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1960年代より以前に製作された映画を一応この書庫に入れてあります。
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ピグマリオン

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ご存知オードリー・ヘップバーン主演の名作ミュージカル 『マイ・フェア・レディ』 ('64) で知られるバーナード・ショウ原作の戯曲を、彼自身による脚本で映画化した作品です。 言うなれば、『マイ・フェア・レディ』 の元ネタ映画ですね。

【ピグマリオン】 PYGMALION 1938 イギリス

監督 アンソニー・アスクィス / レスリー・ハワード   製作 ガブリエル・パスカル
原作 ジョージ・バーナード・ショウ     脚本 ジョージ・バーナード・ショウ ほか
出演 レスリー・ハワード / ウェンディ・ヒラー / ウィルフリッド・ローソン ほか


"ピグマリオン" とはギリシャ神話の挿話で、彫刻が趣味の王ピグマリオンが自分の彫った人形ガラティアに恋をし、神に祈ってそれに魂を入れてもらうという話。 もうお分かりのように、この映画では王がヒギンズ教授に、ガラティアが花売り娘のイライザという事になります。

音声学者ヒギンズ教授を演じるのは、あの 『風と共に去りぬ』 のアシュレイ役レスリー・ハワード
アシュレイ役はちょっとばかしヤサ男で弱々しい感じでしたが、ここでは薄情で傲慢なイギリス紳士の教授役。

花売り娘イライザ役を演じるのは、この映画がデビュー作となったウェンディ・ヒラー。 この方、性格俳優として後も活躍しており、『オリエント急行殺人事件』 でロシア公爵夫人なども演じています。

原作のバーナード・ショウは皮肉屋として知られていますが、ヒギンズ教授のイギリス紳士役は慇懃無礼で傲慢、「私以外の者はバカものだ」という感じの、いかにも "イギリス紳士" の皮肉りキャラ。 ギリシャ神話をロンドンの街に置き換えるところなんかも、その皮肉り度が分かりますねぇ。
また、このヒギンズ教授のイメージネタは、あの名探偵シャーロック・ホームズを茶化したキャラだそうです。

しかし、その傲慢なヒギンズ教授のキャラが話を一層面白くしているわけでして、『マイ・フェア・レディ』 のヒギンズ役を努めたレックス・ハリソンより、冷酷かつ傲慢なヒギンズを好演するレスリー・ハワードが印象的です。

イライザ役のウェンディ・ヒラーもオードリー・ヘップバーンと比べれば美しさの点では敵わないものの、変身前と変身後の演技もメリハリが効いていて、女性的魅力に溢れたイライザ像を無難にこなしています。

人の身分など結局のところ "言葉" の違いだけにしかならないのだ。 そう冷笑するバーナード・ショウの顔が浮かんでくるような一作です。 リメイクは華やかなミュージカルに目が奪われがちですが、このオリジナルはバーナード・ショウ一流のシニカルな思いもじゅうぶん伝わってくる面白い一作でした。

1938年度のアカデミー賞では脚色賞を受賞している作品です。・・・納得。(・ω・)bグッ

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居酒屋

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上下2巻におよぶエミール・ゾラの自然主義文学の傑作といわれる小説 『居酒屋』 を、主人公の女ジェルヴェーズの半生のみに絞って映画化。 『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』 などで知られる、名匠ルネ・クレマン監督による名作です。


【居酒屋】 GERVAISE 1956 フランス

監督 ルネ・クレマン    製作 アニー・ドルフマン    原作 エミール・ゾラ
脚本 ジャン・オーランシュ / ピーエル・ボスト        音楽 ジョルジュ・オーリック
出演 マリア・シェル / フランソワ・ペリエ / ジャック・アルダン / アルマン・メストラル 他

19世紀なかばのパリ。 内縁の夫ランチエに裏切られたジェルヴェーズは、実直な屋根職人クポーと結婚。
しかし、生活も安定しかけたその矢先、クポーは屋根から転落する事故で大怪我を負う。
以来、酒浸りとなるクポー。 しかし、クポーの友人グジェからの助けでジェルヴェーズは洗濯屋の店を開く。
相変わらずの酒びたりの夫に愛想を尽かしかけたジェルヴェーズだったが、そんな時グジェが自分に対して恋心を抱いてる事を知る。 優しいグジェにジェルヴェーズの心も傾きかけた矢先、内縁の夫であったランチエが姿を現す・・・。




19世紀パリの裏街を再現したその時代考証は素晴らしく、良い意味で "映画の教科書的作品" だと思います。

自分は原作を読んでないので、小説と比較してどうこうは言えませんが、ほぼ原作どおりに忠実な映画化だそうです。 薄幸の運命を背負った女ジェルヴェーズの半生を描いた作品ですが、ランチエ、クポー、グジェという3人の男の間で苦悩するジェルヴェーズの苦悩が非常に良く表現できた一作だと感じます。

ランチエと別れ、屋根職人のクポーと子連れで結婚したジェルヴェーズですが、夫は事故を機に酒びたりで仕事もしない自堕落な男へと変わってゆきます。 そして女手一人で洗濯屋を切り盛りするジェルヴェーズに優しい手を差し伸べるグジェ。

夫が居る身でありながら優しいグジェへと心を傾きかけるジェルヴェーズ。 そんな時、別れた内縁の夫であったランチエの出現。 なんと夫クポーはランチエを一緒に住まわせ、奇妙な共同生活が始まります。
そして物語は悲惨な結末へと進んで行くのですが・・・。

しかし男の眼から観れば、いくら人生の選択を間違ったとは言え更生する道はあっただろうにと思います。
男運に恵まれないが為に苦労するジェルヴェーズですが、それも彼女が選んだ道。
しかし、その一言で終わらすには可哀想すぎる物語。 これを女性の視点から観れば、どういう想いでしょう?

この後、エミール・ゾラ『ナナ』 という小説も書いていますが、この "ナナ" というのが、この映画に登場するジェルヴェーズの娘。 『女優ナナ』 として幾度か映画化もされています。

このナナが本作で、その後に繋がるラストシーンとして登場します。 憔悴しきって居酒屋で酒に溺れる母親ジェルヴェーズを残し、首にリボンを結びパリの裏街の通りで近所の男の子の目を惹きつけるラストです。

小説 『ナナ』 では、そんな母親ジェルヴェーズを見て育った娘ナナが、淫蕩で奔放な娼婦として登場しているそうです。 そう考えれば、まさに子供は親を見て育つ・・・なんとも考えさせられる状況です。

映画としては、当時のパリ(産業革命時代)の低層階級を見事に映し出した名作だと思います。


エミール・ゾラ Emile Zola

                        http://www.geocities.jp/jkz203/blog2/zola.jpg

1840年4月2日〜1902年9月29日

イタリア人技術者である父とフランス人である母との1人息子としてパリに生まれる。
少年時代を南フランスのエクス=アン=プロヴァンスで過ごし、18歳でパリに戻る。

1867年に 『テレーズ・ラカン』 を発表し、小説家としてデビュー。 実証的な自然科学の手法をそのまま文学に導入する「自然主義」を唱え(「実験小説論」)、その実践として 『ルーゴン・マッカール叢書(そうしょ)』 を執筆。

全20作からなる 『ルーゴン・マッカール叢書』 の中の第7作目 『居酒屋』 が社会現象を起こすほどの大成功を収め、以後フランス自然文学の黄金期を築きあげた。

晩年は社会、政治活動に精力的に参加。 1898年、ある事件で罪に問われイギリスに亡命するが翌年帰国。
1902年、パリの自宅で一酸化炭素中毒のために死亡する。 享年62歳。

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アンダルシアの犬

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映画というのは、いわゆる総合芸術の代表的なものとされてますが、アートにおいての映画というのも古くから存在します。 という事で、ちょっとサイレント時代の有名な一作をば。

シュルレアリスムの巨匠 スペインの生んだ芸術家サルヴァドール・ダリと、メキシコ、フランスで活躍した監督ルイス・ブニュエルが手を組んだサイレント時代の短編映像詩です。


【アンダルシアの犬】 UN CHIEN ANDALOU 1928 フランス (17分)

監督・製作・脚本 ルイス・ブニュエル       脚本 サルヴァドール・ダリ
出演 ピエール・バチェフ / シモーヌ・マルイユ / サルヴァドール・ダリ / ルイス・ブニュエル




【シュルレアリスム Surralisme】

フランス語であり、芸術における形態、主張の一つ。
"超現実主義" いわゆる、もの凄く過剰なまでの現実の意。 近頃の日本において使われる省略形 "シュール" (難解でアーティスティックの意味合い)とは、根本から違う意味を持つ言葉。


ルイス・ブニュエル監督の記念すべき処女作です。

その映画史において、もっともショッキングなシーンの一つに上げられる事で有名な、この映画の1シーン。
冒頭、男によって大きく見開かれた女性の瞳。 その眼球をカミソリで真っ二つに切りさるシーン。

衝撃的でアバンギャルドな映像表現で、次々に繰り出される断片的なイメージで積み重なってゆく作品です。
ストーリーはあって無いようなもので、そのアンダーグラウンド的映像表現を堪能できるでしょう。

これは80年近く前の "映画" なんですが、映画と言う枠の中で、いかに芸術的シュールな表現で作品が作れるかという事を既に行なっていたこの2人。 ダリという天才とブニュエル監督が手を組んだ、まさに貴重な一作。

ストーリーが無い映画なんて映画じゃない、という方もいらっしゃるでしょうが、それはあくまで志向の問題。
社会通念など超え、人間の心の奥深くに存在する欲望、抑圧から解放されたい攻撃的な心、などを映像として表現したこの一作は、思わずハッとする何かを感じさせてくれるでしょう。
まさに、その表現方法は芸術と呼ぶにふさわしいと感じます。 天才2人の貴重な仕事です。

たまには、こういうのを観てみるのもイイかもしんないですよ。


サルヴァドール・ダリ Salvador Dali 1904-1989


                     http://www.geocities.jp/jkz203/blog2/dari.jpg

詩人アンドレ・ブルトンが提唱した二十世紀芸術運動のひとつシュルレアリスム(超現実主義) の画家。
非合理性の有形化を目的とした手法 "偏執狂的批判的方法" を提唱し、主に2つ以上のイメージを重ねて描く 『ダブルイメージ』 の作品を描いた。

1929年パリ滞在時にシュルレアリスム運動に参加。 卓越した技術で夢想的なイメージを描きシュルレアリスムの先進として世間から注目を集める。 1989年、心臓発作により84歳で生涯を終える。

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街角 / 桃色の店

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オールド・ファンの方ならもうご存知だろうと思います。グレタ・ガルボ主演の 『ニノチカ』 ('39) など、洒落て洗練されたコメディ映画で有名なエルンスト・ルヴィッチ監督の一作。

あのトム・ハンクスメグ・ライアン主演の 『ユー・ガット・メール』 は、この映画の設定を文通からeメールに変えたリメイク作になります。


【街角 / 桃色の店】 THE SHOP AROUND THE CORNER 1940

監督・製作 エルンスト・ルヴィッチ   原作 ニコラウス・ラズロ
脚本  サムソン・ラファエルソン     音楽 ウェルナー・リヒャルト・ハイマン
出演 ジェームス・スチュアート / マーガレット・サラヴァン / フランク・モーガン 他

ハンガリーの首都ブダペスト。街角にある小さな雑貨店で販売主任を務める青年クラリック。
ある日、職探しのクララという女性が店にやってきて、強引に店で働き始める。 しかしクラリックとは相性が悪く、いつも喧嘩ばかり。 いがみ合ってばかりいるこの二人には、お互いに文通相手がいた。 しかし、クラリックは自分の文通相手がクララだと気づいてしまうのだった・・・。




元の原作はハンガリー人のニコラウス・ラズロの戯曲がベースとなっています。 この映画では舞台もハンガリーの首都ブタペスト。 と言っても、アメリカ映画なので当然英語です。

この監督の作品は "ルヴィッチ・タッチ" と名づけられるぐらい、エレガントで洒落てる映画を多く残しています。 上流階級の世界を描く事の多かった監督ですが、ここでは一市民を描きながらも、その軽妙さは十分威力を発揮。 コミカルさを軸に心温まる一作に仕上げています。

青年クラリックを演じるのが、"アメリカの良心" とまで言われるまでになった名優ジェームズ・スチュワート
若き日の彼の姿も、やはり好感あふれるものです。

クララ役を演じるマーガレット・サラヴァンの、ちょっと勝気なところと対照的なクラリックの誠実な青年ぶり。
まだ見ぬ文通相手に恋をするクララが自分の文通相手だと知って、会う約束場所のレストランでの何気ない鉢合せシーン、ラスト近くでクララがクラリックに愛を告白するシーンなど、この時代はストレートな演出が印象的ですが、本作ではそれが様になっていて、オーバーアクトなんだけど観ていて時代を感じさせない演出の上手さが見てとれます。

クラリックが勤める店のオーナー(フランク・モーガン)の浮気な妻のエピソードなど、話の本筋に関係のない部分が出てきますが、これがルヴィッチ監督なんだなぁ〜、と唸らされる所でもあるでしょう。
他の店員のさりげない描き方なども演出の醍醐味だと感じさせられた次第です。

この時代のハートフル・ラブコメの秀作ですね。(・ω・)bグッ

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手錠のままの脱獄

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黒人俳優として初のオスカー主演賞を獲得、その後も数々の名作に出演した、シドニー・ポワチエ
あのジェイミー・リー・カーティスの父親でもあり、古くからスターでもあり続けた、トニー・カーティス

1958年度のアカデミー賞に2人揃って主演賞にノミネートされた名作の1本です。


【手錠のままの脱獄】 THE DEFIANT ONES 1958

監督・製作 スタンリー・クレイマー  脚本 ネイサン・E・ダグラス / ハロルド・ジェイコブ・スミス
出演 シドニー・ポワチエ / トニー・カーティス / セオドア・バイケル / カーラ・ウィリアムズ 他

豪雨の中、一台の囚人護送車が事故を起こす。 車の中にいた白人のジャクソンと黒人のカレンは脱走するが、2人は手錠で繋がれたままだった。 互いに人種的偏見を持つ彼らは、反目し合いながらも数々の困難を乗り越え一緒に逃走して行く。
やがて2人はある女と知り合い、彼女に手錠の鎖を断ち切ってもらうのだが・・・。




社会派の監督、スタンリー・クレイマー"人種問題" というタブーを、囚人同士の逃走劇に仕立てスリリングに描いた名作です。

手錠で繋がれた白人と黒人。 お互い強い偏見の持ち主で、おまけに生きるためには相手の手首を切ってでも助かろうとするような者同士。 設定としては、よくある感じの設定とも言えます。

手錠で繋がれながら、やがて友情を育んでゆく。そういう展開を想像しがちですか、この映画の良いところは、そういうクサい展開だけで済ませていないところだと思います。

トニー・カーティス演じる白人のジャックは差別主義者なのですが、ジャック自身も白人社会から差別を受けたアウトサイダー。 "差別" というのは白人ー黒人の間だけでなく、どこにでも存在する悪しき習慣なのだという事を、この映画は語っています。
余計な描写を省いた、淡々とした進行の作りですが、こういう骨太な一作は今の時代では無い。

ラスト、シドニー・ポワチエが口ずさむ歌が妙に心に残る。
感動と言うより、一歩踏み込んで観る側に訴えかけてくる、何かがある作品だと感じます。

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