うそ寒い海が見えます

うそ寒い海が見えます理髪店       西 久男  こういう句を読んでいると、俳句とは何であろうかとつくづく考えてしまう。社会的なテーマとか、思想性などとは縁遠い句なのだが、しかし、この句の主人公は、まちがいなく社会の中でもがき、疲弊した人物に違いないのである。そのことが、たった十七音の情景描写によって容易く伝えられているのはなぜなのであろう。  まず「うそ寒い」の「うそ」が利いていて、これは作者や語り手の主観というより、ここに登場している主人公の主観というべきものである。この主人公は、明らかに斜に構えて冬の海を見ている。さらに口語の「ます」という丁寧語が、この作者の相手意識を強調している。つまり、話を聞いてくれ、という気持ちが暗示されているのである。最後の「理髪店」もまた象徴的で、人が髪を切ろうと思うのはどのような時かを考えすべて表示すべて表示

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