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コード:アンノウン

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ミヒャエル・ハネケがフランスに進出した第一作目の作品。
デビュー作品から数えて6作目に当たる映画になります。

【コード:アンノウン】 CODE INCONNU / CODE UNKNOWN 2000 フランス / オーストリア

監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ  製作 マラン・カルミッツ ほか   撮影 ユルゲン・ユルゲス
出演 ジュリエット・ビノシュ / ティエリー・ヌーヴィック / ゼップ・ビアビヒラー 他

   (カンヌ国際映画祭エキュメック賞受賞作品)

「いくつかの旅の未完の物語」 と映画冒頭のクレジットで始まる本作ですが、パターンとしては 『71フラグメンツ』 とよく似たスタイル。

こちらの作品では登場人物 (女優とその親族の青年、黒人の男とその家庭、コソボから出てきた物乞いの女など) の生活が淡々と、まるでジグソーパズルを組み立ててゆくような感じで細切れに描かれてゆきます。


まず映画を観終わって、そのタイトルの意味を少し考えます。
コード:アンノウンCODE(情報、符号などの意)、UNKNOWN (不明、未知数) と名づけられた、この作品ですが・・・。

映画の終わりと冒頭に聾唖者の子供が出てきて、手話で何かを訴えるシーンがあります。
物語りも登場人物の生活(プライベート)が、長回しのワンショット撮影を多用して描かれてゆきます。

女優 (ジュリエット・ビノシュ) はカメラマンの恋人との関係に悩み、最後にはマンションの部屋の暗証番号 (これもコード) を変えます。 黒人の男は、物乞いの女に対する青年を腹立たしく感じ、街角で喧嘩を仕掛けます。

また、その他の登場人物の何気ない生活の繰り返しを映し出してゆく物語ですが、よく観ているとそこに描かれるのは、人と人との繋がりの難しさ・・・ 何故、人はお互い理解する事ができないのか? 後で考えると、ここに登場する人々はみな何らかの CODE を持っていることに気づきます。

そして冒頭の 「いくつかの旅の未完の物語」 にハッとさせられる訳です。
人が理解しあえる事は、いつの日にかやって来るのか? いつまで続くのか? ・・・なるほど、これは未完の物語でしょう。 そして聾唖者の子供の訴えるシーンが効果的に意味を持つのです。

観る側は、それぞれに散りばめられたシーンを頭の中で構築し、先に書いたようにジグソーパズルをはめ込んでいくかのような感覚を味わえる作品です。

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カフカの「城」

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映画デビュー作品から順を追ってミヒャエル・ハネケの作品をアップしている訳なんですが、本作は4作目にあたる作品。 これが製作された1997年の同じ年に『ファニー・ゲーム』 が作られています。

この映画は元々TV用に製作された作品ですが、後に映画として劇場公開された一作です。 だから正しく言えば、映画としては 『ファニー・ゲーム』 がホントの4作目になるわけですが。

【カフカの「城」】 Das Schloss 1997 オーストリア / ドイツ

監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ    原作 フランツ・カフカ
出演 ウルリッヒ・ミューエ / スザンヌ・ロタール / フランク・ギーリング ほか
  
原作は、表現主義的とも言われる独特の不条理さに満ちた作品でおなじみのフランツ・カフカ
一時、文学、哲学を読み漁った時期がありまして、カフカの著作は一応全部読んでると思います。
しかし、悲しいかな、かなり記憶が曖昧です・・・。

カフカ原作の映画化といえば、オーソン・ウェルズ主演の 『審判』 ('63)、『アメリカ』 ('84)、ロシア映画の 『変身』 ('02) などのタイトルがあります。

いずれの作品も、カフカ独特の独創的な世界観を表現するのは至難の業だったでしょう。
それでも映画制作に携わるものが、このカフカの世界観を映像に再現したいと考える気持ちは分かります。
あのスティーブン・ソダーバーグ監督ジェレミー・アイアンズをカフカ役に起用したフィクション、『KAFKA / 迷宮の悪夢』 ('91) という映画を作っております。

    http://www.geocities.jp/jkz203/blog3/schloss.jpg
    
さて本作ですが、ミヒャエル・ハネケの一連の作品としては特異な位置にあると思われるこの映画。

主人公Kは、「城」に雇われある村に辿りつきます。 この村は「城」に支配された所。
何とかしようとして「城」に行こうとするKですが、その行動はから回り、いくら経っても「城」に辿り着けません。

Kはなぜ城に辿り着けないのか? なぜあんなに寒そうなのか?・・・次第に奇妙な深みにはまって行く感覚にとらわれます。 この "不条理" な感覚こそがカフカの持ち味なんですが、その不条理感覚をハネケは原作に忠実に再現しております。

そして唐突とも言えるラストシ-ン。 呆気にとられる終わり方。・・・それもそのはず、このカフカ原作の 『城』未完の小説でした。 そしてこの映画も勿論のこと、結末 (結論) が無い。

そう思えば、このハネケほどカフカの原作を映像化するには、うってつけの映画人ではないか?
ハネケ自身もカフカの原作を相当好きなんではないか? ・・・これまでのハネケ作品とは、その表現が違う特異な一作ですね。

しかし原作に忠実なら、それも当たり前か・・・。

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71フラグメンツ

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『セブンス・コンチネント』『ベニーズ・ビデオ』 に続き、『感情の氷河化』 3部作と題された、ミヒャエル・ハネケ監督デビュー3作目にあたる作品です。

【71フラグメンツ】 71 FRAGMENTE EINER CHRONOLOGIE DES ZUFALLS 1994 オーストリア/ドイツ

監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ      製作 ファイト・ハイドゥシュカ
出演 ガブリエル・コスミン・ウルデス / ルーカス・ミコ / オットー・グルーンマンドル / ウド・ザメル 他




1993年、12月23日。ウィーン市内の銀行で19歳の大学生マキシミリアン・Bが銃を乱射。
3人が死亡。 本人も直後に頭を打ち抜き自殺。 実際に起こった事件をベースに、犠牲者と加害者それぞれの過去を遡りながら現代の社会を鋭く突いた作品ですねぇ。

映画はドラマ性を排除し、主に映画の核となる男女5人の何気ない生活の "断片=フラグメンツ" を集め構成した一作となります。

ハネケ監督曰く、本当の真実と言うのは映画の中で描く事は無理である、というニュアンスで語っていたような気がします。 ・・・ならば、この断片=フラグメンツだけは真実である・・・それを積み重ねる事によって観る側の興味をかき立てるのだ。 とでも言わんが如く、このような手法に挑戦、また観る側を挑発した作品であるような気がします。

加害者と被害者、この両者はどちらも同じ人間。 毎日のように同じ時間に生きる人たちです。
いわば同じ線上に存在する両者ですが、不幸な事件によって、この両者は直線に交わります。
偶然のように見えて、それは必然・・・。

劇中、幾度か映し出されるTVニュースを介して、同じ線上に居なければ、この不幸な事件も、ただ毎日流されるニュースの断片にしか過ぎない。 そう訴えかけて来てる気がしてなりません。

凄い表現力です。 ・・・そうとしか言えないですねぇ。

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ベニーズ・ビデオ

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ミヒャエル・ハネケ監督のデビュー作となった前回の 『セブンス・コンチネント』 に引き続き、デビュー2作目にあたる、1992年製作の映画です。 こちらも負けず劣らずセンセーショナルでショッキングな一作。


【ベニーズ・ビデオ】 BENNY'S VIDEO 1992 オーストリア

監督 ミヒャエル・ハネケ     製作 ファイト・ハイドゥシュカ / ベルナール・ラング
撮影 クリスチャン・ベルジェ   脚本 ミヒャエル・ハネケ
出演 アルノ・フリッシュ / アンゲラ・ヴィンクラー / ウルリッヒ・ミューエ 他
 
物語は、ビデオを観るのが好きな少年ベニーズが主人公。
このベニーズを演じるアルノ・フリッシュは、後の同監督作 『ファニー・ゲーム』 にも出演しています。

彼は自分で撮った豚の屠殺シーンのビデオを繰り返し観てるうち、町で知り合った少女を屠殺ガンを使い衝動的に殺してしまいます。 ・・・その殺害シーンをビデオに撮っていたベニーズ。

そして、そのビデオを観た彼の両親がとった行動は・・・と言う具合のあらすじです。




まず、ここでもハネケ映画らしく淡々と進行する物語です。 ベニーズもほとんど表情を変えない "感情の欠如" とでも言っていいキャラクターなんですが、この映画のアイデアもハネケ監督が読んだニュースの一記事が元になっていると言います。

何故、人を殺した? という問いに、「どうなるか知りたかった」「なんとなく・・・」
「殺人を犯した人間の半分はこういう動機だった」、そうインタビューで応えるハネケ監督。

ビデオという、一種虚構の世界と現実の混同。
主人公のベニーズは、TV番組やホラー映画 (映画で使われているのが「悪魔の毒毒モンスター」) を好んで観ている少年なんですが、そのビデオの世界が彼にとっては現実の世界。

そこで本物の現実に直面した時、彼は混乱します。 しかし、感情の欠如は治しようが無い・・・。
訳も無く頭を丸刈りしたり、両親に進められるままエジプト旅行に出かけたり・・・。
一番身震いしたのは、少女の血だらけの遺体を横に、淡々と自分の衣服で血を拭うベニーズの姿。

そして、"両親がとった行動" というのが重要になってくるのですが、その行動を観ているうちに、このベニーズもある意味、その両親に被害をおった者だという錯覚に陥ります。 そこまで来て、ようやくホントに怖いのは "両親(大人)" だと気づかされる事になるんですが、こういう話しは他人事では無いということが怖い。

今の世の中、こうやって闇に葬られた人間がどれほど居ることでしょうか。
そういう事件の裏には、こういう両親が居るかもしれない・・・そう思わざる得ないところです。

そしてラストの少年ベニーズの決断。
崩壊した親子関係に終止符を打つ (ある意味、両親への復讐) とも言える行動には、寒々とした怖さが隠れているのです。・・・これは痛すぎる映画ですねぇ〜。

次回は監督作品第3作目を取り上げます〜。

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ミヒャエル・ハネケ監督祭りの一発目は、もちろん映画監督としてのデビュー作品という事で、これです。

【センブス・コンチネント】 DER SIEBENTE KONTINENT 1989 オーストリア

監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ      製作 ファイト・ハイドゥシュカ
出演 ビルギッド・ドール / ディーター・ベルナー / ウド・ザメル / ゲオルク・フリードリヒ ほか

 (ロカルノ映画祭受賞作品)
   
映画のタイトルになっている "セブンス・コンチネント" とは、"7番目の大陸" という意味です。
しかし、この地球上に存在する大陸は6大陸。 7番目の大陸と名づけられた意味は・・・。

オーストラリアに移住しようとする、一家3人 (父親、母親、娘) の3年間にわたる日々を淡々と、まさにハネケらしいタッチで描いて行きます。 そしてその結末に驚愕する訳なんですが・・・。


まぁ、どの監督でもそのデビュー作品というのは、その監督らしいスタイルを理解するのに格好の材料だと思っております。 デヴィッド・リンチしかり、スティーブン・スピルバーグしかり、まさに "原点" を観るにはもってこいと言う感じで、かならずその監督のデビュー作品は観ておりますが、本作はそういう意味において、まさにミヒャエル・ハネケの原点が見てとれます。

お得意のワンカットの長回し撮影など、この監督の特徴のひとつなんですが、この作品ではシーンのつなぎ目に暗転を多用しています。

・・・で、この映画の結末を書こうか? 書くまいか? ちょいと悩みましたが、万が一、この先鑑賞する方の為にもラストの結末を書くのはやめておきます。

重要な職務に抜擢された父親。 眼科医の母親。 小学生の娘。 映画は一見何の問題もないと思われる家族の日々を映し出してゆきます。 冒頭、登場人物の姿を避けて (手と体の一部のみ) 撮影され、やっと映し出された顔もこれと言って表情は無く、どちらかと言うと無表情。 台詞も少なく、あきらかに観る側の解釈が必要な物語です。

そして映画が進むにつれて、その一家に漂う不穏な空気が次第に大きくなって行きます。
突然泣き出す母親。 目が見えないと、嘘を言う娘・・・後半には、その夫婦に取り憑いた "呪縛(モノ)" を破壊するシーン。 紙幣、現金をトイレに流すシーンなど、タブーを臆することなくアッサリと淡々と描きます。

そして迎える結末・・・。
監督自身は、この映画をあるニュース記事を読んだことがキッカケで構想した作品だと言います。

なぜ、そういう行為に至ったのか? なぜ? ただそういう思いが頭の中を駆け巡りますが、この映画をただの悪趣味な映画だと言い切ることは出来ません。 その作り手の意図する所を考えるだけでも興味シンシンな一作だと個人的に思います。

監督デビュー作品からこういう調子で来られると、なぜか嬉しくなる自分でした。( ̄∀ ̄*)


・・・劇中何度か出てくる、この↓映像が印象的です。

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