よもやま話

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情けないCD

楽天のポイントが貯まったので、輸入盤のCDを注文しました。

チャイコフスキーの全交響曲やヴァイオリン協奏曲などが収録されたもの。
指揮はロジェストヴェンスキー、モスクワ放送交響楽団。これはかつて一番好きな演奏でした。

届いてすぐに封を開けると嫌な予感。
CDは無造作に紙の袋に入れられ、いかにも安い造り。しかもロシア製。
恐る恐る聴いてみたら案の定です。

以前記事にした、エコーで誤魔化した粗悪品。
こんな演奏を聴かされて、果たしてロジェヴェンのファンになる人間がいるのだろうか。
安物のAMラジオを風呂場で鳴らしたような音。
あまりに情けなくて涙が出てくる。


ロシアはもうクラッシックなどどうでも良いと思っているのか?
しかし、ロシアの人はこう言うのかも知れない。

「だってCDだもの。記録として聴ければいいのさ。良い音で聴きたい? 所詮CDじゃないか。そんな時は本物を聴きに行くからね、我々は」 
ある知人が洩らした言葉です。
「俺、クラシックに詳しいと思ってたけど、考えてみたらピアノの曲以外は有名な曲しか知らないんだよなあ」

彼はピアノから入ったクラシックファン。
ですから、当然のようにピアノの曲には滅法詳しいのですが、ヴァイオリンコンチェルトで言えば、“3大”と言われる「チャイコフスキー」「メンデルスゾーン」「ベートーヴェン」。“5大”まで広げても「ブラームス」「シベリウス」。「シベリウス」などはメロディーすら浮かばない。チェロ協奏曲も同じ様なもの。
ストラヴィンスキーなどは「どこが良いのか分からない」
バルトーク、プロコフィエフはと言うと、ピアノの曲は聴くが「管弦楽」は今ひとつ。

そんな私と彼の共通点はと言うと、コレクションが集中している事。
例えば私の場合、チャイコフスキー・ドヴォルザーク・ブラームスの交響曲。「これは」という曲は増える一方。
しかも、ブラームスの中でも1・3・4番は沢山持っているものの、2番は極端に少ない。
試しにコレクションを並べると、同じ曲が続く続く。
だが、ベートーヴェンにしても室内楽が無い。
「詳しいですね」などと言われても、実際は特定の曲ばかり。これでは本当に“詳しい“とは言えないでしょう。

でも、私はあくまでも「ファン」であり、プロではありません。ですからそれで良いのだと思っています。まずは「いいなぁ」と感じる事が大切です。
昔は気楽で楽しいクラシック番組がありました。「オーケストラがやってきた」などは本当に楽しかった。黛さんのマニアックな「題名のない音楽会」との対比も良かったですし。

「クラシックっていいよね」
こんな言葉が気軽にポンポン出てくるように、もっと身近な存在になることを願います。
「僕、根っからのクラシックファンなんだ。吹奏楽も小学生からずっとやってたし」
「私も幼稚園からピアノやっていて、クラシックしか知らないの♪」

これは運命の出会いか!
子供の頃からクラシックを愛し、「結婚するならクラシック好きな人」と思い続け、やっと巡り会えた理想の伴侶。
クラシック好き同士が結婚という、業界人でなければなかなか難しい奇跡が起きたとも言えるのですが、いざ蓋を開けてみると・・・。

「何よ、この“春の祭典”って。これのどこが音楽なの?」
「そう言う君はどうなんだ? CDを沢山持っているって言うから見てみたら、訳の分からないピアノの独奏曲しか無い。コンチェルトすら無いじゃないか!」
「だってオーケストラとなんか演奏しないもの」
「でも聴くぐらいはするだろ?」
「私はピアノを弾く為の参考に聴くのよ!」

さて、この二人のすれ違いは修復できるのでしょうか。運命やいかに!
では、もし二人ともベートーヴェンの交響曲が大好きだったとしたら、果たしてどうだったでしょう。片や「フルトヴェングラー派」片や「カラヤン派」で相譲らないとなれば、「私の前で○○はかけないで!」ともなりかねません。本当に難しいものです。

クラシックに親しむきっかけとして多いのは、概ねこの3つのタイプだと思います。
1.ピアノやヴァイオリンなど、楽器を習っていた。
2.吹奏楽部に入っていた
3.親が聴いていた。好きな曲に巡り会い、聴き始めた

1.のように楽器を習っていると、当然教本や発表会で様々な曲と出会います。
図書館を見てみましょう。「こんなに聴けるの?」というくらい沢山の独奏曲があり、「発表会」に使われる曲だけ集めたCDなども結構あります。
「ランゲ」「バルス」「クラーウ」。
これは、ピアノを習っていなければ一生出会う事も無い作曲家ですし、「ハノン」「ツェルニー」「ブルグミュラー」などは、「ブラームス」「ラフマニノフ」など比較にならない程身近に付き合う作曲家。そういう世界なのです。
普通に習っていれば、まずオケとの協奏などありません。日々独奏曲で練習し、発表会の曲を仕上げて行く。ですから、コンチェルトは聴く環境にないのです。

では、2.のように吹奏楽部に入るとどうでしょう。
「リード」「ネリベル」「ネオゲル」「スーザ」。これらを知らない人はまずいません。
オーケストラの曲をアレンジしたものもどんどん演奏します。
ただし、曲には傾向があります。
どちらかと言うと編成の大きいもの。金管楽器が入っているもの。打楽器が使われているもの。
「弦楽四重奏」、弦楽器やピアノの「協奏曲」「独奏曲」などは向きません。
したがって、「ホルスト」「ショスタコーヴィッチ」「ストラヴィンスキー」「バルトーク」「レスピーギ」などに、当然人気が集まります。
また、日々金管や打楽器の音に慣れ親しんでいますから、派手な金管・打楽器の曲を聴いたりすると思わず興奮してしまいます。
交響曲で言えば、「モーツアルト」「ベートーヴェン」ではなく「ドヴォルザーク」「マーラー」等でしょうか。
すると、どうしても疎くなるのがピアノや弦の独奏曲。吹奏楽をやっている環境で、これらの曲に関わる事はまずありません。

3.は、何かのきっかけで聴くようになったケース。
例えば「オペラやバレエが好きで他の曲も聴くようになった」という場合は、やはりスタンスはオペラやバレエ中心になります。
分類的には、1の「楽器を習っている」に近いでしょう。
ただ、「家にCDがあった」「映画で使われた曲に興味を持った」などの場合は、その先どこに向かってしまうのか分かりません。
それは、聴き始めたものによって「刷り込み」が行われるからです。
聴き込むCDの傾向や、目覚めた曲によって変わるでしょう。
ルネッサンス、バロック、古典派、ロマン派、近代・現代、前衛。
バッハ、ベートーヴェン、シューマン、クライスラー、マーラー、シェーンベルク。
どの時代でも、どの作曲家に引っかかっても広い世界が待っています。どこまで行ってもきりがなく、果てしなく「○○オタク」の道を突き進んでしまうでしょう。

私の知人に「ルネッサンス以前の曲しか聴かない」という方がいますが、そのへんの「クラシックファン」より遙かに多くのCDコレクションを持っています。
どちらが“クラシック音楽をより堪能しているか”は敢えて問いません。
広さや深さは関係なく、限りなく音楽を愛している事に違いは無いのですから。
「クラシック音楽の正しい聴き方」
こういう類の本をあなたは読んだことがありますか?
むむむ。私は全面否定はしませんが、あまり気持ちの良いものではありません。
どうも「美味しいものを食べたときの正しい表現の仕方」のような押しつけを感じるのです。
「うん、おいしい!」で良いではないですか。

「演奏会に出かける時はせめてブレザーを着ましょう(出来ればネクタイ着用)」
「ブラヴォーや拍手は音が消えるまで待ちましょう(余韻を楽しむ方がおられます)」
「演奏中は音を立てず、出来るだけ体を動かさないように(バンフ・チラシを見るないように)」
せめて、こんな程度の注意事項だけにして欲しいものです。

この手の本は、何か人を上から見下すような内容が見られます。
「ライヴを聴かずして音楽の本当の姿は分からない」
「曲や作曲者を理解せずに、音楽の何が分かるのであろうか」

冗談じゃありません。CDしか聴かなくて何が悪いのでしょう。
そんな事を言ったら、当時「ライヴしか無かった」生あくびの貴族婦人の方が、沢山のCDを聴いている今の熱烈ファンより音楽を深く理解していた事になります。
また、曲の成り立ちや歴史、作曲家を理解しなければ「音楽を知ったことにはならない」などと言ったら、庶民にメンデルスゾーンは理解する事など不可能でしょう。ましてや、チャイコフスキーを聴こうとするなら“同性愛を理解する”必要まで出てきてしまいます。

そもそも「理解」って何でしょう。
音楽は「聴くもの」「感じるもの」です。
「美しく青きドナウ」を聴いてウキウキした。「白鳥の湖」を聴いて胸が熱くなった。
こんな感情を抱いても、作曲者が誰なのか分からなければ、何分の何拍子か分からなければダメなのでしょうか?
作曲家が深い悲しみの中、それを忘れるために書いた「明るくて陽気な曲」を聴いた時、裏にある悲しみまで感じ取らなければ「分かっていない」事になるのでしょうか?

クラッシックの知識があまり無い人が「あっ、この曲綺麗♪」と言った時、「初心者の君にはまだ分からないだろうけど・・・」と言葉を遮りたがる人がいます。
そんな特権階級にいるかのような錯覚をしている人の言動・意識が、日本にクラッシックを根付かせないどころか、クラッシック熱を衰退させる要因の一つとなっているのです。
「あなたにクラッシックが分かるの?」
そういうあなたが一番分かっていないのです!

海外の野外コンサートなどを見ると、それこそ子供連れで着の身着のままリラックスして聴いています。
しかめっ面して楽譜めくりながら眉間にしわを寄せているような人はいません。
流れ出る心地よい音に身を任せ、素晴らしい演奏には惜しみない拍手を送る。
そんな成熟したクラシック音楽の文化が根付く日が、いつか日本にもやってくるのでしょうか・・・。

廉価版CDは粗悪品!?

最近特に感じるのが、廉価版CDの音のひどさです。
昔はCD1枚が4000円程しましたが、やはり値段は値段だけのことはありました。
LPの2800円に比べて少々高価ではありましたが、シッカリと高音質で作られていたものです。
ところがどうでしょう。今の廉価版CDの音と言ったら最悪です。

「CDってデジタルだから音は同じじゃないの?」

と思ったら大間違い。
「安売りするには安売りするだけのものでしかない」
商売ですから、考えてみれば当然のことですよね?
レコードだけでなく、CDもレーベルによって全く音が違います。
機会があったら聞き比べてみてください。その違いは歴然です。

「デジタル・リマスター」

聞いたことがありますよね?
これは、一見すると「お金をかけて音を良くした」「音の良いマスターテープからデジタル化する」と思ってしまいがちですが、それは大きな間違い。
“リマスター“とは「曲順を変えたり、カップリング曲を変えたりすること」です。音とは関係ありません。
また、「最新技術によるデシタル化」とは最低最悪の仕事。
では、何が問題なのか追ってみましょう。

「最新技術によるデシタル化」とは?

まず、マスターテープの保存状態。これはひどいものもある様です。
CD化するには、このテープを使うかアナログレコードを再生して音を拾うしか方法が無いのですが、「デジタル処理でノイズさえ消せればいいだろう」と、適当に扱われたのではたまったものじゃありません。
マスターから数えて何代目のものか、一番状態の良いソースはどれなのかを調べなければ、決して良い音は手に入れられないのです。

「良い音=ノイズの無い音」か?

「ノイズが無いからCDは良い音だ」
世の中には、こんな間違った認識がはびこっています。
元々ノイズの無い高音質で録音すれば問題ないのですが、ノイズも混じった昔の録音からノイズだけを取り除くなどという事が出来るものかどうか、考えてみれば分かります。

まず、テープヒスノイズを除去する為に高域の周波数帯をカット。当然、雑音もろとも楽器の高音の伸びも無くなり「こもった音」に。
この段階で、もはや「臨場感」のある音は消え失せ、パサパサした奥行きの無い音になっています。
よく曲の最後の音と同時に余韻も何もなく終わってしまうCDがありますが、あれは余韻まで残してしまうと音が小さいのでノイズが目立ってしまうため、本来はまだ余韻が残っているのにバッサリ切ってしまうからのです。

さあこのバサバサの音をどうするか、ここからがエンジニアの腕の見せ所。
カットした高域を無理矢理伸ばし、がさついた音に艶を与えるために残響(エコー)を加えます。
物によっては高く売ろうと、「モノラル録音」の高域と低域を左右に分けたり左右の音が出るタイミングを若干ずらして「疑似ステレオ」に加工したり。ここにはもう「原音の良さを生かそう」といった理念など一切存在しません。
「デジタル処理」とはこういうものなのです。

それでも昔、CDが出始めた当初は「レコードの音をそのままCDに」「レコード以上の音をCDで」という理念がありました。良い音を求めてレコードを作ってきた人間達の「意地」と「誇り」があったのでしょう。
それがいつの間にか「音が固い・艶がない」と言われたCDの音が当たり前となり、さらに低音質でダイナミックレンジの狭いMDが広まり、今や「音質がた落ち」を前提とした圧縮技術「MP3」が標準となってしまいました。
オーディオ文化の衰退と共に音質の追求も無くなり、聞く側の耳も慣らされてしまったのでしょうか。悲しい現実です。
当時は高かった出始めのCD。これは、もはや貴重な宝物となりました。

「今はCDも安くなったものだ♪」
輸入盤、廉価版のCDを手にするあなた。本当は、
「今は安物のCDしか作らなくなったなあ」
こう嘆かなければなりません。

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