闘病記(改)

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今日(10月10日)は、12年前に胃ガンの手術をした日です。

12年前の10月10日は金曜日でした。

その日は、朝8時からの手術に向けて、朝早くから起きて手術室に入る準備をしました。

そして、妻、長男、長女、故郷の愛媛から来てくれた二人の妹と弟、妻の兄夫婦に見送られて手術室に入りました。

臆病者のくせに、手術に対する不安は全くと言って良い程ありませんでした。

一つだけ不安だったことは、ガンが身体の中に残ったまま手術が終わることでした。

手術前の検査で膵臓が胃に癒着していることが分かり、既にガンが転移している可能性が高かったのです。

また、腹水も溜まっていたので、腹膜に散っている恐れもありました。

事前の説明では、手術は次の2通りのどちらかになりそうだと言われました。

①胃と膵臓を切除する。

②ガンが既に腹膜に散っていた場合は胃のみを切除し、残ったガンに対しては放射線治療や化学治療を行う。

妻も自分も、ガンが残らないことを願っていましたので、①の手術になることを信じていました。

手術時間は、①の場合は6時間〜8時間、②の場合は3時間程度とのことでしたが、手術時間は3時間ほどで内容は胃の切除(+α)でした。

麻酔から覚めた時、まだ意識がはっきりしない中で、望んでいた①の手術後にはその場にいないはずの妹や弟たちの声が聞こえた時、悔しさだけがこみ上げてきたことをはっきり覚えています。

妹や弟たちは、昼過ぎには帰路に就くことになっていたので、早くても午後2時頃にしか終わらない①の手術後には、その場にはいない筈だったのです。

実際は、膵臓は何とか大丈夫だったとのことでしたが、既に腹膜にはガンが散っていて、手術後の家族への説明の場では「進行の速いガンで、余命半年、長くて1年」との宣告があったのです。

ただし、手術後の自分への説明は、「幸いに胃の切除だけで済み、ガンは見えるものは全部取った。しかし進んだガンだったので、抗ガン剤で再発防止をする。」とのことでしたので、真実を知ったのは手術後2年目のことでした。


あれから12年、もう妻も家族も今日が手術後12年目だと言うことは忘れてしまっています。

また、今は誰も自分が余命宣告まで受けたガン患者だったとは思ってくれません。

5年間も抗ガン剤を飲み続け、身体のあちらこちらにダメージは残っていますが、見た目は普通の身体になり、還暦を迎えても若者たちと一緒に働けているのです。


でも、「もう大丈夫でしょう!」と言われたのは今から2年前でした。

手術後10年目のことです。

2013年10月10日のメモ書きには、以下のたった一言だけが書いてあります。

 ”10年目”

家族と10年目迎えられたことを喜んだのですが、この一言しか書いていませんし、特別なこともしませんでした。

次の日に、抗ガン剤の副作用で辛かった時に散々世話を掛けた(と言うか、その前も後もいつも世話を掛けてました。)Tさんが、マックランチで祝ってくれたことは覚えています。


主治医から「もう大丈夫でしょう!」と言う言葉が聞けたのは、その1ヶ月後に受けたCTと胃カメラ、血液検査の結果を聞いた2013年11月13日でした。

勿論、嬉しかったし、家族も妹や弟たちも喜んでくれました。
しかし、何となく複雑な気持ちでもありました。

【2013年11月13日のメモ書き】

10年目の検査結果は、「胃ガンについては、もう大丈夫でしょう!」とのこと。

待ちに待った言葉だし、勿論嬉しいが、その一方で何か見捨てられるような気もして、ちょっと複雑な心境でもある。

病院と検査依存症になってしまっているのかなぁ?


手術後5年目までは3ヶ月に1回のCTと毎月の血液検査、そして年に1回は内視鏡での検査を受け、

その後もCTは半年に1回となり内視鏡での検査の頻度も少なくはなったのですが血液検査は毎月受け、その結果を聞いて安堵する(時には不安にもなりましたが…)ことの繰り返しだったので、

「もう大丈夫でしょう!」と言われて嬉しかった半面、検査が減ることに対して不安を抱いたのでした。

また、普段の検診(血液検査と胃薬の処方)は自宅近くの病院に変えても良いとも言われ、主治医の下を離れることにも不安を覚えました。


で今は言うと、結局、何だかんだで今も同じ病院、同じ主治医の下で3ヶ月に1回の血液検査と年に1回のCTでの検査を受け続けています。

やっぱり、依存症かなぁ??


12年目を無事に迎え、夕食の際に、自分一人で心の中で乾杯をしました。

そして、自分が元気になったことを一番喜んでくれたであろう今は亡きすぐ下の妹にもお礼を言いました。

自分が胃ガンを宣告された時、亡き妹は乳ガンの手術後5年目でした。

妹も周囲も、もう大丈夫だろうと思っていたのですが、自分が手術した直後に再発したのです。

でも妹は、自身自身のことよりも、この甲斐性なしの兄のことばかりを心配してくれました。

死にたいくらい辛かった抗ガン剤の副作用から救ってくれたのも、妹の執念とも言えるサプリメントのお蔭でした。

その妹は、元気だった頃のままで、目の前の写真立ての中で笑っています。


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まんじろう
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