ワールドカップに合わせたかのように、突然、リニア計画をめぐって静岡県内での動きがあわただしくなってきました。

どうも11日の中部圏知事会議という会合がきっかけだったように見えます。

6月11日
岐阜県各務原市で中部9県と名古屋市による中部圏知事会議が開かれる。国への要望事項に、三重県がリニア中央新幹線の早期全線開業に向けた働きかけを盛り込むよう提案したのに対し、静岡県の川勝知事が大井川への影響に懸念があると指摘。

6月13日
JR東海の金子慎社長は定例会見で、前日の中部圏知事会議について記者から問われ、大井川の流量を維持するためトンネル内にポンプを設置することを静岡県に提案したと述べる。
(ただしポンプを設置する案自体は2015年以来繰り返されている。)

6月19日
川勝平太知事は、JR東海との交渉を知事戦略室に集約して対応していく方針を表明。
http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/504251.html

そして20日。唐突に静岡市は、JR東海の全額負担により県道三ツ峰落合線にトンネル(約4㎞)を建設することで同社と合意したことを発表


(静岡新聞 20日夕刊)
リニア工事、県道トンネル整備へ JR全額負担で静岡市と合意
 静岡市とJR東海は20日、リニア中央新幹線南アルプス工事の工事車両通行ルートについて、同社が市の求めに応じて同市葵区の県道三ツ峰落合線にトンネルを整備し、工事費用も全額負担することで基本合意したと発表した。同日午前、田辺信宏市長と同社の金子慎社長が市役所静岡庁舎で記者会見した。

 同社の試算では、県道トンネル(延長約4キロ)の建設にかかる費用は約140億円。同社は昨年12月、整備費用などの理由から、市と地元の井川地区が要望した県道でなく、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル整備を提案した。しかし、この提案に田辺信宏市長が「おこがましい」と発言するなど市側が激しく反発。同社は方針を転換し、地域貢献で県道トンネルの整備に協力する意思を示し、費用負担についても交渉を続けてきた。

 同社は交渉の過程で「応分の負担」を主張し全額負担に難色を示していたが、最終的に市の要望を受け入れた。本県は沿線都県で唯一の未着工区間。金子社長は方針転換の理由を「工事を円滑に進め、市との協力関係を築く上で適切な判断」と述べ、早期着工への決意をにじませた。トンネル整備に伴う周辺道路の拡幅や斜面対策は市の負担で工事を行うという。

 市がトンネルの設置を要望していた区間は、急カーブが多く、車同士がぎりぎりですれ違う狭い道路。市はトンネルがあれば事故や交通規制を回避でき、工事関係者や地元住民の安全につながると主張していた。また、南アルプスエコパークの観光振興への効果も期待している。

こちらは21日の静岡新聞朝刊。

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しかし、よく考えるほどよく分からない。

新聞記事にあるとおり、この道路トンネル設置の目的はリニア工事車両の円滑な通行が第一にあるそうです。だからJR東海は、市の要望とは関係なく、トンネル延長の短くなる大井川沿い(接阻峡方面)へのトンネル設置を検討していました。

それに代わって合意した新たなトンネルは、長さが約4㎞あります。
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現在、静岡市街地郊外では、国道1号線静清バイパスの丸子藁科トンネルが建設されています。既存の2車線トンネルに並行して長さ2041mのトンネルを設けるというものです。平成26年9月に工事が始まり、28年4月に貫通、今年中の供用開始予定だそうです。

既存トンネルに並行して掘るのですから、地質などは判明しているはずです。それでも2㎞のトンネルの掘削工事だけで1年半かかっていますから、単純に考えれば4㎞のトンネル工事には3〜4年程度かかりそうに思えます。

長さ4㎞の2車線トンネルを掘れば30〜40万立米の発生土が発生しますから、その処分地の選定も必要となります。場合によっては希少動植物の移植等が必要となるかもしれません。詳細な設計や施工業者の決定、地元との交渉にもそれなりの期間がかかることでしょう。

また地すべり分布図によると、まさに地すべりに覆われた地域であり、特殊な設計等が必要になるかもしれません。


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赤線がトンネルルート

したがって仮に今から着手したとしても、完成するまでに6〜7年は要するはずです。工事の規模によっては、静岡市環境影響評価条例に従って環境アセスメントをおこなう必要が出てくるので、その場合はさらに2年程度余計にかかります。

しかし一方、リニア中央新幹線が2027年開業を標榜している以上、県道トンネルが完成している頃には、リニア本体工事は終了して試運転を開始していなければならないはず。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇ 

河川法、森林法などリニア本体工事での各種認可権をもつのは市ではなく県なのですが、県の設置した中央新幹線環境保全連絡会議を経ずに市と合意したことは不可思議ですし、静岡市がユネスコエコパーク登録地域内での大規模工事を市環境影響評価審査会にかけずに決定したのも不審です。

不審点が多い・・・。

県道の工事・管理についてはただいま勉強中。。。
















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今日(6/14)の静岡新聞朝刊を開いて「?」と感じました。

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中日新聞の記事では、もっと大きな「「が頭に浮かびました。

「湧水全量戻す設備用意」 リニア工事でJR東海  
大井川系流量減対策 県の主張のむ 

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事に伴う静岡県の大井川水系の流量減少対策について、JR東海の金子慎社長は十三日、「いざとなれば湧水の全量を戻せる設備を用意する」と県側に提案したことを明らかにした。これまで主張が食い違ってきた県側に歩み寄りを見せた形で、対立解消の糸口になる可能性がある。
 県側は、トンネル工事で発生する湧水の全量を川に戻すよう求め、JRは工事の影響で川の流量が減った分だけ量って戻すと主張してきた。JR東海によると、今月上旬に新しい提案をした。
 JR東海は「湧水全てを川に戻せば戻しすぎになる」とする従来の主張を崩していないが、県側の主張に設備の能力面から応じる。新提案には、工事が原因でなくても渇水期の流量減少時には水を供給する方針も盛り込んだ。
 川勝平太知事は十一日、岐阜県各務原市で開かれた中部圏知事会議で「水の問題は深刻。住民には死活問題であり、リニア中央新幹線のメリットが感じられない」などと述べた。金子社長は十三日の定例会見で、知事発言に対する反応を問われて回答した。
 金子社長は「環境アセスメントでは工事の減水分を戻せば良いとされ、工事認可を受けた。それでも地元に耳を傾けることが大切だから、誠実に対応している」と再提案の理由を説明。「環境問題に真剣に取り組んでいる」とも述べ、認識不足との批判は当たらないとの見解を示した。



JR東海が県境地下にポンプを設置し、「いざとなれば導水路まで湧水をくみ上げる用意をする」ことを提案したそうです。これを中日新聞では「県の主張をのんだ」と表現しています。あたかもJR東海が譲歩したかのような表現ですけど、違和感を覚えます。


◇   ◇   ◇   ◇   ◇ 

こちらは2015(平成27)年4月2日、第2回大井川水資源検討委員会において、JR東海側が用意した資料です。
http://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/efforts/oigawa_committee/


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必要に応じて導水路トンネル取付位置までトンネル湧水をポンプアップすることにより・・・」と書いてあります。

さらに第4回目の会合(同年11月27日)でも次のような資料を提出しています。

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ここでも、「必要に応じて計画路線の湧水を導水路トンネル取付位置までポンプアップすることにより、河川流量の減少を回避することが可能です」としています。

さらに、2017年1月17日にJR東海が静岡県に提出・公表した「平成29年1月 導水路トンネル等に係る調査及び影響検討結果」第1章にも、次のような記述があります。

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やはりここにも、「必要に応じて、トンネル湧水を導水路トンネルの取り付け位置までポンプアップすることと考えている。」と書かれており、イメージ図が添えられています。

何のことはない。

トンネル内にポンプを設置して水をくみ上げるという案は、2015年から繰り返されてきているわけです。

冒頭の中日新聞記事によれば、このほど県に対し、「県境地下にポンプを設置し、いざとなれば導水路まで湧水をくみ上げる用意をする」ことを新たに提案したことになっていますが、何が新しいのかさっぱり分かりません。

必要に応じて

が、

いざとなれば 

に変わっただけではないでしょうか?







案の定、県はこんな反応を示しています。
(6/15 静岡新聞朝刊)
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で、どこが「新提案」なのだろう?


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大井川の流量保全をめぐる議論において、流量減少が事業関係者の間で認識され始めたタイミングが重要になるかもしれません。それによって事業手続きの妥当性に疑問がつくかもしれない。

というわけで少々まとめてみましたので、よろしかったらご覧ください。
「大井川の流量減少はいつから予想していたのか?」 


関連ページ
「大井川導水路案は非合理的である」、
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/SouthAlps/Ooigawa/ooigawa-dousuiro.html

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