ジャーナリスト三宅勝久の気まぐれブログ

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  24日に東京で日弁連主催のサラ金問題シンポが開かれたという。サラ金問題は以前から取材しているテーマだが、今回、この大きなイベントをわたしは不覚にもすっかり見落としていた。

 シンポの報告を聞いて、反省しきり残念に思ったしだいだが、あらためて痛感したのが記者クラブの居心地のよさである。主催者の日弁連はおそらく東京司法記者クラブ(東京地方裁判所の中に居を構えている)に広報文を投げ込んだのだろう。

 一方で、わたしのようなサラ金問題と数年来向き合ってきたフリー記者に連絡はなかった。あるいは、わたしとともに武富士に訴えられ、4年間も死闘をともにした『週刊金曜日』にも連絡はなかった。

 記者クラブ加盟社(いうまでもなく多くは民間企業で、かつてサラ金の金でサラ金の宣伝をしまくった会社も多い)は、官庁や大企業から部屋の提供、傍聴席の継続的確保、情報提供、期日簿の閲覧や判決文の交付など独占的に便宜供与を受けている。

 わたしもかつては新聞社にいて、香川県の司法クラブにいた。それはそれは楽チンであった。

 会社を辞めてはじめて、いかに役所や企業、各種団体から手厚く庇護を受けていたかを思い知った次第だ。

 フリーの悲哀というより、大組織に守られていると知らず知らずになまってしまうということだと思っている。

 立場を変えて、情報を流す官庁からみれば記者クラブというのは本当に便利なものだな、とあらためて実感する体験を最近した。

 九州の某陸自駐屯地で自衛官が「曹友会」という団体の会費を横領し、懲戒免職になったという事件を記事で知り、わたしは現地の広報担当者に広報文を求めた。担当者はいったん快諾したのだが、しばらくして「申し訳ないが陸幕を通じて取材してほしい」と言ってきた。
 
 そこで陸幕の広報担当者に取材したところ、担当者はある通達を根拠に「出すことはできない。情報公開請求しろ」と開示を拒んだのだ。その通達とは、懲戒処分の発表は、原則として、隊員が所属する地域の最寄りの記者クラブで行え、というものだった。

 つまり、九州の某市政記者クラブにいれば、寝ていても手に入る報道文が、わたしのようなフリーの立場だと、金と時間と手間をかけて公開請求しなければ手に入らないというのである。

 結果、ほとんどの不祥事(脱走、飲酒運転、強姦、強盗、暴行事件等)は、地方版扱いとなって、ほかの地域の読者には知らされないという効果を生んでいるのではないか。そんな気がしてきた。

 地域限定で発表するというのは合理的理由とはいえない。自衛官というのは、全国、世界を行ったりきたりしているわけで、所属部隊のある地域だけの問題ではないからだ。
 
 それでも、あくまで「地元」でしか発表しないというのは、あきらかに事件をできるだけ小さく報じさせたいからだとわたしは思う。メディアコントロールである。そして大マスコミはその術のままにコントロールされている。

 仕方なく、わたしは昨年1年分(10ヶ月)の全国各地で発表した不祥事広報文をすべて請求してみた。出てきた発表文は500枚ほど。ほとんど東京で報道を見る限りは目にすることのなかった事件だった。

 ブログで紹介している交通事故や飲酒運転の処分も、このなかにある。開示請求するのに5000円以上の費用と3ヶ月以上の日数がかかった。金はすぐに払うことができるが、3ヶ月という時間は取り戻せない。

 記者クラブにいたらタダで手に入るこれらきわめて公益性の高い情報を、わたしのようなフリー記者、あるいは一般市民は時間と費用をかけなければ入手させない。この理由をもう少し考えたい。

三宅勝久

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