【ゼロ・グラビティ】 GRAVITY アメリカ 2013
監督・製作・脚本・編集:アルフォンソ・キュアロン 出演:サンドラ・ブロック/ ジョージ・クルーニー
エド・ハリス(声の出演) (LA批評家協会賞 作品、監督・編集・撮影賞受賞)
『天国の口、終わりの楽園。』、『トゥモロー・ワールド』 のメキシコ人監督アルフォンソ・キュアロンが、宇宙空間を舞台にしたアクション・サスペンスの一作ですね。
地上600キロ上空で船外活動中のクルーを襲った予期せぬ事故。
宇宙空間に放りだされ、絶望的な状態に陥る2人の宇宙飛行士の運命は・・・。
ってモンで、以前予告を観てその映像にビックリした作品でしたが、CG映像技術もここまで進化したんですねぇ、凄いもんでした。 と言うか、宇宙が舞台だからCGを使わざる得ないしね。
何が凄いかと考えると、そのCGの使い方なんですよね。
カメラワークに合わせて、観てる側もあたかも宇宙空間に居るかのような錯覚を思い起こさせる臨場感の出し方とでも言いましょうか。
もちろん3D映像がその役目のひとつを担ってるワケなんですけどね。
全編、登場する人物は宇宙飛行士を演じるサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニの2人だけ。
宇宙空間での壮絶なサバイバル劇を、いかにも役者の個性に合わせた物語作りで進めてます。
緊迫の物語の中、『エイリアン』のシガニー・ウィーバーよろしく、サンドラ・ブロックが宇宙服を脱ぎ捨てて見せる、ちょっとしたセクシーショットなんかも、物語に緩急をつけるシーンとなるので、そういう使い方も上手いなと思う訳ですが。
ジョージ・クルーニー演じる飛行士は、クサいセリフも躊躇わないカッコしぃ。
ユニークな彼の個性に合ってると言えばそうなるんですが、最初はちと鼻に付く。
だってね、宇宙空間で生きるか死ぬかの状態なんだから、もっと必死さが欲しいよね。(笑)
でもその個性もラストのサンドラ・ブロックのセリフで全て許してしまいました。
『サンキュー』・・・、このひと言で、『あぁ、マット飛行士は彼女の守り神になっちゃってたんか』(ま、あのセリフにはいろんな意味合いが含まれてるでしょうけど)
そう思えば、彼のあぁいう個性も分るかな、と。
ま、そんな感じで役者の演技とCG映像のクォリティの高さで満足の一作・・・となる筈やったんですが、あえて気に入らない点を書きます。(個人的にね)
ここからはネタバレに触れるのでご了承くださいませ。
この映画はサバイバルアクション映画、ハッキリ娯楽映画ですよね、当たり前だけど。
自分は "ハリウッド製娯楽大作映画" と言うのは敬遠しがちなジャンルなので、やっぱり辛口になっちゃいますが、この作品もソレなんですよね、やっぱり。
まず音楽を使いすぎ。
やたら緊迫感と感動を煽る音楽が耳障りでした。
宇宙空間という設定なんだから、いっそのこと潔くBGM無しでも良かったと思います。
そうしてたら、もしかしたら個人的に本作を大絶賛だったかも。
そして、得意のご都合主義的なオチの付け方。
それまでのサンドラ・ブロックのサバイバルは手に汗握る展開で面白く観れたのに、辿り着いた途端になんで衛星が大気圏突入体勢に入ってんの?
91分と言う尺なので、あれ以上の描写は長くなるから省いたかもしれないけど、あまりにも簡単すぎへん〜? しかも大気圏再突入って、あんなに簡単に出来るもんじゃ無し。
クルーの一方通信を傍受してたNASAが、早業で中国と話をつけたのか?
元々、あの衛星は大気圏再突入を準備してたのか? っ言っても、あの衛星は無人やったし、だったら中国側が地上から操作してたのか? 古い衛星でそういう時期やった?
で、やっぱ全てサンドラちゃんが中国語パネルを操作で地上着水地点も操作しちゃった!?
着水地点はアメリカですよね?(中国衛星のくせに)、だったら簡単すぎるっ。(笑)
なんてね、気に入らないのは、そういう点が「ハリウッド娯楽映画」を強く感じさせるからなんですわぁ。他にもツッコミどころがテンコ盛りだし。
でもね、理屈こねてるんじゃないですよ、自分は。
必然性と偶然性を納得させられるか否かが、映画に求める大事な点なんですよ。
これがまるっきりのファンタジー映画やSF映画だったら文句は言わないけどね。
ロシアの自爆衛星や中国の衛星なんか引っ張り出してきてるだけに、リアルな物語作りを求めてしまうんですよね。
そしてサンドラ・ブロックのサバイバル劇に、ヘンに哲学的な視点を入れて来たところ。
地上の一般市民と交信するところで死生観なんかも感じさせるシーンもありましたね。
あれはあれで感動的だったんですよ。
でも全て、音楽の使い方や哲学的な意味合いをも含め、シチュエーションこそ違いますが、スタンリー・キューブリックの 『2001年宇宙の旅』の足元にも及びませんやん。
絶対的な存在=宇宙を相手にするには、ちょっと娯楽に走りすぎた描き方なのかな、と。
リアルさで言うなら、同じサバイバル劇として『アポロ13』の方が上だし。
ま、ツラツラ文句を書いてしまいましたが、でも本作は総合的に傑作なんですよ。(笑)
誰が観ても充分に楽しめる一作なので。(映像的に観る価値アリなのは間違いなし)
でも個人的には、アカデミー作品賞は無いな、と。
サンドラ・ブロックの演技賞と技術部門賞は喜んであげちゃう、みたいな。