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書庫クラシック映画

1960年代より以前に製作された映画を一応この書庫に入れてあります。
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失われた週末

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ビリー・ワイルダー監督、『失われた週末』 1945

アルコール依存症、いわゆるアル中の苦悩と葛藤を描いて、その年のアカデミー賞で作品・監督・脚色・主演男優賞を獲得。 カンヌではグランプリと主演男優賞。 ほか、NY批評家協会賞、ゴールデングローブ賞などでも主要賞を獲得している、名匠ビリー・ワイルダー監督の作品です。

【The Lost Weekend】 アメリカ 1945

監督・脚本 ビリー・ワイルダー  原作 チャールズ・R・ジャクソン
脚本 チャールズ・ブラケット    撮影 ジョン・F・サイツ   音楽 ミクロス・ローザ
出演 レイ・ミランド / ジェーン・ワイマン / フィリップ・テリー ほか



以前、『The 25 Most Dangerous Movies / 最もアブない映画』 と言う記事をアップしてるんですが、この映画もその記事に名を連ねていた作品です。

30過ぎの売れない作家、ドン・バーナム (レイ・ミランド) は重度のアルコール依存症。
献身的に尽くしてくれる恋人ヘレン (ジェーン・ワイマン) と兄のウィック (フィリップ・テリー) が居るにも関わらず、隙を見つけて一杯あおる始末。

週末を、兄と過ごす保養地に出かけるはずだったバーナムでしたが、何かと言い訳を見つけ酒を飲もうとします。
なじみのバーでも彼の酒好きは知られていて、飲むのを諌められる事もしばしば。
いよいよ酒代が無くなったバーナムは、作家の命であるタイプライターを質に入れて金を都合しようとします・・・。

アル中を演じたレイ・ミランドが熱演を見せます。
質屋がどこもかしこも閉店していて、酒代を都合できなくなり街をさまよう姿なんぞは、もう迫真の演技。
この役の為に体重を落とし、プライベートでも酒びたりで過ごしたと言われるほど、その鬼気迫る演技は凄い。

でもこういうシリアスなテーマにも関わらず、そこはビリー・ワイルダー監督
バーナムとヘレンが出会うオペラの劇場。 コートを取り間違えたことで仲が結ばれるというロマンチックな演出と、ラストには希望が窺える作りで締めています。

しかし話の内容は悲惨です。 酒代を都合するために、レストランで隣の席の婦人のバッグを盗み、果てはバーに駆け込み、「一杯でいいからおごってくれ」と泣きこむ始末。
映画中盤で、依存症患者が収容される病棟などのシーンなどは、ホントに希望も無くなるほど悲惨ですね。

いよいよ自分に嫌気がさしたバーナムは恋人のコートを持ち出し、質に入れた自分の銃と交換して貰いうけます。
そして遺書を書いて自殺の道を選ぶのですが・・・。

娯楽的な要素は感じられない深刻なテーマなのですが、そこはさすがビリー・ワイルダー監督。
一気に見せてしまう卓越した映画作りはさすがです。 小道具にも気を配る監督らしく、窓の外に吊るし隠したボトルなどはユニーク。

主人公の心理的葛藤を描く、ニューロティック (異常心理) 映画 のハシリと言われる作品ですが、これ以後、アルコール依存症の映画としては、ブレーク・エドワーズ監督『酒とバラの日々』 ('62)、近年ではニコラス・ケイジ主演『リービング・ラスベガス』 ('95) などがありますね。

確かにこの映画は、"アブない映画" でしょう。

                     http://www.geocities.jp/jkz203/blog5/lost2.jpg

自転車泥棒

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『戦火のかなた』、『無防備都市』ロベルト・ロッセリーニと並び、イタリアン・リアリズム (ネオ・レアリズム) の代表的な監督として有名だったヴィリオット・デ・シーカの名作です。

この監督、もともと俳優としても有名でした。 監督作品としては本作の他に、『終着駅』、『ひまわり』 なども有名ですね。

【自転車泥棒】 LADRI DI BICICLETTE 1948 イタリア

監督・製作 ヴィットリオ・デ・シーカ      原作 ルイジ・バルトリーニ
脚本 チェザーレ・ザヴァッティーニ ほか   音楽 アレッサンドロ・チコニーニ
出演 ランベルト・マジョラーニ / エンツォ・スタヨーラ / リアネーラ・カレル / ジーノ・サルタマレンダ

長い失業期間のアントニオは、やっとポスター張りの職を得る。 条件は自転車をもってるという事。
家族を養う為どうしても仕事が必要なアントニオは妻に相談して、質に入れた自転車をどうにか取り戻す。
職を得た嬉しさで、6歳の息子ブルーノを乗せ街を走るアントニオだったが、目を離した隙に自転車を盗まれてしまう。 自転車がなければ職を失うアントニオは途方にくれるのだったが・・・。




最初にイタリアン・リアリズム (ネオ・レアリズム) のことを少し・・・。

当時、ムッソリーニは映画作りを奨励し、ローマ郊外に映画都市チネチッタを作り、大掛かりなセット&スタジオで映画を作っていました。 そして敗戦後、物資の少ない状況の中で映画作りを行なう人たちが居ました。

役者はスターなど起用せず素人同然の人たち、セットも組まずロケのみの撮影、そしてドキュメンタリーチックな雰囲気、ありのままリアルに撮る事で "ネオ・レアリズム" の潮流が生まれました。
しかし50年代に入り、物資も余裕ができ、裕福な時代に入ったことからこの潮流は姿を消してゆきます。
本作はその潮流の中で生まれた秀作。 敗戦後のイタリア・ローマで暮らす親子を描いた映画。

もちろん演じる主要な役者はみんな素人。 敗戦後、数年経ったローマの街の様子をありのまま描いています。

職を求めて職業安定所に群がる男たち、怪しげな男たちが集まる貧民街、質屋に高く積まれたベッドシーツが語る現状、信仰と引き替えに施しを与える教会・・・。 このような状況下、アントニオは息子のブルーを伴って自転車探しに必死になります。

そして貧しいながらも友人達も自転車探しに加わり、その連帯感などを見せます。
同じ敗戦国の日本も似たような状況であったでしょう。 しかし昔の人たちは、こういう連帯感が強い人ばかりではなかったでしょうか?

捨てる神があれば、拾う神もある、とでも言いましょうか。 物質的には貧しい時代だけど、こういう心の豊かさを忘れてはならない時代でもあったのでしょう。

しかし映画はこの親子には厳しい物語です。 ラストになって自転車を盗まれたアントニオは途方に暮れ、やもなくある事をします。・・・そして息子と家路に付くアントニオですが、この親の姿を見て子供は育って行く訳なんですよねぇ。

厳しい映画ですが、悲惨な訳ではありません。 人生の流れの中の物語です。
こうやって人生は続くわけですね。

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狩人の夜

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『ノートルダムの傴僂男』 のカジモド役、『情婦』 の弁護士役など、数多くの作品でその名が知れている英国の名優チャールズ・ロートンが生涯で唯一、監督として撮りあげた傑作カルトです。
まぁ、悪夢の寓話といいましょうか、ダークな雰囲気の漂うスリラー・ファンタジーの名作ですね。

【狩人の夜】 THE NIGHT OF THE HUNTER 1955

監督 チャールズ・ロートン    原作 デイヴィス・グラブ    脚本 ジェームズ・アギー
出演 ロバート・ミッチャム / リリアン・ギッシュ / シェリー・ウィンタース / イヴリン・バーデン ほか

アメリカ南部の田舎町、強盗を企てた男が大金の隠し場所を告げぬまま死刑された。 その男と刑務所で一緒の監獄に入っていたハリー (R・ミッチャム) は出所後、偽の伝道師を装い残された妻子の元に現れる。
ハリーの目的は、男が子供に隠し与えた金だった・・・。


チャールズ・ロートン曰く、「マザーグースの話を悪夢風にアレンジしたものを作りたかった」と言うだけあって、その世界観はまさにダーク・ファンタジー的要素の強い作品です。

なにより、伝道師ハリーを演じるロバート・ミッチャムのキャラクターが秀逸。
両手の指に、LOVEHATE の刺青をし、神の教えを説きつつ平気で殺人を犯してゆく狂気の様は、アメリカ映画歴代の悪役キャラのベストにも選ばれた当たり役。 マーティン・スコセッシ監督の 『ケープ・フィアー』 のオリジナル、『恐怖の岬』('62) のマックス役にも通じる悪役ぶりです。

銀行強盗で死刑になった父親が、捕まる前に幼い兄妹に残した大金。 それを狙って伝道師ハリーは、今は未亡人の身となった兄妹の母親に接近し、まんまと結婚してしまいます。

ここから、伝道師ハリーと兄妹の対決になるわけですが、ハリーから逃げた二人をかくまうクーパー夫人を演じるのが、あの往年の大女優リリアン・ギッシュ。 信心深いクーパー夫人とエセ伝道師ハリーが対峙しながら口ずさむ聖歌、「迷い子よ主を頼れ」のシーンなどは見応えある名シーンとでも言えるんじゃないでしょうか。

全編モノクロですが、寓話の挿絵を思い起こすその映像はダーク・ファンタジーの雰囲気を醸しだす役目をおっています。 多分に宗教色が強い作品ですが、「赤頭巾ちゃんと狼」などの寓話の本質を見事に映像化した傑作スリラーだと思います。(・ω・)bグッ

・・・そそ、『ポセイドン・アドベンチャー』 で見事なスイミングを見せ、みんなを助けて死んでゆく老女を演じた、あのシェリー・ウィンターズも出演しています。

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無防備都市

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戦後のイタリアン・ネオ・レアリズムの象徴、ロベルト・ロッセリーニ監督による "戦争3部作" の第一作目です。

当時、これを観た大女優イングリット・バーグマンは衝撃を受け、ハリウッドを捨ててロベルト・ロッセリーニ監督の元に駆けつけ、不倫の末に結ばれた出来事は有名な話ですねぇ。 そして二人の間に出来た娘が女優イザベラ・ロッセリーニ

それほど当時としては衝撃的な内容ですが、現在において観てもその衝撃は相当なもの。
巨匠監督によるレジスタンス映画の歴史的名作です。


【無防備都市】 ROMA, CITTA, APERTA 1945 イタリア

監督 ロベルト・ロッセリーニ     原作・脚本 セルジオ・アミディ
脚本 フェデリコ・フェリーニ      音楽 レンツォ・ロッセリーニ
出演 アルド・ファブリッツィ / アンナ・マニャーニ / マルチェロ・パリエーロ / マリア・ミーキ ほか
 




若き日のフェデリコ・フェリーニが原作者と共同で脚色を担当してる、この一作。

1942年、ローマを舞台にレジスタンス活動、いわゆる反ファシスト闘争 (パルチザン) の指導者マンフレディら、同志たちの活動を中心に描いた人間ドラマでもある本作ですが、まず観る前に背景となるイタリアにおける当時の戦争事情を知っておいたほうが良い映画です。

第二次大戦勃発時はムッソリーニ率いるファシストに抵抗するレジスタンスがイタリア国内に存在していましたが、ムッソリーニ降伏後は連合国軍からイタリアを死守すると言う名目で進駐した、同盟国ドイツ軍 (ナチス) の支配に抵抗するレジスタンス活動という事になります。

ドイツ軍に協力するイタリア正規軍をも敵に回し、彼らのレジスタンス活動は一般市民の協力も得て展開する訳ですが、この映画ではその活動の悲惨さを描いています。

活動資金調達のために奔走するマンフレディ。 資金調達に中心的な役割を果たすプエトロ神父。
贅沢な暮らしをしたいがため仲間を売る女。 結婚当日にナチスによって連行される花婿を追い、容赦なく撃ち殺される新婦。 少年らで結成するパルチザン。 イタリア軍から脱走しレジスタンス活動に身を投げる男、などなど。

このリアルなまでの描写は、それもそのはず本物のレジスタンスたちの出演による撮影だそうです。
製作が開始されたのは、ローマ解放直後の混乱期。 主要な役どころは役者を起用しましたが、後はほとんど当時レジスタンス活動をしていた素人だそうです。

劣悪な撮影条件も重なって、照明などが自由にならず所々でフィルムが粗雑になっていますが、それが逆にリアルさを醸しだしたとして、"ネオ・レアリズム" と呼ばれる傑作になった次第だと聞きます。

処刑のシーン、拷問などのシーンは現在と比べればショック度も少ないですが、命をかけて自由を取り戻す活動ゆえ、その信念の描写は凄い。 拷問で自白を強要されても、なお自白を拒み死んでゆく姿。

同志の死を目の当たりにしても、信念ゆえ協力を拒む神父。 「死ぬのは難しくない、生きてゆく方が難しい」 と言い残し銃殺刑になる姿・・・この姿に強烈なショックを受けるわけです。

戦争はイヤだ、戦争は良くない・・・言葉で語れば、語りつくせないぐらい承知の事実ですが、この映画は人の心に激しく訴えかける名作中の名作だと思います。

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現金に体を張れ

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ここ何日か連続でクライムムービーづいてますが、昔の犯罪映画においても傑作が数ある中で、本作はあのスタンリー・キューブリック監督の出世作となった傑作クライムムービーなのです〜。

【現金に体を張れ】 THE KILLING 1956

監督・脚本 スタンリー・キューブリック  原作 ライオネル・ホワイト  製作 ジェームズ・B・ハリス
出演 スターリング・ヘイドン / マリー・ウィンザー / ヴィンセント・エドワーズ / コリーン・グレイ他

5年の刑期を終え出所したクレイ(S・ヘイドン)は、婚約者フェイとの新たな生活のため、競馬場の売上金強奪という大仕事を決意する。 仲間を集め綿密な計画を立てたジョニーは計画を実行。
強奪計画は無事成功したかに思えた。 しかし仲間のひとりの妻シェリーが計画を盗み聞きしていたことから事態は思わぬ方向へ進んでいく・・・。




あのクェンティン・タランティーノが本作を観て衝撃を受け、『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』 等で使われた "時間軸の繰り返し" のお手本になった一作だと言われています。

それでお分かりのように、この映画の面白いところは "同時進行で進む出来事を逆行させ、順列を付けて繰り返し見せて行く" 手法なんです。 原作ではごく普通に進行する物語を、キューブリック監督は特殊な手法で映像化し見事な犯罪サスペンス映画に仕上げています。

この時、キューブリックは28歳。 若くして撮りあげた本作は長篇映画第2作目にあたり、これを認められ巨匠監督の道を歩み始めたわけですねぇ〜〜。

モノクロ映像らしく、スタイリッシュな雰囲気と重厚なストーリー展開。
競馬場ではハードボイルド風に強奪計画の見せ場を作り、ラストの飛行場ではドンデン返しを見せたり、当時の映画では独創的とも言える演出でもって一気に最後まで見せてくれる作品です。

現在において "時間軸" を操る映画、『メメント』、『パルプ・フィクション』、『21グラム』 などなど、多数の映画が個性的な作りで頑張っていますが、その手法の大元と言えば、この 『現金に体を張れ』 を思い浮かべるわけです。

非凡な才能の持ち主と言うのは若さなんて関係ないですなぁ〜。(・ω・)bグッ

主役のクレイを演じるのはスターリング・ヘイドン。 ちなみにこの役者さんは、『ゴッドファーザー』 では、イタリア料理店でアル・パチーノ演じるマイケルに撃ち殺されるマクラスキー警部を演じたベテラン俳優です。

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