慈遠の創作小説.

創作小説、活動中。 不定期になりますが、Upしていきたいと思います。宜しくお願いします。

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   --- 聡子の夏休み ---

 小川聡子は、バックから取り出した文庫本を開いていたが、物語の展開どころか、二行前に書かれた人物の行動すら良く分からずにいた。正確に言うと、別のある事が頭の中を占めていて、目は文字を絵として追っているだけで、いったい何が書かれているのか全く分からずにいたのだった。
(みんな、もう少し大人になればいいのに)
 聡子は今年四月、父の転勤の為に、東京から北九州に引っ越していた。母が言うには、父は聡子の中学入学に合わせてこの時期に調整したとの事だったが、前の小学校の仲の良い友達と一緒の中学に行けなかった事葉当然といえば悲しい現実だった。だから新しい中学の何処を探しても、仲の良かった杏ちゃん、みっちゃん、圭ちゃんは居なかった。
 それはもちろん寂しかったけれど、住んでいる所の田舎度合いにウンザリしていた。
「北九州は、結構賑やかな所らしいぞ」
 引越しの前、聡子の父がそう彼女に言っていたが、それは父の伝聞情報による思い込みだった。聡子の学校は、北九州市と言ってもその一番端にある市境界線に面した小さな町にあった。もちろん、山手線も中央線も走っていなかったし、原宿の様に可愛いものや楽しいものを売ってある街も店も無かった。
 それは田舎だからしょうがないのかなと思いつつ、どうしても溶け込めない壁が彼女の周りにはっきりとあった。周りの男子、女子が、びっくりするくらい子供じみているのだ。
 クラスの女子達は、おしゃれをしていると自分達で思っている様だったけれど、彼女から見ると東京なら小学四年生ぐらいにしか見えず、とても中一のオシャレには見えなかった。そして、そんなサムイ外見に比例して、中身もガキにしか思えなかった。聡子は普段、決して高飛車な態度をとっていなかったけれど、クラスメートに対して、妹や弟に接するようなイメージをどうしても持ってしまうのだった。
 かと言って、「あなた達、子供ね!」なんて言えば、回りからどんな風に思われるかぐらいは、聡子は知っていた。そんな子供じみたクラスメートから、虐められたりハブにされる事など考えたくも無かった。だから聡子は、無理に周りのクラスメート達と調子を上手く合わせていた。結果、聡子は周りのみんなと比較的順調に接する事が出来ていたが、それは非常に苦痛を要するものだった。
 聡子は、自分の中に相反する状況が共存している事を知っていた。回りを子供だなと思う自分。そして、その幼いと思われる回りのみんなに、自分自身が無理をして調子を合わせているという狡猾な自分。
(こんな事、いつまで続ければ良いんだろう?)
 聡子は、そんな悩みの対象と一緒に、その悩みを大きくする様にして毎日を送っていた。







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