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みのりは、夕日の朱色にそまる町を歩いていた。 彼女の背後には、白亜の病院の建屋がその巨大な姿を見せていて、彼女の背中を見つめていた。それは、その体から吐き出した彼女の後ろ姿を残念そうに見送っているのか、それとも、明日早く戻って来て欲しいなと望んでいるのかは分からなかった。 入院を続けていたやよいの体は、外見は、一日と言うスパンでは気がつかない程、微弱な歩みで徐々に弱っていたが、逆に内面は、それこそ日向ぼっこが似合いそうな、柔和な部分が増加していた。 以前、もちろん認知症である事を差し引いたとしても、強烈な発言をみのりに投げ付けていた同一人物とは思えないほどだった。 みのりと違い、時々にしか来ない巌は、その変化が特に分かる様で、やよいに聞こえない様に「お婆ちゃん、段々と仏さんみたいになっていっているな」と言った言葉が、変に的を射ている様に思えて、みのりには非常に印象的だった。 とにかく、日々穏やかになるやよいを見舞うみのりは、その度に精神的落ち着きが増し、巌に冗談を言ったり気遣ったり出来るほどにまでに回復していた。斉藤先生からは、もしまた気持ちが落ち着かなくなったり、睡眠障害等が出たりしたら、いつでも来て良いからと言う言葉と共に、「ひとまず卒業です。よくがんばりましたね」と言われていたのだった。 朱色から、夜の藍色へと変りつつある町の景色は、いつもと同じはずなのに、みのりには心地良く感じていた。左の手首にぶら下がった柿色のバックには財布が入っていて、何となく、シュークリームかお饅頭でも買って帰ろうと思いつつ、歩みを続けていた。 (今週末は、久しぶりにショッピングに行こうかな) そんな事を、ちょっと頬を緩めて思っていると、「こん」と足に何かが当たった感覚がしたので足元を見ると、かなりくたびれたテニスボールが前方に向かって転がっていた。誰かが落とした物を、気がつかずに蹴っていたのだろうと思った。 テニスボールは、決して早いスピードではなかったが、下り坂でもないその道を、まるで生き物の様に転がり続けていた。元々ボールと同じ方向に向かっていた事もあって、追いかけるというか、連れられる様に歩いていたのだが、暫くすると、そのボールはその役目を終えたかの様にゆっくりと止まった。 そのボールに追いつき、一瞬手に取ろうかとしたのをためらったみのりは、歩みを止めた姿勢のまま、何気なく、すっとその横の景色を見た。 そこには、夜の帳が下りた町に、ぼわっと姿を現した二階建ての古いアパートの姿があった。 「あの部屋には・・・」 そんな言葉が、みのりの口を突いて出てきた。 一階も二階も、心地良さそうな暖かい蛍光灯の灯りがともっているのが見えた。無意識に踏み出した足を、みのりは二歩で踏みとどまった。 すると、二階の部屋の一つはカーテンが開き、窓越しに女性のシルエットが浮かび、もう一つの部屋では窓までが開いて、ちいさく手を振る女性の姿が見えた。一階の部屋ではドアが半分開き、そのドアの向こう側に体の半分を出してみのりをじっと見ている姿があった。 みのりは、懐かしさと、訪れた後に感じるであろう、落ちて行く様な満足感を想像していた。それには、変に心地良い感覚があった。 「私は・・・」 言いかけて、一歩を踏み出した彼女耳に、「チリン」、と言う音がした。バックに付けていた、生前母からもらった大切な鈴の音だった。 母の声が聞こえたわけではなかったが、何故か懐かしい気がして、みのりはたたと我に返り、そしてふらふらと歩き出していた足の動きを止めた。 刹那の葛藤だった。 そしてみのりは、ゆっくりと歩き出した。 帰りに買うのは、やっぱりアイスにしようと決めたみのりだった。 終わり
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・アパートメント
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《説明》
⇒ある恋と思いと思惑とが交錯する話を、ちょっとひねった感じで書いてみました。
宜しくお願いします。
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宜しくお願いします。
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六 十二畳はある大きな洋間で、みのりはその中央部にある革張りの大きな椅子に体を沈めていた。大きな椅子とは対照的に小さな木製の、でも高級そうなテーブルの向こう側に、同じ革張りの椅子があった。そしてそこには、少し白髪の混ざった、でもボリュームのある髪を緩やかに流した男が、しっくりと馴染んだ白衣を着て腰掛けていた。左手には、厚みのある黒皮の手帳を持っていて、彼の右手でゆっくりと先端を上下させているモンブランの万年筆が、深い紺色の残像の軌跡を残しながら、軽やかに宙を踊っていた。 「原田さん、もう睡眠導入材の処方は必要ないかと思います」 みのりを見るその顔には、これまでどおりの優しい表情があった。彼は、これでみのりにとって三人目の精神科医となる斉藤医師で、他の二人の医師同様にゆったりとした雰囲気で彼女に接していたが、彼の笑顔が一番自然である様な気がしているみのりだった。 「本当ですか。良かった」 もうそろそろ落ち着いて良い頃かと、彼女自身思っていた頃だったので、専門の医師からそう言われると、やはり、ほっとする事が出来た。 「それで、お婆さんの御容態、その後如何なのですか?」 二ヶ月前、家の玄関で転んでしまったやよいは、僅か二段の階段から転んだだけなのに、転び方がよほど悪かったのか、大腿骨を見事に骨折してしまった。他の骨と違い、一本でその部分を支える大腿骨の骨折は、治療に長期的な入院が必要となり、もともと足腰が強くなかった彼女は、それで一気に歩行が困難になった。リハビリによってはその治癒の可能性も否定出来なかったのだが、更に酷くなった痴呆症がそれを許す事が出来ぬほどとなっていた事もあり、最終的には巌の判断で、やよいは自宅ではなく病院で生活を送る事となった。 完全看護の施設を探し出す事が出来、そこでのやよいの新生活のスタートに伴い、みのりの生活は一変した。やよいに対する負担が、大きく変ったのだ。結局、最期まで、みのりに対する打開策を見出せぬまま、ずるずるとその対応をまかせっきりにしていた巌だったが、一応、父親として彼なりに気にしていた事もあり、もちろんやよいに対して残念に思いつつも、みのりに対する申し訳なさを払拭する事が出来、安堵の色をその表情に見せるようになっていた。 もちろん、今までより頻度は減ったものの、入院しているやよいの元へ見舞いに行くみのりだったが、何故か以前とは圧倒的にやよいの精神的落ち着きが見える様になって、みのりの事をちゃんと孫娘と言う存在で接する事が多くなっていた。それらの変化は、痛々しくギブスをしている祖母の姿を見る申し訳なさを加味しても、みのりにとっては嬉しい事であった。 また父の勧めもあり、半年ほど前から行き始めた精神科医だったが、圧倒的な原因が、彼女の前からその姿を薄く変えて行ったと言う状況は、みのりの気持ちや心を、それこそ春の木漏れ日の様に、暖かく揉みほぐしていった。精神の健全化は彼女に食欲も戻していて、少し肉付きも良くなって来たみのりは、最近では睡眠導入材を頼らなくても、その睡眠をより充実した物に変化させていたのだった。 「ところで原田さん。最近、あのアパートに行く事はありませんか?」 「ええ、最近は行く事も無くなりました」 二人が話すそのアパートとは、201号室に温子が住み、202号室には乱子が寝起きし、103号室には冷子がひっそりと生息しているあのアパートの事である。そしてそれは、みのりと斉藤医師の二人の間でのみ通じる会話であり、その実、二人が生息しているこの世界の何処にも存在しない建物であった。 つまりそれは、みのりの心の中に作り出された創造物であり、彼女の精神を破裂させない様にする為、彼女自身の防衛本能が生み出した産物だったのだ。まだ、精神科医の世話になる前、完全に精神的に追い込まれていたみのりは、そのアパートがある空間を、既に現実の物と区別できないものとして理解していたのだった。 当初みのりは、二人の精神科医との間に信頼関係を持てずに、それぞれの医師に対して、結局、その事を告げずに終わっていた。だが斉藤には、その状況を徐々に説明していくようになった。最後には、みのり自身、それが現実社会に存在しないものであると言う所まで、やよいが入院する前に理解出来るようになっていた。 説明を聞き、状況を理解した斉藤医師は、そのアパートと言う存在が、みのりを、最悪の結果として精神分裂を起こすか、自我の崩壊や、多重人格へと導く可能性が高いと結論付けていたので、何とか打開策は無いかと一生懸命に考えていた。しかし結局のところ、彼の努力では、彼女の中にあるアパートと言う存在を、消すに至る事は出来なかった。 それならばと考え、温子・乱子・冷子の三人の中から一人を選ばせて、先ず二人の存在を消し去り、その後時間をかけて、最後に残った一人の存在を虚無であると教えさせる作戦に移った。苦肉の策とも言えたが、それしかないと言う思いもあった。 しかし、結果から言うと、みのりは、斉藤から言い渡された三択を決める事が出来ぬ前に、やよいの骨折騒ぎがおき、そしてやよいの精神的安定が、みのりの気持ちを静かなものにさせてしまった。 医師としては、自身の力が実を結ぶ前に結果が出てしまい、自信を少し傷付けられた形になった斉藤だったが、みのりの精神的なものが良い方向で安定しつつある事に対して、彼女に接している一個人として、嬉しく思った気持ちに偽りは無かった。 「そうでしたか、それは良かった」 そんな経緯があったので、みのりがあのアパートに行かなくなったと言う表現は、二人の間では、素晴らしい事として受け入れられた。 斉藤は、少なからぬ安堵感を持ちつつも、完璧をきしたい仕事人としての顔が表面に現れ、ゆっくりと質問をした。それは、念を押す様でもあった。 「原田さん、あの場所にもう一度行ってみたいと思う事はありませんか? また、何かのタイミングで、思い出す事はありませんか?」 みのりは、すっかり精神的に落ち着いた様に見えた。斉藤の一言一句を全て噛み砕くようにしっかりと聞き事が出来、そして軽く頷いた上で、しっかりとした声で答えた。 「はい。それは全く無くなりました」 と。 みのりの伸ばした背筋が、その発した言葉に対して、自信を持っている事を表していた。 「それは、良かった。原田さん、本当に良くがんばりましたね」 斉藤の、誰をも引き寄せる様な笑顔がそこにあって、みのりを温かい眼差しで見つめていた。みのりは、自身が少女の時に戻って、父親に頭を撫でてもらった様な感じがして、嬉しくてたまらなかった。 (いつだろう、最後にこんなに嬉しかった事って?) さっと宙を泳いだ彼女の目が、一生懸命にその記憶を手繰り寄せようしたが、結局思い出せなかった。 (思い出せないけど・・・・・、いいや、そんな事) ふと、そんな気持ちがふわりと胸の中で広がって、心地良さを覚えていたみのりだった。こんな落ち着いた気持ちになれた事を、『なんでだろう? どうしてだろう?』と思い返す事すら意味の無い事の様な気がして、ただ、「な〜んだ」と呟くだけで十分だった。 ⇒次はコチラ
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「あのね、みのりちゃん。私だって、色々あるのよ」 と言う言葉が、つい脳から喉を通って口の外に出てしまうと、後は決壊した水の勢いそのままに、彼女自身の事を話し始めていた。 「私ね、こんな性格だから、人に頼まれると断れなくて・・・。何人かの友達に、お金貸した事あるの。そんなにお金持ちじゃないから、どれも決して大きな額じゃないけど、私にとっては生活が苦しくなるくらいの額ね。いつも、定期や保険解約して貸しちゃうんだけれど、みんな結局返してくれなくて。しかも、私の所からその人達も去っていくの。恋人だった人もいたかな。それが何度もあるうちに、どうして、私だけこんな目に遭うの、って思っちゃうの、結局・・・・・。 でも、そんな不幸がかすんでしまう様な事が、私の所に降って来たのよ。 とにかくそんな生活が続くうちに、本当に金銭的にどうしようもなくなって、最後の最後に大切にしていた、お婆ちゃんから昔もらっていた定期のお金を下ろさないといけなくなって、銀行に行ったの。嫌だな、嫌だなーって思いながら、私、銀行の長椅子に座って待っていたの。そうしたら、いきなり私の目の前に、銀色に光る物が向けられていたの。あまりにも突然だったし、もともとぼうっとしていたから状況が直ぐに分からなかったんだけど、首の後ろを強盗に左手で捕まえられて立たされた時、やっと分かったの。その鈍く光った物が、大きなサバイバルナイフで、私を捕まえている男が銀行強盗だと言う事が。どうしてそれがわかったかと言うと、そのナイフには真紅の血が付いていて、足元に、五十歳ぐらいのおじさんが、横腹から血を流して床に倒れていたのに気が付いたからなの。私、本当に怖くなって叫ぼうとしたんだけれど、声がかすれて悲鳴すら上げる事が出来なかったの。強盗が、金を出せと叫んでいるのがやっと理解できるくらい冷静になった時、視界の中に動くものがある事に気が付いたの。それは、若い銀行員が、その強盗を取り押さえようと突進して来ていたの。その時になっても、私何をどうして良いのか分からなくて固まっていると、強盗のナイフが蛇の様に動き、さっくりとその銀行員さんの胸に吸い込まれたの。とってもあっけなくて、嘘みたいだったけれど、その刺された人の手が私の体に触れていたので、嘘じゃないと分かったけれど、次の瞬間、その強盗がナイフを抜くと、血飛沫が舞い、私の顔や体にも飛び、そしてその男の人は床に崩れ落ちたの。二三回痙攣した後、ぴくりとも動かなくなった。(あ、この人、殺されたんだ)と思ったら、膝が抜けたようになって、その場に座り込みそうになったのね。そうしたら、その強盗が私の首根っこを掴んだまま、「立て、立て!」と叫んだの。でも、そんな事言われても、足に力が入らなくて、立っている事が出来ないの。怖くて怖くてしょうがなかったから。もう、何もかも、わけが分からなくなった時、私の右手から血が滴り落ちていた事に気が付いたの。あまりにも突然だったから分からなかったけれど、実は強盗が、ナイフで私の右腕を、肩口から肘にかけて切りつけていたのね。既にパニック状態だった私は、切られた事すら気づかずにいたんだけれど、ぽたぽたと落ちる程に血が流れ出ているのを見て初めて、痛みがやってきたの。そしてその痛みで、急に体に力が入るようになり、犯人が望むように、立っている事が出来る様になったの。でもやっぱり、恐怖や痛みで益々分けが分からなくなってしまって・・・・」 そこまで一気に話すと、温子は左の手で、右の腕をさすりだした。セーターを着ていたのでその傷を見る事は出来なかったが、恐らく今も残っている事は容易に想像できた。そしてその傷を、話す事で思い出してしまった最悪の記憶を慰撫するかの様に、ゆっくりと左手を上下させていた。 「そんな事が・・・・。でも、その後はどうなったの?」 みのりは、恐る恐る、温子に気を使うようにして尋ねた。温子は、下を向いていた顔を上げ、悲しく沈みそうな瞳でしばらくみのりを見た後、また話し始めた。 「私ね、結局精神的にいっぱいいっぱいだったみたいで、その後、二回気を失っているの。一回目気がついた時は、その銀行の床に座っていたの。手足をガムテープでぐるぐる巻きにされていて、少し離れた所で強盗がうろうろしていたのが見えた。すぐ隣に、人質になったお兄さんが手足を縛られたまま座っていて、私がけがしているのを気遣ってくれていたのね。その時、もちろん離れた所にだけれど強盗がいるから、気づかれないように小声で話しかけてくれたの。それから、気を紛らわす為に、たわいも無い世間話とかもね。私ね、その気遣いだけで、とっても嬉しかったのを覚えているわ。 でもね、多分出血があったからかもしれないけれど、いつの間にか眠るように、気を失っていたのよ、二回目のね。そして、体を揺さぶられて起こされたのだけど、その時は既に警察が突入して強盗犯が捕まった後で、私は救急隊の人に『大丈夫ですか。分かりますか?』って言われていたの。右手が自分の腕じゃないくらい重くて痛かったんだけれど、助かったという安堵感でほっとしながら、『はい、大丈夫です』と答えたら、すぐ救急車に乗せるからと言いながら、応急手当を始めてくれたの。私は右腕をなすがままと言う感じで放り出した状態のまま、さっきまで力づけてくれていたお兄さんを探したら、倒れていたの。もちろん、既に別の救急隊員が必死に対応しているんだけれど、その人を中心に血の池が出来ていて、しかもその胸の所に、強盗犯が持っていたナイフが刺さったままになっていたの。全く記憶がないんだけど、その優しかったお兄さんが、犠牲者になってしまった事は間違いなかったわ。結局搬送された病院で色々質問された警察官から聞いたんだけど、そのお兄さん、銀行にいた時点で即死だったらしいの。 私ね、真っ白で清潔な病院のシーツとシーツの間に挟まれた中で、遠くに医療機器のブーンと言う音を聞きながら、冷静になってそのお兄さんが話してくれた事を思い出したの。どうして今日銀行に来ていたかと言う事や、私の傷が見た目より酷くないと励ましてくれたりなんて。そして、その人の弟が、当時TVでも取り上げられ始めていた卓球選手の白木選手だと言う事。みのりちゃん、白木選手知っているかな? あ、やっぱり知っているんだ。有名だもんね。 うん、その人ね、弟さんの事がとっても誇りらしくて、本当に自慢げに話していた。開放されたら、きっと紹介するからと言って、力づけてくれていたの。でも、その人は私が気を失っている間に亡くなっていた。警察の人は詳しい事は教えてくれなかったのだけど、多分、人質になっている人達の為に、立ち向かったんじゃないかなと思う。もちろんその中に、私もいたんじゃないかなって、今でも思っている。 私ね、どうしてそんな事に巻き込まれたのかなって、いまでも口惜しく思っているの。なんで、私ばっかりこんな事が起こるのかって。でもね、それ以上に、他人の事に身を投げだして亡くなってしまったその白木さんの事を考えると、残念だし申し訳ないなって。 それなのに、私・・・・・。 新聞で葬儀の場所や日時を知っていたのに、私、結局行かなかったの。ううん、確かに入院していた時だったんだけれど、外出出来ない事も無かった。ただ自分に、けがしているからとか、大々的にTVや新聞で報道された事から、行けば色々質問を受けるからとか自分に言い聞かせていたんだけど、結局は、その場に行く勇気が無かっただけ、本当はね。もし行ったら、白木さんのご家族に何て言って良いのか分からなかったし、自分が助かっている事を責められる様な気もしたから。それに、あの思い出したくも無い記憶が強烈に湧きかえってくる気がして怖かったの。とにかく、全ての現実から逃げたかった。 ・・・・・ただ、それだけ」 一気に話し終えた温子は、ふー、と大きく息を吐いた。何だか、それで一回り小さくなったのではないかと思えるほど、両肩が丸く小さくなってしまった様に、みのりには見えた。 「やっぱり・・・・・思い出しちゃう事、あるんですか?」 温子は、無理をして小さく笑顔を作ってから、首を左右に振った。 「ううん。 でもね、最初の頃は四六時中思い出していたわ。でも時間が経つにつれて、段々と思い出す事は、減っていったわ。きっと、人間の体がそういう風に出来ているのね。もちろん、私も思い出さないように努力していたと言う事もあるけれど。でもね、ほら、TVで白木選手の活躍って報道されるじゃない。見ようと意識していなくても、先に耳に情報が入ると、反射的に見ちゃうから。そうしたら、やっぱり思い出しちゃうかな」 「気にしない様に、意識していても?」 「---------そうね。思い出さないようにしていても、やっぱりね。だって私、あの時間に、違いなく白木さんに励ましてもらっていたんですもの。それなのに、最期の瞬間を、私は記憶すら無いの。申し訳なくって」 「温子さんに責任ないですよ!」 「ふふ、病院の先生も、それから警察の人からも、みのりちゃんと同じ事を言われたわ。自分でも分かっているし、そうなのかなと考えようとするんだけれど、やっぱりそうは思えなくてね。 人間、そんなに簡単じゃないみたい」 みのりは、自分の部屋に戻ってからも、温子が話してくれた事を思い出していた。重く、苦しい負の記憶なのだなと思いながら、自身だったら、どう気持ちを切りかえる事が出来るかを想像もしてみたけれど、やっぱり温子同様に、簡単に割り切れないだろうなと思った。そして、温子の今の気持ちが、どれだけ辛く大変かを思い返した。そして、あのがんばって搾り出していた笑顔が、痛々しく脳裏に思い出された。 ⇒次はコチラ
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今日のやよいは、非常に楽しそうにしていた。 いや、楽しそうと言うより、異常なまでのハイ・テンションと言えた。 そのままでは文脈として分かりにくい彼女の発言を、散文的に肥大した彼女の言葉として拾い上げ、そして彼女が現在考えている事を想像してつなぎ合わせていくと、昨日が、娘のあずさの結婚式だった様だ。それはそれは素晴らしい華燭の典で、熱心にやよいが事前準備をあれやこれやと気を配った結果だと、何度も何度も誇らしげに話していた。 そんなあずさは、既に他界し、更にその娘であるみのりは、二十一歳を迎えている事は、やよいには理解できない世界の話だった。いや、むしろ、想像すら出来ない話であった。とにかく、今のやよいにとっては、それが気持ち良くて嬉しくて、そして誇らしくて楽しくてしょうがなく、どこかのお手伝いさんか何かと思っているみのりにも、話すのが楽しくてたまらないのであった。 そんな祖母の存在に、みのりは表情を曇らせていた。もちろん罵声を浴びせられたり、物を投げ付けられたりする事は、直接的で辛く悲しい事でもあるのだが、逆に、今日の様に変に機嫌が良く、娘を諸手を上げて褒めちぎると言う行為は、みのりにとっては既に亡くなっている母親を冒涜されている気がして、どちらにしても辛い事なのであった。 「何で、私ばっかり・・・」 不意に吐き出された言葉に、今のみのりの気持ちが集約されていた。祖母はぼけている上に理不尽にいじめるし、父親はそんな彼女を気遣ってくれないし、母親は先に死んでしまっていたしと、考えれば考えるほど、みのりだけが辛い思いを強いられている様な気がして、どうしようも無く気が滅入るのだった。 「あ〜あ」と言う胃の底から押し出された無念の言葉が、もうすっかり見慣れてしまったので、最近ではかわり映えのしないとすら思い始めている、ある意味残念な外観と思っているアパートの壁に、すっと吸い込まれていった。 「ええっと〜」と言いながら見上げた二階部分に、照明の光がカーテンに浮かび上がっている部屋があった。201号室の、温子の部屋だった。 「みっ〜け」 みのりの目が、好物に出会ってしまった子供の目に変っていた。 温子は、みのりの突然の訪問にも関わらず、今日も、機嫌良く迎え入れてくれた。 「聞いて下さいよ〜〜、温子さ〜ん」 みのりは、堰を切った様に、胸の中でつかえていた思いを言葉に代えて吐き出し始めた。そして、みのりの口から吐き出された流れは、大小の石を飲み込みながらドロドロとした濁流の様に勢いを増し、周りの物をなぎ倒し、そして鉄砲水へと変っていった。 そして温子は、その強烈な流れに、唯一動かずにがんばって鎮座する巨石の如く、その流れが収まるまでじっと我慢していた。うんうん、と辛抱して聞いていたのは、彼女の人の良さか、それとも断る勇気が無いからか分からなかったが、みのりにはどちらでも問題は無かった。 とにかく、目の前に現れてくれたか弱い女性に、強烈な風水害をもたらした低気圧を吐き出す事が出来たみのりは、それで肩から背中にかけてべったりと張り付いていた重量物を下ろす事が出来た気がして、気持ちをふわっとする事が出来た。 「えっへへー」 みのりの顔には既に険が消えていて、逆に少し気恥ずかしさを隠そうとする、少女のような笑顔がそこにあった。 温子も、朽ちて今にも倒れそうな大木の下で、台風が過ぎた事に喜びを感じた臆病な子犬の様な心境になっていて、でもだからと言って、みのりに対して露骨に安堵のため息をつく根性を持ち合わせていないので、結句どんな顔をして良いか分からず、不器用に、そして小さく笑った。 しかし、そんなギクシャクとした空気が流れたのも一瞬で、温子が用意してくれたココアが二人の体の中にふわっと広がれば、あっと言う間に、少しだけではあるが、優しい空間が出来上がっていた。 「ねえ、温子さん。この前、温子さんが話していた思い人って、何か展開はあったのですか?」 「どうしたの、みのりちゃん。急にそんな事聞いて」 温子の言葉尻は少し怒っている様にも聞こえたが、顔が笑いながら照れているのが見て取れたので、みのりは笑顔をお返しする様にしながら話を続けた。 「興味あるじゃないですかぁ〜」 「本当に?」 「本当ですって」 「また〜」 煙に巻こうとしている温子の態度を感じたみのりは、獲物を逃がさない猟師の足運びで、温子の話を自然に追い込んだ。 「で、で、で。どうなんですか、温子さん!」 きらきらと目を輝かせて、その好奇心を、前面に押し出して尋ねた。一瞬、それでも逃げようかと腰を浮かした温子だったが、「みのりちゃん、強引ねぇ」と鼻と口をくしゅっとさせて笑った。そして、ゆったりと腰をすえ、近況を説明した。 「温子さんなら、話してくれると思ってたんです、私。やっぱりね〜」と、ちゃんと話してくれた温子に対して、素直に感謝したみのりだった。 それに対して、「みのりちゃんたら、本当に、調子が良いんだから」と、ちょっとおどけた様子で答えた温子だった。 「でも、『良いなっ』、て思います、・・・私」 急に、低い声でみのりがしゃべりだしたので、何事かなと思いながら彼女を見た温子は、その見つめた先にある顔が、暗く、そして表情を無くしたまま俯いている事に気が付いた。ついさっきまで、向日葵の様に笑っていたのが嘘のような硬い表情だった。 「みのりちゃん、どうしたの?」 「・・・・・」 「私、何か気に障る様な事、言っちゃったかしら?」 「・・・・・」 「もし、そうだったらごめんなさい。そんなつもりは、全然無かったのよ。でも、本当に、どうしたの?」 温子は、みのりの返事を待って、じっと沈黙していた。し〜ん、とした部屋の空気に、恐いくらいに同化してしまったみのりだったが、ゆっくりと顔を上げて、そして小さく首を横に振りながら答えた。 「・・・・ううん、そうじゃないの」 「本当に? 良かった。・・・でも、どうしたの?」 温子は、泥で作った面の様に一気に表情を変えたみのり事を案じ、そしてその理由を知りたいと考え、みのりの答えをじっと待った。 それは、数分だったかもしれないし、数十分だったかもしれないが、二人にとって決して短くも、そして長くもない沈黙の時間が流れた。そして、小波一つ無い、山奥の深い緑色をした湖畔の水面に、やがて一滴の雫が落ちた。 「ワタシ」 みのりの口が開き、零れ落ちた言葉だった。そして、温子は黙ったまま次の言葉を待った。 「何で、こうなのだろうって思っちゃって。------お婆ちゃんはあんなんだし、お母さん死んじゃっていていないし、お父さん全然フォローしてくれないし。辛くなる事ばっか。明日の朝目覚めても、きっと同じ事が繰り返すだけかなと思って。もちろん二十四時間ずっとそんな事ばかりとは言わないけれど、そうじゃない時間って、二分・・・・。ううん、三分ぐらいしかない様な気がしちゃう。『あ〜あ』って、つい、思っちゃうの。 温子さんの話、素直に良いなって思ったのは、本当。説得力無いけど、妬ましいとかは無いかな。ただ・・・・・。ただ、辛い事なんてないだろうなー、って思っちゃった。ごめんなさい」 淡々と話し終えたみのりは、視線の動きで、謝意を温子に伝えた。 みのりの言葉を静かに聞き終えた温子は、(素直すぎる女の子なのね)、と言う感想を持った。そんな心を持ち合わせたからこそ、余計に傷つきやすいのだと感じた。 (でも・・・) そう、『でも』、なのである。(そんな事無い、私だってたくさんたくさん辛い事あって、しんどい事たくさんあるのだから)と思い、そしてそれを言いかけて、止めた。話さない方が彼女にとって良いと瞬時に判断した温子は、ぐっと我慢をしたのだ。 しかし、ふっと見たみのりの顔に、本当に羨ましそうに温子の事を見ているどろりとした瞳に気が付いてしまうと、黙っている事が出来なくなってしまった。 ⇒次はコチラ
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五 やよいは、機嫌が良かった。 孫娘のみのりが、甲斐甲斐しく、彼女の身の回りの事をしているのを、娘のあずさがやってくれていると思い込んでいるのだから、それは当然とも言えた。 「あずさ。あなたはね、良いお嫁さんになれるわ。はやくお父さんに良い旦那さんを探して頂いて、それからね・・・」と話を続けているが、みのりは聞き流している。つい三十分ほど前、みのりの耳がかっと赤くなるような恥ずかしい言葉を投げ付けていたなど、やよいが覚えているはずも無く、そしてその事を説明してもせん無き事と理解したとしても、すっきりした気持ちとして納得出来るものではなかった。 みのりは、胃の底でぐつぐつと怒気が上がってくるのを感じているのに、当のやよいは何が楽しいのか、口をやや開いて笑っているので、怒りが増すやら飽きれてしまうやらで、ついその手に持っていた急須の取っ手をぎゅっと握り締めていて、そしてはっとした。 もちろん、赤土色の急須は手元にちゃんとあるのだが、今イメージの中で、それが大きく振り上げられ、そしてやよいの左の額を思いっきり叩き割り、その手の中には胴体部分を無くした取っ手のみが手の中にあったのだ。もちろん、やよいはコタツ台の上の頭をつっぷしていて、その顔を中心に真紅の血を尽きる事無く広げていたのだった。 「私、今・・・」 やっていなかったとは言え、気が付けば強烈な殺意を持っていた自身に、みのりは驚いていた。その一方で、もしそれをやっていたとしても、何となく(私なら、ありえるかも)と、理解できている自身の感情にも気が付いていた。 「ねえ、ねえったら」と言うやよいの言葉で、はっと我に返ったみのりは、ちょっと驚いてやよいを見たのだが、その時、やよいがぴくっと体を後ろに引いて驚いた事に気が付いた。やよいが驚いたのは、もちろんみのりを見たからに間違いなかった。まだらの記憶の中を自由に歩いている彼女だったが、何かに驚くと言うのは、リアルタイムである今と言う現実に対してである事は間違えなかった。 (私、今、どんな顔していたのだろう) 脳の深い所で、それも想像の中だけで思っていた悪しき感情が実は顔に出ていて、やよいはそれに恐怖を感じたのではないかと思い、少なからぬ焦りを感じていた。 「な、何?」と、慌てて答えるみのりの声に、少し疑惑の色を目に浮かべながら、やよいは、さっき夕食を食べたばかりの口で、早く夕食が食べさせろと言った。その言い方には、一瞬だけでもあるが、彼女より年の若いみのりに、気圧された空気を払いのけたいと言う虚勢の色が見えた。そして、娘のあずさと思いこんでいる彼女に負けるはずが無いと言う親の威厳を守りたいと言う本能とも思えた。 そしてみのりは、自分でも気がついていなかったが、にやりと口元を笑わせていた。 103号室の玄関で、みのりを迎えてくれた冷子の目は、やはり今日もどこかひんやりとしていた。決して他人の事を全力で拒んでいるとは思えないのだが、その目の中に暖かい陽だまりを見る事は出来なかった。 「冷子さん、これクッキー。家にあったの持ってきちゃった」 缶に入った贈答用のクッキーを差し出すみのりは、場の空気を少しでも柔らかくする為に笑顔で言ったが、冷子が言った「ありがとう」は、かなり冷静だった。 しかし不思議な事に、みのりはそんな冷子の態度も、そして103号室に流れる空気に対する嫌悪感も無かった。ここに来るのが初めてではないと言う経験も一因ではあるが、(冷子さんって、こういう人だから)、と言う認識を予め持っていれば大丈夫だと思っていたからだった。 みのりは、テーブルを挟んで向こう側に座っている冷子に、色々な事を話した。軽い世間話など、最初にちょっと話しただけで、直ぐに、深い話へと変って行った。みのりは、プライベートな事を、誰とでも簡単に話すタイプではないのだが、今日、やよいとの間にあった嫌な事やむかっとした事を、包み隠さず話していたのだった。冷子は、そうよそうよ、と軽い感じで同調する事も無いかわりに、「そうだったの、大変だったわね」、と親身になって耳を傾けていた。 そしていつの間にか、話題をコントロールするのが、冷子へとシフトしていた。 「みのりちゃん。卓球の白木選手って知ってる?」 「うん、TVのスポーツ番組で見た事あるよ」 冷子の言うその選手は、時々バラエティー番組にも出るので、スポーツに関してそれほど知識の無いみのりでも、顔と名前が一致する選手だった。さすがに戦績までは知らなかったが、よく優勝に絡んでいた様に記憶していた。 「私ね、こう見えて、高校まで卓球やっていたのよ」 「本当!」 少し恥ずかしそうにもじもじしながら言う冷子の仕草が、これまでに見た事の無いかわいい感じでちょっと新鮮に感じたみのりだったが、冷子が卓球をやっていたと言うのは何となくイメージ出来た。 「本当よ。そして、実は白木選手と混合ダブルスでペア組んでいたのよ」 「えええええ?」 みのりにとって、それは声を大きくするほどの驚きだった。現在日本で一、二を争う様なスポーツ選手と、例え高校の時とは言え、目の前でこう言っては申し訳ないが、地味に暮らしているだけの内気な冷子が、一緒に汗を流していたとは全く信じられない事だったからだ。 「驚いちゃうわよね。でも本当。私ね、こう見えて高校生まではバリバリの体育会系だったのよ。それに、一応インターハイや国体でも良い成績残していたのよ」 ちょっと顔を朱に染めて楽しそうに話す冷子を見ても、やはり信じられなかった。それに、今、冷子が卓球をやっている素振りも見せないし、何より部屋の中を見渡しても、卓球に関係あるものが何一つ存在していないのだ。 「冷子さん、今は卓球やっていないの?」 「ええ。私の卓球人生は、高校生までなの」 冷子は、元気の無い声で答えた。明らかに淋しそうな声で。 「やめちゃった・・・・の?」 「ううん。出来なくなったの。いくつかの実業団から誘いがあって、その中から内定ももらっていたんだけれど、卒業直前にけがでね・・・・・。膝、壊しちゃって。スポーツを職業として続けていくには致命的なけがで、諦めざるを得なかったの。だから、私の卓球選手としての人生はそこで終わったの」 みのりは想像していた。冷子は、その時の事をそれ以上話さなかったが、恐らく決まっていた就職先の話は駄目になっただろうし、それほどの選手でありながら、そこで辞めざるをえなくなった現時に向き合う事は、大変な試練だったと思った。それに、ペアを組んでいたという白木選手との間にも、きっとペアと言う事以上の何かが存在していたのではないかと言う気持ちがしていたのだ。 そしてみのりは、自分の事の様に、険しい顔をしていた。 「ごめんなさいね、みのりちゃん。何だか暗い話になっちゃったけど。でもね、私が言いたかったのは、そう言う事じゃないのよ。卓球の事は、私の中でちゃんと終わっているの。本当よ。だから、最近有名なあの白木選手と、高校時代にペアを組んで、そして全国で優勝した事は、それはそれとして、私の自慢なの。だって凄いと思わない?」 そういい終えた冷子は、本当に嬉しそうな顔をしていた。 「でも冷子さん、どっちが?」 「どっちが?」 「高校時代優勝した事か、白木さんと組んでいた事かって事」 冷子は即答で、「もちろん、両方よ」と、少し鼻を高くして答えた。その顔には笑顔があり、誇らしげで、いつも何処か淋しく冷たい感じがする印象は、何処かへ飛び去っていた。 確かに冷静に考えてみると、十分自慢できる事だと思った。とても凄い事だし、決して誰でもが出来る事では無かった。でも、もしそのけがが無かったら、今頃冷子さんは、TVでも十分紹介される様な選手になっていただろうと、想像出来たからだ。 「冷子さん、凄かったんですね〜」 みのりは改めて、素直に感嘆の声を上げた。 冷子はそれを聞いて、嬉しそうに、でも少し恥ずかしそうに「ふふ」と笑っていた。 ⇒次はコチラ
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