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【ブラック・ブレッド】 PA NEGRE スペイン・フランス 2010
監督・脚本:アグスティ・ビリャロンガ 原作:エミリ・テシドール 出演:フランセスク・コロメール / マリナ・コマス / セルジ・ロペス 他
ゴヤ賞 (スペイン・アカデミー賞) 9部門受賞 ガウディ賞 13部門受賞 サン・セバスチャン国際映画祭 主演女優賞 他
監督はスペインの俊英、アグスティー・ビジャロンガ。
脚本も担当した監督が描いたのは、エミリ・テシドール原作の映画化と言うコトですが。
舞台は1940年代、内戦の傷跡が色濃く残るスペインのカタルーニャ
11歳の少年アンドレウ (フランセスク・コロメール) は、偶然に馬車ごと崖から転落して息絶える親子の姿を目撃するんですよね。
警察は殺人事件と断定して、アンドレウの父親ファリオルに疑いの目を向けます。
父親のファリオルは左派運動家として、馬車で死んだ男と活動を共にしていた事から身の危険を感じ、姿を隠します。
安全のために祖母の家へ引き取られたアンドレウは、そこで大人たちがひた隠しにする嘘に満ちた現実を目の当たりにする事になるんですが。
冒頭からスリラー感いっぱいに、馬車を襲う男の殺人シーン。
崖から落とした馬車から投げ出された少年が、息も絶え絶えに発した言葉は、「ピトルリウア」。
アンドレウ少年はこの言葉を父と警察にも告げますが、謎は残るばかり。
と、まぁこんな感じで、サスペンス・ミステリー調の物語かと思いきや・・・。
スペイン内戦 (1936〜1939) 後の話だけに、反乱軍勝利で終わった後の傷跡が強調されてますね。
(この内戦後、フランコ独裁政権が樹立されます)
特に、スペインを二分した人間関係が大きな背景となって話は展開されていました。
ここに描かれてるのは少年アンドレウが、欺瞞に満ちた大人の世界でどう生き抜いて行くか。
または純真無垢だった少年の心が、いかにして壊れて行くかを描いた話でありました。
スリラーや謎解きと言うより、少年のダーク・ヒューマンドラマと言った方が適当かも。
アンドレウと同じく、祖母の家に身を寄せてる従妹のヌリア (マリナ・コマス) は事故で左手を失った少女。
ヌリアは学校で教師と関係を持っており、周りから娼婦の家系であると罵られていました。
そのヌリアとアンドレウとの性的描写や、当時のホモセクシュアルに対する描写など、けっこうタブーな展開も盛り込んでいて、少年を主人公にした話では当たり前の "希望や救い" が一切排除されているんですよね。
それに、禁止用語 (差別用語) も使っちゃってますよ。
父親ファリオルが抱く理想や責任感などは、この世界では通用する術もないと言うことをイヤと言うほど突きつけられる話ではあります。 中身が濃いのでひとくちに語りつくせませんが、先に書いたような希望や純粋さを求めて観ると大間違いな作品ですね。
"スペインのディヴィッド・リンチ" と呼ばれるアグスティー・ビジャロンガ監督ならではだろうなぁ、これ。
個人的には見応えありましたが、これは個々の好みによる作品かも。
オーディションでアンドレウ役を射止めたフランセスク・コロメール君の演技は力がありますよ。
ヌリア役のマリナ・コマスも同様。
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