お勧め度:★★★★
高校時代の同級生に随分前から薦められていたが、本棚の片隅に埋もれていたので少し頭休めに読んでみました。これが、なかなか考えさせられるいい内容でした。
もっと早く読んでいたところで、今の私が置かれている「時間に追われる!」という状況・環境・心理は変わっていないかもしれません。僕の心の中にいる『時間貯蓄銀行の灰色の紳士』は、確かに僕の時間を奪っていきます。忙しいので、仕事を誰かにお願いしてもまたそれ以上に忙しくなる。やっている仕事の内容は少しづつ違ってきてはいるが、どんどん忙しくなってくる。どんどんカリカリ言っている。
モモが僕の近くにいてくれて、時間を節約する生活から救われても、また気づくと忙しくしている自分がいるんだろうなとも思った。(涙)
以下が私が大事だと思った箇所の抜粋です。
○友だちがみんなかえってしまった晩、モモはひとりで長いあいだ、古い劇場の大きな石のすりばちのなかにすわっていることがあります。頭のうえは星をちりばめた空の丸天井です。こうしてモモは、荘厳なしずけさにひたすら聞きいるのです。
こうしてすわっていると、まるで星の世界の声を聞きいる大きな耳たぶの底にいるようです。そして、ひそやかな、けれどもとても壮大な、ふしぎと心にしみいる音楽がきこえるように思えるのです。
さあ、これまでやぱり、人に耳をかたむけるなんてたいしたことはないと思う人がいますか?そういう人は、モモのようにできるかどうか、いちどためしてみることですね。 P.32〜
〇ペッポの考えでは、世のなかの不幸というものはすべて、みんながやたらとうそをつくことから生まれている。それもわざとついたうそばかりではない、せっかちすぎたり、正しくものを見きわめずにうっかり口にしたりするうそのせいなのだ。 P.51〜
※自信が背伸びをして、うそをつく事もあるだろう。うそは自分を追い込むということなんだろうな!
〇彼らはクサクソロラクス王にひきいれられて最後のたたかいをいどみ、またたくまに帝国全土を征服してしまいました。彼らに立ち向かった兵士はひとりとしていませんでしたし、人民にとっては、だれが支配しようとたいしたちがいはなかったのです。 P.66〜
※確かに一般的な人民にとっては、自身の生活に影響を与えない限りは、だれに支配されようが関係ないというのはわかる。そのとおりで、本質ですね。
〇フージー氏はだんだんとおこりっぽい、おちつきのない人になってきました。というのは、ひとつ、ふにおちないことがあるからです。倹約した時間は、じっさい、手もとにすこしものこりませんでした。魔法のようにあとかたもなく消えてなくなってしまうのです。フージー氏の一日一日は、はじめはそれとわからないほど、けれどしだいにはっきりと、みじかくなってゆきました。あっというもに一週間たち、ひと月たち、一年たち、また一年、また一年と時がとびさってゆきます。 P.101〜
※私も同じように、感じる。確かに効率良くしたり、仕事を割り振っても、どんどん忙しくなっていく。本当にふにおちない。
〇時間をけちけちすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしていることには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとしませんでした。
けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。 P.106〜
※金銭的・物質的な豊かさとは、違う心の豊かさなんだような〜!とにかく家族健康でニコニコ明るく元気に生活でき最低限の物質的豊かさがあれば、いいはずなのだが、その最低限のものを求めるとどうしても、これでいいとは行かなくなっていくから、しょうがない。それがどんどん僕らを追い込んでいく。
〇「人生でだいじなことはひとつしかない。」
「それは、なにかに成功することと、ひとかどのものになること、たくさんのものを手にいれることだ。ほかの人より成功し、えらくなり、金持ちになった人間には、そのほかのもの−友情だの、愛だの、名誉だの、そんなものはなにもかも、ひとりでにあつまってくるものだ。・・・・・。」 P.141〜
※若かりし頃の私は確かにそう思っていたが、実際には絶対にこれは違う。成功したりお金持ちになったりで、よってくる愛や名誉、友情はそれがなくなれば、一瞬にしてなくなる。また潜在意識でそれがわかっているから、それが離れないように頑張らなければならない。だから時間に追われるんじゃないかな?
〇べつべつに<子どもの家>ほうりこまれました。こういうところでなにかじぶんで遊びを工夫することなど、もちろんゆるされるはずもありません。遊びをきめるのは監督のおとなで、しかもその遊びときたら、なにか役にたつことをおぼえさせるためのものばかりです。こうして子どもたちは、ほかのあることをわすれてゆきました。ほかのあること、つまりそれは、たのしいと思うこと、むちゅうになること、夢見ることです。
以下が私が知らなかった単語、重要だと思った単語の抜粋です。
◎「灰色の男」
あの人たち、いったいどうしてあんなに灰色の顔しているの?
死んだもので、いのちをつないでいるからだよ。
彼らは人間の時間をぬすんで生きている。しかしこの時間は、ほんとうの持ち主からきりはなされると、文字どおり死んでします。人間はひとりひとりがそれぞれ自分の時間をもっている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。
「じゃあ灰色の男は、人間じゃないの?」
「いや、人間じゃない、にたすがたをしているだけだ。」
「ほんとうはいないはずのものだ」
「人間が、そういうものの発生をゆるす条件をつくりだしたからだよ。それに乗じて彼らは生まれた。そしてこんどは、人間は彼らに支配させるすきまであたえている。それだけで、灰色の男たちはうまうまと支配権をにぎるようになれるのだ。」
「もし時間をぬすむことができなくなったら、どうなるの?」
「そうhしたら、もとの無にかえって、消滅してしまう。」 P.225〜
◎「人間」
「人間なんてものは、もうとっくからいらない生きものになっている。」と、悲鳴のようにかん高くなった声が聞こえてきました。「この世界を人間のすむよちもないようにしてしまったのは、人間じしんじゃないか。こんどはわれわれがこの世界をしはいするぞ!」
※灰色の男たちは、もともと人間の心の隙間にから時間を奪って生きているのに、そういう人間の悪い部分を一番知っているはずなにに、自身が欲張って破滅を迎えた。灰色の男たちことも結局は人間の分身なので、同じことをしてしまうのかな?