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困った顔

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 幼い頃、毎日のように電車に乗っていた。
 通院であったが、電車に乗るのは楽しかった。
 独りで乗っていたので、周りの人は誰でも親になった。
 ボクは席には座らなかったな。
 進行方向を見るために、先頭車両の運転士のそばで、境の鎖につかまって立っていた。
「出発進行!」
 見られていると大げさになる運転士の素振りがおもしろかった。
 車には酔ったが、電車だと振子電車でも酔わなかった。
 移り行く風景が楽しかった。
 列車の振動は心地よかった。
 低音車内アナウンスを待っていた。
 手すりの金属臭を何度もかいでいた。
 小汚い座席や床も気に入っていた。
 空飛ぶ鉄橋には興奮した。
 トンネルの時だけ浮かび上がる、向かい側の疲れた顔々を見て、ニヤニヤしていた。
 薄暗いホームも異空間であった。
 国鉄の無愛想に切符を切る駅員の仕草がキマっていた。

 大きくなると電車に乗る必要がなくなった。
 人生は残酷である。
 時間があるときはカネがない。
 カネがあるときは時間がない。
 両方ある者しか、通勤通学以外で電車に乗る贅沢(ぜいたく)はできない。
 人生が二度あれば、日本や世界の電車を乗りまくってみたい。
 この世ではやることが多すぎる。
 あの世を超えた夢である。

 古い列車が消えていくのは寂しいものである。
 路線そのものがなくなってしまうのは悲しいものである。
 思い入れがあるのは、小汚い列車である。
 新しい列車に想い出はない。
 あるのは未来だけである。
 それすら想い出を超えなければ、未来としては認めない。

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