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〜〜 後書き 〜〜 今晩は、慈遠です。 慈遠にとって初めての怖い話(霊もの)を書かせて頂いたのですが、如何だったでしょうか。 このストーリー、私が中学生の頃聞いた怪談話を元にアレンジして作成しております。あの頃、友達と集まれば怖い話を色々していたのですが(みなさん、そんな記憶はありませんか?)、何故か数ある話の中で、この話は強い記憶として残っていたんですね・・・・・・。 そして、それを文章に起こしたのは去年(2008年)。 でも、驚く事がありまして。 恐らくあるTVを御覧になった方がいらっしゃるのでは? そう、亡くなったのが実は相手ではなく、今黄泉の国へ行こうとしているのが自分自身だというドラマがあったのです。 正直、「お!」と驚きましたが、同時に「これは有名な怪談話なのだろうか」と思いました。 一応念の為一言書かせて頂くと、そのドラマを見てこの小説を書いたわけではございません。 慈遠が書いた方が先である事は間違いありません。 ちょっと、その事だけは書いておきたくて。 さて改めて、本編読んで頂きありがとうございました。 初めて怪談を書いたわけですが、意外に書くことそのものとしては、興味深く取り組む事が出来ました。 またいつか、怪談物も書いてみようかな。 なんて。 ==================================================================
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・声が聞こえる
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《説明》
⇒初めての、ホラー(霊)ストーリーです。
杏子は専門学校からの友達である加奈とその彼の卓也と一緒に、付き合っていた正義の事故現場を訪れ・・・・
⇒初めての、ホラー(霊)ストーリーです。
杏子は専門学校からの友達である加奈とその彼の卓也と一緒に、付き合っていた正義の事故現場を訪れ・・・・
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体が、非常に重かった。 仰向けになっている事が分かり、体を起こそうとしたが、瞬間、全身を激痛が走った。その痛みがあまりにも強烈で、涙が出そうになったのに、右手だけがとても心地良くて温かかった。僅かであるが、肘から先が杏子の指令に従い、ゆっくりと動いた。 すると視界が広がり、そこに懐かしい顔があった。 「正義・・・」 「杏子、俺が分かるのか? そうだ、正義だよ!」 杏子の手を握り締める彼の顔は、とてもステキだった。数日会っていなかっただけなのに、随分痩せている様に見えた。 「私は・・・・?」 「ここは病院だよ。杏子は、助かったんだよ」 杏子は、正義の目に光る涙を初めて見た。 一週間後には大部屋に移動する事が出来た杏子は、更にその二ヵ月後、体のあちこちにギブスや包帯を巻いた状態であったが、自立歩行が出来るまで回復し、来週には退院する事が出来るだろうと言われていた。彼女の若さと言う回復薬もさる事ながら、正義の献身的な介護も身を結んだと結果だった。 ベッド生活を余儀なくされたこの期間、正義は時間をかけ、ゆっくりと説明をした。 別荘から帰ったあの日、先に帰りついたのは正義だった。あまりにも帰りが遅いと心配していた彼の所へ、連絡をくれたのは、卓也の運転免許書に電話をしてきた警察からの連絡を、急ぎ正義に伝えてくれた彼の父親だった。 教えてもらった病院に駆けつけた彼に、卓也の父が言った。彼の運転する車がガードレールを突き破り、谷底に落ちていたのを、通りかかったトラックの運転手が通報したと言うのだ。事故に遭ったのは、正義ではなく、卓也達だったのだ。 運転席と助手席に座っていた卓也と加奈は、即死だったらしい。そして後部座席に座っていた杏子だけが、奇跡的に助かっていたものの重症で、搬送された救急病院の医者の診たてでは、蘇生する確立は非常に低いとの事だった。 しかし正義は、一分の時間も離れる事を惜しんで、杏子を励まし続けた。 一方で杏子は、その間に見ていた事を、事細かく彼に話して聞かせた。二人の達した結論は、黄泉の国へ行った二人が、杏子を一緒に連れて行こうとしていたのではないかと言う事だった。 しかしだからと言って、二人を責める事は、正義にも杏子にも出来なかった。 杏子が退院し、体に巻かれた白い物の数が少なくなったのを待って、二人は卓也と加奈の墓参りへ行った。別荘に四人で行き、そして、たわいも無い事を大笑いしながらお酒を飲んでいた夜が、みんなで顔を合わせた最後の夜になるとは、全く想像すら出来なかったと、墓石を前に手を合わせつつ、二人はそれぞれに思っていた。 そして二人は、あの事故現場を訪れた。 あれから約五ヶ月が既に経っていて、山の表情も変っていたし、何より、壊れたはずのガードレールが、その左右にある錆び付いたガードレールの間で、妙に生々しく綺麗な純白の色を浮かび上がらせていた。 「あれ、誰かいるよ」 バイクから降りた二人は、車の通りの少ないこの道で、しかも景勝地でもないその場所に車を停めている人を見かけた。 車の向こうに上半身だけ見えたその人は、頭髪が真っ白な、少し背中の曲がった男性だった。 「こんにちは」と正義が呼びかけると、さっと振り向いたその老人は、ゆっくりと挨拶を返してくれた。 「どうしたんですか、車、故障でも」と言いかけた時、その老人の足元から線香の煙が立ち昇り、小さな花が供えられているのに気がついた。 「すみません」と正義が詫びると、老人は、「いえ」と小さく答えた。 「実は、僕達もココで亡くなった友人の冥福を祈りに来たのです」 「失礼ですが、それは最近-----ですか?」 突然の質問に、ちょっと不思議に思いながらも、正義は半年ぐらい前ですと答えた。そして逆に聞き返すと、老人は、娘がここで事故で亡くなったのだが、それはもう二十年も前の事だと答えた。 「私が運転する車に、娘は乗っていたのです。まだ二十歳と、人生これからと言う時に、私だけが助かってしまいました」 老人はがっくり肩を落としてそう答えた。老人だと勝手に思っていたが、少し話をしてみるとまだ五十二歳だと聞き、二人は、その老人の尋常じゃない老け方に、驚きを覚えた。 卓也と加奈に手を合わせた後、その男とひとしきり話し終えた後、正義が失礼しますと言ってその場所を去ろうした時だった。不意に、杏子がその男に声をかけた。 「あの、失礼ですが、娘さんのお名前を伺って宜しいですか?」 男は小さく頷いてから、ゆっくりと答えた。 「娘の名は、ゆうこと言います」 遠くで山鳥が鳴いているのが、杏子の耳に淋しく聞こえた。 ・・・・・・終わり ⇒後書きはコチラ
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杏子が一人暮らしをするアパートに、卓也と加奈がいた。丸い壁時計の針が、もうすぐ午前二時を指そうとしていた。 杏子のアパートは、築二十五年の古い二階建ての木造アパートで、各階に二部屋ずつ、合計四部屋あるのだが、隣の部屋の住人は先月出て行ったばかりで、現在二階に住んでいるのは杏子だけだった。県道から二本ほど入り込んだ所にある為、元々交通量の少ないその場所は、深夜ともなると、部屋の外の静けさまで感じ取れるほどの静寂の中にあった。 八畳一間の部屋の隅で、卓也と肩を寄せる様にして座っている加奈が、杏子に言った。 「大丈夫だって、杏子。昨日も何も無かったでしょう。今日も大丈夫だよ」 杏子は、加奈が彼女の事を気遣ってそう言っているのも知っていた。友人としてのありがたさを感じる一方で、昨夜、二人は分からないと言ったが、確かに聞こえたラップ音と、ドアの外に錯覚かもしれないが感じた人の気配を、思い返していた。 (あれは、正義だったのかもしれない) ただ、あまりにもそれが微弱で、それにドアをノックするというその音も、そして何より彼の声が全く聞こえず、結局朝を迎えたのが昨夜の出来事だった。 「杏子ちゃん。もし正義が来ても、絶対出ちゃ駄目だからね。分かった?」 卓也の声はかなり必死で、どこか怯えた風に杏子には聞こえたが、うん、と答えた。 「カチ」 微かな音がして、壁掛けの時計が、二時になった事を三人に教えた。互いが互いの顔を見て、いよいよだと無言で頷きあった。 本当に静かな夜で、世界から音が盗まれたのではないかと思える程だった。 杏子は、生前の正義の事を、膝を抱えこんだ体育座りをした姿勢のまま、思い出していた。彼の笑顔、不器用で恥ずかしがりやなのに時々見せた背伸びをした優しさ、そして、数えるほどしか言ってくれなかったけれど、目を見て好きと言ってくれた時の表情を。 「正義」 声には出さなかったが、彼女の口が、その発音のとおりゆっくり動いた時だった。 「タン・タン・タン」 古い木造のアパートは、階段を登る人の足音が大きく聞こえる。それに、いつもバイクに乗るのでブーツを履いた正義の足音は、TVを消してさえいれば、杏子は間違いなく気がつく事がいつも出来ていた。 杏子が、はっとして卓也と加奈を交互に見たが、二人は分からないと言う。 (どうして、二人には聞こえないのだろう?) 階段を登り終えた足音が段々と彼女の部屋に近づいてくると、卓也と加奈の恐怖心が空気を媒体にして伝ってきた為か、徐々に怖さが大きくなっていった。 (来た!) 杏子がそう感じた瞬間、ドアをノックする音がはっきりと聞こえた。その叩き方は、彼独特の、間延びする三回連続の叩き方で、間違い様のないものだった。 杏子が、部屋の隅で肩をすり合わせるようにくっついている二人を見ると、二人とも真っ青な顔で首を横に振りながら、杏子に言った。 「杏子、だめだって。絶対開けたらいけないよ!」 「そうだよ杏子ちゃん」 杏子の頭の中では、ゆうこが話してくれた内容がなんども繰り返されていたし、心配する二人の気持ちが伝わってきて、やっぱり開けたらだめなのだと言う意識を強く思い始めた。 「杏子。杏子!」 四日ぶりに聞く、正義の声だった。それだけで、懐かしくなって涙があふれ出てきそうな喜びを、一瞬で感じていた。 「杏子。開けてくれ。聞こえているのだろう、俺だよ、正義だよ。頼むから、このドアを開けてくれ!」 「正義!」 彼の名を呼んだ杏子の声が聞こえないのか、正義はドアに向かって必死に叫んでいた。一方で、卓也と加奈は、何度も駄目だと強く引き止め様とした。 杏子の気持ちの針が、左右に大きく揺れていた。ゆうこ、そして卓也と加奈が言うドアを開けては駄目だという約束と、ドアを開けて正義に会いたいという気持ちと・・・・。 「杏子!」 彼の悲痛なまでの叫び声を聞いたのは、杏子にとって初めての事だった。彼の手で、杏子の心臓をぎゅっと摑まれた様な感覚を覚え、そして揺れる針が大きく傾いた時だった。 部屋の隅で並んだ卓也と加奈の体の輪郭が、うっすらとぼやけ、そしてその後ろにある部屋の柱が透けて見えたのだ。そして、二人の目が何やら弱々しく見え、悪い事をして何か謝っている様な表情を見せたのだった。 「ねえ、どうしたの?」 杏子が心配して尋ねると、二人の輪郭が再びはっきりと見える様に戻ったが、開けた口から聞こえるはずの声が杏子に聞こえず、ドアの外から彼女を呼ぶ正義の声だけが杏子の耳に届いていた。 どうしてそんな事が起こっているのかさっぱり分からない杏子だったが、気持ちだけが強く定まっていた。 さっと立ち上がり、玄関の前に立った。 ドアを叩く正義のノックは、もう既に、ドアを叩き壊そうかとしている程強く変っていて、連呼する杏子を呼ぶ声が、大気をビリビリと震わせるほどになっていた。 (どんな姿だったとしても構わない。会いたい!) 杏子がドアを開けたのと、いつの間にか彼女を止めようとして、杏子の直ぐ後ろまで来ていた二人が、「開けたら駄目だよ」と悲痛な声を上げたのが同時だった。 そして、杏子の視界に現れた正義は、生前の姿のままで立っていた。 「戻って来い、杏子。お前は生きているんだ!」 ⇒次はコチラ
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ゆうこは、唇をぎゅっと一度噛み、杏子の目を強く見つめた。 「------来たの、父。お葬式の次の日だった。友達に泊り込んでもらった次の日だったけれど、一日目に 何も起きなかったから少しだけ安心していた時に、そう、深夜の二時ちょっと過ぎ。はっきりとドアをノックする音が聞こえたの。『トン・トン』って。私も友人も蒲団には入っていたけれど目は覚めていたから、驚いてしまってぱっと起き上がったの。心臓がバクバクとしていたわ。 そうしたら、次の瞬間、声がしたの。間違いなく、父の声だった。父は私に、ドアを開けてくれと言ったの。懇願する様な、切ない声だった。 私は、友達の言葉を信じて、ずっと我慢したの。父の声が、何度も玄関のドアの向こうから聞こえてきたけれど、両耳を手で塞いで、必死で堪えたの。それがきっと、成仏しようとする父の為にもなると思ってね。 そして、どれだけ時間が経ったかは分からないけれど、父の声も、そしてドアをノックする音も聞こえなくなった事は覚えている。その後意識が飛んでしまったんだけれど、次に目が覚めたら、もう朝になっていたわ。 その翌日からは、友達が言ったとおり、父は私の所に来る事は無くなったわ。つらくて大変だったけれど、もしあの時私がドアを開けていたら、父も成仏する事は出来なかったし、私も大変な事に成っていたと思うの」 切々と話すゆうこの世界に、三人は完全に引き込まれていて、同じ姿勢のまま彼女の事を見つめていた。 四人の間の音が別の空間に吸い出された様な時間が続いた時だった。 「パキッ」 三人の後ろで耳慣れない音が突然して、飛び上がるようにして振り返ると、そこには直径三センチ程の枝が落ちていて、三人が正義の為にお供えしていたペットボトルを押し倒していた。 「うそ!」 あまりの衝撃に、杏子が声を漏らすと、卓也が恐る恐るその枝を手に取った。そしてくるりと反転させ、折れた所を見ると、それは枯れ枝ではなく、生木をむりやり強烈な力で捥いだ様な裂け方をしていた。 「自然に落ちてきたんじゃねえな」 卓也の発言を聞くまでも無く、そこにいた全員の意見でもあった。 「正義がやった事なの?」 ゆうこは、刹那杏子を見た後、ゆっくりと頷いた。 「多分・・・・」 杏子は、横にいた加奈を見た。二人は、それぞれの驚きが相乗効果となって、驚きにより大きく見開いた目を更に大きくしていた。卓也も同様に、驚きのあまり、先程まで怒気を含んで赤くなっていた顔が、青白く変っていた。 「事故現場は、体からその魂が分離した場所だから、浮遊を始めた魂が戻りやすい場所だと、友達が言っていたわ。彼の霊は、もう既に彷徨い始めていると私も思う」 「私には、訪れた彼を無視する事しか出来ないのですか?」 悲鳴にも似た杏子の声を、ゆうこは冷静な表情のまま答えた。 「絶対にドアを開けてはだめ。それは、彼の為でもあるし、あなたの為でもあるから」 杏子が力なく、しょうが無いと言う表情でちいさく頷くと、彼女の周りに、何処かへ消えていた山の音が戻ってきた。 「帰ろうか」 加奈の声に、杏子は頷いた。 ⇒次はコチラ
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杏子は嫌だと感じたものの、ゆうこの話に耳を傾けた。 「その彼が亡くなったのはいつ? 事故はどの様な状況だったの?」 「三日前です。私達、この山向こうにある別荘を借りて、遊びに行ったんです。彼バイクだったから、私と正義はバイクに乗って、そして卓也君と加奈は卓也君が運転する車で。 そして翌日、私達は帰る事になったのですが、その日は朝から天気が曇り空で、天気予報では雨になると言っていて。私も正義も雨カッパを持ってきていなかったから、彼が言ったんです。帰りは卓也君の車に乗せてもらえって。僕は濡れてもしょうがないし、雨の日の二人乗りはやっぱり危険だからって。それで私は、彼の言葉に従って卓也君の車に乗せてもらって帰りました。 別荘を出た頃はまだなんとか曇っていたので、彼はバイクを気持ち良さそうに走らせて、すぐ車と離れ離れになってしまいました。別荘を出る前に、車とバイクでは速度が違うから、今日は別荘で解散と言う事になっていたので、彼のバイクが見えなくなっても、別に大丈夫だろうなって。 ただ、帰り着いたら電話をすると言う約束だったのに、二時間経っても無かったので心配を始めたら、卓也君から電話があったんです。彼が事故に遭ったって・・・・。それが、三日前。通夜があったのが一昨日で、葬式が昨日でした」 「そして今日、三人で事故現場に来たと?」 「はい」 「じゃあ、まだ事故から三日しか経ってないわけよね」 杏子の話を聞いていたゆうこの表情が、少し揺れた。目が、何かを追って小さく左右に振れたかと思うと、左右の眉が、ぎゅっと中央によった。 「杏子さん。あなた、この三日間のうちに、彼に会った事は?」 杏子が、不審な表情を見せた。そして卓也が、強い口調で言い返した。 「あんた、馬鹿じゃないのか? 卓也は三日前に事故に遭って死んだんだよ。葬式も済ませたのに、会えるわけなんて無いじゃないか!」 血相を変えて叫ぶ卓也を一瞥するも、その存在を否定するかの様に無視して杏子を見つめたゆうこは、ゆっくりと、しかしはっきりとした口調で言った。 「突然の死が、彼をあちらの世界に連れて行ってしまった。まだ若い彼が、気持ちを整理して、----ううん割り切って、いけたと思う? そんな事は無いと思うの。つまり、念を残している。それは、無念と言う力になるのよ。無念とは、もの凄い感情となって、きっとあなたの所にやって来るわ。三日前よね? だったら、まだまだ彼の霊はかなりこちらに近い所にあるはず。 四十九日と言うの、知ってる? 亡くなった霊は、七日毎に、段々とこの世の世界から別の世界に移ってしまった事を、徐々に受け入れていくの。七日、十四日-----そして、四十九日とね」 「何、わけの分からねえ事言っていんだよ! なあ」 唾を飛ばしながら叫ぶ卓也に、ゆうこの視線がやっと彼を捉えた。立ったままにらみ合う格好になった二人だったが、しばしの後、ゆうこがゆっくりと卓也に向かって進み出、彼の目の前に立った。そして、左手を上げると、卓也の右手首をぎゅっと掴んだ。 卓也は、電気にでも打たれた様になって、体をぴくっと震わせて反応した。そこに交し合う言葉は無かったが、不思議と、ゆうこが何かを感じ、そして何かを伝え、卓也が受け入れた様に、杏子には見えた。 何故そう杏子が感じたかと言うと、あれほどいきり立ち、おかしな事を言うなと顔を真っ赤にして言い放った卓也が、何一つ口を開いて発言もせず、ゆうこの行動に納得して、一歩引き下がってしまったからだった。 卓也に対する疑問の答えを考え出す前に、ゆうこは話を続けた。 「聞いて、杏子さん。私も、父を事故で亡くしたの。ガードレールを破って谷の下に落ちてしまった父は、即死だった。四十メートル近く下の沢に落ちたから、車は大破していたし、父の体もめちゃくちゃになっていたの。顔は左半分がつぶれ、左肩から先がぺちゃんこになっていたの。そんな父が、私の所にやって来たの、もちろん生きてやって来たわけじゃない。霊となってね」 「霊?」 「ええ、そうよ」 「たまたま、私に霊感の強い友達がいたの。その友達が、葬儀を終えた私に言ったの。思いを残した私の父が、きっと丑三つ時に私の部屋を尋ねてきて、生前人間が当然する様に玄関の前に立ち、ノックするだろうって。そして、『ゆうこ、ゆうこ私だよ。お父さんだよ。開けてくれ』と言うって。 でも、友達は強く言ったの。絶対に、ドアを開けたらいけないって。死を受け入れられず、あの世にも行こうとしない霊は、思いを残す人間を引っ張りこうもとするんだって。そこは決して抜け出すことの出来ない世界だから、絶対について行ったらだめだって。 それに、事故に遭った姿のまま語りかけてくる父を思うと、私無理だって思ったの。結局、その友達に数日間一緒に泊まってもらって・・・」 「-----それで?」 ⇒次はコチラ
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