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前回も書きました通り、私は早い時期の曲の方が好みです。しかし、この2つの曲集を聴く限り、そうとも言い切れなくなります。 聴いてみると分かりますが、ショパンを意識した曲作りとなっていて、「12の練習曲」あたりはショパンに倣った、という話は公然のもの。 ところで、ラフマニノフとは対極で、スクリャービンはオクターブがやっと届くほどの手の小さい人でした。しかし、ピアノの腕は超一流。 しかし、小さい手ゆえに超絶技巧を追求して右手首を負傷、治るまで左手を徹底的に鍛えて右手同様の柔軟性を手に入れたと言いますから凄い。 だから左手が右手のように活躍するのですね。 では、早速曲に参りましょう。 「12の練習曲 作品8」演奏:ニキタ・マガロフ 全曲楽譜付き「Op8 No.1 嬰ハ長調 Cis dur」「Op8 No.2 嬰ヘ短調 fis moll」 「Op8 No.3 ロ短調 h moll」 「Op8 No.4 ロ長調 H dur」 「Op8 No.5 ホ長調 E dur」 「Op8 No.6 イ長調 A dur」 「Op8 No.7 変ロ短 b moll」 「Op8 No.8 変イ長調 As dur」 「Op8 No.9 嬰ト短調 gis moll」 「Op8 No.10 変ニ長調 Des dur」 「Op8 No.11 変ロ短調 b moll」 「Op8 No.12 嬰ニ短調「悲愴」 dis moll 'Pathetic'」 No.3やNo.4を聴くと、私なりのスクリャービンを感じます。左手と右手のバランス感覚が何とも言えません。 No.7も右手をシンコペーションに聞こえさせる左手。古典的ですが好きな手法です。 No.9にしてもそうですが、左手次第で曲の生き死にを決してしまいますから怖いですね。No.12はどうでしょう。強く弾いて気持ちよくなりたがるのでしょう。どちらかと言うと地味な曲が多いですから、これはサービスなのかもしれません。 「8つの練習曲 作品42」演奏:アンドレイ・コロベイニコフ「Op42 No.1 変ニ長調 Des-dur」「Op42 No.2 嬰ヘ短調 fis-moll」 「Op42 No.3 嬰ヘ長調 Fis-dur」 「Op42 No.4 嬰ヘ長調 Fis-dur」 「Op42 No.5 嬰ハ短調 cis-moll」 「Op42 No.6 変ニ長調 Des-dur」 「Op42 No.7 ヘ短調 f-moll」 「Op42 No.8 変ホ長調 Es-dur」 楽譜付き(演奏:ホロヴィッツ)「Op42 No.5 嬰ハ短調 cis-moll」作品8も良いのですが、私はこの作品42の方が「らしさ」を感じます。 「ではこちらの方が好きなのでは?」と問われると、それはそれでちょっと違うような気もするのですが、でもスクリャービンならやっぱりこっちかな、とも思います。 例えばNo.4の様に、調を失いかけては絶妙の落とし場所に落ちてくる感覚、これが私の持つスクリャービンのイメージ。 さて、スクリャービンのエチュードの中で一番好きな曲と言うと、私の場合はこのNo.5。ショパンの香りも色濃く、胸に響いてきます。 ちなみに今回はコロベイニコフの演奏で全曲アップしていますが、楽譜付のホロウィッツがあるので最後に追加いたしましょう。 続いてNo.6。これも「らしい曲」ですね。 この響きがあるからこそ、ショパンと正面からぶつからずに聴けるのでしょう。でも本当に短いです。 終曲のNo.8ですが、作品8の終曲と全く違います。 作品8は、ショパンを意識して、と言うより意識せざるを得ない「呪縛」の様なものがまだあったのでしょうか。 作品42で描いたエチュード。私がこの終曲で感じるのは、「自由」と「解き放たれた安堵感」。フッと力が抜けていくような幸せな感じ、素晴らしいです。 ※この記事はあくまでも主観ですので正当な解説とは違います。
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