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「ほ、本日はお忙しい中わざわざ、お、お時間を割いていただきまして、 誠に、あ、ありがとうございました」 ショートカットの毛先が外ハネしている髪型が可愛らしい女生徒がそう言った。 どことなく雰囲気が村上さんに似ていると思うのは、私の隣に那波さんが座っているからか。 私たち四人――――、那波さん、朝倉さん、外ハネの女生徒さん、そして私の三人は 机を向かい合わせて座っていた。 こちら側が那波さんと私。 向こう側が朝倉さんと外ハネさん。 まるで小学校の給食時間のようにして向き合っている。 「・・・「ございました」じゃなくて「ございます」でしょ。取材始める前に終わって どーすんの」 「あわ、す、すいません朝倉先輩」 「いいからホラ、自己紹介」 「はい! 麻帆良学園中等部2年B組 越前 亜由美(えちぜん あゆみ)です。 本日はよろしくお願いします!」 今度はちゃんと練習してきた通りに言えたらしい。 ホッとした顔を見ると、こちらまで思わず顔がほころぶ。 「今回の記事はこのコがメインで担当してるんだ。で、記事作成の一環として 二人に取材をお願いしたんだけど」 「私が単独で担当する初めての記事なんです」 へー、それは気合が入りますね、と心の中で相槌を打つ。 「でもこのコ、ちゃんとした取材するのは今回が初めてでね。いろいろ不手際があるかも しれないけど、勘弁してね」 「そ、そうなんです。だから緊張しちゃって」 「あんたが緊張してどうすんのー」 朝倉さんがズッコける。 「アラアラ、私達もこういう形で取材を受けるのは初めてなの。だから緊張しているのは お互い様よ。ね、桜咲さん」 「ハイ」 那波さんのペースにつられて思わず返事をしてしまう。 「そうなんですか。なんだかちょっと、安心しました」 「取材対象に緊張をほぐしてもらってどうするのよ・・・」 安堵の表情を浮かべる越前さんと、苦笑いする朝倉さん。 中学二年生といえば、私達の一年後輩。 ちょうどネギ先生が赴任してこられた頃か。 その頃の私達に比べれば随分しっかりしているように見えますよ、と心の中で思う。 那波さんを見るとニコニコ顔で二人の様子を見ている。 実は私は結構緊張しているが、どうやら那波さんは落ち着き払っているようだ。 そもそも相手の緊張をほぐすなんて、心に余裕のある人にしかできない行動だと思う。 流石は那波さん。 ところで私が少し驚いたのは朝倉さんだ。 前々から、いわゆる姐御肌で面倒見の良い気質だと思っていたが、後輩の前だと その部分がますますはっきり出てくるようだ。 言葉選びは誤りかもしれないが、なんだか先輩風を吹かせているように見えて、 それが逆に微笑ましい。 すると那波さんも私と同じことを考えたようだ。 「まあ和美、あなたはそんなことを言うけれど、私と越前さんは初対面なんですもの。 お互い緊張してもおかしくないと思うわ」 「ん〜。そんなこと言って、千鶴は全然緊張していないように見えるけどー」 同感です。 「さっすが千鶴。年の功ね♪」 あ。 「・・・和美、いま何か言ったかしら?」 那波さんの背中から黒いオーラが立ち昇るような気がした。 「お〜っと、コレは失言・・・。じゃ、亜由美、取材始めよっか〜」 「? ハイ、朝倉先輩」 越前さんは那波さんの威圧感を感じなかったようだ。 越前さんが敏感でないのか、那波さんが自らのオーラをコントロールして悟らせ なかったのか・・・? 「では、取材を始めます!」 アレ? そういえばまだ取材内容を聞いていないが。 まあ、いいか。 〜続く〜
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ネギま!オリジナル小説
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「・・・え?」 那波さんの突然の問いかけに、思わず聞き返してしまった。 私はどんな顔をしているだろう。 きっと間の抜けた表情を見せているに違いない。 質問の意味を図りかねて私は固まってしまう。 光る風? それを追い越す? 何を言っているんだこの人は、と思って彼女を見たが、母性の溢れるまっすぐな瞳は いつも通りの那波さんの顔であった。 どうやらからかわれている訳でもないらしい。 私は一体どう答えたら良いのでしょうか、助けてお嬢様! しかし、このちゃんはここにはいない。 自分で何とかしなければ。 那波さんが笑みを浮かべながら、少し首を傾げる。 マズイ! 私の答えを待っている顔だ! えーと、えーと、なんと答えれば・・・? そもそも質問はなんだっけ? ここでふと、私の頭に那波さんのルームメイトである村上夏美さんの顔が浮かんだ。 コレか!? コレなのか!? 半笑いで涙を浮かべて「ワケ分かんないよ、ちづ姉〜」 村上さんがそんな表情で困っていた姿を見たことがある。 正解はコレではあるまいか。 否、例え正解でなくともコレを言えばこの場を切り抜けられる気がする。 しかし、だ! 意外とレベル高いです「ワケ分かんないよ、ちづ姉〜」 私がこの世に生を受けてから現在に至るまで、そんな言葉を発したことがありません! そもそもあまり親しくも無い那波さんのことをいきなり「ちづ姉」と呼ぶ勇気が 私には無い! 村上さん、残念ですが私には無理です。 確実に困難を切り抜けられる術を思いつきながら実践できないこの歯がゆさ。 村上さん、あなたは偉大な人です。 ええ、そうですとも。 さて、振り出しに戻ってしまった。 那波さんは変わらぬ微笑を携えて穏やかに私の回答を待ち続けている。 なんだかまばたきが止まらなくなってきました。 そんな迷える私の頭の中に、今度はネギ先生の顔が浮かんだ。 ネギ先生なら・・・。 ネギ先生なら、きっと真剣に応えるだろう。 どんな事にも、あのコは真剣に立ち向かうから。 そう思うと少し心が落ち着いた。 那波さんの顔がはっきり見える。 質問は「光る風を追い越したら何が待っているか」だったな。 風が光っている。 その先には――――。 <ガラリ> 教室の静寂はドアの開く音によって再び遮られた。 「いやー、悪い悪い。ゴメンね待たせちゃって」 「し、失礼します」 教室に入ってきたのは出席番号3番 報道部の朝倉和美さんと、そしてもう一人の 女生徒であった。 〜続く〜
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「ごめんなさい、天文部の用事に時間がかかってしまって。和美はまだ?」 「ハイ、まだのようです。」 朝倉さんの取材とやらは那波さんと私が対象だそうだ。 詳しい取材内容は聞いていないのだが・・・那波さんは聞いているのだろうか? 「あら、また雪が降ってきたわね」 そういって窓際に近づく那波さん。 外を見ると、晴れているというのに雪が再びちらつき始めている。 今日は寒い一日だ。 お嬢様はお風邪を召したりしていないであろうか。 女子寮に帰ったらお部屋に寄ってみよう。 それにしても。 那波さんは本当に大人っぽい人だ。 校庭を眺めている那波さんを見てそんなことを思う。 ゆったりペースで落ち着いた女性・・・その辺りは木乃香お嬢様に似ているかもしれない。 しかしおよそ中学生とは思えないその芯の強さは、お嬢様とはまた違ったものを感じる。 ・・・そう言えば私はほとんど那波さんと会話をしたことが無いな。 そんなことに思い当たり、教室に二人きりという状況に少し緊張してしまう。 那波さんはというと外を見続けるばかりだが、緊張したそぶりは窺えない。 「こんなに寒いと運動部は大変ね。あやかは風邪なんて引いていないかしら」 「雪広委員長は、確か乗馬部でしたね」 「ええ、あやかにぴったりだと思いませんか?」 そういって微笑む那波さん。 この人は優しい人なんだな・・・。 私と那波さんの接点といえば、やはり明日菜さんと委員長がそれに該当するであろう。 顔を合わせるたびにケンカを始める二人。 そんな二人を苦笑いしながら見つめる木乃香お嬢様と私、そして那波さんと村上さん。 ともすれば毎朝、毎昼、毎放課後に交わされる日課のようなものになっている。 それが現在の私にとっての日常・・・。 信じられない。 少し前までは想像もできなかった幸せな日々と言えるであろう。 遠くから見守り続ける、それしかないと、それが私の使命であると思っていた。 それが今ではどうだ。 このちゃんと肩を並べて歩いて、明日菜さんやクラスの皆とこんなにも親しくなれるなんて。 この生き方に気付かせてくれたネギ先生、そしてこの生き方を続ける決心をさせてくれた エヴァンジェリンさんには感謝してもし足りない。 お二人に出会えて本当に良かった・・・。 「なんだか、幸せそうね」 「え? ハ、ハイ。あ、いや・・・」 いけない、いけない。 私としたことが感情が顔に出ていたようだ。 神鳴流剣士たるものいついかなる時でも気を緩めてはいけない。 こんなことではお嬢様をお守りできないではないか・・・。 心の中で慌てる私をよそに、那波さんは話を続ける。 「桜咲さん、少し窓を開けてもいいかしら」 「そうですね、換気しておきましょう」 那波さんが窓を半分ほど開けた、その時。 <ビュウ!> 「うっ」 「きゃ」 一陣の風が雪を巻き上げ、粉雪が教室にまで入り込んできた。 陽光に照らされた粉雪が光り輝き、まるで那波さんに後光が射しているようだ。 女神・・・。 その母性のせいなのか、一瞬那波さんが物語に出てくる女神のように思えた。 「まあ。・・・風が光っているようね」 校庭を振り返って那波さんはそう言う。 いや、私にはあなたが光っているように見えます。 まばゆい景色に魅せられていた私の目を覚ましたのはやはり那波さんの一言であった。 彼女は校庭から私に向き直ると、少し間を置いて口を開いた。 「刹那さん」 初めて名前で呼ばれた。 「光る風を追い越したら、何が待っていると思いますか?」 〜続く〜
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窓から見える景色は白銀の世界だった。 校庭に薄く降り積もった雪は陽光に照らされてまぶしく輝いている。 授業が終わったばかりでまだ足跡もついていないが、まもなく部活動が始まれば 生徒達に踏み荒らされてその姿を消してしまうだろう。 もっともそれは雪が降ることが珍しいこの地域では仕方の無いことだ。 故郷の京都でも雪が降ることはあったが、積もったという記憶はあまり無い。 いや待て、幼い頃にお嬢様と雪だるまを作った記憶がある。 あれは関西呪術協会の総本山での出来事だったろうか? それとも別の場所でのことだったろうか? 私の名前は桜咲刹那。 麻帆良学園中等部3−A出席番号15番。 木乃香お嬢様をお守りする京都神明流の剣士である。 つい十数分前まではあれほどにぎやかだった教室も、私一人しかいなくなると実に静かだ。 日常の喧騒から考えると物音一つしない教室はひどく寂しく感じる。 いや、日ごろの喧騒はあくまでクラスメイトの面々が生み出しているものであり、 この静けさは教室自体が持つ本来の姿なのではないだろうか。 とすれば、普段は見られない学び舎の本性に少し感慨深いものを感じる。 などと様々な思いを巡らしてしまうのは、待っている時間を持て余しているせいであろう。 そう、なぜ授業の終わった教室に一人でいるかというと、それは朝倉さんを 待っているからだ。 なんでも、報道部の企画として私に取材をしたいらしい。 最初はお断りしたのだが朝倉さんの熱心な誘いと、木乃香お嬢様が協力してあげれば良い とおっしゃられたことにより協力することになった。 本当は取材なんて苦手の部類に入るのだが、木乃香お嬢様がそう言われるのであれば 協力しないワケには行くまい。 それに、他ならぬクラスメイトの手助けになるというのであれば、こんな私でも少しは 頑張ってみようという気になるというものだ。 もっとも取材対象は私一人というわけではないのだが・・・。 <ガラリ> そんなことを考えていたら教室の扉が開き、もう一人の取材対象が入ってきた。 3−A出席番号21番、天文部の那波千鶴さんだ。 〜続く〜
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魔法先生ネギま!に登場するキャラクターの誕生日お祝い企画として 昨年は誕生日にお祝い記事を作成していました。 今年は少々趣向を変えて誕生日をお祝いしたいと思います。 題して、 というわけでその名の通り、ネギま!の自作小説を毎月一本づつ 掲載していきます。 登場人物は各月に誕生日を迎えるクラスメイト達です。 すなわち1月は、 出席番号3番 朝倉 和美 出席番号15番 桜咲 刹那 出席番号21番 那波 千鶴 そしてゲストとしてオリジナルキャラクターの 2年B組 越前 亜由美 にも登場していただいております。 越前さんの命名にはブログ「〜京都と関西呪術協会の真実〜」の 水鏡先生にご協力いただきました。 水鏡先生、ありがとうございます(^o^)/♪ さてそれでは一月誕生日お祝い作品 「光る風」 を掲載いたします。 全6回の大作(!?)となりました。 結構な長文なので、どうぞお時間のあります時にお読みいただけますと幸いです。 |





