ここから本文です

書庫日本映画

記事検索
検索

イメージ 1



【鍵】 日本 1959

監督・脚本:市川昆  原作:谷崎潤一郎  脚本:長谷部慶治・和田夏十  撮影:宮川一夫
出演:京マチ子 / 仲代達矢 / 中村鴈治郎 / 叶順子 / 北林谷栄 ほか

1959年 ゴ−ルデングローブ賞外国語映画賞
1960年 カンヌ国際映画祭審査員賞

   https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/e0/a7/jkz203/folder/1502344/img_1502344_54634513_24?1323843366


谷崎文学市川昆監督が映画化した一作でございます。

何でも『芸術か、猥褻か』 とも騒がれた作品なのだそうですが。
しかしこの映画化に関する限りでは、そこまで目くじら立てるほどの猥褻さは無いですね。
製作当時はどう思われたか別にして。いかにも市川監督らしい官能さを醸し出した映画に仕上がっています。

原作は昔に読んだ事があるんですが、この映画化ではけっこう脚色されています。


初老の古美術商の剣持 (中村鴈治郎) は、己の体の老化と精力の減退に悩んでおります。
妻の郁子 (京マチ子) に隠れて、娘の敏子 (叶順子) の恋人で医師のタマゴ木村 (仲代達矢) の診察を受ける日々です。

ある夜、邸宅に木村を招いて晩酌してたところ、妻の郁子がブランデーに酔って風呂場で気を失ってしまいます。
剣持は木村に手伝ってもらい、裸の妻をベッドまで運びます。

木村を帰したその夜、剣持は寝てる妻のあられもない姿をカメラで撮影し、その現像を木村に依頼するのでした。


この映画のテーマは、老いから来る倒錯した欲望とそれに順ずる主人公4人の奇妙な人間関係。

中村鴈治郎 (中村玉緒の父) が演じる初老の男の行動が引きがねとなり、それまで隠れていた個々の欲望が次第に形になって行く様を、ポップな感覚でブラックにまとめています。

この時代の市川監督の才気溢れるところが大いに満喫できる作品でもあるでしょうねぇ。
黒い十人の女』 なんかはポップでスタイリッシュな仕上がりでしたが、こちらは人間の欲望をある意味ブラックユーモアタッチで仕上げているのが見えました。

特に宮川一夫のカメラがいいですね。
陰影を効かした撮影といい、その構図といい。

主人公たちを演じる俳優もこの時代の "らしさ" が現れて、その演技の面白さが感じ取れましたよ。

ちょっぴり白塗りメイクで淡々と、人間らしさが欠如した喋りを披露する仲代達矢

キリっと引きつった眉のメイクが印象的な京マチ子
この京マチ子から発するエロチックさは尋常じゃないです。

そして当時の美人女優である叶順子に、わざと不器量に見せるメイクを施した大胆さ。
恋人木村と母親・郁子の不倫を知りながら、それでも女の意地を見せるしたたかさの演技。

この "知らんフリ" は登場人物の全員に通じるところです。
こうした "したたかさ" が人間の欲を際立たせるところですね。


ともあれ、同じ谷崎文学の映画化作品 『卍 (まんじ)』 とは違い、淫靡さに偏っていない部分が市川監督の腕でしょうか。

映画は終ってみれば、サスペンスでもあり、ブラックな悲喜劇でもあり。
果てしない人間の欲を映し出した見事な作品でした。

原作はこの映画以後に何度か映像化されていますが、観るなら本作は押さえておくべきでしょうねぇ。


   https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/e0/a7/jkz203/folder/1502344/img_1502344_54634513_25?1323843366

IZO

イメージ 1
【IZO】 日本 2004   監督:三池崇史  原案・脚本:武知鎮典  唄:友川かずき
 
 
 
 
幕末の世で、多くの幕府要人を暗殺し、"人斬り以蔵" の異名で知られた岡田以蔵
 
ついに処刑となった以蔵の怨念は時空間を彷徨い現代にも蘇り、無差別に人々に斬りかかり、社会体制の破壊に挑むようになります。
 
ま、ざっとあらすじを書けばこうなるんですが、荒唐無稽ともいえる物語 (あってないようなもの) は、あまりにもアバンギャルドです。 三池崇史監督も数々のジャンルを手がけてますが、これほど前衛的なのも初めて観た。
 
驚くのは錚々たるキャスト陣。
書き出すのが面倒だから上のポスター (2枚目) で確認していただきたいのですが、これある意味驚異ですね。
 
そのキャストで以蔵役を務め主役を張るのが、中山一也
数々の奇行で知られたカルト俳優と言ってもいいでしょうねぇ。 (詳細はリンク先を参照)
 
 
 
 
三池崇史の監督作にしては、その黙殺ぶりで認知度の低い本作ですが。
 
個人的には、前衛的なジャンルの作品にはアレコレ言う気はないのですよ。
あくまで個人個人の見解で鑑賞するべきだと思ってるんですよね。
 
本作の場合には多分にバイオレンス要素も入ってますが、メッセージ性も強いです。
ただメッセージ性を明確にした分、あきらかな破綻が際立ってしまったのが目立つのです。
 
女に子供、サラリーマンからヤクザやヤンキーまで、もちろん幕末の侍たちも、全編斬って斬って斬りまくる以蔵は、ただ単なる殺人マシーン。 その以蔵が終盤、人間の心を取り戻す展開は描写不足というか、説得力不足に感じた。
 
時空を超えまくるのもイイでしょう。
昭和初期に戻って、その体制を斬るのもイイでしょう。
 
自分の場合、そこまで思考回路が発達してないので、監督の言わんとするところを明確に受け止められなかったのかも・・・。 もう少し、映画的な説明があれば観る側の心を掴んだかもしれない。
 
しかし、これは前衛映画の範疇だと思うので、アレコレ文句を言いたくない。 (言ってしまったケド)
芸術作品には甘いタイプなのです、本当は。
 
人によっては失敗作で駄作。 ある人にとっては大傑作
芸術に付きモノの「宿命」みたいな一作なのかもしれんなぁ〜。
 
キャストの中で際立って目を引いたのが、劇中において以蔵の心中を歌いまくるシンガーが出演します。
(3枚目の画像でテーブルに座ってる方が、そう)
 
キャリアは長い、異色のカルトなフォークシンガー、友川かずき氏
かなりインパクトが強かったので、その友川氏のライブを貼り付けておきますね。
 
 
 
 
あ、個人的には本作で久しぶりに高瀬春奈の妖艶なところが見えたので嬉しかったよ。(笑)
イメージ 1
【裁判長!ここは懲役4年でどうすか】 2010
監督:豊島圭介 原作:北尾トロ 出演:設楽統、片瀬那奈、螢雪次郎、村上航、尾上寛之、鈴木砂羽、堀部圭亮、平田満 他
 
 
 
 
 
 
裁判傍聴エッセイとして漫画化やドラマ化にもなった北尾トロ氏の原作を映画化した一作。
 
まぁ裁判員制度が実施され、裁判と言うものが一般市民にもより身近になった時代なんですが、その裁判をエンタメ・コメディとして笑わせようと試みた一本なんですね〜。 またシニカル・コメディとしての味付けもあったな〜。
 
女性映画プロデューサー (鈴木砂羽) から呼び出された売れない三流ライターの南波タモツ (設楽統) は、"愛と感動" をテーマとした法廷映画の脚本を依頼されちまうんですね〜。 
 
そのネタ作りのため、足しげく裁判所へ通って裁判を傍聴する事になるんですが、そこで出会ったのが傍聴マニア集団の "ウォッチメン" たち。 意気投合した彼らはありとあらゆる裁判の傍聴に励むんですね〜。
 
 
 
 
コメディだから、その裁判の被告なんかもバラエティに富んでるんですよ。
 
歯が痛いから覚せい剤を使用したと泣きわめく女性、大根で顔を殴って同僚を死なせた男、痴漢常習犯 (日村勇紀)、SMマニアが放置プレーで監禁罪に問われる、などなど、その他もバラエティな罪状です。
 
でも、こういう犯罪もあるだろうなぁ、と思わせてもくれるところでして。
コメディだから演技がギャグ化してるので、そうも思わせないところが面白いところかな。
 
裁判官、検事、弁護士、それぞれ個性があって、それが少なからず判決にも関与している、と言う部分も興味深いもんですね〜。 裁判を取り仕切る側のデフォルメされた登場人物の個性も面白いです。
 
自分はナニゲに堀部圭亮が演じる弁護士役がツボに入っちゃたったんですけどね。(笑)
それと鈴木砂羽が演じる女性映画プロデューサー、これはもう "彼女らしさ" で笑えますぜ。
 
片瀬那奈が演じる美人検事の "マリリンちゃん" もナニゲに光っております。
「楽しいでしょうね、他人の人生、高みの見物して!」 と痛烈な言葉を浴びせかける部分もグサリとくるところ。
 
傍聴と言う視点で描いたテーマとしては、まぁコメディだから良かったんじゃない、って感じでしたね。
面白く見せて頂きましたよ〜、ナニゲに冤罪なんかも取り上げてるしね。
 
主役のタモツを演じるお笑いコンビ バナナマンの設楽統、けっこう演技もイケるやん。
相方の日村は被告役で相変わらずキモいところを見せてますし。(笑)
 
このコメディを観て、人生いろいろだけど被告の立場にはなりたくないなぁ〜と、チラッとでも思ったなら、そりゃ観た甲斐があると言うもんでしょうか。(笑)
 
 

開くトラックバック(2)

イメージ 1
【ボーイズ・オン・ザ・ラン】  日本 2009
監督:三浦大輔 原作:花沢健吾 出演:峯田和伸 / 黒川芽以 / YOU / でんでん / リリー・フランキー / 松田龍平 / 小林薫
 
 
漫画家・花沢健吾の同名コミックを映画化した一作でして、以前から何かと気になっていた一本であります。
 
ま、この原作漫画は読んだ事ないんですが、なんか面白そーだったんで。
 
 
 
 
バンド "銀杏BOYZ" の峯田和伸が演じる主人公・田西は、三十路を目前に控えた弱小おもちゃメーカー (ガチャガチャ製造) の社員でございます。 今日も取引先の店長からイヤ言を受けつつ、情けなく働いております。
 
この田西ってのが、30歳前にして恋人もおらず、誕生日にテレクラで一人シコシコやってるようなヤツです。
そのテレクラで知りあった巨漢女とホテルにしけ込むのはイイんですが、罵倒され暴力を受ける始末。
 
仕事も私生活もパッとしない、言わば負け組人生。
仕事場で事務のオバチャンの透けたブラ姿をボッーっと眺めてるようなヤツでございます。
 
その田西は、後輩社員のちはる (黒川芽以) に密かな恋心を抱いてるんですが、ある日の飲み会で接近。
 
アプローチも満足に出来ないで居る時、営業の仕事で知り合ったライバル会社の営業マン・青山 (松田龍平) に恋の手ほどきを受け、想いを伝えようと頑張るのですが・・・。
 
 
 
 
 
いや〜、コレ面白かったわぁ〜。
峯田演じる田西のキャラが、もうホントに負け組なんやもんね。(笑)
 
でもそれに輪を掛けて面白いのが周りのキャラ。
 
田西の憧れる植村ちはるなんか、もう純真すぎるぐらいのスケベ女やし。
このちはるのキャラクターは妙にリアルっぽい。 こんな女の子、居てるわ。(笑)
 
ライバル会社の青山なんかは、田西とは天と地の差があるほどの "デキる男" で、おまけにケンカも強い。
 
でも田西君は恵まれた会社に居てるんですよ。
同僚社員 (小林薫 他)、上司 (でんでん)、社長 (リリー・フランキー) を含めて、みんなイイやつ。
田西がどんだけヘタレでも、みんな彼を見放さないんですよ、そこが唯一の救いやな。
 
ほんで、YOUが演じるソープ嬢しほも、なんだかんだ言いながら田西の味方。
ハスッパなキャラがYOUに合ってるわぁ〜。
 
惚れた女・ちはるの為に "本気・マジ" になった田西。 最後はトラヴィスになっちゃって決闘に挑みます。
(なんで決闘になったか? 誰と決闘か? それは↓観てご確認を)
 
鼻を垂らしながらイタい田西を熱演の峯田くん、凄いわ。 もうアッパレです。
適度にシモネタ、エロネタを入れつつ、無論笑いも入れつつ、負け組人生の遅咲き青春ストーリーでありました。
 
でもナンやね、松田龍平ってホンマに親父さんにソックリですな。
父・優作ほどの迫力は無いけど、仕草や喋り方はそっくりやね。
 
 

開くトラックバック(2)

いつか読書する日

イメージ 1



【いつか読書する日】 日本 2004

監督・原案:緒方明   原案・原作・脚本:青木研次   撮影:笠松則通
出演:田中裕子 / 岸部一徳 / 仁科亜季子 / 渡辺美佐子 / 上田耕一 / 香川照之 / 鈴木砂羽 / 杉本哲太

第29回モントリオール世界映画祭 審査員特別賞

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/e0/a7/jkz203/folder/1502344/img_1502344_54864073_22?1318101360


以前、BSか何かで放映されてた時に見逃して気になってたんだけど、ようやく鑑賞したしました。

早朝は牛乳配達、昼はスーパーのレジ係りとして働く50歳の独身女性、美奈子 (田中裕子)。
一方、市役所の児童課に勤める高梨 (岸部一徳)。 この高梨には、末期がんを患う妻の容子 (仁科亜希子) が居ます。

自宅で介護しながら働く高梨の家では、毎朝 美奈子が配達する牛乳を取り続けてます。

この美奈子と高梨は高校時代に付き合ってた間柄。
疎遠になった理由は、美奈子の母 (鈴木砂羽) と画家であった高梨の父 (杉本哲太) が不倫関係にあったこと。
不幸にも、この親2人は自転車に乗ってたところ事故に遭い、そのまま他界してるんですね。

そんな時 癌を患う高梨の妻は、夫が牛乳嫌いなのに配達を取り続けてる事を不思議に思います。
そしてようやく、夫が美奈子へ想いを抱き続けてる事を確信。

余命わずかな妻の容子は、自分の死後に美奈子と復縁して欲しいと夫に告げるんです。


 https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/e0/a7/jkz203/folder/1502344/img_1502344_54864073_23?1318101360


何と言うか・・・、これは面白い興味ある映画でした。
「面白い」と言うと語弊があるかもしれませんが、映画のテーマ (内容) と言い、俳優陣の演技と言い、見応えのあるドラマでしたねぇ。

美奈子がなぜ独身を続けてるのか?と言う観点から、その周りの人物のエピソードが絡み、そのことで物語を膨らまして行き、やがて最後は深みが観て取れる一作でございました。

その周りの人物のエピソードも現代社会の問題であって、夫婦間の痴呆症介護、育児放棄の問題など、キツい所にも目を向けてるのが特徴ですね。

でもやっぱり主役の美奈子を演じる田中裕子が素晴らしかったですねぇ。
いつも無表情を装い、一心不乱に牛乳配達を勤め、高校時代に付き合ってた高梨への想いを秘めた演技は、ホントに凄いと言う表現でイイかも知れない。

その高梨を演じる岸辺一徳も上手いです。
この人の演技は特徴的なところがあるけど、この作品に関しては見直すぐらい良かった。(笑)

「一人で寂しくない?」 と言う問いに美奈子は、「疲れるまで働いてたら気にならない」 と答えます。
「もし時間が出来たら読書をして過ごすわ」、この言葉がタイトルにも繋がってるんですよね。

美奈子は読書好きで、いつも新刊本の広告を切り抜き持ち歩き、その後に買い揃え本棚に整理しているんです。
その本棚はきっちり整理されていて、本好きが読み漁ってると言う風には見えない本棚。
だから、「いつか読書する日」 なんですが、その時とは 想いを抱き続ける相手と分かり合えた時。

余命わずかな妻の容子の願いどおり、高梨と美奈子は再会をして今までの想いを分かち合いますが…。

人はひとりじゃ生きて行けないものですよね。
美奈子はあえてそれを選んだ人生を送ってるんですが、この凜とした演技は見ものです。

"大人の年齢" になった人なら、この映画は色んな事柄を考えさせてくれるでしょうね。
面白かったと同時に、久しぶりに良い映画を観たという思いを持った一作でした。

ロケ場所となった長崎の町並みも良かったですよ。
最初は、坂道が多いからこの場所はどこだろう? と思ってたんですが。

香川照之が演じるスーパーの店長役も、嫌なヤツと思いながらその俗っぽさがリアルでしたねぇ。
一口に "大人のメロドラマ" と言い切れない深さがありますねぇ。


https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/e0/a7/jkz203/folder/1502344/img_1502344_54864073_24?1318101360

開くトラックバック(1)

Kaz.Log
Kaz.Log
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン

みんなの更新記事