日々の気持ちを短歌に

数知れぬ星をいだいて働ける母のごとしも宇宙というは(後藤人徳)

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詩集<固有時との対話>全篇 (10) 

一九五〇年 吉本隆明著

固有時との対話(10)

既に物を解きあかす所作を喪ってしまったひとびとの群

れにわたしは秘かに加はらうとしてゐた わたしの時は

いつも同じ形態で 同じ光や影の量で おとづれてきた


わたしは自らの影を腐葉土のやうに埋れされた 判ずる

術もないがわたしの埋められた影はいまもそのまま且て

の所作で 光の集積層に横はつてゐるだらう 記憶によ

つてではなく何か哀しみを帯びた所作を繰返すごとに

わたしの埋れた影がまがふかたなくわたしの現在を決定

するやうに思はれた……


わたしは決して幸せを含んだ思ひに出遭ふとは考へてゐ

なかった けれどいつかわたしのこころが物象に影響さ

れなくなった時 何もかも包摂したひとつの睡りに就き

得るだらうと予感してゐた

(つづく)

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