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フィッシャーディスカウのシューベルト歌曲全集が今日届いた。学生の頃からその存在は知っていたが、こんなものを一体誰が買うのだろう?と思っていた。まさか、音楽ファンに過ぎない自分が買うことになるとは!CD21枚組、こんなに膨大なセットを買うのも初めてだ。人生わからないものだと、感慨深い。試しに「冬の夕べ」を聴いてそのやさしい心に涙が出そうになった。「愛のたより」、「鳩の使い」と聴いて今日はお開き。1960,70年代の録音だが全く遜色ないと思う。私の暗算では全463曲。この中から果たしていくつ宝が見つかるか、見当もつかない。大学1年の長男に「これが遺産だ」と手渡すそぶりをしたら、「いらね」と言われた。 |
シューベルト
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絵 山下清 |
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1828年9月中に、変ロ長調ソナタD960などと同時に完成されている。いずれも最高傑作だが、個人的には現在、このイ長調ソナタが全ソナタ中一番好きだ。ここでシューベルトは、ベートーヴェンを超えようと明白に意図していたと思う。第1楽章はまるで絶景を見るように力強く開始される。大自然を散策するような天衣無縫で澄み切った境地。川の流れ。途中何度も現れる、大蛇が這いずり回るような不気味な低音の音型。中間部では小鳥の歌のように愛らしいメロディが、いつのまにか暗く悲しいメロディにすり替わってしまう。この即興性と生命力には驚嘆する。第4楽章ロンドは、ベートーヴェンの作品31番の1の終楽章が原型といわれるが、20歳時に作曲したイ短調ソナタD537の第2楽章の主題を再使用したものでもある。しかし、わずか10年位でここまで成長できるのかと唖然とする。実に豊かであたたかく、巨大な音楽に変身しているのだ。20歳でももちろん天才なのだが、この楽章については幼稚園生と老人ほど差がある。やはり前人未到の脳だからこそ成し得たのだろう。ルプーや内田光子など名盤は多いと思うが、まだ本命といえるものは見つからずにいる。 |
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前作までのピアノ・ソナタからこの作品へは、驚異的な飛躍がある。この1826年から創作の頂点をなすような、神がかり的な完成度の作品を連発するようになる。(直前の同年6月に10日間で!作曲された最後の弦楽四重奏曲D887も然り。こちらもト長調。)このソナタの第1楽章には、瞑想性、求心性、凛とした格がある。まるで天国への誘いのような・・・聴く度に、これ以上美しい音楽は不可能だと思ってしまう。個人的な感覚で言うと、本当の幸いを求めるジョバン二の物語「銀河鉄道の夜」を連想する。第4楽章は単純なようで、実に百花繚乱のごとく目まぐるしく展開する。この音響のマジックは比類がなく、私は決して飽きることがない。CDでは内田光子をよく聴く。ただし第4楽章は,ツェヒリンの即興的で自在なテンポの演奏を好む。ブレンデルの超元気な実況録音(1998年)もおもしろい。 |
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1825年4月作曲。この第1楽章は聴けば聴くほど滋味が感じられ大好きである。長すぎるという批判もあるが、私はこだわらない。月夜の下で瞑想しているような孤独感、しかもこれは暗くない。随所にシューベルト独特の心の声が散りばめられている。 |




