こらないのですが、いったん始めると、多くはその人の意思力を上回る渇望によって、止まらなくなってしまいます。

したがって、ギャンブル依存症の場合、ギャンブルをしない事でしか、回復はあり得ません。


*これはパチンコや競輪、競馬などの狭義のギヤンブルだけでなく、ジャンケンですら、考え方によってはギャンブルなのです。
★あるリハビリセンターなどでは、物事を決める際にも、ギャンブル依存症の方がメンバーにおられたら、ジャンケンではなく話し合いで決めるという場合があります。


しかし、広い意味での「依存症」(Addiction)の中には、完全に止めてしまう事が不可能な行動をベースに出来上がったものもあります。

<例>
・摂食障害(食べるという、基本的欲求が暴走したAddiction)
・買い物依存症(日常生活上 必要な習慣が暴走したAddiction)
・共依存(巻き込まれの結果として陥る 人へのAddiction)
・虐待(躾けなどという行為が暴走したAddiction)

*まだまだあるかも知れませんが・・・



摂食障害や買い物依存症などは、生きていく為に、どうしてもしなくてはならない行為がベースにある依存症(過程嗜癖)です。

また、人との関係性を完全に排除して生きていく事も不可能です。
人との関係性への囚われである「共依存」は、人との関係性が暴走してしまったAddictionです。
これは「関係嗜癖」とも呼ばれています。


このような、生きていく上で欠く事のできない行為をベースに出来上がった「依存症」(Addiction)の場合、アルコール依存症などよりも、より一層のバランス感覚、目覚めが必要なのです。

でも、それらの強迫的な行動から「回復」している方もおられます。

これらの人は、その生きる方向性を転換 しておられます。



生き方の転換と、より一層の目覚めを目指しておられるからこそ、それらの“Addiction”を止め続けて行けているのです。
決して、意思力で我慢しているという話ではありません。
 




●依存症の特殊な現れ方
(クロス・アディクションについて)

依存症は、アルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症など個々の依存症として問題にされる事が多いのですが、中には複数のアディクションを併せ持っている場合も結構多く見られます。


<クロス・アディクション>(多重嗜癖)

見かけ上 異なる依存症が2つ以上同時に存在している場合や、複数の嗜癖を次々移り変わっていく事を「クロス・アディクション」と言います。

典型的な例として、アルコール依存症にギャンブル依存症が重なっていたり、摂食障害を併せ持っていたりと様々です。

時には、嗜癖行動の間を移動していく場合もあり、アルコール依存症の方が自助グループ(相互支援グループ)などに出席もせずに一人で断酒しているかのように見えて、実はギャンブルに移っていたり、釣りにハマり込んでいたり、仕事依存に陥ったりという場合です。

嗜癖行動とは、生きるために獲得した習慣が暴走して、自分ではコントロールできなくなる事です。



<嗜癖を3つに分けると>

・物質嗜癖(アルコール・薬物依存症など)
・過程嗜癖(ギャンブル依存症、買い物依存症、摂食障害など)
・関係嗜癖( 共依存/虐待などだけでなく、他の依存症には殆どがこれも関係してきます)

これらの背景には生きる事に対する「空虚感」などありますが、人は誰でも大なり小なり これは持っています。
したがって、健康に生活出来ている(と思っている)人であっても、程度の差はあるものの根っこは同じなのです。

したがって、依存症からの更なる回復にとっては、この「空虚さ」などを乗り越えていく事が重要なのです。
それを支えてくれるものが、各種自助グループ(相互支援グループ)などです。





●依存症からの「回復」について

◆「依存症」(Addiction)からの回復とは、生きる方向性の転換

アルコール依存症は、その定義で「第一次的な病気」と言われています。

これは、病気の正体であるコントロール障害が、病気として「第一次的」なものだと言う意味です。


でも、前述のように、その土壌は、多くの人の心の中にも存在します。


例えば「自己中心性」や「自己憐憫」、「パワー幻想」、「自尊心」の欠如や弱まりなどもそうです。
実は、アルコール依存症を含め、全ての「依存症」は、このような人の心の中の土壌 から生まれて来たという見方も出来るのです。

これは、「第一次的な病気」という意味とは矛盾するのでは? ・・・
        

いいえ!

医療モデルとして「依存症」を語ると「第一次的な病気」なのです。

「人の生きざま」という面から見ると、各種依存症は、その生き方の問題から発生した出来事として捉える事が出来るのです。


人は喉が渇くと水を飲みます。
そして、心が乾くと、様々な “Addiction” へと溺れていくのです。

その “Addiction” の「酔い」(陶酔感)の中で、生きている感覚を持つのです。
これは、ある意味で「生き方の方向の間違い」と言えます。


それに対して回復とは、それらの“Addiction”を使わずに生きる事を喜べる生き方の方向づけです。



では、この生き方の方向性の間違いとしての「依存症」を、どのように表現されているかを見てみましょう。


アルコール依存症からの回復を目指す自助グループ(相互支援グループ)である “Alcoholics Anonymos” では、どのように解釈しているか?・・・


それは、「性格上の欠陥」と表現して.います。

その出版物である「Alcoholics Anonymos」によると

“私たちにとって飲むことは問題の一つの症候にすぎなかった”



その根本的な問題として、自己中心性や恐れ、自己憐憫などがあるわけです。
これは、嗜癖的な生き方の根本にある問題なのです。
*詳しくは「Alcoholics Anonymos」を


したがって、より良い回復の為には、生きる方向性の修正を加えていく必要があるわけです。

これをAAでは「霊的に目覚める・・・」と表現しておられます。



★人の生きる方向性について

人には、AAで言うところの「霊的な目覚め」る生き方と、嗜癖的な生き方の二つの生きる上での方向性があります。

☆AAで言うところの「霊的な目覚め」とは、あるがままの自分を受け入れ、生かされている事に感謝ができる生き方でもあります。


“Addiction”の第一人者、斎藤学氏などが述べておられるように、「コントロールと闘争の生き方」とは、回復の対極にあるのです。

また回復とは、参考文献に挙げたE.フロム の言う「持つ様式」と「ある様式」の、「ある様式」と一致したものでもあります。





◆回復を困難にする原因

依存症からの回復を困難にしている主な原因は下記です。

・否認
自分の問題に気づかない。気づこうとしない。
これには、依存症の中心的概念である「否認」が関係しているのですが、「否認」は、固定したものでもなく、条件が整えば、切り崩す事さえ不可能ではありません。

アルコール依存症などの薬物依存症の場合には、その薬理作用が深く関係しています。アルコール依存症者は、周囲の人が思うほどには、自分の酒害を覚えていません。
*これが「ブラックアウト」です。

・自分自身の危機感が否認を作り出しているから
「否認」の原動力とは、依存症となった人が心の奥底に持つ危機感です。この危機感が、度重なる依存症に伴う問題を経験する事によって、依存症者の自尊心を危うくしていき、結果として「否認」が生まれていくのです。
*依存症の難治性とは、この部分が大きいのです。

・周囲の人との歪んだ相互依存関係(共依存)
身近な人が、いわゆる「巻き込まれ行動」を続けている限り、依存症者は、自分自身の問題に直面化できません。
例えば、酒を取り上げようとしたり、責めたてたり、その一方で飲酒の問題を周囲が後始末したりするなどです。
*これが「イネイブリング」です。

・絶望が深い場合
依存症からの回復には、自分の力ではなく、自分を超える力が、自分を健康にしてくれるという事を信じる事が重要なのです。
進行中の依存症者の心の中には、肥大した自我が出来上がっています。この自我が、等身大に収縮する事が、回復にとって重要なのです。
その為にまず認める事が大事なのが、自分の「無力」なのです。
人は絶望したとき、この希望が見えなくなってくるのです。
*アルコール依存症など依存症は、意識の上では「絶望」していないように思っていても、実際には深い絶望を抱えている典型的な例なのです。

・正しい治療が提示されていない/提示のタイミングが遅い
多くの場合、依存症としてのアプローチを欠いているため、不毛な、そして破壊的なもがきを続けてしまうのです。
依存症の為に、「生きる事も死ぬ事も、どうにもならなくなる」(古い言い方ですが)場面は、結構あるのです。
でも、アルコール依存症を例に挙げると、離脱期が終われば、ものの2、3日で「自我の再肥大」が起こってしまいます。この「ツボ」を心得ていない医療機関である場合、タイムリーな介入、提案は不可能なのです。
*正しい治療を進めるタイミングが非常に重要なのです。

・依存症者自身が動かなければ回復はない
単に、専門医療に「治して貰う」的な感覚では、回復できません。自分自身の為に、回復を目指した行動を続ける事が必要なのです。
誰も依存症者を「回復」させる力はありません。しかし、専門医療機関の治療のもと、自助グループのミーティングやマックなどのリハビリセンターのプログラムを自ら継続する事によって、回復の道は開かれます。
*依存症者自身が「正しい行動をする」という部分が大事なのです。

・社会体験の不足
依存症からの回復を困難にしている原因の中で、かなり大きな部分を占めているのが、依存症者の社会体験の不足です。
アルコール依存症となった人の多くは社会的にも自立し、いわば「大人」になってから病気に陥っているため、一通り(一通り以上の体験をされた方も多いですが)の社会体験を積んでおられる事が多いのですが、もっと若くして依存症となった方(アルコール以外の薬物依存症の場合などに多い)は、早くに社会からドロップアウトしてしまっている事も多く、社会体験が乏しく、社会生活をする上でのスキルを持っていないなど、それが回復を妨げる事も多々あります。
したがって、その辺りに特化したプログラムを要する場合もあります。アルコール依存症であっても、なかなか断酒の軌道に乗らない場合にも、この辺りの社会体験の乏しさという部分からのアプローチも必要です。
*このように、社会体験の不足が、回復を困難にしている一つの要因です。

・解決していない心の傷
依存症には、世代を超えた「負の連鎖」があります。この原因の一つが、親や親同様の人から受けた心の傷です。
アダルトチルドレンと言われる人は、他の人よりも依存症になり易いというデータもあり、依存症になった方の中には、そうでない人たちよりも、いわゆる「機能不全家庭」に育っていた人が多いものです。
子供として育っていく中で、その心の傷が癒された体験が少なければ少ない程、依存症になる危険が高まります。これが、解決していない心の傷なのです。
解決していない心の傷が多いほど、その心の渇きを忘れる為に Addiction を必要とし、回復に向かう上での壁が高いと言えます。

断酒や、その他の Addiction を止める事ができても、まだまだ癒されていないという自助グループのメンバーは、更なる回復を目指して、自分の問題に関する自助グループ(相互支援グループ)だけでなく、ACグループやEAなど活用しておられる方も結構おられるのです。

*「解決していない心の傷」とは、そういう意味で、依存症からの回復を困難なものにしている一つの要素なのです。
したがって、中々回復に向かわない場合には、「解決していない心の傷」という辺りからのアプローチを必要とする事が多いのです。

・依存症以外の心の問題
なかなか回復が進まない場合、依存症以外の心の問題として、発達障害などが潜んでいる可能性もあります。
この時には、回復をサポートしていく上で、画一的なプログラムだけではなく、ここの問題の焦点を当てたアプローチが必要です。
また、「断酒会にもしっかり出席しているのに、飲んでしまう人」の中には、双極Ⅱ型障害などがあっても医療機関でも見落としている場合もあります。
双極Ⅱ型障害の場合、医療につながる場合、見落とされ易いという特徴があります。
この場合でも、感情安定剤(ムードスタビライザー)の使用で、安定した断酒が継続できるケースもあります。




◆クロス・アディクションの場合

基本的な事は、どれか一つの依存症を回復に向かわせる事です。
そうすれば、他の依存症も、順次 回復の為の課題として、目の前に現れてくるものです。


ただし、どれを第一にするかには、順序があります。

アルコールや薬物の影響を受けている限り、その他の依存症からの回復はありません。

したがって、まずは「アルコール、薬物依存症」を回復に向かわせる事が第一なのです。


私の経験では、他の“Addiction”の中でも、ギャンブルはアルコール依存症の回復を阻害する事が多くあります。
また、家族との共依存に基づく「依存症プレー」をしている場合にも、回復は阻害されます。

したがって、摂食障害やその他の“Addiction”は、その次の問題として考える方が良い場合が多く、まずアルコール、薬物依存症からの回復を目指して下さい。


この辺りは、専門医療機関のサポートや、自助グループ(相互支援グループ)の支えを持ちながら、焦らずにやって行きましょう。



☆まだまだあるかも知れませんが・・・・






●多くの人の、生きている実態

人は、その個人差はあるものの、嗜癖的な方向と、目覚め的な方向との混合としての生き方をしています。

完全に目覚めた人も、完全に嗜癖的な人もありません。
その二つの混合物が、人の生きている実態なのです。

この混合度合いによって、その人の生きる方向性が決まってくるとも言えます。

多くの人によっては、少々、嗜癖的な側にズレていても、大きな問題は発生しません。

しかし、アルコール依存症を含め、多くの依存症から回復を目指している人にとって、それは飲酒などの道を突き進む事になっていき、死に直結するものなのです。

これは、他の依存症でも同じです。

そういう意味で、自助グループ(相互支援グループ)のメンバーは、より真剣に、回復(より良い生き方の選択)を目指しておられる訳です。
 



◆さらに 回復の為に
 
 アルコール依存症から回復するためには、人として生きていく上での「生き方」の棚卸しを必要とします。

これをせずに、ただ単に飲まないだけの状態は、回復とは言えません。
 
では、さらに回復を進めていく上で必要なところは?
実は、下記の資料があります。
 
「スツールと酒瓶」 (STOOL & BOTTLE)


克服すべき心の問題は下記です。
 

1)恨み
2)不正直
3)批判
4)自己憐憫
5)不寛容
6)ジェラシー
7)怒り
8)恐れ
 
 
・スツール=3本足の丸椅子
(1本でも欠けると倒れるが、3本がしっかりしていると力学的に1番安定している 故に、1・2・3ステップの1つでも欠けると意味をなさないが、それが1体となれば、こんなに安定した力はないという意味)
 
・ボトル=8本の毒酒の意味
再び酒に手をつける危険な性格上の欠点
(恨み・不正直・批判・自己憐憫・不寛容・ジェラシー・怒り・恐れ)の意味
 
*この辺りからも、回復というイメージが掴めるかと思います。
 
 


◆依存症からの回復

<アルコール依存症の場合>

アルコール依存症では、まず「断酒」を続ける事が前提です。
自助グループなどへの出席を通じて「断酒」を続けていくなかで、生きる方向性が修正されていきます。

克服すべき課題としては、自己中心性や自己憐憫、恨み、恐れ などです。

この辺りの心の問題が解決していかない限り、ただ単に「飲んでいないだけ」でしかなく、より回復の進んだ人と比べ、飲酒欲求にも襲われやすく、再飲酒の危険も高いのです。



ポイント!
実際に自助グループなどへの出席をし、体験談をしっかり語るなどを続け、回復の進んでいるアルコール依存症者は、ちょっとやそっとでは飲酒しません。安定感が出てきます。

また、「ここ一番」の踏ん張りも効くのです。

*阪神淡路大震災の際、仮設住宅などでの孤独死が盛んに報道されました。
しかし、この時期に断酒会やAAに出席を開始して断酒生活を始めた人の回復率は、普通の時期と変わらなかったというデータもあるそうです。


<生きていく上での行為に関する“Addiction”としての依存症では?>

摂食障害や買い物依存症など、完全に止めてしまう事が不可能な“Addiction”の場合には、アルコール依存症やその他の薬物依存症よりも、一層の真剣さ、一層の目覚めが回復には必要です。

それは、食べると言う行為、買い物という行為を続ける中で、健康的なスタンスを自ら取り戻していかなければいけないからです。

ここで、回復の道しるべとなるものが、AAの回復の為の提案である「12ステップ」なのです。
このステップを行う事によって、このような厄介な依存症であっても、回復は不可能ではないと言えます。
 
 
 

★依存症からの回復の為に必要な合言葉

・第一の事は 第一に(主にAAなどのメンバーの言葉)
・今日一日(主にAAなどのメンバーの言葉)
・一日断酒(断酒会での言葉)
・今日一日だけ止めよう。そして、その一日一日を積み重ねよう。(松村語録より)
・回復は、仲間とともに
・語るは最高の治療(松村語録より)
・いい加減に生きよう!
・気楽に生きよう! しかし、やるべきことはやろう!

*自分自身の回復の為の 合言葉を作って下さい!
 
 

 
◆回復できない場合にチェックする事
 
○適切な治療的行動をしているか?、それを継続しているか?
・アルコール依存症の場合、単なる解毒治療だけを行って、断酒継続の為の治療をしていないのでは? これは他の薬物依存症でも当てはまります。
・依存症についての正しい知識があるか?
・自助グループなど、適切な治療を継続出来ていないのでは?(頻度のチェック)
・断酒会なら体験談が語れているか? AAならステップが出来ていないのでは? その他の依存症でも、ステップが出来ていないのでは?(自助グループで出席の質は?)
・自助グループ(相互支援グループ)に出席していても、お客さんという気持ちで行っているだけではないか?
*自助グループ(相互支援グループ)は、依存症から回復させてくれる場だと考えては間違いです。
グループの中で自分を見つめ、仲間と共に歩むこと、仲間を助ける事は自分が助かる道でもあります。
 
○他の依存症を使っていないか?
・アルコール依存症の人が、ギャンブルなど他の“Addiction”を続けていないか?
・アルコール以外の薬物の乱用はないか?
(他の薬物を治療以外の目的で使用していないか?)
・共依存は?(身近な人と、依存症ゲームを続けていないか?)
 
○身近な人は、正しい協力が出来ているか?
・身近な人が、正しい知識を持っているか?
・「共依存」を克服出来ていないのか?
(いわゆる「巻き込まれ」行動を続けていないか?)
 
★まずは、これらをチェックし、無くしていく事が、突破口です。
依存症なら、解決の可能性があります。





●参考文献など

「Alcoholics Anonymos」
「12 & 12」
 *AAの出版物です。

「Alcoholics Anonymos」
AAの各地のセントラルオフィスに問い合わせると購入可能です。
*最近では、Amazonで購入可能なものもあります。
 
「アルコール依存症を知る!」
 森岡 洋(著) ASK
「あなたが変わる 家族が変わる」 ASK
 
「スツールと酒瓶」 みのわマックより発行 
 
「否認と言う名の回転木馬」 アラノン

「嗜癖する社会」 
A.W.シェフ 誠信書房

「人間における自由」
「自由からの逃走」
「生きるということ」
 E.フロム 東京創元社/紀伊國屋書店

 
元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より




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底着き体験とは?(回復の為のターニングポイント)



●はじめに

依存症からの回復には「底着き体験」が必要、とよく言われます。
多くの依存症からの回復者は、この「底着き体験」を経て、回復の道へ足を踏み出しています。
これはアルコール依存症に限らず、すべての依存症にも当てはまる事です。

しかし、酒の為に、仕事や家族など全てを失ってしまったアルコール依存症者であっても、まだまだ「底に着かない」人も多くおられます。

周りから見て、すでに「底に着いていても、おかしくないのに!」と思われながらも、治療に同意しない、断酒の為の治療をする気も更々ない人たちです。

アルコール依存症の治療は、本人が治療を受ける気持ちにならない限り不可能ですから、どうする事も出来ずに困り果てているご家族も多いと思われます。
専門機関でさえ、「本人がその気にならないとね・・・」としか言わない場合もあり、せっかく解決の為の行動を一歩を踏み出したご家族の想いを砕いてしまう事すら珍しくありません。


しかし、そのような状況であっても、「手」がない訳ではありません。
 

結論として 「底着き体験」 とは、単に 依存症 によって、全てを失った状態ではありません。
命以外にの殆どを失う事が「底着き体験」と思われがちですが、違います。


逆に、依存症者が少し回復への道を歩み始めた時に、“あの時が「底だった」 だった”と感じられるものが「底着き体験」なのです。
したがって、まだまだ失う物が少ない段階であっても「底に着ける」事もあるのです。
この「底着き」と感じられた人生での出来事が、回復の為のターニングポイントなのです。


また、周囲の人の行動を変える事によって、「底着き」 が早められる可能性も高まります。
ここでは、回復へのターニングポイントは、身近な人の行動を変容させる事によって早められるものでもあるという立場から、説明致します。
これも「底上げ」です。
 

「底上げ」という言葉からは、啓発活動などによって、早期発見、早期治療を目指すことと思われがちです。

これも重要な「底上げ」ですが、ここで説明しているものは、いわゆる「底上げ」とは、異なります。


「底」につけないケースで、如何に「底」について貰うか、断酒する気持ちを引き出すかと言う、実践的な方向づけを行う為の、回復イメージを提供しようと考えております。


なお、ここでは説明の都合上、アルコール依存症を例に上ますが、その他の依存症についても、基本的には応用可能です。

 

 
 
●底着き体験とは?

「底着き体験」とはいかなるものなのか?
 
<アルコール依存症を例にすると>
・飲酒の為に、思うように生きていく事が難しくなった
・飲酒の為に、生きる事も死ぬ事も、どうにもならなくなる(なった)
・酒の為に、多くの物を失ってしまった
・酒に対して白旗を完全に揚げた
・嫌々ながらも、治療的な提案などに同意せずには済まない状態

  ・・・・と 後から振り返って思えた「出来事」です。
 


 
●底着き体験とは、何がどのように変わったか?
 
・適切なタイミングで治療的介入を行えば、アルコールに対する完全な無力を認め、自分を超える力に健康を回復させる力がある事を信じ、その力に委ねる気持ちが出来上がる可能性が高まります。言い換えると、「底に着く」可能性が高まります。
・それを経て、価値観や行動、生き方、考え方の根本的な変化が起こり、回復への第一歩を踏み出せます。

この典型的な例が、AA(Alcoholics Anonymos)の 創始者である ビル・W  の体験です。

☆詳しくは“Alcoholics Anonymos”をお読み下さい。
 *Amazonでも購入可能!



★普通に考えると、酒で限界に陥ったら、上記のような大きな変化が起こると思われがちです。

・しかし、単に飲酒の限界に直面しても、それが「底着き体験」とはなり得ない場合も多々あります。
命にかかわる状態に至っても、全てを失っても・・・ です。
ここがアルコール依存症の怖い部分でもあります。

・飲酒の限界に直面した時に起こる心の変化とは、飲酒していた時に持っていた肥大した自我が、一時的に崩壊(収縮)する事であると言えます。
それに伴って、防衛機制である「否認」も一時的に弱まります。

・しかし、自我の復活は、普通に考えているよりも早く起こります。

・離脱期が過ぎて、ものの数日もすれば、酒の為に限界を感じていた事なども
「もう過去の事」
「今度こそは、飲み過ぎない」
という気持ちがムクムクと蘇ってくるものなのです。

・そこまでいかないまでも、「今度は自分の意志だけで飲まない」という、正しい断酒とは言えない気持ちにまで後退してしまう事も多いものです。

 



 
●底に着けない原因

酒の為に苦しい想いをしても、底に着けない場合には、下記がまだ揃っていない事が考えられます。



◆回復の為の三つの基礎が揃わない
・・・下記の①②③が必要・・・

①自分の酒害を認める (認める)
②回復できるという希望 (信じる)
③その力に身を任せる (委ねる)


*この「認め」「信じ」「委ねる」という、この3つが揃わなければ、人は変われない、そして「底に」着けないのです。

この①②③とは、アルコール依存症の相互支援グループ(自助グループ)であるAAの回復への提案である「12のステップ」の1〜3ステップに相当します。

詳しくは“Alcoholics Anonymos”か、下記リンクから「12ステップ」を探して、お読みください。
・AA(Alcoholics Anonymous)




◆アルコール依存症者が自分の酒害を認められない背景

・酒で困っていないか覚えていない
酒で困っていない、困ったという体験が記憶に残っていない。
その原因は下記です。

・薬物 アルコールの薬理作用
一番の原因は、アルコールの薬理作用の為に、酔っていた時の記憶が曖昧になっている事、「ブラックアウト」です。
アルコール依存症者の多くは、周囲が思う程には、酔っていた時の記憶が残っていません。

・周囲のイネイブリング
周囲の人などの尻拭い(イネイブリング)が原因で、その痕跡が残っていないなどが、酒害への直面化が妨げている。
また、問題が起こっても身近な人が処理してしまう、という「歪んだ甘え」が生まれてしまいます。

・「否認」の為
アルコール依存症の否認とは、アルコール依存症者自身の危機感の為に、逆に自分の酒害を認めづらくなっていく現象です。
アルコール依存症とは知らず一人だけで必死に酒と闘って破れる、という体験を繰り返していくうちに必要となった「心の防衛」の上着が「否認」なのです。
言い換えると「否認」とは、依存症者自身の危機感などが姿を変えて出来上がってくるもので、これが依存症を、難治性にしている原因でもあります。

・身近な人との「依存症ゲーム」
巻き込まれた ご家族の「責める」「酒を取り上げる」「監視する」という行動と、アルコール依存症者が、その状況で何とか酒を手に入れ飲む事だけを求めていく行動の中で、さらにアルコール依存症者の心の防衛機制(否認)が強められ、ご家族の巻き込まれも、さらに強まっていきます。

★その結果、アルコール依存症者自身の問題であるはずの飲酒問題が、酒を止めさせようとする周囲の人との関係にすり替えてしまわれます。


このような状況の中で、アルコール依存症者は飲む事だけを更に求め、ご家族は必死になってアルコール依存症者の飲酒を止めようと悪循環に入っていきます。

★これが 出口のない 「依存症ゲーム」です。



この不健康な相互依存関係を「共依存」と言います。


★したがって、周囲の人が正しいスタンスでの対応する事が重要なのです。


☆治療を受けようとしない(断酒しようとしない)アルコール依存症者には、このような背景が多くあるのです。




◆回復できるという希望を失っている

・絶望が深すぎる場合
それまでの酒との闘いで敗れ続け、すでに絶望のどん底に落ち込んでおられる方が殆どです。
もっとも、アルコール依存症者の意識の中では、絶望とは感じられない事の方が多いのでが。
原因は、アルコール依存症の中心的な問題である「否認」があるからです。

*絶望していても、意識の上では「絶望している」と感じない典型例が アルコール依存症 です。
これは、回復に向かわないアルコール依存症者の自殺率の高さからもうかがえます。

・絶望が深ければ深いほど、酒害は認めにくくなっていきます。

・したがって、今までのやり方ではない正しい解決法を、適切な時期に提示する事が大事なのです。

★この適切な時期とは、離脱症状が抜けた直後です。

・場合によっては、退院後も、この希望を持って貰う為、自己洞察を深めて貰うための働きかけが必要な場合うも多くあります。
この場合、自助グループだけでなく、マックなどの依存症回復施設(リハビリセンター)への通所、断酒道場への入寮、アルコール依存症の専門医療機関でのデイケアなどで、回復者との接触 を多く持って頂く事や、自らを振り返る時間や環境を与える事なのです。

★回復者との出会いこそ、最も強力な希望を与えます。




◆正しい治療へ導入していない

・正しい治療への取り組みする上で、自分を超えた力に身を任せる事が大事なのですが、その為の提案がされていない場合が多々あります。
これは、専門医療機関での治療プログラムや相互支援グループ(自助グループ)、マックなどの施設への出席についての提案です。

・断酒の為の治療を提案せず、単に身体だけが楽になってしまえば、すぐに喉元過ぎてしまうのも当たり前なのです。

・これは、アルコール関連身体疾患で一般科に入院された場合や、一般の精神科で解毒治療を受けただけの人の場合に該当します。

☆正しい治療(専門医療や自助グループなど)に導入せず、「底に着ける」事は、ほとんどありません。

*アルコール依存症が難治性であると必要以上に思われる原因の一つが、この「正しい治療を提案されていない」事からきています。



◆上記の条件が整わない場合にどうなるか?

・自我の肥大化(自己中心性の復活)、コントロール欲求の再燃。
離脱期を過ぎて、数日で、飲んでいた時の防衛機制が復活します。
そして、自らの酒害に関する「否認」が復活するのです。

・いったん、この自我の復活(再肥大)が起こると、後からいくら専門治療を勧めても、本気で取り組む人は少ないのです。

☆その為、回復の為の3つの基礎を持って貰う働きかけは、治療の早期に提示する事が重要なのです。


☆離脱期が終了した後、早期に
①それまでの飲酒上の体験を、酒害体験に結びつける為の介入
②回復できるという希望
③相互支援グループ(自助グループ)などに身を委ねる為の提案
が必要です。


それが、アルコール依存症の専門医療機関での正しい治療が望ましい理由なのです。
 




●底に着いてもらう為の働きかけ

・飲酒のため、「生きる事も死ぬ事も、どうにもならなくなった」アルコール依存症者が、専門医療機関にたどり着いた時、嫌々であっても、この治療以外に生きる道がない事を受け入れて頂く事が重要です。
これは、入院のごく初期に必要なものなので、多くの専門医療機関で行う治療契約はこれです。


☆もし、ここを押さえない限り、治療についてのボタンのかけ違いが延々と続く事になります。

・解毒治療を経て(離脱期を終えて)、早期に、回復可能な病気であり、その回復の為のプログラムがある事を伝え、本人の意志で治療プログラムを受けてもらう。

・時には嫌々の時もあるかも知れませんが、そのプログラムや相互支援グループ(自助グループ)の中で、先ゆく仲間の存在に気づき、「回復出来るかも知れない」という希望が湧いてくるものです。

・回復とは、アルコール依存症の「否認」を少しずつ克服していく過程でもあり、薄皮を剥くように変わってくるものです。
治療プログラムを受けているうちに、大きな気づきをする方もあります。
また、何時とは分からないまでも、知らず知らずのうちに、「あの時が自分の底だった」と気づく事もあります。

・ご家族からの「手紙療法」や「インタベンション」などを通じて、この薄皮が剥けていく事もあります。
今 流行りの CRAFT も、同じ視点に立った介入なのです。
そういう意味でも、ご家族が変わっていく事が、非常に重要なのです。

☆このように、「底着き体験」とは、少しでも、回復に足を向けた時に起こる気づきで、過去の一時期を、自分にとっての
  
 “ターニングポイント” 

と認める事なのです。


それを経て、正しい自分の姿(等身大の自分)が受けれられるのです。


したがって、傍目から「どん底」と見えても、本人には、それが感じられない事もあるのは当然なのです。




どうですか?・・・
断酒に向けた働きかけを経て始めて、早く「底」に着けるものなのです。

言い換えると、適切な働きかけを行わない限り、自然経過を待つだけでは、「底着き」出来ずに命を落とす事も多いのです。

この、早く「底」に着いてもらう為の働きかけは、治療に導入する前から始まる事が望ましいものです。

その上で、専門医療機関で実際に治療に向けての動機付けを行い、断酒に向けての行動を引き出す事もできるのです。




☆ポイント!

・ご家族などの適切な知識を持つ
 
・保健所や精神保健センターへの相談
 
・家族グループや断酒会などに、ご家族だけで出席を始める

・ご家族が、アルコール依存症者へ送るメッセージの質を変える。

☆メッセージの質とは、否認を和らげ、現実を提示していけるメッセージです。
言い換えると、イソップの「北風と太陽」にある、太陽の暖かさです。

・適切なタイミングを待つ

・断酒の為の治療を提案する


これらの働きかけを 、冒頭で述べた“底上げ” と呼びます。





●断酒の為の努力を続けないとどうなるか?

一旦は、「底着き体験」を経ていても、その後、治療的行動を続けずにいると、アルコール依存症者の心の中には、飲んでいた時の心のあり方が復活します。

この心のあり方とは、自己中心性やコントロール欲求、その反面にある自己憐憫、恐れなどです。

したがって、アルコール依存症からの回復とは、自分のペースで、回復の階段を上がっていく事でもあるのです。

しかし、何もしないでいると、再発が始まっていくのもアルコール依存症など「依存症」の特徴です。


☆その為 アルコール依存症からの回復とは
“下りのエスカレーターを逆に昇っていくようなもの” 
と例えられます。



下記の知恵ノートも参考に

・アルコール依存症で言うところの「スリップ」と「ドライドランク」について



回復の為の行動を地道に続けていくと、再発が防げるだけでなく、さらに人間的に成長する事すら可能なのです。

ここがアルコール依存症など「依存症」の不思議な部分です。





 ●まとめ

・早期にアルコール依存症者が、治療のスタートラインに立つ為には、周囲の人が正しい認識を持って、正しいスタンスでアルコール依存症者を尊重し、アルコール依存症者に責任をお返しすることが重要です。

・アルコール依存症者への怒り、恨み、被害者意識などを周囲の人が克服し、暖かい気持ちを向ける事が重要なのです。
その程度に応じて、アルコール依存症者の「否認」を切り崩していける可能性が高まります。
ここに家族グループなどの最も重要な意味があります。

・専門医療機関の最も重要な役割は、適切な時期に、適切な回復の為の提案をする事です。

*これなくして、回復への希望も沸きませんし、そもそも「底」には着けません。





☆もし、順調に回復への道を歩まないなら

①酒害を正しく認めて貰うための、周囲の人の行動やスタンスは正しいか?・・・

②回復への希望が、適切な時期に与えられているか?・・・

③回復の為の行動を起こして貰えるチャンスを与えたか?・・・
 
④身近な人の治療的行動は?
・正しい知識の程度は?
・家族グループや断酒会などへの出席状況は?
・メッセージの質は?
・イネイブリングの有無

★この辺りをチェックを要します。



時には「底に着かないとね・・・」と逃げてしまう医療者もあります。
それも 専門医療機関までが・・・


しかし、果たして、どれだけ、その形を作れているのか?・・・
ご家族に適切な行動を、提示しているか?・・・
そして、身近な人が、どれだけ適切な行動がとれているか・・・


この辺りは、専門相談機関などに、力量を高めて頂きたい部分でもあります。





■アドバイス質問などに、お答えするコーナー

アドバイス、ありがとうございます。その中で、何らかのお答えを要する質問について、お答えするコーナーを設けました。
・pstitero さん
「底付き(着き)を自分で判断が難しい時は専門機関の助けを借りて一緒に解決していけばいいんですね...」
2012/12/01
 
底着き体験とは、自分自身の体験を、酒との付き合い(その他の依存症でも同じです)で、自分の「限界」と思え、断酒(その他の依存症でも、その行為を止め続ける)をするしかないと思える為の体験で、回復へのターニングポイントです。
専門機関(医療も含め)でのサポートも大事ですが、やはり自助グループへの出席を継続する事が、最も「底着き」をはっきりさせていく事につながります。失う物が少ないうちに回復できる秘訣でもあります。
2012/12/01


元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より




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アルコール依存症の専門医療機関でしていること。



●はじめに


アルコール依存症の治療は、専門医療機関と自助グループ(相互支援グループ)への出席が重要です。
しかし、具体的な専門医療機関での治療の内容については、あまり知られていません。

Yahoo!知恵袋にも、アルコール依存症に関する質問があれば「病院に連れて行け!」などという回答が多くあります。

しかし、アルコール依存症の治療は、あくまでも専門医療機関が望ましく、専門医療機関では ご本人の治療意志が無ければ基本的に入院出来ません。


さらに、治療を受ける気持ちにならない限り、「病院に連れて行く」などという事は、不可能な事なのです。もっとも、そのような業者はありますが、後々の治療の事を考えるとお勧めできません。


また、ご家族などが努力をし、やっとの想いで専門病院へ入院までもっていっても、ご本人に その気がないまま、退院したら元の木阿弥という事も多々あります。

この場合、退院後の治療の継続が適切だったのか、ご家族の治療的な協力が適切だったのか、という辺りを確認する事が重要です。


専門医療機関に入院させれば、その人が断酒する、という訳ではありません。
あくまでも、ご本人が、そしてご家族が 継続して治療を行っていかなければ断酒につながりません。

そういう意味で、アルコール依存症という病気は、“医療に治してもらう”的な病気ではありません。

ここでは、ご本人がどのような治療を継続し、ご家族などが、どう治療に協力する事が望ましいのかという辺りを理解して頂く為に、専門医療機関での治療の内容を中心にまとめました。





●アルコール依存症に関するお復習い
*アルコール依存症について詳しい方は、飛ばして読んで下さい。


◇アルコール依存症とは?
○コントロール障害
飲酒のコントロールを失う「病気」です。

○治癒しない病気
アルコール依存症となると、再び飲酒を始めたら、ほとんどの場合、元通りの飲み方にもどっていきます。
したがって、多くの病気のように、完全に治癒する病気ではありません。

○「進行性」で「致死的」な「病気」
断酒をしない限り、一時的に良くなったかのように見える時期はあっても、病気が軽くなっていく事は殆どありません。
飲酒を続ける限り、「薬物」アルコールへの心身の囚われ、アルコール関連身体疾患、社会的な問題は深まっていきます。
★飲酒を続けるアルコール依存症者の平均寿命は52〜3才!
☆女性の場合、さらに5〜8年才 若くして命を落とします。

○人を巻き込む病気
「人を巻き込む病気」で、「家族ぐるみの病気」
アルコール依存症者の飲酒行動に巻き込まれた人は、その想いとは裏腹に、アルコール依存症の進行に手を貸してしまいます。
この歪んだ相互依存関係が「共依存」 です。
★アルコール依存症者への巻き込まれ、「共依存」について

○アルコール依存症は、診断基準のある「病気」
・ICD-10 に基づくアルコール依存症の診断基準

・アルコール依存症のセルフチェック(CAGE)

*もしこのリンクで開けない場合には、アドレスバーにコピーしてご覧下さい。

★スクリーニングテストでも、その可能性が分かります。
・「久里浜式アルコール症スクリーニングテスト」(KAST)

新バージョンは、男性用、女性用が用意されています。
旧バージョンは、周囲から見た情報でも、ある程度判定し易いものです。



◇どこが治癒しないか?

<失ったコントロールが戻る事はありません>
一度失った飲酒のコントロールは戻りません。
たとえ長い間 飲酒をしなくても、再飲酒を開始すれば元通りの飲酒に戻ってしまう事が殆どです。
つまり、普通に、程々に飲酒出来る身体には戻りません。そういう意味で「治癒」しません。
さらに、飲んだ後のコントロールも、失っていく事は多くても、良くなっていく事もほとんどありません。


<飲酒を始めると、止まらない>
一度、飲酒を始めると、容易に酒が切れない状態に陥り易くなっていきます。
アルコール依存症は進行性の病気ですから、徐々に、このような状態に陥っていきます。
この原因は、脳の中で アルコールの代謝産物と神経伝達物質が結合し、脳内麻薬の「ニセ物」が出来ある為だと言われています。
この代謝異常は、長く飲酒をしなかったとしても、元には戻りません。
これが、アルコール依存症者が再び飲酒を始めたら元通りになるというメカニズムの一つです。

仮説ですが、アルコール依存症のコントロール障害を説明できる根拠とは下記です。

「テトラハイドロイソキノリン」について
<はてなキーワード> アルコール依存症 の一部分を転載します。
-------------------------------------------
◆連続的な強度の飲酒が続くと・・・
<エチルアルコール> → <アセトアルデヒド(大量)> → 「高アセトアルデヒド血症」(二日酔い) →アセトアルデヒド分解のために脳内でドーパミン分泌 → 3・4・二硫化フェニール・アセトアルデヒド →分解→ <THIQ>(テトラヒドロイソキノリン=アルカロイドの一種)≒モルヒネ類似物質の生成
◆脳内でTHIQが生成された事を示す具体的な症状として、ブラック・アウト(酔って記憶をなくす)がある。診察の段階でブラックアウトの有無が、アルコール依存症かどうかの第1段階の判断基準となる。
◆アルコール依存症は、脳内でモルヒネ中毒と類似の病理現象を起こしているために、通常考えられているよりはるかに身体依存(禁断症状)が強く、バルビツール酸塩型の薬物依存に近い。
-------------------------------------------


<意思力だけで、飲酒を止め続ける事が困難>
意思力だけで、飲酒をしないでいる事が困難な病気です。
何も治療的な行動をせずに暮らしていると、いくら固い決心をした人であっても、その気持ちが揺らぎ、“つい一杯だけ” に手を出してしまう事が多いのです。
この“つい一杯だけ” で止まらないのがアルコール依存症ですから、その一杯が最悪の飲酒に戻る出発点なのです。
そういう意味で、意思力に頼るのではなく、正しい治療を継続していく事が望ましい病気でもあり、「治癒しない」 という訳の一つです。

正しい治療とは、専門外来と、自助グループ(相互支援グループ)への出席、ご家族の正しい認識と対応、家族グループへの出席を続ける事などです。


<元に戻らない影響が増えていく>
飲み方そのもののコントロールが戻らないのと同様に、病気の進行に伴って、重症のアルコール関連身体疾患や脳萎縮、家庭機能など、元に戻らない影響が増えていく病気でもあります。

★以上のようにアルコール依存症とは、治癒しません。
さらに、進行性で「死に至る病気」です。
その為、他の病気のように「治癒」を目指す治療はありません。


しかし、飲酒しない生活を続ける事によって、残された健康度をフルに活用して、少しでも健康に生活できるようになる事も不可能ではありません。
これがアルコール依存症からの「回復」 という概念です。


☆その前提条件が、飲酒をしない生き方、「断酒」です。


この「断酒」をより苦痛も少なく、より安全なものにする為のものが、アルコール依存症の専門外来と「自助グループ」なのです。

★回復の前提条件を作り出しているのが、専門医療機関への入院などです。




◇アルコール依存症からの回復とは?
・回復の為の前提は、断酒を継続する事です。
飲酒を続ける限り、例え少量であっても回復はありません。いずれ元通りの飲み方に戻ります。
また飲んでいる限り(例え少量でも)、心の在り方は回復に向かいません。

・一人で我慢して飲まないでいる事には限界があります。

・単に、我慢して飲まない状態や、酒を取り上げて飲まさない事を「禁酒」 と言います。
このような「飲まない期間」がいくらあっても、アルコール依存症からの回復はありません。

・アルコール依存症からの回復に必要な「断酒」 とは、
「自分の為に、酒を飲まない生き方を選択し、実践し続ける事」 
★ これがポイント!

・アルコール依存症からの回復とは、断酒を継続していく中で、色々な健康障害を改善していく事です。
これは単に身体面だけでなく、精神的な部分や社会的な事についても言えます。
我慢して飲まないだけでは、心の回復は進みません。

・人任せで回復できるものではありません。
例えば、カウンセリングに過大な期待をしている方も多いのですが、これは洞察を深め、回復の為のヒントを得る一つの方法です。
しかし、カウンセリングで「治してもらう」という考えそのものが問題で、あくまでもアルコール依存症者自身の回復に向けた努力が必要なのです。
 
アルコール依存症とは、誰かに「治してもらう」的な病気ではなく、回復への自分自身の努力がです。

・一人の意思力だけでは断酒継続も苦しく困難です。
しかし、自助グループ(相互支援グループ)についての治療的意味は十分認められています。

・自助グループ(相互支援グループ)が生まれるまでのアルコール依存症は、回復不可能な“人格的に問題のある人”と思われていました。
*そもそも「アルコール依存症」という概念すらありませんでした。

・アメリカでAAが生まれ、そして日本でもAAとともに、AAを手本として断酒会が生まれ、その回復者が増えるにしたがって、医療が逆に取り入れたのがアルコール依存症の専門医療の誕生なのです。

 



●アルコール依存症の専門医療とは?

◇アルコール依存症の専門医療の役割
・アルコール依存症の治療の三本柱は「専門外来」+「自助グループ」(相互支援グループ)+「抗酒剤」と言われてきました。
このうち抗酒剤は、体質的に効かない方や使えない方もあります。したがって必須とは言えません。
さらに、2013年5月に発売になった「レグテクト」(アカンプロセート製剤)も、回復の為の前提である断酒をし易くする為の薬であり、基本は「専門外来」+「自助グループ」(相互支援グループ)である事に変わりありません。

・アルコール依存症とは、アルコール依存症者自身の回復の為の行動が必要です。

・アルコール依存症の専門医療とは、アルコール依存症自身が、断酒を継続し、心身の回復を取り戻す為の、そしてご家族が正しい協力を継続していけるようになる為の協力者とお考え下さい。

*アルコール依存症の専門医療とは、回復の為の協力者で、これだけで回復できるものではありません。



◇専門医療機関での入院治療の内容
次にまとめたものが、多くの専門医療機関での治療の内容です。
各医療機関によって特徴もありますが、基本的には同じ事を行います。



<アルコール依存症の方へ>

★専門医療機関での入院の原則、そして基本的なスタンス
・アルコール依存症の治療は、ご本人の治療意志を重視しています。
強制入院では、治療効果があまりないからです。
したがって、離脱症状の出現などに応じて一時的に外出などを制限できる入院形態であっても、ご本人の意志に基づく入院という形をとる事が大事です。ですから「任意入院」が基本なのです。

・入院はご本人の意志を尊重しますが、一度 治療を受ける気持ちになったら、医療側が主導権をとります。
多くの医療機関では、その強さの程度は違うにせよ、決まった治療プログラムは参加自由という事はなく、基本的に参加して頂く事が前提なのです。

・その理由は次の通りです。
アルコール依存症は「否認の病気」で、専門医療を受けるようになっても、喉元過ぎてしまう(原点を忘れてしまう)事があるからです。
専門医療機関では、そのような治療からの脱落を防ぐ取り組みも行っております。
以下、具体的な治療内容です。


①安全な解毒
(離脱症状などの出現の危険性もあります)
・その為、多くは観察室へ5日〜7日程度入室して頂き、安全に体内からアルコールを抜きます。

*離脱症状については、関連知恵ノート「アルコール依存症の離脱症状(離脱症候群)について」をお読みください。

・アルコール依存症の入院治療の多くは、精神保健福祉法に基づく「任意入院」です。
その訳は、離脱症状の出現も考えられ、解毒治療の期間は外出制限を行う必要がある為です。

・時には「振戦せん妄」と呼ばれる重症の離脱症状へ移行する場合もあり、後で説明するように、隔離室の使用が必要となる事もあるからです。
このような対応は一般科ではできません。

・もし、振戦せん妄などへ移行した場合などでは、一時的に保護室(隔離室)を利用する場合もありますが、これは、その方の安全を守る為です。

・入院初期には、身体のダメージのチェックを行います。
*身体へのダメージは、関連知恵ノート「アルコール依存症と合併症」をお読みください。


②断酒へのモチィベーションを高める
・アルコール依存症者自身が主体的に治療に取り組む必要があります。
しかし、アルコール依存症は「否認の病気」とも言われ、なかなか「その気」が生まれないものです。

・適切なタイミングを逃さない事と、ご家族への介入を通じて、アルコール依存症者の治療へのモチィベーションを高めることも不可能ではありません。
*離脱症状が抜けた直後は、最も「否認」が弱まっています。この時期に適切な介入を行います。


③アルコール関連身体疾患の治療
・適切な身体面の治療。
しかし、多くの専門医療機関では、重度の身体疾患には対応できませんから、それぞれ、協力医療機関を持っております。
 
・糖尿病や重い膵炎、肝機能障害をお持ちの方も多く、薬物療法や食事療法を行います。


④適切な薬物療法
・適切な薬物療法などによって、激しい(苦しい)離脱症状の軽減や回避、合併症の予防を行います。

・抗酒剤などを使って、断酒の継続を手助けしております。
今後は飲酒欲求抑制剤を併用する事も多くなってくると思われます。

・断酒後につきものである不眠に対しても、より依存性の弱い薬剤を利用するなど、アルコール依存症からの回復という視点で治療を行います。
*依存性を度外視すれば、いくらでも、すっと眠れて、しかも ぐっすり眠れる薬はありますが、長い目で見て、回復を促進できる事をお勧めしています。


⑤アルコール依存症についての教育
・単なる勉強会だけではなく、皆さんの酒害体験を掘り起こしながら、生きたアルコール依存症についての知識の提供を行います。


⑥酒害体験の掘り起こしと言語化を助る
・これが自助グループ(相互支援グループ)で行う「言いっぱなし」「聞きっぱなし」の練習にもなり、さらに「否認」を克服していく足掛かりになります。

・仲間の体験談を聞く練習を行って頂きます。


⑦飲酒生活で歪んだ生活、認知の歪みを修正する為の手助け
・入院中の仲間との関係や、各種プログラムへの参加。

・「認知行動療法」と言っていない病院でも、グループダイナミックスを利用した、一種の「認知行動療法」です。


⑧自助グループへの出席の基礎作り
・自助グループへの出席を続ける事によって、安定した断酒が付いて来るのです。

・自助グループへ行く習慣作を行います。
*「例会は“足で稼げ”」


⑨断酒する上での仲間作りの機会を作る
・院内で断酒をする仲間に出会えた人は、より断酒の成功率が高まります。


⑩その他
・アルコール依存症の入院治療の基本は グループダイナミックス を利用した集団療法です。
☆しかし、必要に応じて、個別面談などを通じて、回復をサポートしています。
さらに、治療に向けての動機付けを引き出す為の、個別面接などを、必要時に行います。
 
・さらに、アルコール依存症からの回復とは、自分を大事にしていく事でもあります。退院後にも生かせていけるような、健康管理の知識、薬剤情報の提供、食事や栄養指導などもプログラムや、個別に行う場合もあります。
 


<ご家族へ>
①ご家族には、家族教室や家族グループへの導入を行い、正しい知識と正しい対応ができるような援助を行います。

②必要なら3者面談、手紙療法やインタベンション(手紙を用いた治療的介入の為の面談)なども行います。

*多くは、グループダイナミックスを利用した集団療法ですが、必要なら個別の関わりを行います。

☆ご家族の行動によって、治療効果が大きく変わってきます。

*何度も再飲酒を繰り返す場合などでは、ご家族とアルコール依存症者との「共依存」への介入を要する場合が、多くあります。



◇専門外来について
・従来から「アルコール依存症治療の三本柱」として、専門外来+自助グループ(相互支援グループ)+抗酒剤と言われています。

・専門外来は、専門医療機関を退院した方のフォローというという意味もあります。
アルコール依存症は、医学的な側面からも治療が必要な「病気」です。
また、断酒には様々な壁があります。この壁を安全に超えていく為にも、アルコール依存症を熟知した医療者との接点を持ち続けて頂く事が大事なのです。
そういう意味で、断酒継続期間によって頻度は低くなってはいきますが、定期的な専門外来が重要です。

・最近では、身体的なダメージも軽く、離脱症状の出現の危険も低く、さらに治療についてのモチィベーションの高い場合には、外来+自助グループ(相互支援グループ)だけで、回復への第一歩を歩みだしておられる方も増えてきています。

・断酒の為の治療を受ける気持ちが、まだ定まらない場合も、外来でフォローする事があります。
アルコール依存症の入院治療には、ご本人の気持ちが重要ですが、これを引き出す事にも、専門外来の仕事です。



◇専門医療機関への入院治療の原則
・基本的には、ご本人の意志による、精神保健福祉法に基づく「任意入院」 です。
時には、すでにせん妄状態に陥って「医療保護入院」 という事も稀にありますが、せん妄が抜け次第、治療契約をとります。
とれない場合には、退院して頂く事になります。

・ご本人にその気(断酒をする気持ち)がない間は、専門医療機関への入院は不可能なのです。
したがって、ご本人から「その気」を引き出す事が大事なのです。

★ご家族の治療への正しい協力が得られない場合にも、入院を、お断りする場合もあります。

★くれぐれも、病院にさえ連れて行けば何とかなる という考えだけは、お捨下さい。


★入院は、ご本人の治療意志を最も重視します。


しかし、いったん治療を同意され、治療が開始された場合には、治療的提案には、従って頂きます。


・何故なら、アルコール依存症は「否認の病気」です。

・治療開始後にも、その「否認」が蘇ってくる事も多々あり、それを乗り越えて頂く為には、初心に立ち返って頂く事が重要なのです。入院時の治療契約に、です。


・専門医療機関での入院は治療プログラムを受けて頂く為のもので、多くは2〜3カ月程度です。

・治療意志が感じられない場合や、著しいルール違反があった場合などには、退院して頂く事もあります。

 


●アルコール依存症の専門医療機関を探す為に

・保健所や精神保健センターが把握しておられます。
また最近では、医療機関がネットで専門医療をPRしている事もあります。
★ただし、自分の医療機関に関して悪く言う事は決してありません。
また、公的機関でも、実際の医療の質まではご存じない場合もあります。

・そういう意味で、AAや断酒会メンバー、家族グループの方の声を聞く事が大事です。

・ネットでよく見られる医療機関に対する「口コミ」は、全面的には信用しないで下さい。
専門医療機関が治療的に効果を発揮する為には、治療的な意味から様々な縛りが生まれます。
*その医療機関への批判的な「口コミ」の一部分は、この治療的縛りを納得しない方が書かれている事もあるからです。

☆専門医療機関に関する「口コミ」は、回復者からのものを大事にする事が重要です。
回復者からの「口コミ」を得る為には、やはり自助グループや家族グループのメンバーからが最も良いでしょう。

「断酒会」 窓口は全断連 http://www.dansyu-renmei.or.jp/
「AA」(Alcoholics Anonymous) http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/

・家族グループのメンバーからも、その地域で信頼できる医療機関を教えて貰う事が可能です。
「アラノン」(Al−Anon)家族グループ http://www.al-anon.or.jp/
 



●最後に

・アルコール依存症は「治癒」しません。また「進行性」で「致死的な病気」です。
しかし、「断酒」を継続する事で回復も不可能ではありません。

・ご家族など、身近な方が大きな役割を果たしております。
正しい治療への協力が、専門医療機関での治療効果を引き出す上で重要な事なのです。
また、治療を受ける気持ちのないアルコール依存症者への「底着き」を早めるためにも、ご家族の適切な行動が必要なのです。
*関連知恵ノート「ご家族のアルコール依存症でお悩みの方へ」を参考に。


☆それをサポートするのが、アルコール依存症の専門医療です。

★決して、専門医療機関が「治してくれる」とは、お考えにならないように。

☆無理やりでも病院に連れて行けば何とかなるなどと、決してお考えにならないように!
 
医療は、回復の為の前提条件である、飲まない生活への道案内ができるに過ぎないのです。
大事なのは、ご本人の回復への努力です(例会での体験談、AAでのステップetc)。



元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より

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アルコール依存症からの回復率について


 
●はじめに

アルコール依存症からの回復率って、どれぐらい? という疑問をお持ちの方も多いと思います。
これに関して、それなりの本やネットでは 20%〜30%、厳しいところで10%です。

しかし、それまで飲酒が止められず、どうにもならなくなった方にとって、この回復率を聞くだけで「絶対無理!」 と思ってしまうのではないでしょうか?

でも、後で述べるように、ここには数字のからくりもあります。


アルコール依存症と診断されたご本人や、治療を開始して間のない方、アルコール依存症のご家族をお持ちの方知りたいのは、そのような無味乾燥な数値ではなく、実際に“回復出来るの可能性があるのか?”  ということではないでしょうか?

そういう意味で、アルコール依存症からの回復率や、回復率を考える上での前提などを整理して、お伝え致します。


アルコール依存症とは、ある意味で難治性の病気です。
ですが、正しい治療を継続する事で回復する事も不可能ではない病気でもあります。


容易に解決できない病気 楽観できない病気ではありますが、その背景には、アルコール依存症についての正しい情報が少ない事や、アルコール依存症になった人が、自分の酒害と直面化できない状況も多く存在します。
また、正しい治療を継続する人が少ないからでもあります。


したがって、アルコール依存症からの回復を、余りにも悲観的に考えるのは、もっと問題なのです。


★ここでは、単なる数字に囚われることなく、回復の為の努力を続ける事で結果がついてくる、という立場から、アルコール依存症からの回復率を示そうと考えております。
 




●アルコール依存症からの回復とは?
*アルコール依存症について詳しい方は、飛ばしてお読みください。

アルコール依存症からの回復を考える上での前提として、アルコール依存症で「回復」する部分と、「回復しない」部分について



○決して「回復」しない部分

・一度 失った飲酒のコントロール
アルコール依存症となった殆どの方は、再び飲酒のコントロールを取り戻す事は不可能です。
長年、一切飲酒をしない生活をしていても、再び飲酒を始めると、最も悪い頃の飲酒に戻るものです。
人によっては、しばらくは普通に飲めているように思える時期がある場合もありますが、これも時間の問題で、最もひどかった頃の飲酒に戻っていきます。
また、飲みだしたその一杯がきっかけで、連続飲酒になる方もあります。
∴アルコール依存症となった場合、飲酒のコントロールが「回復」する事は、まずありません。

・重い身体への影響
アルコールによる重い身体への影響(アルコール性の肝硬変や慢性膵炎、脳萎縮etc)は、断酒を続けても、元通りの状態(健康な時の状態)に戻らない場合があります。
そういう意味で、重い身体への影響は、消えない場合があります。

・家族との関係修復に、アルコール依存症者は力を持たない
飲酒によって起こった家族の問題に関して、アルコール依存症者自身は、関係を改善させる(縒りを戻す)力はありません。
これは、あくまでも、ご家族などが考える事です。
★余りにも早い時期に、家族との縒りを戻そうとする場合、それは再飲酒への落とし穴ともなります。関係修復が出来ても出来なくても、です。
∴アルコール依存症者が出来る事は、自らの回復だけです。



○「回復」が期待できる部分 その1
<本人の努力がなくても、単に飲まないだけで「回復」する部分>

・軽いアルコール依存症関連身体疾患
軽いアルコール関連身体疾患は、「回復」可能です。
また、時間はかかるのですが、末梢神経炎も、少しずつは「回復」していきます。

・人の噂も・・・ という部分
しばらく断酒が続くと、周囲の人は、これが当たり前であるとの錯覚を持ってしまいます。
信用を取り戻す場合もありますが、これは、アルコール依存症を理解しての信用回復でない場合が多いのです。
☆一般の人は、失われた飲酒のコントロールが二度と取り戻せないという事も、ご存じありません。
その為、多くは善意からですが、「もう○○年も飲んでいないんだから、少し位は・・・」と酒を勧めてくる人も多いものです。
★したがって「人の噂も・・・」という部分も、実は危機ともなります。



○「回復」が期待できる部分 その2
<本人の努力が必要な部分>
☆断酒の為の努力を継続する事によって、下記の部分で「回復」する事が期待できます。

・否認を克服
アルコール依存症による心の問題(否認など)から「回復」する事が可能です。
ただし単に飲まないだけでは、心の「回復」は、あまり得られません。
相互支援グループ(自助グループ)への出席を続け、専門外来への定期的な通院を行う事によって、それが促進されます。

・心の状態(自己中心性の克服)
断酒を継続する事によって、心の状態が より健康な方向に変わっていくものです。

進行中のアルコール依存症者の心の中には、典型的な「自己中心性」があります。
これを「自我の肥大」と言い換える事も可能です。
別の表現を使えば「我」の生き方です。


★注意!
アルコール依存症を語る場合の「自己中心性」とは、世間で言うところの「自己中」とは異なる意味が込められています。

アルコール依存症からの回復にとって、この肥大した自我を、等身大の自我に縮める事が大切なのです。
回復が進むにしたがって、生きている事の有り難さ、感謝の気持ちが蘇り、バランスがとれた、心に戻っていきます。

場合によっては、アルコール依存症となる前よりも、この辺りの気づきが得られる(成長できる)事すらあります。

・周囲の人が、回復の道を歩める
ご本人の回復と共に、近くにおられる方との関係が修復されていきます。
この関係とは、アルコール依存症との歪んだ不健康な関係、「共依存」からの回復です。

*逆に、周囲の人が、家族としての回復の為の行動を開始すると、ご本人は断酒しか道がなくなっていく事もあります。

このように、アルコール依存症者を取り巻く人間関係が、より健康を「回復」する事が可能です。

ただし、両者の「回復」には、ギャップが付きものです。
出来るだけこのギャップが少ない方が、安全に、苦痛も少なく回復に向けた滑り出しが出来ます。
その際に重要なのが、ご家族が断酒会や家族の自助グループへ出席する事なのです。



 
●アルコール依存症からの「回復率」について


○アルコール依存症からの「回復率」を考える前提

・回復率の基準
アルコール依存症からの回復率は、断酒率を基に判断されます。
もっとも、酒は飲んでいないが、心の部分では回復していない場合もあります。この部分は数値には現れませんから、ここでは取り上げません。
しかし、下記の知恵ノートを参考に!

アルコール依存症で言うところの「スリップ」と「ドライドランク」について


・回復率を算定する際の分母
アルコール依存症者の断酒率を判断する場合の分母は、あくまでも専門医療機関からの退院者とする場合が多いのです。ここでも、それに従います。
そもそも、専門医療機関に出会えず、正しい断酒の道を示すような治療や提案をされなかった方は、断酒率の算定には含めません。


○断酒率の推移

専門医療機関を退院した人が、どれぐらいの断酒成績であるかは、下記の通りです。
多少、調査機関や発表者によって違いますが、ごく標準的な数値です。

・退院日〜退院後1週間
80%程度は、飲酒していない。ただし、断酒とは言えない人も含まれています。
退院したその夜、またはそう遠くない時期に断酒会やAAなどの相互支援グループ(自助グループ)へ出席する方は、50%〜60%辺りです。
少なくとも、この方は、回復の為の(断酒の為の)努力をしておられると言えます。
言い換えると、断酒の為の一番の狭き門を突破したと言えます。

・退院後1カ月〜3カ月
約40%です。この辺りで、相互支援グループ(自助グループ)への出席者と非出席者との断酒率の差が明確になってきます。

・退院後1年
20%〜30%です。

・長期断酒率
10%〜15%と言われています。この殆どは、相互支援グループ(自助グループ)への出席者です。

☆この様な事から、アルコール依存症からの「回復率」(断酒率)を、30%と言う場合もあり、また10〜15%とも言われるのです。

このように、断酒率(回復率)は、見方によって、大きく異なってしまうものなのです。
 




●回復率を、如何に捉えるか?


○断酒は不可能ではないという事
・・・断酒は、難行苦行ではない・・・

・「断酒って険しくて苦しい、永遠に続く道」と、最初から諦めてしまわれる方もよくあります。
それまで「酒を何とかしよう」と必死になって来られたアルコール依存症者が殆どですから、これも当然です。
でも、相互支援グループ(自助グループ)へ出席する、体験談を語る、という努力だけは、して来なかった方が多いのです。

・長期断酒率である10%〜15%か、短期断酒率である30%のどちらが正しいのか? 疑問に思われるでしょう。
しかし、専門医療機関を退院した方の 10年先の行動を予測することって不可能です。
10%〜15%とは、その間、断酒の為の努力(行動)を続けて来られた結果なのです。

・断酒を継続する上での行動は、「難行苦行」ではありません。
これは、相互支援グループ(自助グループ)の仲間の中でなら可能なのです。

しかし、たった一人で酒を我慢する事は、「難行苦行」でしかなく、ほとんど不可能に近いのです。


ただし、今まで飲酒をする事が当たり前の生活を続けて来られた方にとっては、しばらくは苦しい時期はあります。
これは「我慢の断酒」の時期です。

逆に、飲む事を止めてからの方が、より苦しい時期はあります。
なぜなら、酒抜きで現実に直面するからなのです。

しかし、断酒継続にしたがって、次第に自然態で断酒が続けられるようになってくるものです。
これは、先ゆく仲間の姿を見て頂ければ分かる通りです。



○正しい治療を継続しない方を、断酒率の計算に入れて良いのか?

・アルコール依存症からの回復とは「動的なもの」です。
常に回復の為の努力を続ける事によって保たれている状態なのです。

・アルコール依存症からの回復を、“下りのエスカレーターを逆に昇っていく事” と例えられる場合が多くあります。
常に、足を動かさないと、その場にとどまるのではなく、回復からは後退してしまうのです。
その行き着く先は、再飲酒なのです。

*アルコール依存症で言うところの「スリップ」と「ドライドランク」について を参考に


しかし、繰り返しますが、相互支援グループ(自助グループ)でのこの努力とは、決して「難行苦行」ではありません。ここがポイントです。

★多くの先行く仲間の姿に、「難行苦行」はありません。


・他の病気ならどう捉えるか?・・・

例えば、胃ガンになった場合、それも早期発見なら高い確率で「回復」は可能です。
当然ですが、アルコール依存症の「回復率」(断酒率)と比較にならない程、高いものです。

この場合、手術を受けるなど、正しい治療を受けた上での「回復率」なのです。

もし、「俺は自分の意志の力で胃ガンを治す」と言う人があった場合、これを胃ガンの治療を受けた人の「回復率」に入れまか?・・・ 

決して入れません。

「そんな馬鹿な事を言って!」
と、お思いの方もあるかも知れません。


しかし、アルコール依存症を「自分の意思で治す」という考え方とは、「ガンを自分の意思で治す」と同じくらい、馬鹿げた考え方なのです。

アルコール依存症であっても、正しい治療を続けず、「俺の意志で・・・」と奮闘をしている人を、その「回復率」に入れる事が、そもそも間違いなのです。





●アルコール依存症からの「回復率」
   ・・・・ 改訂版 ・・・・


・アルコール依存症からの「回復」とは、固定した状態ではなく、あくまでも「動的なも」のです。
その為、「回復」の為の行動を継続する上で与えられる状態であるとお考え下さい。

・アルコール依存症からの「回復率」(断酒率)の裏側には、言い換えると、回復できない人の数には、多分に、正しい治療を受けていない人、治療を放棄した方の数も入っているのです。

・アルコール依存症からの回復への 最も「狭き門」とは、実は退院したその日から1週間辺りなのです。
その間に飲まない人は恐らく80%程です。
しかし、実際に断酒会やAAなどの相互支援グループ(自助グループ)へ出席するなど、回復の為の努力を開始した人は50%〜60%です。

・このように、この時期に40%〜50%の人が、飲むか飲まないは抜きにして、すでに正しい治療という意味では脱落しているのです。

☆ここに注目して頂きたいのです。
断酒率は、次第に低下していきます。
しかし、最も低下するのはこの時期なのです。

・退院した後の1週間に、相互支援グループ(自助グループ)への出席や専門外来への通院を始めた人は、「回復」への切符を一時的に手にした事になります。
でも、これを継続する事は、たやすい事ではありません。
努力が必要なのは、言うまでもありません。

★これは不可能ではありません。

・長期断酒率である10人の内の一人に入る自信って、普通はありません。
特に、アルコール依存症で苦しみ、回復の進んでいない方の場合、自尊心もズタズタです。
そのような方に「10人のうちの1人に入りなさい」など、決して私は言いません。
その訳は、回復には希望が必要だからなのです。
アルコール依存症からの回復には下記の①②③が必要です。

①自分の酒害を認める

②その問題を解決する為の自分を超える力がある事を信じる

③その力に身を任せる事

・「今、この時」という事
アルコール依存症者に対して、この10%に入る事を提示するのは、実は周囲の人の焦りなのです。

人の10年先の行動を、今、この時に予測する事は不可能です。
人は「今、この時」に生きています。
回復を目指しているアルコール依存症者も、「今、この時」を生きているのです。
そこに、10年先を考えるという焦りが入ってくる事に問題があるのです。

したがって相互支援グループ(自助グループ)でも、この「今、この時」を重要な事として考えておられます。

AAの「今日一日」

断酒会での「一日断酒」

という言葉には、このような意味があるのです。

その努力を続けている限り、回復への切符を持ち続けているのです。

「明けない夜はありません」


☆以上のように、断酒率に囚われるのは、本当は現実的な事ではありません。

大事なのは、「今、この時」に出来る、回復の為の行動を、如何に選択し続けていくか、という事なのです。

そして、これを支えてくれるものが、専門外来と断酒会やAAなど相互支援グループ(自助グループ)なのです。
 



●まとめ
・アルコール依存症からの「回復率」が低いと思っても、悲観すること なかれ。
正しい治療を継続している人の回復率は、決して悲観的になる程、低くありません。

・相互支援グループ(自助グループ)の仲間の中に、どっぷり漬かって、自分の体験談を語る事、仲間の体験談を聞く事だけに重点を置く。

・その日だけ飲まない事は、アルコール依存症者の多くが可能です。

・その、飲まないうちに相互支援グループ(自助グループ)へ出席する事が、ポイントです。



<飲まない期間がある程度 続けば>

・自分の生き方の点検を
断酒会なら酒害体験の更なる掘り起こし、AAなら「ステップ」です。

・断酒会なら、手本になる先輩を見つけましょう。AAなら、スポンサーを持ちましょう。

・力を貰っている相互支援グループ(自助グループ)、仲間の為に動く事も、更なる回復にとっての大事な作業です。これは断酒会でもAAでも同じです。

・断酒会なら、色々な役割を引き受ける事も必要でしょう。
AAでも、ホームグループなどの役割を持ったりと、自分が生かされている共同体を大事に!




★アルコール依存症からの回復の為の相互支援グループ(自助グループ)

「断酒会」 窓口は全断連  http://www.dansyu-renmei.or.jp/

「AA」(Alcoholics Anonymous) http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/




☆家族グループ(家族の相互支援グループ 自助グループ)

「アラノン」(Al−Anon)家族グループ http://www.al-anon.or.jp/

「家族の回復ステップ12」 http://frstep12.info/

「ファミリーズアノニマス」
(アルコール、薬物、ギャンブル、買い物、ゲーム、摂食障害etc.ご家族や友人に依存症の問題を持つ方のための相互支援グループ)


*その他、断酒会の家族会も、家族グループです。
さらに、別の家族グループるかも知れません。



◆リハビリセンター
マック(MAC) アルコール依存症のリハビリセンター
*ここから、調べてください。
なお、一部、移転しているマックもあります。




元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より
 


この記事に

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アルコール依存症者への巻き込まれ、「共依存」について


●はじめに

アルコール依存症は 「否認の病気」 であるとともに 「人を巻き込む病気」 です。


アルコール依存症からの回復には、アルコール依存症者自身の自覚と治療的行動が必要で、無理やり病院に連れて行っても治療効果は期待できません。
しかもアルコール依存症は「否認の病気」 ですから、自ら、自分の酒害を認める事は、なかなかできません。


しかし「否認」とは、固定したものではありません。

否認を強める要素は、周囲の人との関係の中にもあります。

その関係を「共依存」 と呼び、「共依存」 に陥っていく過程を「巻き込まれ」 と言います。


アルコール依存症者に「巻き込まれ」たご家族の多くは、その想いとは裏腹に、病気としてのアルコール依存症の進行を後押ししてしまいます。

アルコール依存症者の近くにいる人が、この「共依存」という不健康な関係を克服できた程度に応じて、アルコール依存症者自身が、酒害を自分の問題として直面化する可能性も高まり、それが真に依存症となった家族の一員を尊重する事にもなるのです。


そういう意味で、アルコール依存症者が治療的行動を起こせるか否か、そのキーを握るのが、身近な ご家族の行動なのです。


ここでは、アルコール依存症の進行と、結果的に、それを支えてしまう行動をとりがちなご家族の行動を例に挙げ、解決も可能であるという立場で説明いたします。
さらにアルコール依存症以外の多くの依存症に対しても応用は可能なのです。
 


なお、この知恵ノートは 家族など運命共同体である依存症となった家族の一員への対応を念頭に置いて作成しました。

しかし、パートナーの依存症によって結婚する事を取り止めたり、また最終的に離婚などを選択される場合も多々あります。
それでも、依存症者の影響を強く受けたその人の人生が有意義なものになるか否かは、依存症者との関係を、如何に心の中で消化していくかにかかっております。

例え離別になったとしても、この「巻き込まれ」という切り口を通じて、影響から自由になる事が大事なのです。

言い換えると、依存症者の影響から自由になった程度に応じて、依存症者の影響を受けた人の人生も豊かなものになっていくのです。


したがって、単にアルコール依存症となった家族の一員を回復に導くだけでなく、例え離別と言う結果に至ったとしても、家族としての回復の意味はあるのです。

その部分も読み取って頂きたいと考えております。






●アルコール依存症者に「巻き込まれ」る、という事について

1)「巻き込まれ」について

・「巻き込まれ」とは、飲み続けているアルコール依存症が、身近な人へ与える影響の一つです。

・アルコール依存症という病気は、周囲の人への影響を及ぼし、共に健康を害していくため、「人を巻き込む病気」 と言われます。

・アルコール依存症になった方がおられる家庭では、「酒を飲まない病人ができる」 と言われるほど、進行中のアルコール依存症者の周囲へ与える影響は大きいものです。

・巻き込まれたご家族とアルコール依存症者は、共に影響を与えつつ(互いに反応しつつ)、治療的な介入がない限り、歪んだ関係を続けていきます。
この歪んだ相互依存関係を「共依存」 と呼びます。

・「共依存」 に陥ったアルコール依存症者と身近な人は、さらに健康を損なっていく方向に影響を与え合っていきます。
その為、アルコール依存症は「家族ぐるみの病気」 とも言われています。

・アルコール依存症という病気を何とか出来るのは、断酒する気になった本人だけです。
本人が断酒する気持ちになる以外に、これを解決する事は不可能です。
しかし、正しい情報もなく、正しい支援もないままに、飲んでいるアルコール依存症者に対応していると、次第に心のバランスを崩していきます。
アルコール依存症者に巻き込まれた身近な人は、アルコール依存症者の酒を何とか減らそう、止めさせようという不可能な衝動に突き動かされてしまいます。

結果的に、これらの行動が、アルコール依存症者の回復を阻害していきます。
これが「巻き込まれ」 です。




2)「巻き込まれ」という視点が重要な理由

・アルコール依存症とは、依存性薬物 であるアルコールに対する心身の囚われ(精神依存と身体依存)によって、次第にコントロールを失っていく病気です。
しかし、「巻き込まれた」ご家族からは、このコントロール障害が病気であるという事が、最も見えなくなっていきます。
その結果、いわゆる「巻き込まれ」行動をとってしまい、アルコール依存症者自身が、自分の酒害と向き合う事が出来なくなっていくのです。

・したがって、この病気を陰で支えている「巻き込まれ」という現象を正しく捉え、ご家族などが正しく行動できるようになって行く事が、アルコール依存症者を断酒導く上で重要なことなのです。

★ひどい状態に陥っているにも関わらず、治療を受ける気持ちがない時や、何度も断酒に失敗している場合には、まずは周囲の人の行動をチェックしていく必要があるのも、この「陰で」アルコール依存症を支えている可能性があるからです。

それを「イネイブリング」と言います。




3)アルコール依存症の進行と「巻き込まれ」の過程

①アルコール依存症者(予備軍も含む)の中だけで進行している段階

a.最初の段階
(アルコール依存症者が飲酒のコントロールを失っていくと・・・)

・アルコール依存症者(予備軍も含む)の、アルコールに対する心身の囚われ(精神依存と身体依存)が出来上がっていき、次第に飲む量、飲んではいけない場面での飲酒、飲んだ後のコントロールなどを失っていきます。

・この時期は、アルコール依存症者(予備軍も)自身でも、危機感を持っている場合も多いものです。
その為、一升瓶に自分で線を引き、飲む量を減らそうとしたり、外では飲まないなどの自分なりの工夫をする事も多いものです。

*断酒後に、この時期の事を回想し、自分の酒害の古い記憶を蘇らせている回復者も多いものです。

・でも、この時期の多くは、周囲の人は気がつきません。
したがって、ご家族など身近な人も、ご本人が断酒を始めてから、「そう言えば・・・」と過去を振り返り、思い当たる事を見つける場合が多いのです。

☆周囲の人の多くは、その時期があった事すら、記憶に残っていない場合も多いもので、ただただ好きで飲んでいたという解釈をしている場合が多いのです。



b.次第にアルコールに対する「依存」が強まっていく時期

・アルコール依存症は「進行性の病気」で、飲み続ける限り、コントロールをさらに失っていきます。

・この時期に入ってくると、アルコール依存症者(予備軍)の人は、さらに自分の飲酒を何とかしようと必死になる事もあります。

・しかし、アルコール依存症は「病気」ですから、意思力で封じ込められるものではありません。
したがって、さらにコントロールを失っていく事になります。



c.アルコール依存症者の心の中に「否認」が生まれる段階

・アルコール依存症者は、上記のように、無抵抗にアルコール依存症になっていったのではありません。
必死に酒と闘い、そして敗れ続けていったという体験を、皆持っているのです。

・人は誰でも、健康に生きていきたいという気持ちを持っています。これはアルコール依存症の人でも同じです。
しかし、「病気としてのアルコール依存症」はそれとは関係なく進行していきます。

・アルコール依存症となった人(なっていく人)は、度重なる酒に対する敗北を経験し続けます。
そこで自尊心を維持する為に、自らの「健康に生きていきたい」という気持ちや、自分の状態への危機感などを誤魔化していく必要が生まれてきます。

これには、世間に行き渡っている「アル中イメージ」も深く関係しています。誰しも、「アル中」というスティグマは知っており、必死になって、酒に負けている自分を否定しなくてはいけなくなっていくのです。


これがアルコール依存症にとって最も厄介な「否認」の生まれる背景です。


*アルコール依存症の「否認」とは、まずはこのような必要性から生まれてくるものなのです。





②周囲の人が反応する(巻き込まれが始まる)

アルコール依存症者に、次第に飲酒上の問題が表面化する中で、周囲の人はアルコール依存症者の飲酒問題に反応を始めます。

・その頃には、アルコール依存症者の心の中には「否認」が生まれているため、次第に自らの問題を認めないようになってきています。

・周囲の人は、まずアルコール依存症者が飲みすぎるとき、何とか減らそうと必死になっていきます。

・しかし、アルコール依存症は意志の力では何ともならない病気ですから、周囲が必死になっても飲酒が減る事はありません。

・そういう段階に入って、次第に周囲の人の関心は、アルコール依存症者が「飲むか、飲まないか」 という事に絞られていきます。

・それでもアルコール依存症者の飲酒は改善しません。
何故ならアルコール依存症という進行性の病気にかかっているからで、正しい治療(断酒の為の治療)をしていないのですから、良くなるはずはありません。

・ますます周囲の人は、アルコール依存症者の行動に囚われていきます。
しかし、アルコール依存症という病気という認識は普通ありませんから、飲む原因など、周囲の人は責任を感じつつ、必死に飲ませないような行動をとります。

<周囲の人がとりやすい行動>
・飲酒量が多いと口を酸っぱくして注意する。
・飲酒しようとすると必死に止める。
・酒を取り上げようとする。
・酒を買いに行こうとすると必死に止める。
・飲まないという約束を取り付けようとする。
・飲んだ事で責めたてる/時には「今度飲んだら離婚する」etc と言葉の脅しを使うようになっていく。
・その反面、飲んだ後始末を始める。

*その他 もっとあるかも知れませんが、この辺りが多いでしょう。




③周囲の人の行動に、今度はアルコール依存症者が反応を始める。

周囲の人がアルコール依存症者の行動に巻き込まれ、「巻き込まれ」に基づく行動を始めると、今度はアルコール依存症者が、周囲の人の「巻き込まれ」行動に反応を始めます。


<その行動は下記>
・隠し酒を始める。
・飲んだ責任を、周囲に転嫁する。
「お前がうるさく言うから、俺は酒を飲むんだ!」etc
・巻き込まれた周囲の人が飲酒に口を挟んだり、酒を取り上げると、それに対して暴言や暴力を使い始める。
・飲酒の上での問題を、巻き込まれた周囲の人が解決し始めます。
さらにブラックアウトの影響もあり、自らの酒害への認識がますます薄れていきます。

☆その後、③の状態にあるアルコール依存症者に、周囲の人がさらに反応し、回復へのきっかけがない限り、延々と②③を繰り返してしまいます。

その中で、アルコール依存症者は「如何にして飲むか」、周囲の人は「どうしたら飲まさないように出来るか」という闘いが繰り広げられてしまうのです。
★これが「依存症ゲーム」です。


<共依存>
このような不健康な相互依存関係を 「共依存」 と言います。


<否認の強まり>
アルコール依存症者は、自己破壊的な飲酒を続け、その中で自らの中にからのメッセージに蓋をします。

また、周囲の人の心の中も、アルコール依存症者の飲酒問題に囚われる事によって、苦しい心の中を見ないですむようになるのです。

家族は自分の人生を生きると言う責任から目を逸らすことになります。

「共依存」とは、このような両者の、歪んだ相互依存関係です。


・その中で、さらにアルコール依存症者自身は、周囲の人からの攻撃に反応し、「否認」という防衛の上着を厚着していきます。


★周囲の人の行動によって「否認」が強まっていく事が、ご理解頂けたでしょうか?


☆この「巻き込まれて」いく過程を3幕の芝居に見立てて説明しているのが、下記 アラノン の資料です。

「否認という名の回転木馬」
 
*ここでの説明も、「否認という名の回転木馬」に基づいております。






●アルコール依存症者と「巻き込まれ」た人とのやり取りで、動きを変える事が可能な場面とは?


1)どこが変えられるか?

アルコール依存症者から、自ら治療を受ける気持ちを引き出す事が、アルコール依存症者を回復に導く為に必要な事です。

アルコール依存症の進行と、巻き込まれの過程のどこを変える事が出来るかを説明いたします。


上記の①②③の中で、①とはアルコール依存症者の中だけで進行している過程なので、周囲には見えません。

また、アルコール依存症者の飲酒行動を、周囲の人が何とか出来るものでもありません。


しかし、問題飲酒を繰り返すアルコール依存症者の行動に反応する ② は、周囲の人の行動で変える事は可能なのです。


*ここがアルコール依存症者に、断酒の為の治療を受けて頂く上での介入のポイントなのです。



★ポイント
もし、周囲の人の行動が変われば、③はあり得ません。

上手くすると、アルコール依存症者自身が、もう一度 ① に戻り、自らのアルコール問題に直面せざるを得ないようになる可能性が生まれてきます。




2)どうすれば、周囲の人が行動を変えていけるか?

a.知識を持つ

・アルコール依存症という病気は知られているようで、正しい知識は、行き渡っていません。

・飲酒のコントロールを失っていく家族の一員を見て、必死に酒を止めさそうとします。
しかし、これは不可能な事なのです。

☆アルコール依存症者の酒に対して、家族は無力です。
この無力をまず認める為にも、知識が大事なのです。



b.適切な支援を受ける

・アルコール依存症は、人を巻き込む病気ですから、適切な支援なく「巻き込まれ」行動を止める事は、ほぼ不可能です。
したがって、アルコール依存症者のご家族などが、適切な支援を受ける事が重要なのです。



<望ましい支援>
・保健所や精神保健センターへの相談。

*精神保健センター、アルコール依存症の専門医療機関などで開催されている「家族教室」へ出席する。これは、正しいスタンスでの対応を学ぶ為です。

「精神保健センター」

・断酒会や家族グループであるアラノンなどに出席をする。
実際に同じような状況を乗り越えた家族などに会え、正しいスタンスで接する上でのヒントが得られます。

「断酒会」 窓口は全断連  http://www.dansyu-renmei.or.jp/

「アラノン」(Al−Anon)家族グループ  http://www.al-anon.or.jp/

「家族の回復ステップ12」 http://frstep12.info/





c.適切なスタンスで、アルコール依存症者に接する

★基本的なスタンス


飲酒の責任を、アルコール依存症者自身にお返しする事です。


・監視はしない
酒との闘いから家族は手を退く事です。
家族には、アルコール依存症者の酒を減らしたり止めさせる力はありません。
また、この家族の行動が、アルコール依存症者の「否認」を強める事になってしまうのです。

・責めない
アルコール依存症者が飲酒をしていても責めない。責めても「否認」を深めるだけなのです。
責めるのは、一時的な気晴らし(非治療的な気晴らし)にしか過ぎず、事態を悪化させる方向にしかなりません。

・後始末をしない
よほど危険でない限り、飲んだ後始末はしない事です。
それまで、色々な後始末をしてこられたと思いますが、それをしている限り、アルコール依存症者自身は、それほど困らないのです。
さらに、自分の酒害に対する正しい認識が失われてしまいます。


*危険が及ぶ場合には、逃げて下さい。
決して暴力には立ち向かわないようにしましょう。お互いに傷つくだけです。

★しかし、正しいスタンスで接する事が出来ていれば、このような修羅場は、確実に減ります。


◎適切な支援(保健所や精神保健センター、断酒会やアラノンなどの家族グループ)を受け、正しい対応が続けられると、アルコール依存症者自身から、断酒の為の治療を受ける気持ちが引き出せる可能性が高まります。

もし、アルコール依存症者が、自らの飲酒の問題で深く反省している時や、酒が切れずに「助けてくれ」と言い出した場合などは、断酒の為の治療についてだけ、協力して下さい。
それ以外の協力は不要です。

もし、色々な条件をアルコール依存症者が口にするなら、まだその時期ではない可能性もあります。
次の機会を待ちましょう。


☆このタイミングは非常に難しい部分があります。
早過ぎると気づけませんし、遅過ぎると命を落とします。
そのため、相談機関である保健所や精神保健センター、断酒会やアラノンのメンバーのアドバイスを聞いて行動しましょう。




★「共依存」に陥る事を強いられる状況

アルコール依存症者に対して、不健康な相互依存関係を止めていく事が重要なのですが、時には、周囲の圧力によって、これを強いられる場面があります。


①家庭で起こる事
多くのアルコール依存症者の親、兄弟、親戚は、病気として見る事ができず、「嫁が悪い」「嫁がもっと美味しいものを作れば飲まない」「嫁はもっと面倒をみるべき」etc とプレッシャーをかけてくるものです。
したがって、相談員や断酒会の家族会員、家族グループの先ゆく仲間に支えてもらう事が重要なのなのです。


②介護関係の施設や介護の場面
別の場面で多いのは、介護関係の施設やヘルパーさんなどです。
飲酒問題があっても、依頼があると断る事が困難であり、支援を勝手に止める事も、その利用者の生活や命を預かっているという事からできません。

しかし、多くの場合、飲酒を続ける人にサービスを入れても、これは『飲んでいても生活できる』という状況に手を貸すだけなのです。
長い目で見て、その人の回復のチャンスを潰している事になってしまうのです。
これは、アルコール依存症からの回復を阻害する事なのですが、分かっていても、その場に介入してしまった人は、嫌でも「共依存」に陥る事を強いられてしまいます。
悪い言い方かも知れませんが、薄々アルコール依存症と分かっていても、施設や実際に介護場面にいる現場の人に責任を押しつけてしまっている状況なのです。

この場合に可能な行動は、まず正しい知識を持つ事と、関係者会議を開き、正しいアルコール依存症についての認識を基にして、本当にその人に対してしている支援が、その人にとって良い事なのかを評価し、場合によっては、断酒の為の治療に結びつける為に、一時的に支援を止める事も大事になってきます。
言い換えると、支援を止める中で、治療に結びつける為のチャンスを作るのです。

なお、アルコール依存症は「緩慢な自殺」ですから、断酒をしないアルコール依存症者は、死に最も近い生活をしていますから、支援が有る無しに関わらず、飲酒を続ける以上、常に死の危険が伴います。


最も注意すべき事は、本人の為に支援を止めている時に、もしその利用者さんが亡くなられた場合、支援を止めた施設などを興味本位で無責任な、そしてアルコール依存症について知識のないマスコミが攻撃する事もあるという事です。
これは、せっかく利用者さんの為に起こした正しい行動によって、正しい行動をした人が責められるという、あってはならない事なのですが、実際には、これを念頭に置いて行動することが大事なのです。


<施設や介護場面での正しい行動の為に>
・一人で抱え込まず、施設でよくカンファレンスを行い、本当にその人に支援が必要かを十分に評価する。
・施設だけで抱え込まず、関係者会議を開き、関係者の中で適切な方向性を決めていく。アルコール依存症に焦点を当てた方針が出せる人も、結構多いのです。
・本人の回復の為に、一時的に支援を止める事も必要。
・その場合、支援を止めた事からの危険を如何に防ぐかという事がまず大事になります。
★誰が、どのような安否確認をするか?・・・
・タイムリーな治療への導入をする為のプランを立てておくこと。その為には、包括などの介護関係だけでなく、保健所や精神保健センター、出来ればアルコール依存症の専門医にも登場して頂く事が望ましいと思います。


*飲酒中の利用者への対応に関する質問を受け、回答させて頂きました。このような状況は、実際には大変多いと考えております。



私も訪問看護をしていた時、アルコール依存症の方に遭遇した事もありました。
その時には、関係者間に、アルコール依存症についての情報を提供し、飲んだら困る状況を作って、ご本人には自助グループへの導入を試みてみました。
関わりが短かった事もあり、その後の事はわかりませんが・・・・
             -------2012/09/20-------





●共依存を、もっと ややこしく している要因

依存症者に対して、その身近な人が巻き込まれ、いわゆる「共依存」に陥る、というのは、分かり易い事です。

しかし、実際には、「共依存」に陥っている依存症者とその身近な人の影響を受けて、少し離れた人が巻き込まれ、結果的に、この「共依存」を手助けするようになっていく事も、多々あります。


<例>
離れて暮らす父がアルコール依存症で、一緒に住む母が父のアルコール依存症に巻き込まれ「共依存」に陥っている場合を考えてみて下さい。

例え 離れて暮らしているといっても、どうしても両親の問題に巻き込まれていくものです。

よくある状況としては、父のアルコール依存症に巻き込まれた母が、離れて暮らす娘に助けを求め、一時的な娘の介入などによって、父親のアルコール依存症への正しい対処が出来ていない場合でも、何とか乗り切っていく、という場合です。

しかしこれは、父親のアルコール依存症からの回復という視点からは、問題の先送りでしかないのです。
本当なら「底着き」をしてもらう絶好のチャンスが到来する所を、安易な手助けによって、お茶を濁すという事態も多々あります。

実はこのような事態は、アルコール依存症者を取り巻く状況としては、結構多いのです。

いつまでたっても、アルコール依存症者が底に着かない、あるいは身近な人の「巻き込まれ」行動が止められない(家族として底に着かない)場合には、この「共依存」を支えている「誰か」が存在しないか、という辺りを調べていく事が大事なのです。


「共依存」に陥っている人たちを、一つの依存症として捉え、それに対してイネイブリングしていないか? という辺りを調べる事なのです。


このように、「共依存」という依存症に陥っている人に対して、少し離れた人が巻き込まれる、という事は、結構多いことなのです。


依存症者に対して、下手な手出し口出しはしない、というのが鉄則です。
これは、「共依存」に陥っている人に対しても言える事なのです。





●最後に

・アルコール依存症は、進行性で致死的な病気な病気で、治癒はしませんが、断酒を継続する事によって回復も不可能ではありません。

・アルコール依存症は、アルコール依存症者本人に治療を受ける気持ちがない限り、治療効果はありません。

・しかし、アルコール依存症自身に、治療を受ける気持ちを引き出す事は、不可能ではないのです。
そのためには、アルコール依存症者へのスタンス、メッセージの質などを変えていくことによって、早める事も可能なのです。


最近出版された下記が、参考になります。


「CRAFT 依存症者家族のための対応ハンドブック」
 ロバート・メイヤーズ (著) 
金剛出版


☆周囲の人が、アルコール依存症者への巻き込まれ行動を止め、回復を支える行動に変えていく事が大事なのです。

この為のヒントとなる部分をまとめてみました。


正しい知識と適切な相談窓口の利用、そして適切な行動が、アルコール依存症者の断酒への可能性を高め、ご家族自身の健康を回復させるきっかけとなります。


例え、依存症者と離別という道を選んだとしても、正しい認識を持ち、過去の体験を別の意味づけで読み替えていく事は、家族など身近な人の回復につながるのです。




元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より



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アルコール依存症で言うところの「スリップ」と「ドライドランク」について



●はじめに


「スリップ」や「ドライドランク」という言葉は、よく使われています。

断酒しようとしている人が飲酒した場合、「滑ってしまう」と表現することも多く、その事から「スリップ」と言うと、お思いの方も多いのではないでしょうか?

また、ドライドランクも、「飲まない酔っぱらい」なのですが、この「酔っぱらい」という意味は何なのかとなると、どの辺りまで真の意味通りに使われているかは、心細いところでもあります。


以前より知恵ノートとして投稿する予定でしたがなかなか投稿する事ができませんでした。
今回(2012年5月)、Twitter からリクエストがありましたので、アルコール依存症を考える為に、また理解を深める上でのヒント、そしてアルコール依存症からの回復を理解するキーワードとして、紹介いたします。

もっとも、あくまでも私の理解という部分を超える事は出来ませんが。

まずは「スリップ」から。




●スリップの語源

○車がスリップする、という意味での「スリップ」ではありません。

アルコール依存症で言うところの「スリップ」とは
“滑ってしまう” 
“滑る”
という意味での「スリップ」ではありません。

AA(Alcoholics Anonymos)のメンバーが作成した資料によると

“Sobriety Loses Its Priority”
の頭文字
 「S」.「L」.「I」.「P」
からきています。

したがって、滑るというのは、俗にそう言われているだけなのです。

もっとも、「滑る」という意味でも伝わるところが面白いですね。


○“Sobriety”とは?

“Sobriety”とは、辞書によると「酔っていない」「真面目」「節酒」などと言う意味もあります。
しかしAAで言うところの“Sobriety”とは、酒を飲まない生き方、酔っていない考え方ができている生き方です。


○語源から考えると

“Sobriety Loses Its Priority” → S.L.I.P

英語としての構文上、おかしい所もあり、英語に詳しい人の多くは(そのような人ほど)、首を傾げます。


直訳すると「節酒は、その優先順位を紛失」となるとなってしまいます。
この場合の“Sobriety”は、「節酒」と訳しています。

意訳すると
「酒を飲む事を優先した」
「酒を飲むと、優先順位が失われる」

となります。
極端な意訳では、「飲みたかったから飲んだ」 というものもあります。


★ひょっとすると

“Sobriety”(飲まずに生きる事)の部分
“ Loses Its Priority”(優先順位が失われる)の部分

この二つを別に考えるのが、S.L.I.P の元々の意味なのかも知れません。
そう考えると、もっと深い意味を含んでいるものと理解する事もできます。

*そうすると、「飲酒すると、素面で生きるという優先順位が失われる」なのかも知れません。

あくませも推測の域を超えませんが・・・。


★AAは、その「12の伝統」で
「アルコホーリクス・アノニマスは、外部の問題に意見を持たない。したがって、AAの名前は決して公の論争では引き合いに出されない。」
とあります。

そのため、あくまでも“Alcoholics Anonymos”などを読んで、グループとしてのAAの基本的な考え方(回復イメージ)、そこから“Sobriety Loses Its Priority”の意味を推測するしかありません。




●スリップ(S.L.I.P) の意味

○スリップの意味

<アルコール依存症にとってのスリップ>
アルコール依存症者が相互支援グループ(自助グループ)に来て、飲まない期間がある程度続いた後に再飲酒することを「スリップ」と言います。

したがって、飲酒を止めている(断酒している)期間が続かないうちにまた飲酒している場合には、スリップなどとは言えないのです。

飲んだり止めたりを繰り返している状態も、スリップとは言えません。

☆これは、進行中のアルコール依存症者に、たまたま「休肝日」が出来、それが終わって飲みだしただけなのです。


<アルコール依存症以外の依存症の場合>
アルコール依存症以外の依存症の場合でも、スリップという言葉は使います。

その場合にも、「スリップ」とは、止めていた“Addiction”を再び行ってしまうことを意味します。
他の依存症にとっての“Sobriety” でも、依存症を使わずに生きる事ですから、同じであると言えます。
もっとも、アルコール依存症以外の薬物依存症では、“クリーン”とは言ったり、細かい点では違いはありますが・・・。

∴「スリップ」とは、再発の事です。



○スリップの影響

<死に至るという意味>
アルコール依存症者が再飲酒をすると、多く場合、最悪の状態に戻ってしまうからです。
人によっては、その一杯が連続飲酒の出発点であったり、死に向かう一歩でもあります。
アルコール依存症者の中には、比較的普通に飲酒できているように見える時期が長い人もありますが、ほとんどは元通りの(最悪の)状態に戻って行きます。
したがって、軽々しく使う言葉ではありません。

☆断酒会でよく言われる「一滴しずく」とは、これをよく表しています。

さらに、アルコール依存症以外の依存症でも同様です。


<心の状態まで最悪だった時に戻る>
スリップ(再発)の影響は、単にコントロールを喪失した状態に陥るという面だけではありません。

ある断酒会の支部長さんが再飲酒された事がありました。
しっかり断酒をしていた(Sobrietyを保っていた)人ですから、文句なしに「スリップ」です。

飲みだしてから、ごまかす時期もないまま連続飲酒に陥ってしまい、再び専門病棟を訪れました。
その心の状態を見て唖然としました。
支部長として体験談を語り、支部をまとめていたその人が、ものの見事に、しかも短期間のうちに、進行中のアルコール依存症者の特徴である自己中心性、否認、他罰的態度、自己憐憫などを備えた、最悪の状態に戻っていました。
おまけに、酒をこっそり持ち込んで観察室の窓の外に吊るしていたりと、最悪なものでした。

もっとも その方は、断酒していた経験があっただけに、素面に戻ってからの回復は目を見張るものがあり、そのスリップを、身の丈相応の生き方、断酒の仕方をつかむきっかけにされましたが・・・。


<いわゆる「イチのパッチ」について>
断酒の期間がそれほどないにも関わらず度々飲酒しては
「また一からやり直します」
という方をよく見かけます。

断酒歴の長い断酒会員が
「イチのパッチを脱げ」
と一喝しました。

★飲んだら「一から始める」というような軽々しく言えるものではないのです。

マイナスからの再出発を目指すか、飲んで死んでいくかの選択に迫られます。
正に「命がかかっている」のです。

上に紹介した再飲酒した支部長さんの例のように、更なる回復へのきっかけに利用できた方もありますが、そのリスクはかなり大きいと言えます。
この方は、相互支援グループ(自助グループ)へ出席する事を身体で覚えておられたため、死に向かう道ではなく、更なる回復に向かったとも言えます。



●スリップ(再発)に先立つもの

回復が進んだアルコール依存症者(他の依存症者でも)は、一般の人が思うほど、そうそう容易に再飲酒しません。
一般の人は、たまたま飲まないでいるだけの回復していないアルコール依存症者と回復の進んだアルコール依存症者の違いは、あまりご存じないでしょう。しかし、その違いは大きいものです。

1995年 阪神淡路大震災の際、孤独死が盛んに報道されました。
しかし、AAや断酒会で回復を目指している人は、その為に飲酒を始める事は、あまりありませんでした。


あまりアルコール依存症を知らない人は、激しい飲酒欲求に襲われたり、何か苦しい事があるから飲酒するのでは?・・・  という見方をします。
しかし、実際には、何ら苦しい事がなくても、回復していない(回復を目指さない)アルコール依存症者は、簡単に飲酒を再開します。

ある程度飲まない期間があるアルコール依存症者の場合、最初の一杯を飲む時、燃えるような飲酒欲求ではない事がほとんどなのです。

飲酒欲求の激しさを訴える人の多くは、すでに最初の一杯を身体に入れた後である事が多いのです。


★再飲酒の危険性が高まる状況
ある程度の期間 飲まないでいるアルコール依存症者(離脱期が済み、神経学的にも影響が抜けた後)には、衝き動かされるような激しい飲酒欲求は、あまり見られません。
それ以外の再飲酒の危機となり易い状況には下記です。

・あまりにも良い事が、回復の進み方よりも早く訪れた場合
・酒に対して自分の強さを感じ始めた時(原点である「無力」を忘れた時)
・断酒を続ける自信が強くなった時
・自分の力で、道を開いていく自信が強まった時
・万能感(自我の肥大やコントロール欲求)、自己憐憫に陥っている時
・万能感と自己憐憫は、同じ心の状態の裏表!
・人の悪いところが、やたら目についてきた時。もっとも、それを「公憤」や正義感と合理化する場合も多いですが・・・ 多くは、仲間への」批判が強まったとき

まだまだあるかも知れませんが・・・

これらは、断酒を継続していた人がスリップをしてしまう上での落とし穴なのです。

かつて「酔っていた」時(進行中のアルコール依存症であった時期)の考え方と同じなのです。


回復を目指し、日々 最善を選択し、行動しているアルコール依存症者は、その状態から一気に飲んでいる状態には戻りません。

ほとんどは、上記 飲酒への危機的な状況を経て、スリップするのです。
その時には、すでに程度こそ様々ですが、「素面」ではなくなっていると言えます。

言い方を変えると、飲酒していないという意味では「断酒」しているのですが、厳密な意味では素面ではない、言い換えると“Sobriety”と言える状態ではないのです。

この辺りから、ドライドランクという概念とダブってきます。


以下、ドライドランクを説明いたします。




●ドライドランク

ドライドランクとは、文字通り「乾いた酔っぱらい」「飲まない酔っぱらい」です。
よく、落ち込んでいる時やイライラした時に「ドライドランクだ」などと言う人もありますが、そのような軽いものではありません。


○ドライドランクとは?

ドライドランクとは、飲酒をしていないものの、飲んでいた時と同じ心のあり方をしている場合を言います。

飲酒をしていない(スリップしていない)にも関わらず、飲んでいた時のような苛立ちや、気分の落ち込み、自己中心的で攻撃的な生き方などを始めてしまっている事です。
これは、実際の飲酒(スリップ)への瀬戸際に立たされている危険な状態なのです。


この「ドライドランク」とは、厳密には、神経学的な影響が残っている状態とは、区別されるべきものです。
離脱症状はおおよそ1週間で抜けます。特に長い場合でも2週間を超える事は、まずありません。

また、睡眠障害など神経学的な影響も、約1〜2カ月でおおよそ抜けます。
このようなアルコールの神経学的な影響が完全に抜けた後の事であると言えます。

なお、離脱後症候群と言われる状態には、ドライドランクが隠れている可能性もあります。
離脱症候群や離脱後症候群に関しては、下記知恵ノートを参照願います。

「アルコール依存症の離脱症状(離脱症候群)について」



○ドライドランクになると

「飲まない酔っぱらい」とは、どのようなものか、という事ですが、下記の状態に陥った時には、ドライドランクと言えます。

★これは、前述の「スリップ」に先立つものと重複します。

・酒に対する無力という基礎が薄れている。断酒に関する自信が増大する(自信過剰)
・仲間の体験談が 白々しく感じられて来る
・自我が肥大
・万能感
・コントロール欲求の強まり
・他罰的な心のあり方
・自己憐憫と恐れ
・飲んでいた時の郷愁が蘇ったり高まったりする
(ノンアルコールのビールなどを飲み始める など)
・無意識の「飲酒欲求」をマスキングしている抑うつ状態など


どうですか?・・・
「ドライドランク」とは、軽々しく言える事ではなく、実際は スリップに先立つ 「心の再発」 であると捉える事が大事なのです。


このように、安易に「ドライドランク」という言葉も使わない事が良いのです。



○ドライドランクに陥らない為に

これは、相互支援グループ(自助グループ)のメンバーが言うべき事でしょう・・・。

しかし私の経験から言える事は、回復の為の行動を継続する事であると言えます。
・断酒会で「体験談」を掘り起こし続ける
・AAで「ステップ」をする
・仲間に、手を差し伸べる(AAも断酒会も、これが出発点なのです)

ともに、「歩く」事(仲間に会いに行く事) 「足で稼ぐ」事です。


∴ドライドランクも、スリップという言葉も、軽々しく使う言葉ではありません。

これは、より深くアルコール依存症や回復を理解する上での切り口ともなる言葉です。


 
 
●再飲酒に至る精神的問題
アルコール依存症者を再飲酒に陥らせる心の問題は下記です。

1)恨み
2)不正直
3)批判
4)自己憐憫
5)不寛容
6)ジェラシー
7)怒り
8)恐れ
 
 
「スツールと酒瓶」 より
----- みのわマックを支える会 書籍販売所にて購入可能 ---- 

・スツール=3本足の丸椅子
1本でも欠けると倒れるが、3本がしっかりしていると力学的に1番安定している。
故に、1・2・3ステップの1つでも欠けると意味をなさないが、それが1体となれば、こんなに安定した力はないという意味
 
・ボトル=8本の毒酒の意味
再び酒に手をつける危険な性格上の欠点
(恨み、不正直、批判、自己憐憫、不寛容、ジェラシー、怒り、恐れ)
 
☆AAの4ステップ以後は、この問題を克服するプログラムに他ならないのです。
 
断酒会で体験談を語り、仲間や家族会員の体験談を聞く事、そして「自分を改革する努力をし、新しい人生を創ります。」という事も、まさしくこれを意味しています。
 
 


☆いわゆる「13ステップ」について

AAなど12ステップグループで、仲間うちで「13ステップ」という言葉がよく使われます。
12ステップグループのステップは1〜12までで、13ステップなどはありません。

しかし、回復段階の浅い時期での異性関係(恋愛)などは、S.L.I.Pの原因ともなりかねないという意味で、それが原因でスリップに陥った仲間などに対して「13ステップにハマった」など表現する事があります。

この原因は、回復の為に必要な原点や 等身大の自分 が、見失われ易いためです。
したがって断酒後間もない時期の恋愛などは危険が伴うわけで、それを戒める意味から生まれたものが「13ステップ」という言葉なのです。
あくまでも、仲間うちで使われる言葉であって、正式な用語などでもありませんし、AAの文献などにはありません。

しかしこれも「S.L.I.P」という言葉からの関連もあり、付け加えました。
あくまでも、断酒間が無い時期の事ではありますが・・・・。


 

●参考になる情報など
 
・AA(Alcoholics Anonymous)
 

今後も、少しずつ、このノートを整備して行きます。
 

元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より
 



この記事に

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「アダルトチルドレン」について



●はじめに


「アダルトチルドレン」の語源は、アルコール依存症の親 もしくは親同等の人の影響を強く受けて育った、すでに成人した人を表す “Adult Children of Alcoholics” です。
その後 様々な「機能不全家庭」で育ち、そのマイナスの影響を引きずっている人(Adult Children of Dysfunctional Family)にまで拡大された概念です。

この“Adult Children” という部分から単に「AC」 と言われるようにもなりました。


しかし病気であるかのように扱われたり、人に対するレッテルのような意味で使われている事も多々あります。

また、未熟な部分を残した大人であるかのような誤解も多いものです。

そういう意味で、言葉だけが一人歩きするようになった、と言えます。


「アダルトチルドレン」とは、病気でもなく、ある特定の人に貼られるレッテルでもありません。
また学術用語でもありません。


ここでは、誤解されがちな「アダルトチルドレン」という言葉を説明します。

説明の都合でアルコール依存症をモデルとしますが、その他の 様々な「機能不全家庭」で育った場合にも、基本的には同じとお考え下さい。


★結論として「アダルトチルドレン」という概念は、自分自身の生き辛さを解決する為の、そして自分を変えていく為の切り口として利用可能なものであるという立場から、説明を致します。

 



●「アダルトチルドレン」という言葉の由来

「アダルトチルドレン」という言葉がよく知られるようになったのは、「クラウディア・ブラック」さんの影響が大きく、1990年代に最初のブームがありました。


*クラウディア・ブラック さんの著書
「私は親のようにならない ― 嗜癖問題とその子どもたちへの影響」


その頃、「アダルトチルドレン」という言葉は、興味本位なマスコミでも盛んに取り上げられ、依存症の何たるかも正しく理解していない人まで使い始めました。

その結果、本来の重要な意味から外れ、前述のような誤用も多くなり、元々の「クラウディア・ブラック」さんが意図した以外の意味に使われだされました。

☆ 詳しくは下記を参照のこと。
・ウィキペディア「アダルトチルドレン」
http://ja.wikipedia.org/wiki/アダルトチルドレン

・クラウディア・ブラックからのメッセージ

 


◆意味
「傷ついたインナーチャイルド(内なる子ども)がいて、その子どもは、存在を認められ、癒される必要がある・・・・」   
                 ・・・ クラウディア・ブラック さん ・・・


傷ついた 「内なる子ども」 を 癒す事なく放置した場合、時には様々な「生き辛さ」が生まれたり、その人の生き方や人間関係を歪める事もあります。


したがって、傷ついた内なる子ども(インナーチャイルド)は、特別の注意をもって癒していかなければならないのです。



ポイント
「アダルトチルドレン」とは、診断名でも、人に対するレッテルでもありません。
より良く生きていくための切り口なのです。



 



●私が考える「アダルトチルドレン」という概念

・人は生まれ、育つ中で、様々な心の傷を負います。
これは避けられない事で、このような心の傷は、人が大人になるために必要なものです。
傷があるからこそ、人は大人になれ、そして優しくもなれます。

・しかし、もし自分自身で手に負えないほど深い傷だったら?・・・
様々な「生辛さ」の原因ともなってしまいます。

・その「生き辛さ」などの原因は、多くの場合 無意識の中に押し込まれてしまいます。
そして本人も分からないまま、意識もしないところで、その人の生き方を左右します。

・傷が深いほど、より意識化されにくく、一層、無意識の中に封じ込まれてしまいます。

・その為、「生き辛さ」や、何故か対人関係が おかしな方向に歪んだりする傾向があっても、原因は意識されにくいのです。

・人は原因の分からない事に対処できません。
ですから、漠然と「生き辛さ」などを感じるというだけに停まってしまいがちなのです。
もっとも、これが高じると、心の不健康な状態を呈したりする事もあります。

・このように、自分の生き辛さや 持ちやすい対人関係からくる苦痛を自覚した場合、その原因を知る事が非常に重要なのです。



∴アダルトチルドレンとは、今の自分を正しく捉え、より良く生きていく為の切り口であると言えます。




ポイント
生き辛さなどを、自分自身の生育歴などから丹念に調べていくと、その原因が理解できる事も多々あります。

この時に利用できる概念(切り口)が「アダルトチルドレン」なのです。





●アルコール依存症の親(親同様の人)の影響を受けた人の「生き辛さ」について


親がアルコール依存症だったとしても、それだけで皆が「生き辛い」かというと、そうではありません。

生まれ 育っていく中で受けた心の傷ですら、より良く生きる為の力に変えていく事も、人には出来るからです。


むしろ 適度な「傷」は人を成長させます。

   しかし、もしこの傷が、自分の手に負えないほど深かったら ・・・



その場合、どのような「生き辛さ」が生まれるかを、ここで少しまとめておきます。
それが「アダルトチルドレン」という概念を歪みなく見る事につながり、「より良い生き方」への応用に役立つ道であると考えております。





◆進行中のアルコール依存症者と一緒に生活する事とは?

進行中のアルコール依存症者と一緒に暮らす家庭をスケッチしてみましょう。


・多くの場合、アルコール依存症者を身近に持つ人は、アルコール依存症者がなぜ問題飲酒を続けている理由が分かりません。
それは、病気についての情報が著しく少ない事と、何も支援もなく、アルコール依存症者の飲酒問題に晒される為です。

・正しい知識や支援のないまま、問題飲酒を続けているアルコール依存症者に接している人は、病気だから止められないという事に、最も気づきにくいのです。

・したがって、自分達がアルコール依存症者の飲酒を止めさせる(減らす)責任を持っているという錯覚に陥ります。

・この様な傾向は、アルコール依存症に対する誤解と偏見に基づく、無責任な親戚などの言動によっても強められていきます。

・この囚われは、アルコール依存症者に対する怒りや恨み、アルコール依存症者に対する被害者意識、逆に責任を感じたりという裏腹な心の働きの中で増幅されて、より一層、強まっていきます。

・その為、アルコール依存症者の酒を何とかしなくては、というコントロール欲求がわき起こるのです。

★これが 「巻き込まれ」 です。


・アルコール依存症者と、その行動に「巻き込まれて」いく人とは、お互いに

「憎いが、心配だ」 
「離れたいが、離れられない」 
「居なくなって欲しいが、居なくなると不安だ・・・」 

など、相反する感情を相手に持ってしまい、互いに傷つけ合いながら、離れるにも離れられない関係 を続け、互いに傷を深めていきます。

その過程のなかで、自分自身も「消えてなくなりたい」という気持ちに陥ってしまいがちです。


「共依存」 とは、このような 不健康な相互依存関係 です。

・周囲の人の「巻き込まれ」行動が続く中で、アルコール依存症者はますます「否認」を深め、飲む責任を「巻き込まれ」た ご家族に転嫁します。

・このように、ご家族の「善かれ」と思ってとった行動が、アルコール依存症自身の「否認」を強める結果になってしまうのです。

*この、アルコール依存症を進行させる事になってしまう行動を 「イネイブリング」 と言います。





◆このような家庭で起こる事と子供の状況

・混乱と予測不可能な状況
子供の成長にとって大事なものは、安心して成長できる環境です。
しかし、飲酒中のアルコール依存症者と暮らす家庭には、最低限の安心すら損なわれている事も多いのです。
そして混乱に満ちた、予測不可能な状態で暮す事になります。

“父が飲んで帰ってくれば、何が起こるか分からない”etc・・・


このような信じがたい出来事の連続で、次第に感情に蓋をしてしまいます。

そして、人にとって最も鮮明であるはずの感情である「怒り」、「悲しさ」、「恐れ」といった 自然な心の動き にも蓋をしてしまいます。

 これが「否認」なのです。


もっとも、この「否認」がなければ、生きる事すらできない状況だったのですが・・・


・暗黙のルール
言語化してはいけないといルール、不公平なルールが生まれます。
例えば親が酔いつぶれていても、何もなかったように生活しなければならない、家庭で起こった事を外に漏らしてはいけない etc

・役割の混乱
アルコール依存症となった家族メンバーの代わりに、他の人がその役割を担っていきます。
まだまだ幼い子供が、さらに小さな弟や妹の親代わりの役割を引き受ける事も多々あります。
また、アルコール依存症でない親に対して、カウンセラーの如く、聞き役を担ってしまう子供も多いものです。


要は「安心して子供でいられなかった」 のです!


これはアルコール依存症者からの影響だけでなく、その配偶者などが「共依存」に陥る事によって、家庭の役割を放棄してしまうからに他ならないのです。


・家族の自然な協力態勢が崩れる
アルコール依存症となった家族の成員に対して、不健康な共同戦線をはったりする事もあります。
この硬直化した家庭の中では、普通の家庭にあるような家族同士が協力し合うという自然な関係が損なわれていきます。

・孤立
家族が孤立していき、そして子供も・・・。
家庭の中で起こった出来事を外に漏らしてはいけない、という暗黙のルールは、子供にとって最も重大な影響を与えます。

☆子供は、生きていく為に重い心の蓋を被せます。
重い心の傷を負った場合には、幼い頃の記憶すら、意識から排除されてしまっている場合もあります。

*友達を家にも呼べないという状況が生まれ、ますます孤立していきます。

★そのような状況の中で子供は、家庭で起こっている出来事に縛りつけられてしまうわけです。


☆人は、心に蓋をしている事が多いほど、そして無意識に追いやっている心のエネルギーが多いほど、意識する、しないに関わらず、それに左右される事が多くなります。

★忘れる事が解決にならないのは、そういう意味からです。


・孤立すればするほど、子供は、人との基本的な信頼を持つという体験を失っていきます。

・子供にとっての友達との関係は、一種の セラピー です。
友達と接する事が少なくなればなるほど、アルコール依存症の親から受けた負の影響に基づく歪みが修正されにくくなります。

・このような状況で育っていくと

 “自分らしさが分からない”
 “人と親密な関係が築けない”

など、様々な負の要素を引きずってしまう事もあります。


そのような中で、漠然とした不全感、虚無感、無意味感などに陥ってしまいます。


また、特定の状況で、強い不安を感じたりという事もあります。

物が壊れる音、大きな話し声に対して過剰に反応する(怖い) etc・・・

酒乱タイプの親を持った同僚看護師の近くで、無意識に指をポキポキ鳴らした時
 
“止めて下さい。恐怖が蘇ってきた・・・” 

と語っていました。


もっとも、その人自身の飲酒も、コントロールが危なくなっていましたが・・・・


さらに、この辺りをベースに、心の病気に陥る場合すらあります。





☆アルコール依存症の親に育てられた人が、そうでない人より、アルコール依存症になりやすいと言われる訳。

・安心感のない子供時代を過ごした(生き延びた)人にとって、解決していない心の傷をカバーする為に、様々な過度な活動(刺激)を必要とする事があります。

“頑張り過ぎる”
“仕事し過ぎる”
“勉強し過ぎる”
              ・・・ と。



しかし、これは「燃え尽き」へと至るリスクも高いと言えます。


安心感を欠く生育歴を持つ人の場合、そうではない場合よりもバランスを欠いた活動と燃え尽きを繰り返し易いのです。


この極端から極端へと揺れ動くという傾向は、進行中の依存症者の在り方とそっくりな行動パターンでもあります。
そういう意味で、依存症者の生き方と、いわゆるACと言われる人の生き方には類似性(親和性)があります。

・また、人に対する基本的な信頼があまりない人ほど、他に信頼に足るものを求めたいという衝動が強いのは、ごく当たり前です。

・アルコール依存症となった人は、アルコールが体内で上手く代謝できる体質を持っている場合が多く、その子供も同じ体質である場合も多いのです。


☆このような人が、酒と出会ったら?・・・



反応は二つに分かれます。

①一生、飲酒をしない人たち。
  ・・・ これは少数派 ・・・

②飲酒を始める人たち
子供の時には、「酒なんか一生飲まない」と心に決めた人も、多くは飲酒しだします。



さらに②は二つの道に分かれます。

a.健康な対人関係を持つ人たち
「酔う事」に、さほど囚われる必要もなく、アルコール依存症に罹っていく危険は、さほど高くない人たち

b.健康的な人間関係をあまり持てなかった場合
人は信頼に足るものではないが、酒は裏切らない。
酒は(最初のうちは)間違いなく、しかも即効、気持ち良くしてくれる。

そのような体験をした人は、どうなるでしょうか?・・・



それは下記です。


・アルコールは 「遅発性の依存性薬物」 ですから、すぐには親のようにならない自分を、飲酒の中に発見します。

“自分は飲酒はするが、親のようには ならない” 
“自分が あんなに なるはずがない!・・・”

何故なら、アルコール依存症は慢性の 進行性の病気 だから、すぐには問題が現れてこないからです。

・飲み続けるにしたがって、そして深く酔う事を体験するにしたがって、「依存性薬物」であるアルコールに対する囚われ(精神依存と身体依存)が強まります。

・心の囚われが強まるにしたがって、「親のようになっていく自分」への正しい認識できなくなっていきます。

 ☆これが「否認」なのです。

・さらに飲酒を続け、心身の囚われが強まり、これによって飲酒のコントロールを失うのがアルコール依存症です。



☆ある断酒会員は・・・
“クソ アル中の親父のようには なるものか! と思っていたけれど、気がついたら もっと 酷い事をしていた・・・”  

と、子供の貯金箱の中からお金を抜き取って飲酒していた体験談を語っておられました。


*アルコール依存症の親を持った人は、子供の時に、あれほど「酒」を憎んでいたにもかかわらず、自らがアルコール依存症に陥りやすいという不思議さの原因は、ここにあります。




☆さらに、アルコール依存症などの依存症の配偶者を持ちやすい

「共依存」とは “人に対する依存症”  です。
自らアルコール依存症などにならなくても、問題をもつ他の人に囚われる事によって、自分自身の心の奥底からのメッセージに蓋をする事が出来るからです。
言い換えると、自分の人生を生きるという責任から、目をそむける事ができるのです。

人は色々な「心の渇き」を感じる事も多いのですが、その心の渇きを一時的に鎮めてくれるものに、人に対する一種の依存症としての「共依存」があるのです。

ちょうどアルコールやギャンブルなどに囚われるように、人に対して囚われるのです。

これも、傷ついた内なる子ども(インナーチャイルド)を手当てせずに放置した場合に見られる危険の一つです。






●アルコール依存症以外の問題を持った親などの影響を受けて成長した人の場合

アルコール依存症以外の機能不全家庭で育った人は?

・アルコール依存症以外の薬物依存症
・ギャンブル依存症
・仕事依存症(workaholic)
・何らかの精神疾患
・虐待
・ネグレクト
・過度の厳格さや甘やかし

その他、もっとあるかも知れませんが、様々な機能不全家庭での影響でも、アルコール依存症の場合と同様の状況に置かれます。

それぞれ状況の違いはあるものの、今までの説明を応用する事が可能です。


☆下記の「Q&A」は、アルコール依存症の家庭で育った方ではありませんが、その家庭の影響を強く残している人の例です。
*質問者様の了解を得てリンクを張っています。





★でも、これは運命ではありません!!

・傷が浅い(自分の手に負える範囲である)場合には、より生産的に生きていくエネルギーに換えていける事も多くあります。

・健康的な出会いが多くある場合にも、負の要因は軽減されます。

・親が回復の道を歩むか否かに左右されます。
したがって、親が断酒の道を選ぶか否かには、雲泥の差があります!

∴アルコール依存症の親が子供に出来る一番の償い(埋め合わせ)は、自ら断酒する事なのです。


・家庭で起こった出来事について正しく認識できるか否かにも左右されます。

・適切な正しい支援を受ける事、相互支援グループ(自助グループ)などの力を借りる事によって、この危険はもっと低くなっていきます。



*その際に使える切り口が “アダルトチルドレン”  です。





●知は力!

自分自身の生きづらさを克服するためには、やはり知識が必要です。

◆参考になる本は下記です。
「私は 親のように ならない」 誠信書房
「リカバリー」 星和書店
「アダルトチャイルド物語」 大越崇(著) 星和書店
「家族依存症」 斎藤学(著) 誠信書房
「ACブルース」 小林哲夫(著) 高知新聞社

アダルト・チャイルドが自分と向きあう本
アダルト・チャイルドが人生を変えていく本
子どもを生きればおとなになれる
*これはASKから購入を
Amazonでも購入可能かも?

◆参考になるサイトは下記です。
ASK アダルト・チャイルド(AC)のページ http://www.ask.or.jp/ac.html
アラノン 「アダルトチルドレンとは」 http://www.al-anon.or.jp/ac/index.html

 




●実際に、自分の為に出来る事など

◆アダルトチルドレンという切り口から、より自分らしく生きる為に利用可能な相互支援グループ(自助グループ)は下記です。

「ACoA 」(アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリックス)

「Adult Children Anonymous」 http://aca-japan.org/index.html

「アラノン」(Al−Anon)家族グループ  http://www.al-anon.or.jp/
*ここにも、アルコール依存症の親(親同様の人)を持った人のグループがあります。

「ACODA」
(Adult Children of Dysfunctional Families Anonymous)
[子供の時期を機能不全家族(問題のある家庭、主に児童虐待など)で過ごした成人の集まり]  http://www.acoda.org/



◆ミーティングについて
・ミーティングで行われる事は、「言いっぱなし」「聞きっぱなし」です。自分の体験などを語り、仲間の体験を聞く。

・ミーティングには、仲間を得る、という意味も大きいのですが、この「言いっぱなし」「聞きっぱなし」は、“語りの精神療法”にも通じるものがあります。

・「アダルトチルドレン」という切り口を使い、ステップを使って、より健康を高めるように努力しておられる方もおられます。

*ステップ(12ステップ)とは、多くの相互支援グループ(自助グループ)で用いている、回復への道しるべ(提案)です。

・最初は何も話が出来なくても良い!
その場に座ることが第一歩です。


 慌てずに! ・・・





◆回復、成長とは?

何らかの「生き辛さ」を感じ、その原因の一つが、自分自身の過去に関連しているという事を発見した人が「生き辛さ」を克服する為には、下記が大切です。


<回復のための基礎>
・自分の生き辛さに気づく
・自分だけの意思力ではなく、自分を超えた力(仲間など)の中で回復、そして成長が可能であると、心底から思える
・その力に身を委ねる

<さらに回復を進める為に>
・過去の出来事を、出来るだけ正確に認識する
・自分の心の中からのメッセージに耳を傾ける
・その時の感情を蘇らせ、それを認め、仲間に語る
・仲間の体験を聞く
・まだ苦しんでいる仲間に、自分の物語を語る
・これらを続ける

<回復や成長の兆候>
・仲間との違い探しではなく、仲間の体験の中に、自分の体験を重ねて見られるようになる
・弱音が吐けるようになる
・自分を許す事ができる、自分自身を傷つけないようになる
・結果だけではなく、プロセスも大事だと感じられる
・今日一日が大事だと感じられるようになる
・「生かされている」事に気づく(感謝の気持ち)
・自己憐憫(私はなんて可哀相なんだろう・・・ という意識)から自由になれる
・正しい意味での「自愛」が蘇る


  もっともっとあるかも知れませんが・・・





●「自分探し」での注意

相互支援グループ(自助グループ)などで行うミーティングに於いて、今まで自分でも気づいていない様々な事に気づきが得られます。
多くは徐々に、時には急激に。

人は、より真実を知る事で、より生きる強さを増していくものです。
どのような幻想も、現実に置き換えていく事が望ましいのです。

そういう意味で、気づく事とは、悪い事では決してありません。

☆普通、人の心は、自分で受け止められる範囲にしか、気づく事はできないように、心の防衛機制が働いています。


しかし、ここにはタイムラグが時としてあります。


あまりにリアルな、そして急激な気づきが有った場合、ミーティングなどで、“これは絶対に語らないようにしよう”と思っていた事を語ってしまったときなど一時的に心のバランスを崩す事もあります。


★焦らない事、そして、安心できる仲間との協同作業であるとお考え下さい。時には信頼できるカウンセラーなどの力を借りる事も「アリ」です。


くれぐれも、孤独は避けましょう。
不安になったら、立ち止まる勇気も必要です。

  “仲間と一緒に、ステップを使って!・・・”





●まとめ

・「アダルトチルドレン」という言葉は、人にレッテルを貼るような物であってはいけないのです。

・より良い人生を「生きる」上での、「自分探し」の為の切り口です。

・「アダルトチルドレン」という言葉の誤用は避け、本来の意味に帰る必要があると思います。
クラウディア・ブラック さんの使いだした意味に戻りましょう。





●ライターからのメッセージ

★私は、「アダルトチルドレン」について というノートを作るにあたり、躊躇しました。

それは「アダルトチルドレン」という言葉が、前述の誤用や人へのレッテルと思われ勝ちであるためでもありますが、もう一つには、感情が絡んでくるものだからです。
身近な人の酒害の影響を受けた多くの人の、癒されていない心の叫びが絡んでいるからなのです。

でも、やはり避けて通る事のできない「概念」であるとの結論に達し、投稿しました。


(2011/12/07)
急激な閲覧数の増加で、やや焦っているのも事実です。
少しずつ整備をしていこと考えておりますが、その前に、特に大事な点を、ここで示しておきます。

①「自分探し」は、現在、明らかな「心の病」の治療をしておられない方を対象にまとめております。
したがって、何らかの治療を受けておられる方は、やはり主治医との相談をお勧めします。
病状によっては、しない方が良い時期もあります。

②「自分探し」で強い不安があったり、情緒が不安定になられた方の場合は、まだ、それを行う心の準備が整っていないのかも知れません。
「アダルトチルドレン」という切り口から、心の蓋を開けるわけですから、焦りは禁物です。
さらに、心の奥底を見る事とは 「パンドラの箱」 を開ける事にも似ています。

したがって、不安なら一時的に棚上げする 事も大事です。

また、蓋を開けないという選択肢も “アリ”  です。

③先ゆく仲間や、時には主治医など専門家のアドバイスを聞きながら、ゆっくり進めて下さい。



元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より

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