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相方は、胎児の成長度合いその他を確認するために、月一回、病院へ検診に行く。
前日残業に巻き込まれたりして疲れが残っている時などは、見るからに調子が悪そうである。
聞けばなんと、病院から帰宅後、さらに会社に出勤するのだという。
無知な夫は、そんな姿に脊髄反射で「会社休んだら?」と言ってしまうのだが…。そうもいかないらしい。
今日の話はここから始まる。
ややキレ気味になりながら、相方が説明してくれたのは、会社の産前・産後の休暇システムについてだ(相方の勤める会社での話なので、女性の方はご自身が勤められている/勤められていた会社の制度を想像してもらえらえればと思うし、そんな事に興味のなかった男性諸氏はその知られざる世界に驚愕していただきたい)。自分の頭の中を整理するためにも、ざっとそのシステムを説明してみよう。
妊婦は出産予定日の約1か月半前から「出産休暇」という制度によって、出産準備に入ることができる。
しかしその前でも、妊婦は冒頭の検診日や「母親学級」など、さまざまな用事で病院を訪れなければならない。
「母親学級」とは(病院・産院によっていろいろ違いはあるが)出産〜産後の妊婦の心得や、その後の育児方法などについて、様々な役立ち情報を基礎から教えてくれる講習会のことだ。病院・産院によっては、出産立ち会いを希望する父親に受講を求める所もある。
休暇入りするまでの検診日の回数と母親学級の受講回数を事前に確認して、ただでさえ少ない上に「つわり」で大分消費してしまった有給休暇の残り日数を逆算すると、軽くヤバイらしく、「そうそう休んでられない」のだと言う。
そして、相方の会社では、大半の妊婦がこれでピンチになるらしい。
そこで、多くの人は6割出勤を利用するという。
6割出勤とは、定期的な通院を強いられる妊婦のために会社が用意した制度で、「午前中:通院」「午後:出勤」すると、欠勤や有給扱いにはならない代わりに、支給される給与額もその名の通り「6割」になる、というものなのだそうだ(いわゆる半休だね)。
これでも、制度がある分、先輩達に較べたら「恵まれている方(!)」なんだという。
ここまで説明されて、言いたいことは浮かんできたのだが、慌ただしい朝ということもあり、そのときは違和感を飲み込んで出勤した(毎度、長いマクラでごめんなさい)。
管理する側に立ってみれば、戦力として「アテ」にしていたスタッフ(=駒)が、企業の活動に直接関係がない物事で、有休だ病欠だと抜けていってしまうのは、とても痛いことだ、というのは容易に理解できる。
「6割出勤」など、母性を保護するための制度を用意しているだけでも、大きな譲歩だ、ということになるのかもしれない。
でも、少子化におびえる国や企業が用意する制度としてはあまりにお寒い気がする。
出産前でも、仕事と家庭と胎内に宿った生命を育てることの鼎立で、相方は青息吐息の状態だ。
これで出産を経て、子どもという独立した生き物を育てていく段階になったら、その負担はもっと増していくだろう。
こうした問題が取り上げられると、必ず「少子化だ、人口減少だと騒ぐわりには、産んだ後のフォローがまるで足りない」という声が出てくるが、まさにそうだと思う。
これまでも様々なメディアを通じて、早くから危機意識を持った人達が、こうした問題を訴えてきたはずなのだが、自分自身身近な人間が妊婦になるまで、あまりに「人ごと」で「無知」でありすぎたようだ。
問題を軽視していた自分が、本当に恥ずかしい。
で、先生に「6〜8割の確率で男の子」と言われたそうです。もう少しはっきりするまでは、ここだけの話☆
今日は珍しく、話にオチがあります。
病院の待合室で順番を待っていた相方は、たまたま隣り合ったおばさんにこれから出勤することを告げると多いに驚かれて、「女は身ごもったら、仕事から退いて家に入るものよ」と、えらい勢いで説教されたらしい(苦笑)。
産む側の意識がそれでは、先頭に立って改善要求の旗振りをつとめる人もテンションが落ちよう。
でも、そのおばさんたちも、実体験から「それが一番賢い生き方」と学習した結果を、善意で伝えようとしているのだとしたら、やっぱりおばさん達も社会体制の歪みの被害者なわけで。
「こんな現状はおかしい。何とかしてくれ」と声をあげていくのは、我々現役世代の役目だ…。
(この項、多分続く)
おまけ:
例の選挙の頃、首相官邸が発信するメルマガ「小泉内閣メールマガジン」で、読者に政策についての意見・アイディアを求めたところ、予想を上回る反響があったという。
仕掛けた側は「郵政解散を支持する国民の声」が欲しかったのだろうが、圧倒的に多かったのは「少子化対策を何とかしてくれ」という声や政策提言だったという。
このことはニュースでも取り上げられていたので、記憶されている方も多いだろう。
これまでなかなか届かなかった声が、国のトップや中枢にまで直接届くようになったことは…、IT技術の普及って(結構)偉大なのかも。
さぁ、みんなで当事者の声を伝えよう!(笑)
「首相官邸URL」
http://www.kantei.go.jp/
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