酒ぉ夜中にぃ呑みます。
要らんコトナンかが懐かしさでですよ。
クダランお話しぃです。
【弾機(ハジキ・拳銃)】
「行こぉか。」○○サンが。
其の物言いぃがワイの返事ぉ遅れさした。
「そぉやな。」
自分の意識が想って言ったのとは違う。喋りヤッタ。
ワイら。夜ぉ歩くコトがし難かった。
互いの心がよりも。胸のドコカで騒ぐモンがあったサカイ。
イロイロなモンぉ重ねてのな。物の弾みヤッタ。
ケドぉなぁ。其れがトドのツマリの行き着く処ヤッタ。ワイらの。
其処にしか居場所がない世界で生きてましたサカイナ。
「ホレ。」前ぉ観ながらワイに差し出してきた。
古い。ふやけたような油紙で包まれていた。
受け取ると。重さがワイの心ぉな。少し其れ相応にぃ。ヤッタ。
ナンかぁ。知らんけどなぁ。
アン時には其れぉ掌で掴んだ時な。
一端(イッパシ)の男としてな。○○サンからぁ。
ヤットぉ認めてもろぉた気分に酔い痴れてました。
マッ。ワイの勘違いでしたんやけどな。
暗闇。今でも其処が一番落ち着くんですよ。
電燈の豆球点けただけの薄暗いぃん。嫌いですは。今でも。
当時の軽四規格の小さな四駆で。練習に行きましたんや。山に。
躯の大きな○○サン。狭い助手席で身を持て余して窮屈そうヤッタ。
細い荒れた山道。両脇の木の枝がフロント硝子を打ち。
車体をぉ滅多と擦る音がしてた。
四駆ローのポジションに入れっぱなしのエンジン。
悲鳴ヤッタ。毀れるんとチャウんかぁ!
ワイ。上がり始めた水温計ぉ観れんかった。
観てもぉ。ドナイモしょうがないサカイ。
ハンドル。シッカリ握りしめて操作するしかぁ。
藪の中に開けた場所ヤッタ。
藪ぉ囲うように自然の樹木が茂っていた。
「ココ。ワイが子供時分に居(ォ)ったんや。」
「住んでましたんかぁ?」
○○サン。家の焼け痕だけの庭に佇んで辺りぉ眺めていた。
「そぉや。中学ん時にワイが火ぃ点けたんや。」
「ヒぃぃ?」
「納屋にな。」
ワイ。ナンも訊けんかった。物の言いよぉがなかったさかいぃ。
煙草のパッケ取り出し箱のケツぉ指で叩いた。
「全部燃えたんや。」
パッけから突き出した煙草ぉ摘まみながら。○○サンが。
「ゼンブってぇ?」
「母屋も馬小屋もな。」
ワイが差し出したジッポの火に煙草を近づけながら。
ワイ。○○サンの背中ぉ盗み視ながら自分の煙草に火ぃ点けた。
喉が渇いてた。キッツイ酒が欲しかった。
喉ぉ虐めるイガイガな感じぉ流したかったから。
古井戸の底ぉ目掛けて発射した。
両脚ぉ肩幅よりも開き膝ぉ少し曲げ。
腰ぉ据える体勢で両腕を井戸の縁から底に伸ばした。
「始めてチャウやろ?」○○サン。
ワイ。返事の代わりに撃った。
一瞬。閃光の眩しい輝き。
刹那な瞬の時の間に。井戸の暗い穴の奥が覗けた。
孔の奥深くにぃ。蒼い空が映っているような気がした。
真鍮色の小さな薬莢が井戸の内壁に当たり。
白い細い煙ぉ引きながら堕ちて逝った。
火薬の火傷する匂いがワイの顔ぉ擦った。
「全部な。」
○○サン。言い終える前に六発の弾丸撃ち終えていた。
直ぐに弾倉を素早く入れ替え其れも撃ち終えた。
引き金。硬かった。ワイの指が反動ぉ楽しんでいた。
「何時殺(ヤ)るかぁ。マタ連絡するサカイな。」○○サン。
「お願いしますはぁ。」ワイ。出来損ないのチンピラ崩れが。
山ぉ下る時。ナンも喋らんかった。
アン時ぃ。○○さん。焼け跡の隅で石ぉ積み上げていた。
「ナニしてますの?」
「墓や。」
「ドナタのぉ?」
「ワイの家族のや。兄弟ヤッタな。」
○○サン。子供の頃に家族は離散し皆さん亡くなったと。
自分は聴かされていました。○○サンから。
「ワン仔のな。」
地面に正座し。ながいコトぉ。手ぇ合わせていました。
要らんコトぉ喋りました。
オヤスミナハイ