パソコンの中を整理していたら気になる資料が出てきた。


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以前、ネット上で見つけてダウンロードして、そのまま忘れてしまっていたらしい。タイトルには特殊東海製紙の「2012年3月期決算説明会」とある。同社は南アルプスの静岡県側に広大な土地を所有している。

図には「土捨場候補地」が赤丸で示されているけれど、この候補地が、2013年9月に準備書において明らかにされた候補地と一致しているのである。扇沢源頭(一番北)のように常識的にありえない場所(結果的に中止)まで一致していた。
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環境影響評価準備書より複製・加筆 

「2012年3月期」というから、2012年の春に作成された資料ということになる。前年9月に方法書が公告されて半年ほどの段階である。

方法書では、どれだけの土砂が出て、どう処分する意向であるか、全く不明だった(画像中の「200万㎥新聞報道」というのは2012年2月頃の県による試算)。発生土を平地にまで運搬するとか、斜坑付近に仮置きにしてトンネル完成後に除去するようなことも、事業内容を知らない立場(つまり事業者以外の全員)としては、考えられる段階である。

それなのに地権者側は、方法書公告直後に、JR東海が発生土を同社の土地内で処分する意向であることや、さらに林道整備とか、作業員宿舎を観光事業に転用する計画など、かなり具体的な計画を把握していたことになる。
(林道整備の意向が明らかにされたのも準備書)

むしろ逆に、地権者がアセス中(orアセス前から)に、JR東海に土地を進んで提供したのではないかという可能性も出てくる。

背景が何であれ、「調査・予測・評価を通じて環境に配慮して…」というアセスの主旨とはかけ離れた協議が行われていたのだと思う。これはヘンじゃないのか?

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昨日(15日)配信されたリニア関係の記事もひどい内容であったので、またファクトチェックおよび疑問提起。

現代ビジネス JR東海・静岡「リニア問題」第2ラウンドへ…国交省参戦の行方
8/15(木) 11:00配信


⇒まず、何が第1ラウンドだったのか?

中央新幹線が静岡県を通過する約11kmの区間が南アルプスのトンネルであり、トンネル掘削による湧水によって大井川水系の水量が減る。だからトンネルから出た水をすべて大井川に戻してほしい。静岡県としては水利問題がもっとも重要だ。年々流量が減少している大井川の水をこれ以上減らすわけにはいかない。こういう理屈だ。 

⇒そもそも河川法では利水目的以外での流量減少を想定しておらず、流量が減る前提のトンネル工事は許可できない。本来であれば河川法上許されない工事を認めさせようとしているところに根本的なムリがある。(国会答弁より)
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 JR東海としても、自社の利益のために悠久の自然を破壊するつもりはなく、なるべく悪影響を与えないように配慮していく方針だ。「全国新幹線鉄道整備法」に準拠して環境影響評価を実施し、その結果を国に届けた上で、2014年に国から中央新幹線品川〜名古屋間の建設許可を得ている。

⇒誤解されているようであるが、環境影響評価は環境影響評価法に基づく制度である。
 新幹線建設は、同法では「第一種事業」に区分される。第一種事業とは、事業の実施による環境への影響が特に大きいとされており、同法に基づき環境影響評価手続きを経なければ事業認可は受けられない。JR東海が環境に配慮して環境影響評価を行うことになったわけではない。

⇒そもそも、JR東海が「悠久の自然を破壊するつもりはない」と本気で考えているのであれば、壮大な環境破壊を避けられないリニア中央新幹線計画を実行に移しているはずが無かろう。

 JR東海はこの環境影響評価書を作成する手続きのなかで、沿線地域には十分な説明をしたという認識だ。それゆえに東京都・山梨県・長野県・岐阜県・愛知県では着工できている。

⇒JR東海の認識は「十分な説明をした」といっても、それで許認可が出るかどうかは別問題。
⇒また、JR東海の説明で地元自治体や住民が納得・合意したのか、というのも別問題である。
 山梨県南アルプス市内で、説明が不十分だとして差止め訴訟が起きていることや、長野県阿智村が「社会環境アセス」を実施した背景や、同県大鹿村での起工式をめぐる騒動、同村にて車両運搬ルートをめぐって続く対立について、執筆者様は把握されているのであろうか。

⇒なお東京−名古屋のうち、用地取得・各種手続きの容易な工区から飛び地状に工事をが始めたので、あちこちに未着工区間が分布する。一番長いのは山梨県の第四南巨摩トンネル東工区〜実験線西端(28㎞くらい)であり、工事契約も終わっていない。県知事が駅の位置を見直す要求もしているようである。静岡工区10㎞を特筆して問題視するのは変だと思う。
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JR東海ホームページより、今年6月30日時点での進捗状況。「静岡県だけ着工していない」というが、山梨、岐阜、神奈川には10㎞以上にわたり工事契約を終えていない区間もある。


 静岡県としては、2013年に作成された環境影響評価準備書において、トンネル湧水のすべてを大井川に戻してほしい、また、県が整備する環境監視体制に参加することと意見している。JR東海からは独自予測に基づいて、「大井川の流量は毎秒2トン減少する」と回答。静岡県中央新幹線環境保全連絡会議が設置された。そして「湧水全量を戻す」という回答がないまま、環境影響評価書が作成された。

⇒ものすごく間違っている。 
そもそも準備書を作成するのは事業者である。この場合はJR東海となる。都道府県知事は準備書を審査して意見を送付する。下のパンフレットをご覧いただきたい。
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・記事にある事項を時系列に並べるとこうなる。
2013年9月18日JR東海は環境影響評価準備書を作成。ここで「大井川の流量は毎秒2トン減少する」という予測結果を載せた。
2014年3月25日 準備書に対する静岡県知事意見を送付。湧水全量を戻すよう要求。
2014年4月22日 静岡県は中央新幹線環境保全連絡会議を設置
2014年4月23日 JR東海は評価書を作成。準備書への知事意見に対する事業者見解では、湧水を全量戻すという明確な記述はなかった。
2014年8月29日 JR東海は補正評価書を作成。

JR東海は2017年の環境影響評価事後調査報告書において、導水路トンネルで毎秒1.3トンを常時大井川に戻し、毎秒0.7トンについては必要に応じて戻すと記した。「全量戻し」を求めている静岡県はこれを不服とし、「南アルプス自然環境有識者会議」「大井川利水関係協議会」を設置。2018年9月に「大井川水系の水資源の確保及び水質の保全等に関する意見・質問書」をJR東海へ提出。JR東海はここで「湧水全量を大井川に戻す」と回答した。

 しかし、静岡県は「湧水全量を戻す具体的な方法」と「南アルプスの生態系環境保全の方法」について、JR東海にさらなる回答を求めている。JR東海から納得できる回答がなければ静岡県区間の着工を認めない考えだ。 

⇒具体的なデータを提示してこなかったから深い議論ができないのである。例えば、渇水期における予測地点の追加、広範囲にわたる詳細な予測結果、湧水放流地点より上流側への対策など、最初から求められていたのに、いまだ出してこない事項もある。7月28日8月4日のブログに書いた文章もご覧いただきたい。

 トンネル工事は自然を相手にするだけに、予測不可能な事態はある。それをすべて、科学的に納得させよ、といっても無理がある。着工しなければ分からないことを、着工前に示せという静岡県側の態度は、過度な要求だ。
 このように思う人が多いかもしれない。しかし、現在のトンネル工事は、かなりところまで正確に科学的な予測ができることを筆者は示しておきたい。

⇒予測不可能な事項が多いのであれば、事業者側としては予測手法を変えるなり、予測の容易な事業内容に改めるなどすべきである。それが環境影響評価というものである。事業内容の修正が全く不可能な事業というのは概して環境に悪い。
山梨実験線建設では予想通りに川を干上がらせた。予測したのに対策をとれなかったのか、予測の正確さをアピールしたくて無策だったのかは分からない。


 背振山周辺は福岡都市圏の水源となっているため、水資源の周辺環境を維持しつつ建設された。事前調査による湧水量予測はトンネル完成後の実測値にかなり近く、また予想外の事態にもきちんと対処している。その内容は、土木学会のウェブサイトで公開されている、鉄道・運輸機構の担当者による論文「周辺水環境を考慮したトンネルの設計施工 -九州新幹線,筑紫トンネル-」に詳しい

⇒筑紫トンネル建設工事の報告書には次のような記述がある(斜線部分)。
本トンネルルートの平面線形は、起点方にR=6,000m,終点方にR=9,000mの曲線区間を採用したS字形をしている。これは、平面的に曲線を用いることで、各ダムやダムへ流入する河川への影響範囲から極力離れたルートを選定したためである。
…比較した結果、直線ルートは、河内ダムに最も接近し、ダムに流入する河川付近の直下を通過するため、影響が懸念される。また、山神ダムにつちえも、平面的な隔離はあるものの、流入河川の直下を通過することとなる。…   31ページ目より

筑紫トンネルの工事前には、トンネルのルートをどこにもってくれば河川への影響を最小化できるか検討していたという。しかしJR東海はルート選定にあたり、大井川への影響を回避すべくどのような検討を行ってきたのか明らかにしていない。ここが根本的に違うのである。

環境保全措置は、回避⇒最小化⇒代償という順序で検討するのが基本とされる。大井川・水問題の場合、
1.河川流量に与える影響の回避
2.河川流量に与える影響を最小化する方法
3.影響が避けられない場合にとるべき対応

という順序で考えるべきである。これをミティゲーションという。1.については、工法やルートの再検討などである。場合によっては事業予定地の大幅変更や事業中止も選択肢に入れなければならない。ところが、JR東海は1.や2.についての検討はせず、いきなり3.を出してきた。つまりトンネル配置計画等の再検討はせず、湧水を導水路で戻す(=排除する)方策だけを提案してきたのである。だから話がおかしくなっているのである。

 トンネル工事の残土問題については、長野県下條村が8月6日に「リニア中央新幹線関連工事対策協議会」の初会合が参考になる。
  この協議会は、今後の中央新幹線工事で発生する残土処理地区の埋め立てで生じる課題や、埋め立て後の用地利用計画について、JR東海などと情報共有し対応を目的に設けられた。JR東海は協議会への連絡を密にし、スケジュールも協議会で検討する。地元に十分納得していただけた段階で工事を進めたい考えだ。
 
⇒これは静岡工区を念頭に置いた記述だろうか、それとも沿線全体を対象としているのだろうか。そこがはっきりしない記述である。仮に前者であれば、県や静岡市の体制に不満があるということなのだろうか。
ちなみに静岡の発生土置き場候補地は、千枚岳の東面(標高2600m)で発生した岩屑なだれが大井川を埋め立てた土地である。ブログ作者としては、理屈抜きにヤバくて用地を活用することもできない計画だと思う。 
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↓黄色点線部分が発生土置き場候補地の燕沢平坦地
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(8/15 大幅に修正)
わけのわからない記事があまりにも多いのである。



JR東海と静岡県のリニア中央新幹線未着工問題、国が調整に乗り出す

静岡県がJR東海に対し、大井川水系の減水問題解決を理由にリニア中央新幹線の工事を認めない問題について、国土交通省が調整役として動き出した。8月9日、国土交通省、静岡県、JR東海が連名で合意文書を発表した。2027年度の開業目標に対し、ようやく最後の難関が突破されようとしている。 

●問題は流量減少だけではない。特に発生土期置き場の安全性・自然破壊は、むしろ流量減少がクローズアップされるより前から懸念されていた。静岡新聞の過去記事を並べてあるのでご覧いただきたい。https://minamialpstunnel.web.fc2.com/oldnews/Shizuoka-news.html
●三者合意に具体的進展はない。国土交通省ホームページ 

JR東海は全国新幹線鉄道整備法にもとづいて着工へ準備してきた。その中で環境影響評価の手続きも済ませている。2011年に「計画段階環境配慮書」を公表、「環境影響評価方法書」を公告。2013年に環境影響評価準備書の公告。2014年に環境影響評価書を国土交通大臣に提出し、環境大臣、国土交通大臣の意見を経て、最終的な「環境影響評価書」を公告し、工事実施計画の許可を得た。

●大臣意見ではボロクソな評価であった。環境大臣意見の前文より――
・河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。
・これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。
・本事業の実施に伴う環境影響は枚挙に遑が無い。

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少なくとも「環境に優しい」事業という見立てではない。

JR東海だけでなく、多くの鉄道トンネル工事に関して、各河川の影響と水利については工事実施中に実際の影響を調査し、必要な対策を講じるという考え方だ。しかし、静岡県はそれを良しとしなかった。「環境影響評価方法書」と「環境影響評価準備書」の公告時点で、静岡県知事は「大井川水系のトンネル湧水をすべて大井川へ戻すべき」と要望していた。
ここから両者の考え方にずれが生じる。JR東海は「減量分を戻す」。静岡県は「湧水すべてを戻せ」となった。大井川水系のダムは渇水期間が長い。「これ以上水を減らすな」「渇水がなかった頃に戻したい」という気持ちはわかる。しかし、南アルプスの伏流水は大井川の分だけでなく、地下水に浸潤する分もある。湧水のすべてを大井川に戻した場合、地下水の枯渇、大井川の増水による環境影響も考慮する必要がある。

●文章がおかしい
○静岡県知事は「大井川水系のトンネル湧水をすべて大井川へ戻すべき」と要望していた。
ここから両者の考え方にずれが生じる。JR東海は「減量分を戻す」。静岡県は「湧水すべてを戻せ」となった。
静岡県側の要求は変わってないじゃん。
南アルプスの伏流水は大井川の分だけでなく、地下水に浸潤する分もある。湧水のすべてを大井川に戻した場合、地下水の枯渇、大井川の増水による環境影響も考慮する必要がある。
⇒????
多くの鉄道トンネル工事に関して、各河川の影響と水利については工事実施中に実際の影響を調査し、必要な対策を講じるという考え方だ。
⇒ルート再検討も工法の変更もせずに、地下水を抜く前提のNATM工法で、一級河川と交差するトンネルを掘削した事例がどれだけあるのか教えてほしい。

そこでJR東海は2014年に「大井川水資源検討委員会」を設置。学識経験者や技術者による環境保全措置の検討を実施している。一方、静岡県も2018年に「南アルプス自然環境有識者会議」「大井川利水関係協議会」を設立。JR東海に対して「大井川水系の水資源の確保及び水質の保全等に関する意見・質問書」を提出した。これに対し、JR東海は「原則として、全量を大井川に流す」と回答した。
●JR東海が2014年に大井川水資源検討委員会を設置したのは、静岡県との協議がもつれたためではない。
JR東海は評価書(2014/423)に具体的な環境保全措置を記述していなかったため、国土交通大臣意見(2014/7/18)において、”大井川”と名指しして環境保全措置の検討を命じられた。本来は評価書補正作業として対応すべきであるが、同社はそれを先送りして補正作業を終えた(2014/8/29)。事業認可後になって、大臣意見で指示された専門家会議として、大井川水資源検討委員会を設置したのである(12/19)。
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それでもまだ静岡県は納得しない。今度は湧水全量を戻す具体的な方法の説明を求めた。あわせて水資源の変化と建設残土による生態系破壊の予測と対策も求めている。JR東海側としてみれば、これらの手続きは着工後の調査と合わせて正しく予測して着実に実行したい。しかし静岡県側は着工前に示せという。これ以降、JR東海がどれだけ言葉を尽くしても、両者の話が噛み合わない。
●発生土置き場の問題は今に始まったことではない。 
千枚崩れで「岩屑なだれ」が複数回起きていたと指摘されたことについて執筆者はどう評価しているのか?
●量と場所を特定せずに河川流量を減らすことが許されるという法的根拠を知りたい。

JR東海としては環境アセスの手続きも済み、過去の鉄道トンネルと同等の科学的調査と「工事中および完成後の対処法」で十分という認識だった。しかし、静岡県はそれでは不十分という認識だ。その認識のずれを国土交通省が埋める形になる。 
●大臣意見でさえ、それでは不十分としているのだけど。

国土交通省の役割は、まず両者の意見・要求から「着工前にすべきこと」「着工後にすべきこと」を整理する。その後、JR東海に対しては具体的な説明を促し、静岡県に対しては、JR東海の回答を保証して着工を促す。
●どこに書いてあるの?
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南アルプストンネルは史上まれに見る大工事となる。工期の見積はあっても、実際にトンネルを掘ってみないことには、2027年の開業目標が達成できるかどうかわからない。予想外の出水、有害物質の露出などで工期が遅れるかもしれない。逆に、見込んでいたアクシデントが起こらず、工期が早まる場合もある。もっとも、こうした工期の変動は着手してからわかる。着手前の足踏みは想定外だろう。中央新幹線を前提に、沿線のさまざまなプロジェクトも動き出している。早期解決、早期着工を望む。
●何も起こらなかった場合、JR東海が先に掘るとしている長さ12kmの導水路トンネルはどうなるのだろうか? 壮大なムダになってしまう。
●途中まで掘ってルート変更などという事態も想定しなければならない。壮大な自然破壊をしただけに終わる。
自然保護地域で実際にトンネルを掘ってみないことには、2027年の開業目標が達成できるかどうかわからない。⇒一応、自然保護地域なのだから、無責任な立場で、そういう発想を安易にすべきではない。




翌15日になって、同一執筆者による同じような記事がYahoo!で配信されていた。
現代ビジネス JR東海・静岡「リニア問題」第2ラウンドへ…国交省参戦の行方
8/15(木) 11:00配信

気になるところをコピペ

 JR東海としても、自社の利益のために悠久の自然を破壊するつもりはなく、なるべく悪影響を与えないように配慮していく方針だ。「全国新幹線鉄道整備法」に準拠して環境影響評価を実施し、その結果を国に届けた上で、2014年に国から中央新幹線品川〜名古屋間の建設許可を得ている。
  JR東海はこの環境影響評価書を作成する手続きのなかで、沿線地域には十分な説明をしたという認識だ。それゆえに東京都・山梨県・長野県・岐阜県・愛知県では着工できている。

JR東海が環境配慮のために自主的にアセスを実施したわけではない。環境影響評価法の規定により、新幹線鉄道の建設許可を受けるためには環境影響評価書を作成しなければならないからである。
環境省のパンフレット

当然、事業者であるJR東海は、沿線地域に十分な説明をしたという認識のはず。それについて住民等が納得・合意したかどうかは全くの別問題である。
南アルプストンネル長野側の大鹿村で、起工式が大荒れになった(2016/11中日新聞)ことや、山梨県南アルプス市で差止め訴訟が起きていることについて、執筆者はどう認識しているのだろうか。多様な声を拾い集めてこそジャーナリズムとしての意義があると思う。

九州新幹線・筑紫トンネルの事例について言及している。
 背振山周辺は福岡都市圏の水源となっているため、水資源の周辺環境を維持しつつ建設された。事前調査による湧水量予測はトンネル完成後の実測値にかなり近く、また予想外の事態にもきちんと対処している。その内容は、土木学会のウェブサイトで公開されている、鉄道・運輸機構の担当者による論文「周辺水環境を考慮したトンネルの設計施工 -九州新幹線,筑紫トンネル-」に詳しい

この報告書についてはブログ作者も目を通している。正直なところ、専門的なこととなるとチンプンカンプンなのだけど、こんなことが書いてあった。

本トンネルルートの平面線形は、起点方にR=6,000m,終点方にR=9,000mの曲線区間を採用したS字形をしている。これは、平面的に曲線を用いることで、各ダムやダムへ流入する河川への影響範囲から極力離れたルートを選定したためである。
…比較した結果、直線ルートは、河内ダムに最も接近し、ダムに流入する河川付近の直下を通過するため、影響が懸念される。また、山神ダムにつちえも、平面的な隔離はあるものの、流入河川の直下を通過することとなる。…   31ページ目より

JR東海はルート選定にあたり、大井川への影響を回避すべくどのような検討を行ってきたのか明らかにしていない。ここが根本的に違うのである。

環境保全措置は、回避⇒最小化⇒代償という順序で検討するのが基本とされる。大井川・水問題の場合、
1.河川流量に与える影響の回避
2.河川流量に与える影響を最小化する方法
3.影響が避けられない場合にとるべき対応

という順序で考えるべきである。これをミティゲーションという。1.については、工法やルートの再検討などである。場合によっては事業予定地の大幅変更や事業中止も選択肢に入れなければならない。ところが、JR東海は1.や2.についての検討はせず、いきなり3.を出してきた。つまりトンネル配置計画等の再検討はせず、湧水を導水路で戻す(=排除する)方策だけを提案してきたのである。だから話がおかしくなっているのである。


環境影響評価書についての国土交通大臣意見。
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