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実は今回、エリア・カザン監督の54年の名作 『波止場』 を書こうと思ったんですが、ちょっとこの監督自身の事をメインで書くことにしてみました。 先ごろ行なわれた第79回アカデミー賞において、作品賞、監督賞ほかを受賞した 『ディパーテッド』 で念願のオスカーを獲得したマーティン・スコセッシなんですが、この監督、幾度ものノミネートの末、本番では落選していて、「もう一生オスカーは受賞できないだろう」とまで言われていたのはご存知でしょう。 自分もマーティン・スコッセッシの受賞は厳しいだろうと思っていた一人なんですが・・・。 その理由は少し過去に遡りますが、1998年度のアカデミー賞で【名誉賞】を受賞したエリア・カザン監督の受賞に尽力したからなんです。・・・といっても、これが本当の理由というんじゃなくて、あくまで有力とされてる説ですが。 エリア・カザンと言えば、『紳士協定』 ('47)、『欲望という名の電車』 ('51)、『波止場』 ('54)、『エデンの東』 ('54) などで知られる巨匠監督ですが、マッカーシズム (いわゆる "赤狩り") が映画界にも吹き荒れた1952年の時、多くの映画人が証言を拒否する中において、エリア・カザンは映画仲間の共産党員だったとされている8名の名前を当局に密告しました。 そして、その密告された映画人は映画界を追放。 エリア・カザンのその行為は同じ映画人にとって【裏切り者】という汚名をもって、現在まで延々と影響力を引きずることとなります。 そのカザン監督の名誉を回復しようと「名誉賞」に尽力したのがマーティン・スコセッシであり、その授賞式ではロバート・デ・ニーロらと共にエリア・カザン監督と抱き合う姿が印象的に残っていました。 しかし、その会場に居合わせた何人かの映画人たちは非難の目でカザン監督を睨みつけます。 記憶にある中継の映像では、エド・ハリスやニック・ノルティらの "しかめっ面" が印象的でした。 またリチャード・ドレイファスは声明まで出してエリア・カザン監督を非難しています。 赤狩りの事件以後、ハリウッドではエリア・カザンは、【許されざる者】であり【裏切り者】なんです。 そして52年のその事件以後、エリア・カザン監督が "魂の叫び" とも言える作品を撮りました。 それが54年製作の 『波止場』 です。 この作品はマーロン・ブランド主演の名作で、その年のアカデミー賞では作品、主演賞を始め8部門でオスカーを獲得。 今やもう映画史に輝く名作です。 ストーリーは、マーロン・ブランド演じるボクサー崩れの沖仲士が、仲間であったその港を牛耳るギャングのボスを向こうに回して、検察側に密告し自己の存在を賭けて戦う姿を描いた骨太のドラマです。 ここでエリア・カザンが描きたかったのは、まさに自己の叫びなんですね。 当局に密告したことで【裏切り者】扱いされたカザン監督が、その言い分を映画で訴えた感のある作品です。 映画を撮り続けるためには仲間を売るしかなかった?・・・芸術家でもあるカザン監督にとっては、まさに究極の選択に等しい事だったと感じます。 自分が思うには、それが良いことか? 悪いことか? ・・・どっちにせよ時代が悪かった、としか言いようがありません。 エリア・カザン監督は2003年に死去されていますが、スコッセッシら信奉者にとっては監督が生きている間にその名誉を回復させたかったんでしょう。・・・しかし少なくともこれからも多くの映画人の間では【裏切り者】の名前で語り継がれてゆくことでしょう。 今回オスカーを獲得したマーティン・スコッセッシですが、その受賞でハリウッドの映画人の考えも変わりつつある時かな? とも感じ取れます。 ・・・エリア・カザン監督の映画は今でも多くの人に愛され支持されています。 その人たちの中では、その名誉はこれからも永遠に変わることはないでしょう。 ともかくマーロン・ブランドの演技は隙が無い! これぞ役者でしょう〜。 今の時代、こういう俳優さんは少ないと思います。 【波止場】 ON THE WATERFRONT 1954
監督 エリア・カザン 原作・脚本 バッド・シュールバーグ 製作 サム・スピーゲル 出演 マーロン・ブランド / エヴァ・マリー・セイント / リー・J・コップ / ロッド・スタイガー 他 |

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「赤狩り」は、『グッドナイト&グッドラック』という映画で、知り得ることができました〜。 「スコセッシ監督の尽力」は知らなかったですね〜。アカデミー、いろいろあるんすねぇ。。 ^^;
2007/5/1(火) 午前 0:20
>サムソンさん。赤狩りはいろんな映画で取り上げられてますよ〜。また機会があれば探して観てくださいなぁ〜〜。(・ω・)bグッ ほんま「賞」というのも、時には罪なもんですわぁ〜〜。(^o^;
2007/5/1(火) 午前 0:25
リアルでは「波止場」はチョー強烈だったんだろうな(−v−)
[ esu**i123 ]
2007/5/1(火) 午前 7:56
たしかニック・ノルティら数人はスタンディング・オベーションしてなかったですね。スコセッシの尽力は知りませんでした。赤狩りの時代に信念を貫くことはかなり厳しいことだったのでしょうが、何十年経って名誉賞を与えたハリウッド。芸術的貢献と信条は別とは言う建前と本音が交錯した複雑な授賞式でしたね。
2007/5/1(火) 午前 8:10
>esupaiさん。荒々しい男たちの職場ですからねぇ。(・ω・)bグッ
2007/5/1(火) 午後 7:16
>neponさん。う〜ん、仲間を裏切ったという人たちの気持ちはじゅうぶん分かるんですよ〜。アカデミー会員のなかにもそういう意見の方も多数居るでしょうけどね・・・「賞」とは何なのか? 今でも考えてしまいます。(/ω\)
2007/5/1(火) 午後 7:19
名誉賞を授与されたアカデミー賞を当時実際に見ましたが、異様な光景でした。私には、プレゼンターとなったデ・ニーロやスコセッシ自身も複雑な表情をしていたので、ある意味迷惑な役回りをさせられたのかと思っていました。エド・ハリス&エイミー・マディガン夫婦が拍手が鳴る中で腕組みをして睨みつけていたのが印象的でしたね。おっしゃるとおり「時代が悪かった」としか片付けようがない事件だったのでしょうね。
2007/5/2(水) 午後 10:51
>・・・どっちにせよ時代が悪かった、としか言いようがありません。 私もそう思います。時代に翻弄された人物のひとりですよね。なんともしょっぱいエピソードですね。以前、エリア・カザンに触れた記事、TBさせていただきますねっ。
[ 髭ダルマLOVE ]
2007/5/4(金) 午後 10:44
>Fummyさん。おぉ、あの中継を観てましたかァ。そうですね、異様という言葉がピッタリですよねぇ。スコッセッシが望んでた賞だったんですよ、これは。でもなんか厳しい世の中を痛感させられました。・・・時代、でしょうね、やっぱり。(/ω\)
2007/5/7(月) 午前 1:04
>髭ダルマさん。おぉ、TBありがとうございます。(・ω・)bグッ そうですよね、あの時代の事を、誰が攻めることが出来るでしょうかァ。・・・時代のせいですね、やっぱり。
2007/5/7(月) 午前 1:05
「波止場」は赤狩り事件の後の作品なんですね。
事件のことを知ってから鑑賞すると違った視点で観れそうですね。
今週末にでも観てみますね。
TBありがと〜「波止場」鑑賞後TBさせてもらいにきます。
2008/2/13(水) 午前 1:09
>くみょんさん。そうなんですよ、赤狩り後の作品です。
そういう視点で観たら、またいっそう興味深い映画ですよ、これは。
またTBお待ちしております〜。(・ω・)bグッ
2008/2/13(水) 午前 1:42
「波止場」やっと見ました。
やはり事件の後だということを知って見るといろんな思いが錯綜しました。
TBさせてもらいますね。
2008/3/10(月) 午前 0:13
>くみょんさん。でしょ〜、この事件以後の作品だと聞いたら、やっぱ感慨が出てきますな。
TBどうも!(・ω・)bグッ
2008/3/10(月) 午前 1:06
このエピソードはKaz.さんの記事を読んで、なるほどなぁ〜と思ったのに、
映画を観ているときはすっかり飛んじゃってました(;・∀・)
いやぁ〜でも、改めて思いだしながら記事をじっくり読ませてもらって、
またなるほどなぁ〜と思った次第です(´▽`*)アハハ
2009/5/8(金) 午後 8:52
>miyuぽん。おぉ、シブいの観なすったね!(・ω・)bグッ
あはは〜〜、飛んじゃってたのかァ〜。
でも改めて思うと、やっぱその監督の気持ちが現れてるよね、これは〜〜。
んん、名作ですな!
2009/5/8(金) 午後 10:14
おぉ、なるほど〜。 密告しなくてはいけない立場というものを、マーロン・ブランドに置き換えて映画にした、という感じだったんですね〜。 たしかに、これは興味深いすね〜。
エド・ハリス、ニック・ノルティの態度は覚えてますね〜。
鳩バスとはまた違うんですがTB、、お願いします・・!
2010/6/22(火) 午前 5:05
>サムソンさん。いや〜これはエリア・カザンの叫びの一作でしょうなぁ。
んん、あのシーンは自分も印象深いですな。
おぉ、鳩バスとは違うんですね!TBどうも!(´▽`*)アハハ
2010/6/22(火) 午後 6:44
凄ーい。
って、前にもコメントさせてもらってますが、内容忘れててすみません。
あらためて・・kaz.さんにはこういう記事をもっと書いてほしい〜。
なんとなくスコセッシはアカデミーに頼まれてプレゼンターを引き受けたのかと解釈したんですけど、カザン監督の信奉者であり、スコセッシの尽力があっての名誉賞だったんですね。
カザン監督としては大きな意味を持つ受賞だったでしょうね。
そんな背景を考えながら『波止場』観てみます。
内容の浅いお恥ずかしい記事ですがTBさせてもらいますね。
2014/4/6(日) 午前 2:05
pu-koさん。
いやいや、もう7年も前の記事だから、そりゃ忘れて当然。(笑)
カザン監督も波乱万丈ですよね、ほんと。
「波止場」も良い映画ですので、ぜひ観賞してくださいな。
TBどうもですっ。
2014/4/6(日) 午後 6:55