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皆さん、旅行中「ステーションホテル」に泊まったことあります?
ほら、素泊まりで、料金も「愛嬌で支払う」って。
そう、駅の待合室で、一晩寝かせてもらうって、いわゆる「駅寝」ってヤツだよ。
(ニャンだ、貧乏旅行者が、駅で寝てるだけニャ)
そんな、直接言ったら、情緒もなにも無いじゃないか。
(じっさい、そうじゃニャイの?)
(人が見たら、「汚い」以外の何者でもないニャ)
ウルセーなあ、仮にも、旅行だよ?しかも、チャリンコ旅行。
かっこよく言って「ツーリング」ってやつだ!
(何言ってるニャ、単なる「野良犬」の移動だニャ)
意地悪ドラめ・・・。っと「野良犬」といえば、こんなことがあったよ。
(なんニャ?)
えっと、大学3回生の夏のツーリングの時にね。(関西では学年を、「回生」という)
(フムフム)
塩尻から、京都の下宿へ向かっていて、
岐阜を過ぎたあたりで、日が暮れちまっただ。
(塩尻から、岐阜?結構な距離走ったニャ)
前に進む意外に、特にすることも無いんで・・・
で、あたりは田園地帯になっていて、農家や、商店がポツンポツンとあるだけでサ
(そりゃあ、寝るところに困るニャ?)
おうよ、ウロウロしていると、国鉄の駅(オヤジぃ、ホントに頭が古いニャ)が見えたから、
そこの、待合室に泊めてもらうことにしたんだ。
(なんて、駅ニャ?)
垂井って名前だったよ。
丁度、関が原の峠道の、始まりあたりかな?
(古い街道町ニャ、で駅員さん、泊めてくれたの?)
うん、見るからに古めかしい駅の作りでね、人がほとんど居ないんだ。
で、始発電車が来る前に、起きててくれれば良いって。
(駅員さん、親切だニャ)
そうなんだよ、しかも、その駅員さん、
近くの犬に、餌を上げたり、遊んでやったりして、
ホントに気の良い感じだったんだ。
(へえ、のんびりしてるニャ、田舎だと、人の気持ちも優しそうニャ)
そーだよねえ。で、深夜になって、最終電車が走り去った後、
こちらは、待合室で、就寝って運びにするんだけど・・・
(なんか、問題でも?)
それが、さっき駅員さんが面倒見てた犬。
どうも、「野良犬」だったみたいで、待合室に入って来るんだよ。
しかも、二匹も。
(オイラだったら、犬が怖くて、困っちゃうニャ)
まあ、ワッチは、犬が嫌いじゃないから、無視して横になると、
なんと、二匹の犬が、両側から挟むようにして、体を寄せてくるじゃない!
(ニャ、ニャンだあ?)
さすがに、農村の夜は夏でも寒いのか、ワッチのぬくもりを求めて寄って来た・・・
(違うニャ。真夏のサイクルツーリストは汗かくニャ)
うん。
(オマケに、風呂も入って無いニャ)
うん。
(きっと、においで「野良犬仲間」と勘違いしたニャ)
確かにワッチも違和感は無かったなあ。
(でしょう?オヤジの野良犬ツーリングニャ)
ひどい言い方だなあ、ま、言われてもしょうがないかな。その通りだったから。
で、結局、朝まで3匹は、体を寄せ合って、眠ったんだよ。
おかげで、すごく暖かかったんだよ。
(それは、良かったニャ、オヤジぃ)うん、ホントに。
さて、その次の朝。日の光で目を覚まし、三匹はもぞもぞ起き出しました。
お客さんが、集まる前に、とっととスタートってことで、
顔を洗うのもそこそこにして、サドルにまたがって、走り出すと・・・
一晩、一緒に寝た、野良犬が一匹、付いて来るんだよ。
(ん?やはり、オヤジを同類と思ったかニャ?)
しゃあないから、自転車を降りて、犬をくるっと反対に向けて
「帰りんしゃい」って、オシリを押すんだ。
で、ワッチが再び自転車に乗って少し走り出すと、
やっぱり、付いてくる。
(オヤジも、好かれたもんだニャ)野良犬に好かれてもねえ。
町外れまで、こんなことを繰り返し、幹線道に入ったら、
こっちは自転車のスピードで、振り切れると考えたのが甘かった。
(なになに?オヤジの自転車は犬より遅かったニャ?)
いやあ、そんなことは、無いはず・・だったんだけど。
そこは、関が原峠の登り道だったんだよ。
(あっちゃー、そりゃ、スピード出せないニャ)
オマケに、駅寝の影響か、峠の登りの走りは、よたよたで、
ワッチは、野良犬を引き連れて(る訳ではないが)ずっと走っていたんだよ。
(オイラには、そのみすぼらしいオヤジの姿が見えるようだニャ)
うるさいっ、それより本当に困ったよ。その時は。
何キロも、何キロも、ずっと離れないで付いて来るんだもん。
どうしよーってね。
(そのころ、オヤジは、下宿生だったニャ?)
(下宿で犬を飼うわけにも行かないニャ)
そうなんだよ、気になって気になって、走りを楽しむどころじゃ、無かったんだよ。
(ま、犬ぐらいにしか好かれないよね、オヤジは)
ついに、関が原の峠まで一緒だったんだけど、
峠のくだりは、さすがに、自転車のスピードについていけなくて、
(その、野良犬は、引き離されちゃったニャ?)
スピードの上がったワッチの自転車を、全力で追いかけ、
それでも、引き離されていくときの、野良犬の顔といったら・・・
(きっと、泣いてたニャ、その野良犬。)
いまでも、思い出すと、心が痛むよ。
(オヤジぃ、人間は「旅は道連れ、世は情け」って言うけどニャ)
(生き物は、みんなそういうものニャンだよ)
うんうん、わかったよ(グスン)
(生き物は、皆、兄弟、家族ニャンだから・・・)
なに?ドラ。
(これからマックに連れて行って、ポテトを食わせてくれても良いんじゃないかニャア?)
調子に乗るなっ!
しみず
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