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さて、今回はドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」の聴き比べです。 キリがありませんので、今回はトスカニーニ等のモノラル音源は省きます。 まず、この9番ですが、第一楽章でよく話題になるのが「反復」の問題。 確かに以前は反復させない演奏が多かったです。単なる反復なのでカットする指揮者が多かったのでしょう。 しかし、最近では作曲家の意図を反映させるために、反復させる演奏が多いようです。 まあ賛否両論といった所ですが、私はロストロポーヴィッチ(反復有り)とクーベリック(反復無し)の演奏を良く聴いていた関係で、どちらの演奏も耳に馴染んでいます。 「ロストロポーヴィッチ/ロンドン・フィル」最近テープを掘り起こして聴き直しましたが、表現の振幅が大きく(ロストロポーヴィッチが振るチャイコフスキーの交響曲を聴いた方なら想像が付くでしょう)細部の音まで聴かせてくれます。4楽章冒頭などはどの演奏より凄まじく、ド迫力で押してくる演奏。一番好きな演奏です。「クーベリック/ベルリン・フィル」金管を鳴らしますねえ。それに艶やかな弦が負けません。さすがはベルリン・フィル。最後まで弦も管も鳴らし切る迫真の演奏、聞き終えて大満足「スカッ」とします。 もちろんクーベリックですから「お国もの」ですし、入手可能な中では一番満足度が高いと思います。 「ケルテス/ウィーン・フィル」(1961年)言わずと知れた「名盤」。(音源を準備しています)ただし、「迫力」を期待すると肩すかしを食うでしょう。 「ここで金管だ」という所で抑えられ、普通は素通りする細部を強調させています。 これが「名盤」と言われる所以は、この演奏がドイツ的でも無くロシア的でも無く、勿論アメリカ的スカっとしたものでも無いからなのでしょうか。 つまり、想像するとこれがボヘミアの血を騒がすもの? そんな気がします。 「ノイマン/チェコ・フィル」おおっ、この演奏は懐かしい・・・。恐らく私たちが一番耳に馴染んだ演奏。吹奏楽でも一般のオーケストラでも、この曲を我々が最も魅力的に演奏しようと思ったらこうなると思います。 少々リバーヴ・タイムが長いので鮮明な音とは言えませんが、超・オーソドックスな演奏と言えるでしょう。 「オーマンディ/ロンドン交響楽団」これはまた・・・。オーマンディ、あなたは偉い。何なのですかこの金管の盛り上がり方は。 一言で表現すると、アメリカ的ファンファーレの様な金管の凄まじさ。 「金管大好き」「金管命!」という方には是非お勧めです。これでもか、というくらいに金管を目一杯鳴らしてくれますよ。 確かに「ストレス解消」には持ってこいかも知れません。 「バーンスタイン/ニューヨーク・フィル」速い! 何だこの第3楽章は!!!そうでした。バーンスタインに「情緒」を求めてはいけません。それはオーマンディにも言える事ですが・・・。 「スカッ」と「ビシッ」と「ズカッ」と、力強く格好良く。 当たりめえでぇ。スカシてなんかいられねぇぜ! <番外編> 「ストコフスキー/ニューフィルハーモニア」ストコフスキーワールド全開です。一発しか無いはずのシンバルが何度も鳴ったり、無いはずの「金管のトリル」が出てきたり、言ってみれば「お約束」のストコフスキーの世界。 では何故「番外」なのかと言えば、間違って「人生初めて」入手するCDにストコフスキーを選んでしまわないため。 この演奏で「刷り込み」が行われるほど不幸なことは無いですから。 <ニコニコ動画編> 「カラヤン/ウィーン・フィル」(映像付き)いやあ、凄い演奏です。ウィーンを振るカラヤンは凄まじい。タイトなベルリンより一人一人違う弾き方をするルーズなウィーンの方が断然良い。 ウィーンてこんなに巧いんですよね。きっとルーズなウィーンとタイトなカラヤンが<良い方向で引き合っているのでしょう。 ちなみに第4楽章のみステレオです。少しだけ聴くなら第4楽章をどうぞ。 第一楽章 第二楽章 第三楽章 第四楽章 「チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル(映像付き)」カラヤンと反りが合わないチェリビダッケ。録音自体したがらないのに、ここに動画がありました。 さて演奏ですが、何だこれは! しかし、凄い演奏です。重々しく品があり、曲の全貌が明らかとなる。こんな演奏は初めて。 これは癖になりますね。オケも巧い!!! 騙されたと思って最後まで聴いてみてください。フィナーレの盛り上がりで涙が止まらないことでしょう。 テンシュテット/ 北ドイツ放送交響楽団」これもオーソドックスで良い演奏です。弦と木管にたっぷりと歌わせ、金管も出すときにはしっかりと出します。 この曲はそれぞれのオケの良いところを存分に引き出してくれる曲なのだな、そう思います。 第1〜4楽章 スヴェトラーノフ/ソビエト国立交響楽団」何故でしょう。この熱い熱いスヴェトラーノフの演奏が、トランペットやトロンボーンが入って来ただけで、ドヴォルザークではなく「チャイコルザーク」に聞こえます。 細かい木管の処理や弦の歌わせ方、テンポの揺らし方。 何ともはや、楽しい演奏ではありますが。 第一楽章 第四楽章 この曲には、演奏するだけで形が出来てしまう「力」があります。
またその一方では「弦」と「管」の鬩ぎ合いがあり、その扱い如何では色合いが変わってしまう危険性を孕んでいるとも言えるでしょう。 少なくとも私の場合、「金管を抑えた」演奏は魅力を殺してしまっていると思います。 情熱的に格好良く、バシッと盛り上がってスカッと終わる。 だって・・・第7番・第8番と続けて聴いて、やっと9番のフィナーレで大団円を迎えてくれるのですから。 |

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