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自分自身でもわけが分からないまま体を動かそうとするが、それでもやはり、体は言う事を聞いてくれなかった。 ただかろうじて、目だけが自由に動いてくれた。 うつ伏せになって寝転がったままの情けない姿勢のままで、頑張って辺りを見回したが、乳白色の世界が広がっているのが見えただけだった。諦めず、更に目を凝らしていると、うっすらとではあるが、遠くに見える巨木の根とそれに繋がる幹の下の部分だけが見えるだけだった。 (ここは、森の中・・・・か・・・?) どうして良いのか分らず、そして、ここがどこかも分からなかった。 「わたしはいったい・・・・。あれ、私は? 私の名は?」 (自分の名前が思い出せない。そんな事があるのだろうか?それに、自分の発した声が、自分の声のように聞こえない。何故だろう?) 世界が、そして自分自身が、分からない事だらけだった。 五分程そのままの姿勢でいただろうか。 いや、一時間が過ぎたのかもしれない。 とにかく、思いのままに動かせない体と、そして自分の名前すら分からない頭を持ち合わせていた私は、その場に、芋虫のように転がる事しか出来なかった。 「くそっ」 怒りをぶつけた声だったが、それでも情けない音を発するだけだった。何が起こって何がこれから起こるのか分からぬまま、風の音すら聞こえずいた。 するとそこに、不意に何かの音が近づいて来るのが分かった。 「ざく。ざく。ざく」 耳を澄まして聞いていると、その音が草を踏む人の足音である事が直に分かった。そしてその音が、確実に自分の方に向かって来ているの様に思われた。 「す、すみません・・・」 少し枯れた声で必死に私が助けを求め始めると、その近づいて来た足音の主が、すぐ横まで来て立ち止まったのが分かった。 (誰かが来てくれた) その存在が分からないと言うのに何故か安堵感が広がり始め、気持ちがほっとしていくのが分かった。そして同時に、急に意識が遠のき始めて行くのが分かった。それは谷底に小石が転げ落ちていく様な感覚で、どう抗っても止める事は出来なかった。 そんな薄れゆく意識の中で、二つの事だけは分かった。 一つは、自分が誰かに抱えられるようにして、その場からどこかに運ばれ様としている事だった。それはまるで、四歳の子供が母親に抱かれるようにして、ベッドに運ばれているような感覚と同じだった。恐怖感は無く、むしろ、安心を感じていた。 そしてもう一つは、助けてくれた人が発した言葉だった。 「エシが、降りてこられた。それはすなわち、コウシがお生まれになると言う事だ」 (エシ? コウシ?) 全く分からない単語が、頭の中を駆け巡っていた。 そして私は、とうとう意識を失い始め、その周りの霧より深い眠りに落ちてしまった。 ==================================================================
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異世界へ迷い込んでしまったかのような感じですね〜
何にせよ、続きが楽しみです
2012/1/29(日) 午前 10:57 [ 水際彩画 ]
>水際彩画(みぎわさいが)さん、書き込みありがとうございます。
何やらあれこれ書いておりますが、宜しくお願いします。
2012/1/31(火) 午前 0:35 [ Jio_novel ]