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殯(もがり)の森

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『殯(もがり)の森』 2007 日本

先日閉幕した、第60回カンヌ国際映画祭でパルムドール賞に次ぐ最高賞にあたる、グランプリ (審査員特別賞) を受賞した河瀬直美監督による日本映画の作品です。

日本時間28日、なんと受賞した次の日の29日の夜 (さきほど)、日本でも劇場公開前だと言うのにNHKのBSハイビジョンが本作を放映したので早速鑑賞してみました。

【殯の森】 日本 / フランス 

監督・製作・脚本 河瀬直美     撮影 中野英世     音楽 茂野雅道
出演 うだしげき / 尾野真千子 / 渡辺真起子 / ますだかなこ 他

奈良県東部の山間地。自然豊かなこの里に、旧家を改装したグループホームがある。 ここでは軽度の認知症を患った人たちが、介護スタッフとともに共同生活をしている。その中の一人、しげき (うだしげき) は、33年前に妻・真子 (ますだかなこ) を亡くしてからずっと、彼女との日々を心の奥にしまい込み、仕事に人生を捧げ生きていた。

そのグループホームへ新しく介護福祉士としてやってきた真千子 (尾野真千子) もまた心を閉ざして生きていた。子どもを亡くしたことがきっかけで夫 (斉藤陽一郎) との別れを余儀なくされたのだった・・・。
    (オフィシャルサイト参照)




自分はこの河瀬直美監督の作品は観るのが初めてなんですが、この監督は1997年のカンヌ国際映画祭においても、『萌の朱雀』 で新人監督賞にあたる "カメラ・ドール" を史上最年少で日本人として初めて受賞してたんですよねぇ。

主演している役者さん (うだしげき) も、この監督の映画を支援してきた方だそうで (もちろん俳優さんも出てます) 役名もそのまま実名で演じています。 グループホームのシーンで出てくるお年寄りの方も素人さんを起用。 手持ちカメラ撮影なので最初はドキュメント風に観える事もしばしばでした。 台詞回しも良い意味で素人っぽさを残してるので余計にそう感じます。


【殯(もがり)】 とは、敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間の事を言います。
また、その場所の事。 語源には 「喪あがり」、喪があける、の意があると言います。

映画の舞台はこの監督の故郷であり、活動拠点を置くという奈良市郊外の山里。
映画全編、緑の風景。 山奥の森の中など、森林浴効果はバッチリですね。

監督自身の介護経験からヒントを得た作品だという事ですが、この情感溢れる数々の映像は息を呑みます。
"人の命"、"死を見つめる"、"そして生きる" という事柄がテーマの物語だと思います。
監督自身の観念的な想いがギッシリ詰まっていますね。

子供を亡くし、それがキッカケで夫とも不仲になり別れたばかりの真千子は心を閉ざすようになりました。
そんな中、介護を担当するしげきとの交流で、次第に自分の生き方を取り戻し始めます。
ある日、しげきの妻の墓参りに一緒に行く事になりますが、車を田んぼに脱輪したことから事態はとんでもない方向に・・・。

映画の中盤からはこの2人だけの出演です。
山の奥深くに迷い込んだ2人。 しげきの自分勝手な行動に戸惑い慌てふためく真千子でしたが、一晩山の中で一緒に過ごした事から、真千子の心としげきの想いは通じ合ってゆきます。 ラスト近く、しげきが妻の墓を見つけ土を一心不乱に掘り起こすシーンは、この映画のクライマックスとも言えるでしょう。

認知症と言えども、感情を無くしたわけではない。 33年前に死んだ妻への想いは、死ぬまでしげきの心の中で生き続ける訳なんですね。 ・・・そのしげきの様子を見て、涙する真千子。 彼女自身も子供への想いと重なり、痛切なまでに感情が高ぶるところです。

大きな木を愛しむかのように抱きつきながら喜ぶしげき。 妻の幻影とダンスを踊るしげき
どんな境遇、どんな状態になろうとも人それぞれに尊厳はある。・・・数々の印象的なシーンを見せながら、映画は終わりを迎えます。


カンヌでは審査委員長のスティーヴン・フリアーズ監督が、この映画をいたく気に入ったと聞きます。
いろんな日本を見せる作品があるでしょうが、この映画の 「日本」 は、今までとは違った顔を見せる、数少ない作品の一本だと感じました。

商業映画にはなりにくい一作ですが (監督自身、商業映画にしようとは思ってないようです)、こういう監督の才能をチョイスするのも、またカンヌらしい。 ・・・観た方なりに何かを感じ取れば、それがこの映画の意義あるところだと思います。(・ω・)bグッ

              http://www.geocities.jp/jkz203/blog4/mogari2.jpg

この記事に

  • お〜。 見応えはかなりありそうですね。 娯楽性のないドラマは、ときに無性に観たくなります〜。
    ミタイミタイ〜ッ! ^^;

    サムソン

    2007/5/30(水) 午後 10:35

    返信する
  • へぇ〜もう放映されていたんですね。凄いぞ!NHK!(笑)
    しかし、こういうテーマは、観る人それぞれの年代、また観る時の年齢などで感じるものが変わってきそう。
    再放送望む!って感じです。(^^)

    Fummy

    2007/5/30(水) 午後 11:04

    返信する
  • 顔アイコン

    介護という言葉で興味を引かれます。もっともっと考えなくてはならないテーマを映画で取り上げてくれるのはいいことです。シビアな目線でみるかもしれませんが、是非観賞したいですね。

    にげら

    2007/5/30(水) 午後 11:19

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    放送されたんですか!わぁ〜見たかった…。
    『殯』ってそういう意味があるんですか…。なんだか見応えのある作品そうですね。

    yuki

    2007/5/31(木) 午前 0:07

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    >くるみさん。TV放映は見逃しましたかァ〜。
    これ、劇場公開の規模がかなり小さそうですねぇ。 上映館がかなり限れてそうだから、どうなんでしょ?(^o^; まぁ、カンヌ好みの一作ですかね。

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:09

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    >miyuぽん。そうらしいね、自分はこの監督の作品はこれが初めてだったんだけど、かこの作品も奈良が舞台だそうな。(^o^; おぉ〜〜、会社の上司さんが同じ町内だった!? そうかぁ〜、気さくな方なんだね〜、でも今は東京なんだ〜。忙しいんだろうね、ヤッパ。(^o^;

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:11

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    >Choroさん。そうですよね、ある程度の年齢が行ってからでないと、この映画は理解できない感じに仕上がってますね。(^o^; 若い人だとかなり退屈に感じるんじゃ? 自分もカンヌで賞をとった作品だから観たようなもんだけどね。(^o^; TBどうも!

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:14

    返信する
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    >ぽえこさん。う〜ん、たしかに日本の独特の精神性、と言うものを持ってますよね。(・ω・)bグッ こういう作品を世界の人の目に触れる機会が出来たという事は日本人として喜ぶべき事なんでしょう。 またそれに「賞」をプレゼントするカンヌも独特のモンですなぁ〜〜。(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:17

    返信する
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    >サムソンさん。う〜ん娯楽性は皆無ですね、これは。(^o^;
    でもたまに観たくなるよね、こういう映画は。 機会があったらどうぞ!(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:18

    返信する
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    >Fummyさん。そそ、昨夜放映されたんですよ〜。なんでもNHKは製作段階から関わっていたので、そういう契約だったんでしょうね。再放送もそのうちあるかもよ!(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:20

    返信する
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    >にげらさん。この監督自身が介護経験をお持ちだったそうですね。
    シビアな目線で観た感想も聞きたいものです。(・ω・)bグッ 機会があれば観てや!

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:21

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    >Yukiさん。そそ、こういう意味だったそうです。自分も聞いた事がない言葉でしたが。(^o^; 見応え、と言うか・・・何と言うか。(^o^;機会があればご覧下さい。(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午前 2:23

    返信する
  • 友達のおばあちゃん情報で、放映されたと聞いたんだすが、ちょっと疑ってしまってました・・・(/・。\)おばあちゃんごめんなさいって感じです^^;
    そうそう、この男性は支援者で素人さんなんですってね・・・
    この記事読んだら、ますます観たくなりました(^-^)

    Yuri

    2007/5/31(木) 午後 4:52

    返信する
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    もう観たんですか〜〜。イイですねwwこれは是非観たい1本です。茶畑が美しくて是非映画館で観てみたいと思ってます。ダンスのシーンとても気になっていたのですが、奥さんの幻とのダンスだったんですか、、、きいただけでウルってきてしまいそうです。。。

    カリメロビッケ

    2007/5/31(木) 午後 6:54

    返信する
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    >ゆりさん。あはは〜、実際放映されてたんですよ〜。
    素人さんが一気に世界的な舞台で活躍ですよねぇ。またTVでも放映があるんじゃないかな? NHKだったらそうするでしょうが・・・。
    また機会があったらご覧下さい!(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午後 7:08

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    >かりめろさん。そうなんですよ〜、放映があったから。(^o^;
    美しい風景でしたよ、さすがハイヴィジョンで放映するだけの事はありますねぇ。印象的なシーンが多々ありました。機会があったらご覧下さい!(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/5/31(木) 午後 7:10

    返信する
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    こんにちは。
    大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
    映画「殯の森」もとりあげましたた。
    よかったら、お寄りください。
    http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611

    [ kemukemu ]

    2007/12/1(土) 午後 3:39

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    >どうも、また寄らせてもらいますね。(・ω・)bグッ

    Kaz.Log

    2007/12/1(土) 午後 7:08

    返信する
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    ありがとうございました。私の方の記事はマイナス意見が多いので恐縮ですけど、TBお返しさせていただきますね ^^;
    でも、タイムリーに話題作をおさえていらっしゃるところはさすがKazさんと思いました。

    ヒッチさん

    2008/8/27(水) 午前 5:54

    返信する
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    >ヒッチさん。いやいや、たまたま観れただけです〜。(^o^;
    でもこの作品はマイナス意見があっても当然だと思います。
    人それぞれの意見があるから面白いんですよね。(・ω・)bグッ
    TBどうも!

    Kaz.Log

    2008/8/27(水) 午後 7:08

    返信する

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