慈遠の創作小説.

創作小説、活動中。 不定期になりますが、Upしていきたいと思います。宜しくお願いします。

・あなたの明日の為に

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《説明》
 ⇒ヨーロッパ某国に政略結婚の為に嫁がされたニナ妃は、美しい容貌の持ち主だが、夫である皇太子は女性の噂が耐えないうえに、ニナ妃に振り向く事も無い。異国の地での辛い生活から逃れるべく・・・・。
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 『あなたの明日の為に』・・・・の掲載が終わった。
 終わってしまった。

 まだ、それほど沢山の物を書いたわけではないが、個人的にこの物語は気にいっているし、思い入れもあります。

 読んでいただいた人の多くが、きっとあの女性を思い浮かべられたのでは?

 そう、ダイアナ妃を。

 あの事故が起こった時、慈遠はまだまだガキでして・・・・。
 TVから流れてくる映像を見た瞬間『きっと、事故死に見せかけたんだ』、と思った。

 その思いはかなり時をかけて、数年前に頭の中から文章へその姿を変えました。

 そんな作品でした。
 ありがとうございました。

 そして、きっとこの世界のどこかで笑っている彼女に。

                                 慈遠。





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 とは言え、マッシの墓の前で、トミーはかすかに予感していた、ニナ妃からの愛の告白を受けた。既に整形を実施し、髪を変えて目の前に立っている彼女は、以前と別の形で美しかった。
 職務としてこれまで彼女を守ってきたトミーだったが、その対象は、まぎれもなくブラウン皇太子妃としての高貴な女性のニナ妃だった。
「私にとって、貴女は姿かたちが変わられてもニナ様なのです」
「そんな・・・。私はこうして」
「いえ、やはりニナ様はニナ皇太子妃なのです」
 ポツリポツリと話すトミーの言葉には、真摯な姿勢があった。
 彼女も、捨てたとはいえ高貴な地位に生きてきた女性である。髪を振り乱し、相手にすがり付いて、むしり取るように自分の方に振り向かせようとする女性ではなかった。
「-----分かったわ」
 それは彼女の精一杯の強がりでもあったが、トミーはその事に触れなかった。
 山の向こうから訪れた風が、二人の間を駆け、そして去っていった。
 そして、遠くで山鳥が小さく鳴いていた。

「これからどうされるのですか?」
「あんまり深く考えてないの。とりあえず、知らない国を旅してみようと思っている。南アメリカあたりに行ってみようかしら。旅の中で、何がやりたいのか見えてくるかもしれない。それでも見えなかったら、もう少し違う所を旅してみる」
 彼女の顔には、見知らぬ地に行く不安のかけらすらない。これまでに、世界各国の要人とさまざまな場所で会い続けてきた彼女には、常人では体得できない強い心臓が出来上がっていた。
 それに、彼女には旺盛な好奇心を持ち合わせていた。
「あなたは、どうするの?」
「私は、お世話になった人に恩返しをするつもりです」
「ナンシーさんね」
 ニナの間髪入れない回答に、さすがのトミーも、驚きの表情を見せてしまった。
「意外に鈍いのね。貴方の気持ち、気が付かなかったとでも思っていたの?」
「-----ご存知でしたか。驚きました」
 不器用に頭を掻きながら、少し照れるように答える彼の顔は、少年のように初々しかった。
「女は---。いえ、私は勘が鋭いのよ。でも、彼女は既にこの世にいない。一体、何をするつもりなの?」
 トミーはポケットに手を入れ、そこに大事に入れているペンダントを指の腹で軽く、そしていとおしく撫でてから答えた。
「そうですね、私も分かっていません。ただ、彼女の為に。いや彼女の為になる事を、何かしてあげたらと思っています」
 そう言って、トミーは少し恥ずかしそうに笑った。友が眠る墓場の前で、愛の告白を断った女性の前で、ふふっ、と笑った。
「貴方は何をするのか分からない。そして私は、旅先で何を見つけるのか分からない。でも、今分からないって事、それはそれで良いのじゃないかしら」
「そうですね。それで良いと思います」
 トミーが、大きく頷きながら言った。
「------その事はよく分からないけれど、二つだけ確かな事があるわ」
 彼女の自信溢れる言葉に反応して、トミーの目が一体何だろうと見つめた。
「トミー。分かる?」
「いいえ、分かりません」
「絶対に間違いない事よ。分からない?」
 トミーは、皆目検討がつかない様で、大きく首を振った。
「一つは、貴方に愛されたナンシーさんが幸せだったと言う事。そしてもう一つは、私を振った貴方は、近い将来自分がどれだけ馬鹿だったかに気が付くという事」
 少しつんと上げた彼女の鼻が、少しかわいらしくトミーには見えた。
トミーは、くすっと笑った。
「そうかもしれません」
 トミーは、失礼します、と言ってその場を後にした。十メートル程歩いてから振り返り、少し大きな声で言った。
「ニナ様。送りしましょうか。待たせているタクシーがありますから」
 ニナは、聞こえているはずだが何も答えなかった。
「送りましょうか?」
 もう一度、ゆっくりと大きな声を出して言ったトミーの言葉に、ニナがやや大きな声で答えた。
「トミー。姿は変えても、振られた男に送ってもらうほど、私は落ちてはなくてよ! そのタクシーの運転手に、別のタクシーを一台手配しておく様にだけ言っておいて」
 ニナは、笑っていた。
(それでこそ、ニナ様だ!)
 心地良い風が、ニナからトミーに吹き抜けた感覚を受けた。
「分かりました」
 大きな声で答えた後、くるりと踵を返してから、トミーは歩き出した。決して後ろを振り返らず、ただ真っ直ぐに歩き始めた。

                     完




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「私は・・・・」
 言いかけてトミーは、ニーバウムにプランBの事を聞いた日の事を思い出していた。


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 プランBの説明を聞かされた日、ホテルの一室で、ニーバウムとトミーは向かい合って座っていた。ニーバウムの意図で、ニナ妃は外されていた。
 綿々と続けられるプランBの説明。二人の姿は、もし他人が見れば上司と部下のまさに打ち合わせ、それ以外の何物でもなかった。
 その会話の中から、トミーはプランBの作戦としての錬度を読み取り、計画のぬけを的確に指摘した。その一方で、このプランの一番深い所に潜んでいる、どろどろとした企みを読み取っていた。
 もちろん、優秀な自分の部下が何を考えているかぐらい、ニーバウムには分かっていた。だが、それもこれも、プランBが完全なものとして成し遂げられればそれで良いと彼は思っていた。
 プランBの成功は、デーブ第二皇太子の成功であり、ドナルド長官の夢が実現する事を意味していたからである。ニーバウム自身、成功の暁に手に入いるだろう報酬の話は、特に聞いていなかったが、少なからず益を手にするはずだと思っていた。そして、それで良いのさと、彼は思っていた。
 一方トミーは、一発逆転の作戦を思いつき、その為にはどうしてもニーバウムを思いとどまらせ、かつその作戦に乗せる必要があった。
 トミーは、ニーバウムがドナルド長官にいかに都合の良い様に扱われているかを誇張し、そして事が成された時、長官がどれだけの富と権力を手に入れるかを説明した。それに対して、ニーバウムがどれだけつらい仕打ちを受けるかも説いた。その上で、長官がやろうとしている事が、国家に対する重大な反逆であるかを説明した。だからこそ、それを阻止する事が、どれだけ素晴らしい事であるかを力説した。
 事細かに説き続けるトミーの言葉に、ニーバウムが少しずつ心を開いて行くのが、トミーには分かった。トミーは、ニーバウムが基本的に持ち合わせて居る良心にかけていた。長年部下として付き合っているからこそ知っていた、彼の情報だった。それに希望を託し、ただひたすらに、彼が心変わりするまで必死に説得した。
 それは、彼とニナ妃の一生を左右する最初で最後の説得だった。
 トミーにすれば、もし当たり前のプランBが成功したとして、用済みの彼やニナ妃を長官達が生かしておくはずが無く、もう後が無かったのだ。
山は動いた。
 ニーバウムが、遂に承諾したのだった。
 大きな大きな山は動き、裏のプランBが進み始めた。トミーはその場でニナ妃を別室から呼び出し、三人で裏プランBを進めていく事を確約した。

 ニーバウムには、もちろんこれまでどおり、長官やデーブ第二皇太子と会ってもらう事にし、プランBはプランBとして、スムーズに進めて行く事になった。もちろん、トミーが自由に動くことが出来る様、色々と配慮してもらいつつであったが。
 裏プランBが進む中で、ブラウン皇太子にも真実を伝える事になった。
 その役目は、ニーバウムの手引きで、人目につかない場所でトミーが担当した。正直にプロジェクトJの真相を告げ、ニナ妃が生きている事を伝えた時は、さすがに彼は狼狽していた。
 だが、既にプランBが走り出し、弟が首謀者となり、彼自身を蹴落とそうとしている事実を知ると、それは為政者の顔になった。一も二も無く、協力すると強い返事をトミーに告げた。
(大事の前の小事という事か)
 トミーの感想だった。
 自分の元妻が生きていたと知った男は、あっさりと自分の将来を選んだ。その判断は、トミーにとって複雑な心境へと導いたが、それを責める事等出来ないし、やるべきではないと自重していた。
 皇太子は、事前準備の段階で、自ら秘密資料の捏造を提案した。デーブや長官を騙す為にも、奴らが欲しがりそうなネタで、その上ニナ妃しか知らないような信憑性の高い情報こそ必要であると思いついたからだった。トミーも冷静なプランナーの意識で、その有用性を感じ取り、皇太子に協力をお願いした。
 これが、ニーバウムやトミー達が計画した、“裏プランB”の始まりだった。
 改めて自分の感情を思い出し、あの時は純粋にこのプロジェクトを進め、そしてニナ妃が自由になる事だけを考えていた。彼女の中に、自分を思う気持ちがあるかもしれないなど、考える余裕すら無かった。
・・・思えなかったのだ。
 そこがスタートだったはずだと。
 そして、そのスタートの先に今があると。
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 彼女の言葉を強く否定するように、トミーが何度も大きく首を振った。そんな事はありませんと、その所作が強く伝えていた。
「私のせいなのです。こいつには、取り返しのつかない事をしてしまった。計画に引っ張り込んだばかりに」
「いいえ、マッシの死は私に原因があります」
 ニナは少し俯いていて、横髪が軽く彼女の目を隠していた。
「いいえ、それは違います。私が声をかけなければと、こいつは死ぬ様な事は無かったはずだと、今でも思っています」
「でも・・・・・」
「マッシのお袋さんにまで、巻き添えを喰らわせてしまいました。おばさんは、この件には全く関係の無い人だったのに。本当に申し訳なくて」
「私だけが・・・」
 ニナの言葉に被せる様に、トミーが話した。
「あいつは、実はニナ様に憧れていました。どうやったって手の届かぬニナ様の存在に、あいつはちょっとだけ近くで触れる事ができました。あいつは、貴女の役に立つことが出来たのです。それはあいつにとって、嬉しい事だったのではないでしょうか」
「私は・・・」
 トミーは、彼女に言葉を続けさせなかった。
「やり切れない事、後悔はきっとニナ様の中に残ると思います。マッシは間違いなくニナ様の為に力を尽くし、そして亡くなったのですから。これは決して、ニナ様を責めて言っているわけではありません。これは事実なのです。死者の事実は、生者にとって、存在としてこれからも行き続けます。共に生きていくのです。それは、ニナ様にとって非常に大変な事かもしれません」
「わ、わたしは・・・」
 ニナ妃の肩が小さく揺れ始めた。
「だから。やつの分まで、生きてください。ニナ様」
「え?」
 呼びかけられてトミーを見上げる彼女の顔には、長く伸びた睫の奥に、ぐわんと光る疑問があった。
「マッシは、ニナ様の新しい人生。つまり、ニナ様が新しく生きていくプロジェクトに参加したのです。そしてそれが叶ったのです。夢を託した者は、それが叶うように努力する義務があるように、担がれた人、つまり夢を託された人は、その結果を受け入れて生き続けなくてはならない義務があります。途中で諦めたり、その荷を捨てたりしてはいけないのです」
「私に?」
「ニナ様。マッシだけではなく、あのプロジェクトJに参加してくれた全ての者達が、あなたに生きて欲しいと思っているのです。この国の為に、我慢に我慢を重ねてきた生活の代償を、これから取り戻して欲しいと思っているはずで」
「----出来るかしら?」
「今日ここに来る前に、私は、グリーンヒル公共墓地に行ってきました。メイにお詫びと挨拶を伝えに。そこには綺麗な花が供えてありました。あの花は、ニナ様が置かれたのでしょう?」
 彼女の無言が、それを肯定していた。
「ニナ様は、死者の想いと、死の意味する所を見つめる事が出来る人です。大丈夫、ニナ様なら。貴女は皆の希望と期待を受け止めて、真っ直ぐに歩き出す事が出来る人です。だから・・・・」
 この日初めて、真っ直ぐにニナ妃を見つめたトミーの視線には、力強い意思の光があった。そしてそれを、ニナ妃はしっかりと見返した。少しだけ口を開いた彼女の動きでさえも見逃さないくらい真剣に、トミーはわずかに息を吸いながら見つめていた。
「トミー。貴方は?」
「私も、ニナ様には新しい人生を歩んで欲しいと思っています」
「私は、ニナである事を捨てました。もう皇太子妃ではないのです」
 長い睫の下にある深く澄んだ彼女の瞳が、その奥から少しずつ滲んで来た涙で潤み始めていた。
「私の事を『ニナ』と呼んで、傍にいてくれる人生は無いのかしら?」
 今度は、ニナがトミーを見つめる番だった。しっかりと相手を見据え、そして気持ちのこもった鋭い視線だった。
「私は・・・・」
 言いかけてトミーは、ニーバウムにプランBの事を聞いた日の事を思い出していた。





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 共同墓地を出ると、タクシーは約束どおり、トミーを下ろした場所に停まっていた。トミーはタクシーに近づき、コンコンと軽く窓を叩いた。
「待っていてくれてありがとう」
 タクシーに乗り込みながら、トミーが礼を言った。
「いえいえ。それで、ホテルに戻るのですか?」
「いや、ここに行って欲しい」
 ニーバウムが彼に渡した地図を運転手に見せた。

 マッシが眠る墓は少し街中から外れた所で、緩やかな傾斜が続く山の中腹にあった。タクシーの運転手は、そこがあまりにも田舎で交通量の少ない所である事から、今度もトミーが帰りのタクシーを捕まえるのは不可能であると説明し、彼を降ろした場所で待っていると申し出た。さっきも待ってもらっていたし、そもそも断る理由の無いトミーは、「じゃあ、宜しく」とだけ伝え、タクシーを後にした。

 霊園は、彼の予想を遥かに超えた広さだった。周りには建物も無く、とても静かで、日当たりも良いすばらしい場所だった。
(気持ちの良い所に、あいつは眠っているのだな)
 綺麗に刈り込まれた芝の上を歩きながら、トミーの頭の中にそんな言葉が浮かんだ。
 霊園は本当に広く、ニーバウムが墓の位置が分かる地図を渡してくれなかったら、トミーは石碑に刻まれた名前を全て見て回らなくてはならなかったはずだった。
 トミーは地図を片手に移動して行くと、マッシの墓の前に一人の女性が立っているのが見えた。日の光の下で、その女性は美しい赤色に光る髪をしていた。後ろを向いた立ち姿だったので顔は分からなかったが、線の細い立ち姿から、彼女が綺麗な女性であることはすぐに想像出来た。
 段々と墓に近くなるにつれて、その女性が立っている墓こそ、マッシの墓に間違いが無い事が、地図から分かった。
(誰だろう? 奥さんじゃないよなぁ。あいつは独り者だったし)
 その後ろ姿から、マッシに縁がある女性をあれこれ思い出したが、その美しい立ち姿に該当する女性には思い当たらなかった。
 その女性はトミーの足音に気が付き、くるりと振り返り、そして彼を見た。赤く細い縁の眼鏡をかけた、胸の薄い華奢な女性だった。間違いなくこれまでに見たことの無い人だったが、とても綺麗な顔立ちの女性だった。
「こんにちは」
 その笑顔につられてトミーが挨拶をした。女性は軽く会釈をして答えた。そしてマッシの墓の前に、二人は向き合って立つ事になった。
「失礼ですが、マッシの?」
「トミー、分からなくて?」
 彼の質問をよそに、その女性は尋ねた。
「ニ----ナ様?」
「そう、私よ」
 そう答えて、ほんの少しだけ笑った。トミーが彼女の事を分からなかった事が、面白かったらしい。
「ニナ様。見間違えました。見事に変身されましたね」
「ふふ、貴方が分からないのであれば、誰も私がニナだとは分からないわね。でも、どこで分かった? やはり、声? 意識していつもと違う声で答えたつもりだけど、それでばれちゃったかしら?」
少しはにかみながら、ニナは答えた。ちょうど、なぞなぞがばれた事を知りたがる少女の様な表情で。ニナは答えを聞きたかったのだ。
 それに対し、トミーが首を振りながら答えた。
「ニナ様。声で気が付いたのではございません。私が風下にいた為、匂いで分かりました」
「えっ、匂い? だって香水も今まで使ったことが無い別のブランドの物を使っているのよ」
「違うのですよ。ニナ様には、ニナ様だけの匂いがあるのです。決して臭いとかではなく、独特の匂いです。少なくとも私にはそれが分かりますから」
「そうなのね」
「ええ」
 そして二人の間に、暖かい風と沈黙が流れた。無言の会話は、二人をマッシの墓へ向き直らせ、そして言葉を発する事無く祈りを捧げた。
 先に相手を見たのはニナ妃であり、一瞬遅れて彼女を見たトミーは、すぐに視線を墓石の文字に移した。そんな彼に、ニナが語りかけた。
「私の我がままの為に、マッシの命を取り上げてしまいました。彼の残りの人生を、私が奪ってしまったのです。私に関わる事が無ければ、彼は死ぬような事は無かったはず。----なのに、彼は死んでしまった。いいえ、私に関わったばかりに殺されてしまった。
 この墓の前に立って、トミーが来るまで、私はずっと考えていました。私は大変な事をしてしまったと。取り返しの付かない事をしてしまったと。こうして何度もごめんなさいと謝っても、彼は決して生き返ってこないのです。彼にもきっと、愛する人がいたでしょうに。そして、彼の事を愛している人も。なのに、なのに。
ただ、ごめんなさいとしか言えなくて・・・・」
 ニナは、言葉に詰まってしまった。




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