Jimmyの明かり窓

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東野圭吾「白夜行」

19年前(1973年)、大阪で起きた質屋殺し。何人もの容疑者が捜査線上に浮かぶが、決定的な証拠がないまま事件は迷宮入りに。被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂は、その後別々の人生を歩んでいくかに見えた。だが、二人の周囲には不可解な凶悪犯罪が次々と起きる…。人の心を失った故の悲劇を、叙事詩的スケールで描いている。

なが〜いお話だ。しかし飽きることは無い。1973年の事件から
19年後の1992年までの男と女の悲しい話だ。
その当時の世相が具体的に描かれているので懐かしくもある。
登場人物が多いし、話は周辺の部分部分から進んでいくので、核心に
せまっていくまで時間がかかる。その間にだいたいのストーリーはおぼろげに
解ってしまう。ミステリーっていうか、やっぱり人間を描いているんだなぁ。

美しく女王のような雪穂や亮司の心の中は一切語られてはいないが
想像できるようになっていて、幸せに暮らせるはずの子供を大人たちが傷つけ
とんでもない生き方をさせてしまったのだ。
そして少女は自分の思うように生きる為、友達を襲わせたり恋人を利用したりする。
でもこの強さ凄い!亮司の裏の尽くし方も凄いと思う。

一見華やかなオーラを放っている雪穂の虚無的で哀しい心は
襲わせた義理の娘美佳を裸で抱く時に何て暗い心を持っているんだろうと
おぞましく感じる。「太陽の下を歩く」事も出来ず
−エビはハゼのそばにいる−その様にして
白夜の中を進んで生きるしか無かった二人・・・。

解った上でまた一からしっかり読み直して心を読み取りたくなりました。

東野圭吾「片思い」

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 十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが…。十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長篇ミステリー。

私はミステリーとしてはかなり物足りなく思った。
だけど「性同一性障害」「半陰陽」などを軸に大学時代のアメフト部の友人達の
物語で、この本の中で言っていた男と女は両端にいるのではなく
トランスジェンダーである相川が哲郎に言った言葉が印象に残った。

「男と女はメビウスの表と裏の関係にあると思っています。」
「普通の一枚の紙ならば裏はどこまで行っても裏だし、表は永久に表です。
でもメビウスの帯ならば、表と思って進んでいったら、いつの間にか
裏に回っているということになる。つまり両者は繋がっているんです。
この世のすべての人はこのメビウスの帯の上にいる。完全な男もいないし、
完全な女もいない。またそれぞれが持つメビウスの帯は一本じゃない。
ある部分は男性的だけど、別の部分は女性的というのが普通の人間なんです。
トランスジェンダーといっても一様じゃない。トランスセクシャルといっても、
色々います。この世に同じ人間なんていないんです。」

色んな人が色んな所に位置しているってのが説得力があった。
ちなみにメビウスの帯とは細長い帯を一方を捻った後、端どうしを合わせた輪です。

日浦美月や末永睦美など「トランスジェンダー」の人達の苦悩ややりきれなさが描かれ
考えさせられ事も多く、また興味深くもありました。

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映画を観終わってから本を読みました。
やっぱり本を映画にするには時間が短すぎてそれぞれの心のひだは
本を読んだ方がわかります。特に花岡靖子を愛する石神と 石神のことを
何とも思っていない靖子の心のずれ方は面白かった。
石神を疑いながらも悩む湯川の心理も本では分かりやすい。

前に「探偵ガリレオ」って言うのを読んだ時から、私の中では物理学者 湯川は
ほんとは福山雅治では無いんですけどね〜。

本の中の天才数学者 石神の方もずんぐりした体型で、顔が丸く大きく、
目が細く、頭髪が薄い設定だ。暗くて無口でよくわからない相手
そりゃ花岡靖子にしたら、まったく興味の無い相手なわけだ。

殺人事件の謎解きも映画ではホームレス達を写した時にすぐヒントがあるが
本ではうまく謎のまま持っていってるので先に本を読んだ方が良かったと思った。

途中から出てくる彼女を愛する工藤とのやり取りや
真相を湯川から知らされた花岡靖子が公園のベンチから動けなくなるあたり
真実味がある。
靖子が特別取り得の無い自分を愛してくれる人たちが回りにいるのに
どうして自分は幸せになれないんだろう?と思う辺り悲しくなる。
本では娘も自殺未遂をしてしまい、母親としては最悪!

石神の無表情な顔の裏にある深い愛情を知っておののくが
この場合は罪を逃れようと必死だったわけだけど、
いや〜興味の無い人からの深い愛情っていらないんだけど〜。

第6回本格ミステリ大賞、第134回直木賞受賞作。

角田光代の本

「対岸の彼女」

専業主婦で子持ちの小夜子はママ友も出来ず、その子供も上手く
友達を作れない。仕事を持つことを決意した小夜子はベンチャー企業の
女社長 葵にスカウトされハウスクリーニングの仕事を始める。

女社長 葵の高校生の頃の話はすごく興味深く、親友のナナコとの
エピソードには引き付けられた。学校では変わり者と見られている
二人の絆は深く、自分の学生の頃なども思い出しながら読んでいた。

でもよく話しに出てくるイジメなんて昔は無かったように思うんだけど・・・。
女子高だと女ばっかりで色々あるんだろうか?
★直木賞受賞作品

「空中庭園」

郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何事もつつみかくさず。」
しかし家族みんなが秘密を持っている。
娘、父、母、祖母、弟、父親の愛人などの本音が語られていく。

当たり前だよねぇ。いちいち弟が夢精したからといって
性の目覚め晩餐会するような家は変だ。
会話があるようでかみ合っていない母と父、引きこもりしていた事を
かくそうとする母。母親自身色んな気持ちを抱えて暮らしているのに、
世間的にみて平和で明るい普通の家庭を演じている。

心が落ち着かない母はベランダに色とりどりの花を並べ、
外から見上げた時に美しく咲いていることに満足を覚える。
枯れればすぐに別の株を買ってきてベランダを飾り立てる。
あ、そうか。私はベランダに花がいっぱいな家とか、
クリスマスシーズンに普通の家なのに電飾で飾ってる家を見ると、
経済的にも余裕があって悩みが無い家なんだなぁと単純に見ていたけど、
京橋家のようにそうでない場合もあるんだ。という事を知った。

やっぱり子供は親を選べない、その環境の中で育つので親が変に
頑張ってると無理が出てくる。
普通に見える一家の光と影が描かれていて面白い。
★第三回婦人公論文芸賞受賞作品

「夜をゆく飛行機」

谷島酒店は両親と4姉妹がいる。それぞれの個性と移り行く家族の生活を
温かく描いている。私には弟はいるが姉妹はいないので、
女だらけの生活って服を貸してもらえたり、細かいことを相談したりと
羨ましいような気もチョッピリした。

「愛がなんだ」

OLのテルコがマモちゃんと呼ぶサラリーマンに恋をして、
仕事も同僚もほっぽり出してマモちゃん最優先の涙ぐましい生活を
送っている。しかしマモちゃんはテルコに恋はしておらず、
ただただ都合のいい女になっている。
私はこういう付き合い方は絶対にしないな。
でもこれ程誰かに片思い出来るってのも幸せかもしれない!?
 こんな生活、もう我慢できない…。自堕落な夫と身勝手な息子に翻弄される主婦の救いのない日々。昔、捨てた女が新婚家庭にかけてきた電話。突然、高校時代の友人から招待された披露宴。公園デビューした若い母親を苦しめる得体の知れない知人。マンションの隣室から臭う腐臭…。平穏な日常にひそむ狂気と恐怖を描きだす八編。平凡で幸せな結婚や家庭に退屈しているあなたへ贈る傑作短編集。

貫井 徳郎さん、初の短編集でご本人的には挑戦だったんですね。

表題作の「崩れる」これは結婚生活の微妙な鬱屈が良く表されている。
夫が画家くずれのイラストレーターで知り合いのつてで舞い込む仕事を
細々とやっている。約束は破るためにあると考えて出版社からの締め切りも
いい加減にするダメ亭主。

収入は少なく、自分がベルトコンベアーに流れてくる化粧品を
箱に詰めるパートで家計を遣り繰りしている。

やっと就職したと思った息子はすぐに会社を辞めてしまい家でブラブラ。
子供の頃 父親にネチネチと自分のうっ憤をぶつけられていた息子は
中学以来夫にきつく当るようになり、二人は子供のようなけんかをする。

自分がパートから帰ってきて夕飯を作るまで二人はただ待っている。
生活費を稼ぐのも自分、炊事や洗濯も自分。
ある日主婦はプツンとキレル。

あ〜何だか、そうだよねぇ、そりゃそんなダンナと子供なら切れちゃうよねって感じ!

「誘われる」公園デビューにまつわる話しも面白かった。
他にも「憑かれる」 ハハ、怪談話しかい!
「壊れる」不倫してる夫の細かい心情が笑える。

日々の身近な出来事が積り積って壊れていく、軽〜く読める本です。

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